シンガポールの観光

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歴史的なラッフルズ・ホテルシンガポールの国定記念物である
1930年に建てられたシンガポール植物園のバンドスタンドは、同園を象徴する構造物の一つである。[1]

シンガポールにおける観光は、同国の主要産業であり、経済に大きく寄与している。2019年には1,911万4002人の観光客が訪れ、1965年の独立以降で最多の到着者数を記録した[2]。 2024年時点では、COVID-19パンデミックの影響からの回復が進み、国際観光客数は計1,652万6344人に達し、これはシンガポールの総人口のほぼ3倍に相当する[3]

シンガポール観光庁(STB)は2023年に開始した「Made in Singapore」キャンペーンにおいて、同国を「City In Nature」(自然の中の都市)として世界に発信しており、サステナブルツーリズムを推進する取り組みの一環としている[4]。また、環境に配慮した国であることをアピールし、自然および遺産の保全プログラムを維持している。さらに世界で最も犯罪率が低い国の一つ英語版でもある。4つの公用語のうち英語が主要な言語であるため、観光客がショッピングなどで現地住民とコミュニケーションを取ることも比較的容易である。公共交通機関はほぼすべての公共施設を網羅しており、観光客にとって利便性が高いことで知られている。特にマス・ラピッド・トランジット (シンガポール)システムは有名である。シンガポールは世界で5番目、アジア太平洋地域では2番目に訪問者数の多い都市である[5]

世界経済フォーラム旅行・観光競争力レポート2017年版』では、シンガポールは136か国中13位にランクされ、アジアでは日本(4位)、香港(11位)に次ぐ3位となった。ビジネス環境、国際的な開放性、旅行・観光政策および環境整備条件の分野では世界1位を獲得している。一方で、自然・文化資源のサブインデックスでは40位と比較的低い評価となった[6][7]

1964年1月、当時マレーシアの州であったシンガポールを観光地として宣伝し、観光産業を発展・規制するため、シンガポール観光振興庁(Singapore Tourist Promotion Board、現在のシンガポール観光庁英語版)が設立された[8][9][10]シンガポール政府は、観光産業の振興により雇用創出、収入増加、国内貿易の円滑化を図ることを目指した[11]。1960年代から1970年代にかけて観光庁は各国からの観光客誘致を目的とした広告キャンペーンを複数展開し、シンガポールの各種観光地を紹介する月刊ニュースレターを発行した[12][13]。1964年にはマーライオンが観光庁のロゴとして制作され、宣伝資料に使用された[14]。マーライオンは後にシンガポールを象徴するアイコンとなり、1972年にマーライオン公園にマーライオン像が建立された[15]。1977年には訪星観光客数が150万人に達し、観光収入は6億2800万シンガポール・ドルと推定された(1970年は52万2000人、観光支出2億6900万シンガポール・ドル)[16]

1980年代から1990年代にかけて観光庁は、シンガポールの文化英語版を観光客にアピールするため、チャイナタウンなど歴史地区のインフラ更新や、コンサート・コンベンション開催のための新施設開発を進めた[17][18]。2005年、シンガポール政府はマリーナ・サウスセントーサ島に2つの統合型リゾート(IR)を開発することを発表した[19]。同年、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの開発計画も発表された[20]。これらのリゾートは、特に近隣のバンコク香港などの他目的地との激化する競争に対抗し、観光産業を強化する計画の一環であった(香港もシンガポールの取り組みを受けてカジノ合法化を検討するに至った)[21]マリーナベイ・サンズは2010年6月23日に正式開業し[22]、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイは2012年6月29日に[23]リゾート・ワールド・セントーサは2012年12月7日にそれぞれ正式開業した[24]

観光に関する統計

シンガポールの観光客到着数は、1965年の独立以来増加傾向にある[3]。1965年に記録された9万9000人に対し、2019年にはシンガポール観光庁の速報値で過去最高の約1910万人を記録し、観光収入は277億シンガポール・ドルに達した[2][25]。訪星者総数は2018年から3.3 %増加し、中華人民共和国インドネシアオーストラリアからの到着者が増加した一方、インドマレーシアからの観光客はそれぞれ2 %、3 %減少した[2]。観光収入は2018年から2.8 %増加し、主な支出項目は観光・エンターテインメント・ゲーミング(15億9300万シンガポール・ドル)、ショッピング(14億5700万シンガポール・ドル)、宿泊(14億3900万シンガポール・ドル)、飲食(6億4900万シンガポール・ドル)であった[2]

