タミシオカリス科

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タミシオカリス科Tamisiocarididae[1])は、ラディオドンタ類節足動物を大きく分けた分類群)の一つ[1]。約5億年前のカンブリア紀に生息したタミシオカリスエキドナカリスなどが分類され、長いのような前部付属肢をもつ種類が含まれる[1][4]

タミシオカリス科はラディオドンタ類における4つのの一つであり[注釈 1]学名Tamisiocarididae」は本科の模式属タイプ属)であるタミシオカリスTamisiocaris[3])に因んでいる[1]。また、学名の初出に限れば、ラディオドンタ類の中で本科は最も新しく(Pates & Daley 2018)に創設された科である[注釈 2][5][1][4]

本科が創設される以前では、同じ意味で使われる科は既に Vinther et al. 2014 に創設されており、系統学のみに基づいて定義され[注釈 3]、学名は「Cetiocaridae」として知られていた[5]。この学名は「クジラエビ」の意味[注釈 4]で、カナダアーティストである John Meszaros[6] によって2013年に描かれた、架空の濾過摂食性ラディオドンタ類の架空分類名「Ceticaris」に由来する[5]。しかしこのような科の定義と命名方法は、国際動物命名規約の条項[注釈 5]的には無効である[7]。こうして "Cetiocaridae" は数年間でしばらく本科の構成種をまとめる非正式の総称として用いられてきた[7][8][9]が、Pates & Daley 2018 以降では形態学[注釈 6]に基づいて定義した、模式属タミシオカリスに因んだ有効の学名「Tamisiocarididae」へ正式に置き換えられた[1]

2010年代後半にかけて、"Cetiocaridae"/タミシオカリス科の構成種は模式属タミシオカリスエキドナカリス(当時その模式種は未改名で、現行の分類に反し暫定的に原記載の否定的な分類通り Anomalocaris briggsi と表記された)のみ含まれる[5][10][7][8][9][11]。本項目は主にこの構成でタミシオカリス科について記述する。ただし2021年の研究をはじめとして、形態が前述の種類とはやや異なったホウカリスHoucaris)を本科に含め、これにより本科の従来の定義[注釈 6]を見直すべきという提唱もある[4][12]後述)。

形態

タミシオカリス(1枚目)とエキドナカリス(2枚目)の内突起細部
タミシオカリスエキドナカリスのサイズ推定図。不明部は薄灰色で示される。

タミシオカリス科のラディオドンタ類前部付属肢(frontal appendage)は十数節(柄部1節と残り13節[13]から17節以上[3][5][1])の肢節が含まれており、アノマロカリス科の種類に似て、各肢節は腹側にある三角形の節間膜で明瞭に分かれている[13][5]。先端以外の肢節の両腹側にある内突起(endite)は細長く、該当肢節の高さ以上に伸びている[3][13][5][1][12]。これらの内突起は前後を通じてほぼ同形で、アノマロカリス科とアンプレクトベルア科の種類のように長短を繰り返すことや、フルディア科の種類のように前後で形態が分化することもない[1][14]。これにより、本科の前部付属肢は全体的に長いに似た形となる[5]。また、これらの内突起は、数多くの平行した細い分岐(auxiliary spine)が前後の縁に沿って均一に並んでいる[13][5][1][14][15]

本科はどの種も未だに全身が不明で[8][16]、2023年時点では、前部付属肢以外の構造は頭部の甲皮のみ知られている[5][17][18]。タミシオカリスは背側の甲皮(H-element)の局部のみ知られるが[5][1]エキドナカリスによると、その甲皮は卵形で、複眼腎臓型で他のラディオドンタ類に見られるような眼柄はなく、縁が同様腎臓型の特殊な甲皮に覆われている[17]。歯はアノマロカリス科と似た三放射構造であるが、表面のこぶはより全域に分布する[18]

生態

タミシオカリス前部付属肢の動作予想

確実の記録に限れば、タミシオカリス科のラディオドンタ類は全般的に懸濁物食者(suspension feeder)もしくは濾過摂食者(filter feeder)であったと考えられる[5][19][1][8]。本科の種類は、前部付属肢の両腹側に並んだたくさんの内突起で一面の濾過網を構成し、明瞭な節間膜でそれを幅広く上下に動かすことにより、水中からプランクトンなどの有機物質を濾過して口へと運んでいたと考えられる[5][19]。中でもタミシオカリス模式種 Tamisiocaris borealis は、内突起の両縁に密集した分岐の間隔により、体長0.5mmほど小さな物質まで濾過できたと推測される[5][7][8]。この摂食方法は、同じく懸濁物食/濾過摂食とされるラディオドンタ類だが、別系統(フルディア科)であるエーギロカシスとは大きく異なる(多重の濾過装置に似た前部付属肢をほぼ動かずに、水中に前進しながらプランクトンを濾過したとされる、詳細は本文参照[7]

暫定的に本科の Tamisiocaris aff. borealis と同定され、前部付属肢を篩のように用いて海底の堆積物からあらゆる餌を摂る sediment sifter とされる化石標本 USNM 90827/PA 388 は[1]、後にアノマロカリス科ヴェロカリス (Verrocaris) として記載・区別されるようになった[20]

分布と生息時代

カンブリア紀の頃の Buen Formation(★:シリウス・パセット)の地理位置
シリウス・パセット産の Tamisiocaris borealis前部付属肢化石

ラディオドンタ類の中で、タミシオカリス科の化石標本グリーンランド[3][5]オーストラリア[21][13]中国[15]から発見され、次の通りに列挙される。

カンブリア紀第三期(約5億2100万 - 5億1400万年前)[注釈 7][4]
カンブリア紀第四期(約5億1400万 - 5億900万年前)[注釈 8][4]

これにより、本科はラディオドンタ類の中で分布域・生息時期とも幅が最も狭い科であり[注釈 9]熱帯亜熱帯海域を好んで生息したことも示される[4]

分類

脚注

関連項目

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