ツマグロ

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ツマグロ
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg
Status iucn3.1 VU.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: メジロザメ目 Carcharhiniformes
: メジロザメ科 Carcharhinidae
: メジロザメ属 Carcharhinus
: ツマグロ C. melanopterus
学名
Carcharhinus melanopterus
(Quoy & Gaimard, 1824)
シノニム
  • Carcharias elegans Ehrenberg, 1871
  • Carcharias marianensis Engelhardt, 1912
  • Carcharias melanopterus Quoy & Gaimard, 1824
  • Carcharias playfairii Günther, 1870
  • Squalus carcharias minor Forsskål, 1775
  • Squalus commersonii Blainville, 1816(不明確)
  • Squalus ustus Duméril, 1824(不明確)
英名
Blacktip reef shark
分布

ツマグロ Carcharhinus melanopterus は、メジロザメ属に属するサメの一種。インド太平洋熱帯域のサンゴ礁で最も豊富なサメの一つで、主に浅瀬に生息する。名前に反してマグロとは無関係で、鰭の先端に黒い模様があり、そこから名前がつけられた。全長1.6m程度になる。

縄張りは狭く、あまり移動しない。活動的な捕食者で、主に小さな硬骨魚を捕食する。胎生で、産仔数は2-5。繁殖サイクルは半年、1年、2年と地域によってばらつく。妊娠期間は7-11ヶ月。幼体は大きな群れを作り、成体より浅い場所で生活する。

臆病だが、餌と間違えて浅瀬を歩く人を攻撃した例がある。食用とされるが重要種ではない。乱獲により個体数が減少しており、IUCN保全状況危急としている。

View from above of a brown shark with a rounded snout, swimming over algae-covered rocks
ソロモン諸島の個体

フランスの博物学者ジャン・ルネ・コンスタン・クアジョセフ・ポール・ガイマールによって、1817–1820年のコルベット、ウラニー号の探検航海で記載された。1824年、この報告はルイ・ド・フレシネによる13巻の航海報告 Voyage autour du monde...sur les corvettes de S.M. l'Uranie et la Physicienne の一部として発表された。タイプ標本は59cmの雄の幼体で、ワイゲオ島で採集されたものである[2]。この時に付けられた学名は Carcharias melanopterus で、種小名はギリシャ語のmelas(黒)・pteron(鰭)に由来し、鰭の明瞭な黒い模様に因んだものである[3]

その後、本種はCarcharhinus 属に移された。1965年には、動物命名法国際審議会によってこの属のタイプ種として指定されている[2]。古い資料は本種の学名をC. spallanzani としていることがあるが、これは現在は ホウライザメ (C. sorrah) のシノニムとされている[4]。他の英名としてblackfin reef shark・black-finned shark・blacktip shark・reef blacktip shark・gulimanなどがある[5]

系統

1982年には形態に基いて、Carcharhinus cautus と最も近縁であるとされた[6]。1988年のレオナルド・コンパーニョによる解析では、C. cautus を含む4種との類似性が示唆されたが、詳細な系統は分からなかった。1998年のアロザイム解析では、メジロザメ属の他の10種と多分岐した系統を構成していることが示されたが[7]、2012年の包括的な解析では、初期の形態解析と一致してC. cautus と近縁という結果が得られた[8]

分布

A small shark swimming over a sandy flat with reef rocks in the background and the water surface above
沿岸の浅瀬を好む。

インド太平洋熱帯・亜熱帯域全域の沿岸で見られる[4]インド洋西部では南アフリカから紅海マダガスカルモーリシャスセイシェル。東部ではインドから東南アジアスリランカアンダマン諸島モルディブ太平洋では、中国南部・フィリピンからインドネシアオーストラリア北部・ニューカレドニアに加え、マーシャル諸島ギルバート諸島ソシエテ諸島ハワイ諸島トゥアモトゥ諸島のような多数の海洋島にも分布する[9]。いくつかの資料とは矛盾するが、日本からの確実な記録はなく、日本産とされる標本は実際には台湾産のようである[10]と考えられてきたが、2017年八重山諸島西表島から得られた標本をもとに初めて日本での生息が確認された[11]2019年黒島研究所も同諸島に属する黒島で夏に幼魚が多く捕獲されていることを確認し標識調査を行っていることを発表した[12]スエズ運河を介したレセップス移動によって東部地中海にも侵入している[9]

最深で75mから得られているが[5]、一般的には数mの深さで見られ、背鰭を水面から出して泳ぐこともよくある[2]。幼体は浅い砂地を好む。成体はサンゴ礁の岩棚で最もよく見られ、ドロップオフの近くにも生息する。マダガスカルでは河口汽水域マレーシアでは淡水域からも報告があるが、低塩分濃度への耐性はオオメジロザメほどではない[2]。インド洋のアルダブラ環礁では、干潮時には礁原の水路に群れを作り、潮が満ちるとマングローブ域に移動する[13]。分布域の北限・南限では、回遊を行う曖昧な証拠がある[2]

形態

A shark with a blunt snout and obvious black tips on its pectoral and dorsal fins, against a plain dark background
第一背鰭の先端に黒い模様を持ち、白く縁取られることが特徴である。

体は頑丈な流線型で、典型的なサメの形である。吻は短くて丸く、幅広い。眼はある程度大きく楕円形。鼻孔には、後端が乳頭状の突起となった前鼻弁を持つ。片側の歯列は、上顎で11-13(通常12)、下顎で10-12(通常11)。小さな正中歯列を持つ。上顎歯は直立か少し傾き、細い三角形で、基底部で粗くなる鋸歯を持つ。下顎歯も同様だが、鋸歯はより細かい[2][4]。成体雄の歯は雌よりも急激に湾曲する[14]

胸鰭は大きくて細く鎌型で、先端は細く尖る。第一背鰭は胸鰭の後端から起始し、かなり大きくて高く、後縁はS字状に湾曲する。第二背鰭は比較的大きく、後縁は短く、臀鰭と対在する。背鰭の間に隆起線はない。背面は淡い灰褐色で、腹面は白。臀鰭の上から体側を前方に、明瞭な白い帯が伸びる。全ての鰭の先端に黒い模様があり、白で縁取られる。第一背鰭と尾鰭下葉の模様は特に顕著である。多くの個体は1.6mを超えないが、稀に1.8m、おそらく2.0mに達する可能性もある[2]。最大で13.6kgの記録がある[5]

生態

人との関わり

脚注

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