2020年にはCOVID-19の世界的流行の影響で訪星者数が前年比85.7 %減少し、観光収入も82.6 %減の48億シンガポール・ドルとなった。[26] 同年の訪星者総数は270万人で、2014年以来初めて前年を下回った。[26] 2020年3月23日から2021年10月19日までは、短期滞在目的の入国およびトランジットが全面的に禁止された[27]

2021年には訪星者数がさらに減少し、33万59人と2020年比で88 %の大幅減となった[28]。2021年12月には感染力が強いオミクロン株の流行拡大により、多くの国が依然として渡航制限を維持し、一部の国は感染抑制のため全面的な渡航禁止措置を講じた[29][30]。 シンガポールへの短期滞在目的の入国は、2021年9月に新型コロナウイルス感染症流行による渡航制限英語版(Vaccinated Travel Lane)の導入により部分的に再開された[31]。 2024年には訪星者数が合計1652万6344人に達し、2023年比で21 %増加した[3]

全体的な推移

訪問者数[3]前期間からの増加率
196599,000 
1970579,000488.1%
19751,324,000128.6%
19802,562,00092%
19853,031,00018.3%
19905,323,00075.6%
19957,137,00034.1%
20007,691,3997.8%
20058,943,02916.3%
201011,638,66330.1%
201515,231,46930.9%
20202,742,443−82%

近年の推移

訪問者数[3][2][26]前年からの増加率
201011,641,70020.2%
201113,171,30313.1%
201214,496,09110.1%
201315,567,9237.4%
201415,095,152−3%
201515,231,4690.9%
201616,402,5937.7%
201717,422,8266.2%
201818,506,6196.2%
201919,114,0023.3%
20202,742,443−85.7%
2021330,059−88%
20226,305,7441,810.5%
202313,610,404115.7%
202416,526,31221.5%

訪問者数上位10か国・地域(2000–2010)

出典: Singapore Tourism Analytics Network[28]

国・地域20002001200220032004200520062007200820092010
インドネシアの旗 インドネシア1,313,3161,364,3801,393,0201,341,7471,765,3241,813,5691,922,2171,962,0551,765,4291,745,3302,305,149
中華人民共和国の旗 中国434,336497,398670,099568,510880,259857,8141,037,2011,113,9561,078,742936,7471,171,337
マレーシアの旗 マレーシア[32]564,750578,719548,659439,437537,336577,987634,303645,774647,480764,3091,036,918
オーストラリアの旗 オーストラリア510,347550,681538,408392,906561,163620,255691,632768,490833,156830,299880,486
インドの旗 インド346,360339,828375,697309,487471,244583,590658,902748,728778,303725,624828,903
日本の旗 日本929,895755,766723,431434,087598,840588,535594,406594,514571,040489,987528,817
フィリピンの旗 フィリピン181,032190,630195,564176,585245,918319,971386,119418,775418,938432,072544,344
香港の旗 香港285,975276,157265,970226,260271,691313,831291,474302,110278,115294,420387,552
タイ王国の旗 タイ246,750260,958263,866235,826341,989379,040356,367353,416333,905317,905430,022
アメリカ合衆国の旗 アメリカ385,585343,805327,648250,678333,156371,440399,786408,885396,631370,704416,990
大韓民国の旗 韓国354,353359,083371,050261,403361,083364,206454,722464,292423,018271,987360,673
イギリスの旗 イギリス444,976460,018458,528387,982457,262467,154488,167495,693492,933469,756461,714
ベトナムの旗 ベトナム31,83734,63340,65244,420105,803150,626165,105203,210239,299265,414322,853
中華民国の旗 台湾290,904222,087209,321144,942182,443213,959219,463208,156175,924156,761191,173
ドイツの旗 ドイツ169,408166,981157,510121,376142,371154,779161,125164,900175,280183,681209,231
Singapore Ducktours (パリ交通公団グループ)

