デジタルパソロジー

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デジタルパソロジー(digital pathology)は、病理ガラス標本(プレパラート)についてデジタル画像を撮影し、ディスプレイに表示して、病理標本を観察する技術的方法論のこと。

  • 遠隔術中迅速病理診断(テレパソロジー)バーチャル顕微鏡を包括する用語であり、免疫染色の判定にも応用されている。
  • デジタルパソロジーシステムはデジタルパソロジー技術を取り入れた病理診断システムや病理診断の支援システム・病理診断コンサルティングシステム等をいう[1][2]
  • 近年では、ガラス標本の全体を丸ごとスキャンする、ホールスライド画像(Whole Slide Image)が発達している。顕微鏡を用いたスライドガラスによる診断性能と同等であることが実証され [3]ている。
  • 2017年以降、一部製品がClass 2 医療機器として国内薬事承認を取得[4]している。

テレパソロジー

へき地等医療機関において病理医がいない場合に、手術中迅速病理診断が必要となることがある。この時、ビデオやデジタルカメラ等で撮影した顕微鏡画像を通信回線を介して送付し、病理医がパソコンディスプレイに表示して術中迅速病理診断(遠隔病理診断、テレパソロジーという)が行われる[5]

ホールスライド画像(Whole slide image)

従来の病理画像は、顕微鏡を用いて、スライドガラスの一部のみを撮影するものであった。これに対して、病理組織標本の全体を、高解像度で撮影する技術が開発された。こうして撮影された画像はホールスライド画像とよばれる(バーチャル顕微鏡と表現されることもある)。現在では、顕微鏡による診断にかわり、ホールスライド画像を用いて最終診断がなされる場合がある。

WSIを用いた免疫染色等の判定

WSIはデジタル画像であるため免疫染色標本の染色性を自動判定するために利用されることがある。免疫染色標本を人の目で解析するだけではなく、画像解析装置がWSIを自動解析して判定精度を高めようとする研究が進められており、一部は実用化されている。

WSIでの病理医間討論

病理診断は病理医が顕微鏡で観察して診断を行うので、病理医の知識や経験によって見立てが異なることがある。一般病理医が経験する機会の少ない希少疾患等では、当該疾患の病理診断を研究し、豊富な経験を持つ、専門領域病理医による診断が必要となることがある。このような希少疾患病理診断等ではネットワークを介してWSIを同時に観察することで、専門領域病理医を含む複数病理医による討論が可能になるとして期待されている。

課題

ホールスライド画像(WSI)は標本全体を200倍から400倍の高解像度で撮影するため、生成されるWSIのサイズも非常に大きい(通常一枚あたり 500MBから2GB)。薬事承認を取得したスキャナーは通常高価で、ストレージの維持管理コストもかかることから、とくに国内医療機関への導入は限定されたものにとどまっている。

昨今の検討で、WSIを用いた複数病理医による討論や希少がん専門等病理医へのコンサルティング領域では、デジタルパソロジーならではの良さが発表されている。光学顕微鏡にはない、WSIならではの良さを生かしたデジタルパソロジーが進展していくものと期待されている。また 平成28年度厚生労働科 学研究費補助金で、病理デジタル画像について人工知能(AI)技術を用いた、病理画像認識による術中迅速・ダブルチェック・希少がん等病理診断支援ツール開発の取組みが採択された

参考文献

関連項目

脚注

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