シン (北斗の拳)
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人物
南斗六聖拳の一人で、「愛に殉じる」宿命を背負う「殉星」の男。
故リュウケンからの戒めを破って「北斗」と争い、北斗神拳を伝承した直後のケンシロウを一蹴した実力の持ち主[注 1]。ケンシロウの胸に刻まれた七つの傷は彼によるものである[注 2]。
ケンシロウが許婚のユリアと共に旅立とうとする日に、ケンシロウに深手を負わせてユリアを連れ去り、彼女ひとりの愛を得んがために与えうる全てを与えようとした。そのために凶悪非道の暴力組織「KING」を統率して関東一円を支配、自らも「KING」と名乗る。略奪と殺戮の限りを尽くし、ユリアのためだけの街"サザンクロス"を築き上げたが、それでも彼女の心がケンシロウから離れないことを悟ると、復讐心と執念を身に着けたケンシロウと再戦する。それにより強くなったケンシロウに苦戦するがユリア(に見せかけた人形)を殺害することでケンシロウの力の源と見なしたユリアに対する執念を挫こうとしたものの、執念にも勝る怒りを感じたことでケンシロウに力を与える結果となり、力勝負に負け、北斗十字斬で秘孔を突かれて敗北[2]。「俺はお前の拳法(北斗神拳)では死なん!!」と吐き捨て、自ら居城より身を投じ命を絶った。
シンのユリア強奪は、ジャギの口車に乗せられ、甘いケンシロウではユリアを守れないと唆されたためである。それまではケンシロウの良き友人であり、悪人ではなかった[注 3]。KINGとなった後も、テレビアニメ版のサザンクロス編の終盤には、部下に無差別な略奪や女性への乱暴を禁止する、ユリアの脱走に協力した侍女・サキを罰せずに故郷に送り返すだけですませる[注 4]といった様子も描かれた。ケンシロウも彼の死後に至って、「友であったシンを唆し悪事を犯させて苦しめた」張本人であるジャギに対しては激しい怒りを見せている。ユリアには嫌われていたが、シンは「殉星」の宿命から純粋にユリアへの愛のためだけに生きた。
権力の頂点に立ったシンであったが、拳王ことラオウの手がKINGの本拠地・サザンクロスにも及ぶと知ると、まともに闘っても勝ち目がないと判断し、ユリアを守るため南斗五車星の戦士たちに彼女を託して、ラオウが追わないように敢えてユリア殺しの悪名を被ってケンシロウとの再戦に臨んだ。ユリアの生存に関して何ら語ることなく、あえてケンシロウにも「ユリアは身を投げて死んだ」という虚偽[注 5]を告げて、飛び降りて自害する。ケンシロウにとっては最初の強敵(とも)であった。最後にケンシロウは彼の遺体を自らの手で埋葬したが、悪人である彼にそこまでの施しをした訳をバットに問われ、「同じ女を愛した男だから」と答えた[4]。
拳法・技に関して
シンの使う拳法には、1983年の原作連載初期からテレビアニメ版までも、作中において流派名は一切付けられておらず、ただ「南斗聖拳」あるいは「南斗聖拳(の使い手)シン」とだけ表記・呼称されていた。しかし、南斗六聖拳の登場により連載途中で「愛に殉じる宿命を背負う南斗六聖拳“殉星”の男」であることと、継承した流派名「南斗孤鷲拳」が、連載から3年後の1986年9月に刊行(原作では天帝編を連載中)された特別編集の解説書『北斗の拳 SPECIAL』で新たに設定された。
以後、関連書籍、『真救世主伝説』シリーズでも、「南斗孤鷲拳」の伝承者の位置づけが踏襲されているが、シンが自身の拳を「南斗孤鷲拳」と名乗ったのは、2005年の格闘ゲーム版が最初である。
主にシンは、「南斗獄屠拳」(アニメ・旧劇場版では南斗獄殺拳)、「南斗千首龍撃」など、切断より貫通をメインとする突き刺し型の奥義を使う。「外部から突き入れ破壊する」という南斗聖拳の定義が合致する正統派の拳法であり、「孤鷲拳」だけでなく南斗一〇八派の複数の流派も習得しており、その技のバリエーションから「南斗聖拳のシン」と呼ばれている(『北斗の拳 SPECIAL』コラムおよび『北斗無双』公式サイト)。アニメ版では、飛び蹴り系の技である「南斗飛燕斬」や、拳の連続打撃で敵を砕く「南斗飛竜拳」も披露している。
『北斗無双』ではそのスタイル故のリーチの短さを補うため、突きを飛ばす技や、闘気で形成した剣で攻撃する技なども使用する。
なお、原作ではシンには南斗聖拳の配下の者はいないが、アニメのKING軍には「南斗」を名乗る部下が多数登場する。しかしその多くは、自己の闘術、自分の使用する武器・武装・兵器などに「南斗」の名を冠しているだけである。火炎を吐く闘術、死者が蘇る呪術、ダイナマイト、鞭、双頭の旋回斧での攻撃、果ては刀剣を持った兵士を大砲で打ち出すものや列車砲の砲術指揮官などが「南斗」と名乗っているが、これらは拳法の類とは言いがたく、拳法家と呼べるのは、三身一体攻撃の体術に「南斗」を冠した「翔天拳」の副官・ジョーカーぐらいである[注 6]。
劇場版・OVAでの活躍
- 劇場版『北斗の拳』
- 原作同様ケンシロウを自身の南斗聖拳で倒して彼の許婚のユリアを連れ去り、"サザンクロス"の街を拠点にユリアと暮らしていた。しかし、拳王軍の侵攻を受け、奪われたユリアを取り戻すために黒王号から降りたラオウに挑むも、胸の秘孔を突かれて敗北する。その後、やって来たケンシロウと対決するが、ケンシロウから拳を受けた直後、ラオウに突かれた秘孔が炸裂して倒れ込む。ケンシロウにラオウを追うように伝えると「お前の拳で殺されたかった、同じ女を愛した男だから」と言い残して事切れる。遺体にはユリアの花嫁衣裳がケンシロウの手で掛けられ、ケンシロウはラオウがいる街"カサンドラ"に向かう。
- 真救世主伝説 北斗の拳
- OVA『ユリア伝』に登場するが、ケンシロウがシンにリベンジする場面は割愛されている。原作同様ジャギにそそのかされ、ケンシロウと旅立とうとするユリアを奪うために、伝承した南斗孤鷲拳でケンシロウを半死半生にする。シンは暴力と略奪を繰り返し、ユリアのためだけの街"サザンクロス"を築き上げ、ユリアの歓心を買おうとするが、民衆が自分のために苦しむのを見かねたユリアは、居城から身を投げる。ユリアは南斗正統血統である彼女を守護する南斗五車星に救われ、シンは愛するユリアを五車星に託し、ユリア殺しの悪名を被る。その直後、シンの軍閥は拳王軍に攻められ壊滅、シンはラオウの軍門に下ったが、ラオウはユリアを自殺させたシンを不問に付し、シンとケンシロウとのことは当人たちで決着をつけさせることにした。