訪問者数上位15か国・地域(2011–2020)

出典: Singapore Tourism Analytics Network,[28] Singapore Tourism Board [2] [26]

国・地域2011201220132014201520162017201820192020
インドネシアの旗 インドネシア2,592,2222,837,5373,088,8593,025,1782,731,6902,893,6142,954,3843,021,4293,109,000457,027
中華人民共和国の旗 中国1,577,5222,034,1772,269,8701,722,3802,106,1642,863,5823,226,9293,416,4753,627,000357,292
オーストラリアの旗 オーストラリア956,0391,050,3731,125,1791,074,8781,043,5681,027,3091,081,9871,107,2151,143,000206,238
インドの旗 インド868,991894,993933,553943,6361,013,9861,097,1861,272,0691,442,2421,418,000175,522
マレーシアの旗 マレーシア1,140,9351,231,6861,280,9421,233,0351,171,0771,151,4801,168,3561,253,9921,221,000153,650
イギリスの旗 イギリス442,611446,497461,459451,931473,810489,205518,903588,863607,000133,336
日本の旗 日本656,417757,116832,845824,741789,179783,721792,813829,664884,000125,879
アメリカ合衆国の旗 アメリカ440,576477,213491,946484,912499,509516,276565,250643,162729,000123,182
フィリピンの旗 フィリピン677,723656,804687,794676,481673,374691,555736,456778,135829,00097,881
ドイツの旗 ドイツ219,952252,433251,560263,513286,732328,762342,336356,797381,00095,563
大韓民国の旗 韓国414,879445,184471,768536,975577,082566,503631,359629,451646,00089,522
ベトナムの旗 ベトナム332,231366,234380,495424,408418,266469,409531,359591,600592,00074,424
タイ王国の旗 タイ472,708477,654497,409506,509516,409546,384531,307545,601528,00063,622
中華民国の旗 台湾238,488282,203350,308337,431378,026394,174395,549422,935429,00061,887
香港の旗 香港464,375472,167539,810631,029609,888537,964465,769473,113489,00058,976

訪問者数上位国・地域(2021-)

出典: Singapore Tourism Analytics Network[28]

国・地域2021 2022 2023 2024
中華人民共和国の旗 中国88,250 130,870 1,128,440 3,082,218
インドネシアの旗 インドネシア33,460 1,104,160 1,872,030 2,489,342
インドの旗 インド54,380 686,470 887,260 1,197,107
マレーシアの旗 マレーシア24,220 590,960 891,890 1,185,127
オーストラリアの旗 オーストラリア10,050 565,680 884,270 1,173,777
フィリピンの旗 フィリピン11,490 381,990 568,380 779,078
アメリカ合衆国の旗 アメリカ 10,960 318,450 516,040 692,466
大韓民国の旗 韓国 7,130 217,530 488,370 594,898
イギリスの旗 イギリス 8,550 226,740 384,060 579,958
日本の旗 日本5,920 132,110 359,050 573,236
中華民国の旗 台湾3,410 65,050 289,980 403,367
ベトナムの旗 ベトナム3,440 312,710 406,410 393,184
タイ王国の旗 タイ4,380 283,430 393,210 364,741
ドイツの旗 ドイツ5,410 130,590 249,770 349,181
香港の旗 香港5,430 129,050 267,910 305,842
フランスの旗 フランス4,210 86,090 142,140 179,365
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 595 57,080 115,910 144,733
ミャンマーの旗 ミャンマー 10,020 85,290 100,550 134,916
カナダの旗 カナダ1,690 55,020 102,970 126,971
バングラデシュの旗 バングラデシュ 17,900 102,990 98,730 121,760
オランダの旗 オランダ 1,960 51,180 76,600 89,291
イタリアの旗 イタリア 1,230 33,120 63,710 86,843
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 940 42,970 66,100 83,630
スイスの旗 スイス1,320 36,290 62,050 83,223
スペインの旗 スペイン 777 30,460 49,640 64,685
スリランカの旗 スリランカ1,470 35,520 44,260 56,880
ロシアの旗 ロシア388 9,800 46,460 54,891
ブルネイの旗 ブルネイ 1,250 31,640 47,580 49,495
デンマークの旗 デンマーク 730 16,410 23,590 27,992
サウジアラビアの旗 サウジアラビア 196 7,170 18,620 26,396
スウェーデンの旗 スウェーデン545 13,500 21,330 26,027
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ 159 13,020 19,910 24,455
フィンランドの旗 フィンランド355 9,780 15,580 23,214
ノルウェーの旗 ノルウェー 425 12,690 20,270 22,998
パキスタンの旗 パキスタン195 10,560 14,690 17,224
イスラエルの旗 イスラエル 704 11,940 14,040 16,011
クウェートの旗 クウェート 38 3,650 7,470 7,685
イランの旗 イラン 54 1,370 4,910 6,862
モーリシャスの旗 モーリシャス35 2,410 4,010 4,788
エジプトの旗 エジプト 94 1,640 6,320 2,732

観光産業の課題

COVID-19パンデミックによる観光への影響(2020年-2021年)

2020年初頭、シンガポールにおけるCOVID-19の流行英語版が国内外からの観光客数に大きな影響を及ぼした。2020年2月にはインドネシアがシンガポールに対する渡航警戒レベルを黄色に引き上げ、自国民に対して同国訪問時の特別な注意を促した[33]。インドネシアはシンガポールにとって最大級の観光客送り出し国の一つである。観光客数は2019年比で25 - 30 %減少するとの予測がなされた[25]

2020年9月16日、チャン・チュンシン英語版(陳振声)通商産業相は、全ての成人シンガポール国民に対し、Singpassでデジタルアクセス可能な100シンガポール・ドルの観光クーポンを2020年12月から2021年6月まで利用可能にすると発表した。総額3億2000万シンガポール・ドルに上る「SingapoRediscovers Vouchers」制度は、COVID-19パンデミックに伴う渡航制限で壊滅的な打撃を受けた観光セクターを支援するための政府施策の一環であった[34]

主な観光地

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイマリーナベイ・サンズシンガポール・フライヤーを望むマリーナ・ベイ地区のスカイライン
オーチャード・ロードにあるアイオン・オーチャード
ユニバーサル・スタジオ・シンガポール入口の地球儀

マリーナ・ベイ地区英語版に位置するマーライオンガーデンズ・バイ・ザ・ベイシンガポール・フライヤーマリーナベイ・サンズはシンガポールを象徴するランドマークであり、近代的な建築と文化のアイデンティティを体現し、都市のスカイラインを特徴づけている[35]。その他の人気観光地としてはシンガポール動物園リバー・ワンダーズナイトサファリがある。またシンガポール・チャンギ国際空港内にも多数の施設があり、特にジュエル・チャンギエアポート英語版は目玉となっている。2024年にはジュエルが開業以来最高となる8000万人の来場者を記録した[36]

シンガポール南部に位置するセントーサ島は、同国を代表するリゾート地の一つであり、多数の名所を有している。その中には第二次世界大戦日本軍の侵攻を防ぐために建設された沿岸要塞シロソ砦があり、来場者は小型火砲から16ポンド(7 kg)砲まで戦時中の大砲類を見学することができる[37]

セントーサ島にはユニバーサル・スタジオ・シンガポールスカイライン・リュージュ・シンガポール英語版(仰向けに寝そべって体重移動やそりの紐を引いて専用コースを滑降するリュージュ)といった主要アトラクションもある。シンガポール全体の観光魅力向上策の一環として、セントーサの目玉施設2つが大規模な改修を受けている。2012年に開業したマリン・ライフ・パークは改装を経てシンガポール・オーシャナリウムに改称され[38]、拡張工事を終えて2025年7月24日に再開業した[39]。またユニバーサル・スタジオ・シンガポールも継続的な開発の一環として2025年2月に新アトラクションを公開した[40][41]

セントーサ以外でもシンガポールは各地域で観光資源の拡充を進めている。北部英語版マンダイ・ワイルドライフ・リザーブ英語版では新施設が相次いで登場した。1000羽のフラミンゴの群れを含む、世界中の多様な鳥類を紹介する大規模バードパークバード・パラダイス英語版 は2023年5月に開業し、冒険要素を盛り込んだ動物園「Rainforest Wild Asia」は2025年3月に開園した[42]。これらを補完する形で、2025年4月に熱帯雨林をテーマとしたエコリゾート「Mandai Rainforest Resort」が開業した[43]

その他人気のエリアとして、チャイナタウンゲイランカンポン・グラム英語版リトル・インディアの4つの民族地区[44]や、高級ショッピング街として知られるオーチャード・ロードがあり、国際的な百貨店ショッピングモールレストラン喫茶店が数多く立ち並んでいる[45]

文化・歴史的建造物

チャイナタウンにあるシンガポール最古のヒンドゥー教寺院スリ・マリアマン寺院

旧イギリス植民地であるシンガポールには、イギリスや地域の影響を受けた建築様式の歴史的・文化的ランドマークが数多く存在する。代表的な文化施設としては、1826年に完成したシンガポールで最も重要なモスクの一つであるスルタン・モスク英語版、1839年に完成したシンガポール最古の中国式の仏教寺院天福宮英語版、1827年に建立されシンガポール最古のヒンドゥー教寺院であるスリ・マリアマン寺院がある[46]

シンガポールには、同国および地域の美術・歴史を展示する主要な博物館が4つある。アジア文明博物館英語版は、中国、東南アジア南アジア西アジアの物質文化史を専門としており、これらの地域はシンガポールの多様な民族集団の祖先の起源である。一方、世界初のプラナカン博物館は、シンガポールや旧海峡植民地マラッカ、ペナン)、その他東南アジアのペラナカンコミュニティにおけるプラナカン文化を題材としている[47]シンガポール国立博物館は1849年に遡る同国最古の博物館であり、主に14世紀からのシンガポール建国史をストーリーテリング形式で展示している[48]シンガポール美術館英語版はシンガポール、東南アジア、アジアの現代美術に焦点を当てた美術館である。その他の小規模博物館としては、日本占領期に元捕虜(POW)が寄贈した絵画、写真、遺品を展示するチャンギ博物館[49]がある。

自然観光

シンガポール植物園内のシンフォニー湖南側にあるショパン記念碑

シンガポールには熱帯自然環境を特徴とする多様な公園やプロジェクトがある。

シンガポールには4つの動物園施設があり、シンガポール動物園ナイトサファリ、バード・パラダイス、リバー・ワンダーズである。シンガポール動物園は、隠れた障壁や水濠、ガラスで来園者と分離された広々とした開かれた展示の中で動物を展示しており、1日を通じて各種ショーやイベントが開催され、来園者が動物と触れ合うことができる[50]ナイトサファリは世界初の夜行性動物園で、湿潤な熱帯雨林の中にあり夜間のみ開園し、7つの地理的ゾーンに分かれ、4つのウォーキングトレイルまたはトラムで巡回できる。バード・パラダイスはアジア最大の鳥類園で、世界中の珍しい鳥類を多数展示しており、その中には1000羽のフラミンゴの群れも含まれる。リバー・ワンダーズ熱帯雨林を再現した施設[51]で、世界10の生態系を再現し、300種5000点の動物を飼育している。主な見どころは、特別に気候制御された四季を再現する囲いの中で飼育されているオスのカイカイ(凯凯)とメスのジアジア(嘉嘉)の2頭のジャイアントパンダである[52][53],

夜のガーデンズ・バイ・ザ・ベイのスーパーツリー

国内の各種庭園・公園の中でも、シンガポール植物園ガーデンズ・バイ・ザ・ベイが観光客に特に人気がある。シンガポール植物園世界遺産に登録された52ヘクタールの熱帯庭園で、主な見どころは3000種以上のランを誇る国立ラン園である[54][55]ガーデンズ・バイ・ザ・ベイは巨大な熱帯の葉を模した複数の庭園で構成され、それぞれ独自の造園デザイン、特徴、テーマを持つ。主な施設は2つのドームで、フラワードームは穏やかで乾燥した気候を再現し、地中海や半乾燥熱帯地域の植物を展示しており、[56][57] クラウド・フォレストは標高1000 - 3000メートルの熱帯山岳地帯の涼しく湿潤な環境を再現し、東南アジア、中南米に見られる植物を展示している。[58] その他の主な見どころは、庭園の景観を支配する樹木状構造物「スーパーツリー・グローブ」で、植生、遮光、環境エンジンとしての機能を併せ持つ垂直庭園である。[59]

シンガポールにはASEAN遺産公園英語版が2か所あり、ブキッ・ティマ自然保護区英語版ブキッ・ティマの大部分を占める広大な自然保護区で、島内で唯一原生熱帯雨林が残る場所であり[60]スンゲイ・ブロ湿地保護区英語版は多種多様な鳥類カニトビハゼ、動植物で知られている[61][62]

ウビン島英語版は北東部の島嶼群に位置する離島で、シンガポールに残る最後の田園地域の一つであり、未開発のカンポン(村落)や木製栈橋、放棄された採石場やプランテーションが残り、自然豊かである。この島はバードライフ・インターナショナルが指定するウビン=カティブ重要野鳥生息地の一部を構成し、多数の渡り鳥や留鳥が生息しており、その一部は絶滅危惧種である[63]。 島内で特に人気のある場所はチェック・ジャワ英語版で、5000年前のサンゴ礁だった場所に複数の生態系が1か所で観察できる[64]

飲食

ラオ・パ・サのサテー・ストリートは毎晩ブーン・タット通りを歩行者天国にして屋台が並ぶ[65]

シンガポール料理は、1819年のイギリス交易拠点設立以来の主要国際港湾都市としての役割が形成した多文化遺産を反映している[66]。シンガポール料理の大きな特徴はホーカー文化にある。ホーカー屋台は1800年代中頃から始まり、さまざまな料理を販売する路上屋台が主流であった[67]。主に中国系、マレー系、インド系の食文化の影響を受け、民族構成を反映した豊かな味の融合が生まれた[68]。この多様性は1800年代中頃から手頃な価格で多種多様な料理を提供してきたホーカー文化に最も顕著に表れている[66]

ホーカーセンターは日常生活に欠かせない存在であり、異文化の影響が交錯している。マレー系屋台では中国系やタミル系の料理をハラル対応で提供し、中国系屋台はマレー系・インド系の材料や技法を取り入れる。3つの文化の要素を融合した料理もあり、アジア全域や西欧の影響も見られる。この料理文化の融合は2020年にシンガポールのホーカー文化がUNESCO無形文化遺産に登録された[69]。ホーカーセンターやフードコートレストランよりも身近で手頃なため、外食はシンガポール人の日常的な習慣となっている[70]。 特にラオパサニュートン・フードセンター英語版マックスウェル・フードセンター英語版は有名で、複数の屋台がビブグルマンに選出されている[71][72][73][74][75][76][77][78][79]

飲食はシンガポール観光庁がショッピングと並んで最重点プロモーションする観光資源の一つである。毎年7月に開催されるシンガポール・フード・フェスティバル英語版はこの食の多様性を祝うイベントである。多文化に根ざし、国際的な選択肢が豊富で予算に応じた価格帯が揃っていることから、シンガポールは世界的な「美食の楽園」と評されている。代表的な郷土料理にはカヤトーストチリクラブフィッシュヘッドカレー、ラクサ、ロティチャナイ[80]、そして国民食とも称される海南鶏飯がある[81][82][83][84]

観光イベント

マーライオン公園とその周辺の空中パノラマ

シンガポール・フード・フェスティバルは毎年7月に開催され、シンガポール料理を没入体験することができる。その他の年間イベントにはシンガポール・サン・フェスティバル英語版 、クリスマス・ライトアップ、シンガポール・ジュエル・フェスティバルがある[85]。 2008年以降、シンガポールはFIAフォーミュラ1世界選手権の一戦であるシンガポールグランプリを開催している。[86] マリーナベイに新設されたストリートサーキットで開催された初回大会は、フォーミュラ1史上初のナイトレースとなった[87]。このレースはシンガポールにおけるCOVID-19の流行英語版のため2020年と2021年は開催されなかった。2010年には初のユースオリンピックが開催された[88]

関連項目

脚註

外部リンク

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