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ハンチンチン

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PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号HTT, HD, IT15, huntingtin, LOMARS
HTT
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

3IO6, 3IOU, 3LRH, 4FE8, 4FEB, 4FEC, 4FED, 2LD0, 2LD2, 3IO4, 3IOR, 3IOT, 3IOV, 3IOW, 4RAV

識別子
記号HTT, HD, IT15, huntingtin, LOMARS
外部IDOMIM: 613004 MGI: 96067 HomoloGene: 1593 GeneCards: HTT
遺伝子の位置 (ヒト)
4番染色体 (ヒト)
染色体4番染色体 (ヒト)[1]
4番染色体 (ヒト)
HTT遺伝子の位置
HTT遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点3,041,363 bp[1]
終点3,243,957 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
5番染色体 (マウス)
染色体5番染色体 (マウス)[2]
5番染色体 (マウス)
HTT遺伝子の位置
HTT遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点34,919,084 bp[2]
終点35,069,878 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能• profilin binding
• dynactin binding
• transmembrane transporter binding
• p53結合
• 転写因子結合
• 血漿タンパク結合
• beta-tubulin binding
• identical protein binding
• dynein intermediate chain binding
• キナーゼ結合
• 熱ショックタンパク質結合
細胞の構成要素• late endosome
• ゴルジ体
• 核質
• オートファゴソーム
• 小胞体
• 中心小体
• cytoplasmic vesicle membrane
• 樹状突起
• 細胞質基質
• 神経繊維
• 細胞核
• 細胞質
• 封入体
• perinuclear region of cytoplasm
• 高分子複合体
• presynaptic cytosol
• postsynaptic cytosol
生物学的プロセス• 動物の器官発生
• retrograde vesicle-mediated transport, Golgi to endoplasmic reticulum
• Golgi organization
• vesicle transport along microtubule
• negative regulation of extrinsic apoptotic signaling pathway
• establishment of mitotic spindle orientation
• positive regulation of cilium assembly
• positive regulation of inositol 1,4,5-trisphosphate-sensitive calcium-release channel activity
• アポトーシス
• vocal learning
• positive regulation of lipophagy
• positive regulation of autophagy of mitochondrion
• positive regulation of aggrephagy
• regulation of phosphoprotein phosphatase activity
• protein destabilization
• positive regulation of apoptotic process
• regulation of CAMKK-AMPK signaling cascade
• regulation of cAMP-dependent protein kinase activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
種ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_002111
NM_001388492

NM_010414

RefSeq
(タンパク質)

NP_002102

NP_034544

場所
(UCSC)
Chr 4: 3.04 – 3.24 MbChr 4: 34.92 – 35.07 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

ハンチンチン(英: huntingtin、HTT)は、ヒトではHTT遺伝子によってコードされているタンパク質である。HTT遺伝子はIT15(interesting transcript 15)という別名でも知られる[5]。HTT遺伝子の変異はハンチントン病の原因となり、疾患における役割や長期記憶の保存との関係の研究が行われている[6]。

ハンチンチンの構造は多様であり、タンパク質中のグルタミン残基の数が異なる多くの多型が存在する。野生型(正常型)では多型部分には6個から35個のグルタミン残基が含まれているが、ハンチントン病患者では36個以上(最長報告例では約250個)のグルタミン残基が存在する[7]。

ハンチンチンタンパク質の分子量はグルタミン残基の数に大きく依存するが、予測分子量は約350kである。正常なハンチンチンは、一般的には3144アミノ酸からなる。このタンパク質の正確な機能は未解明であるが、神経細胞において重要な役割を果たしていることが知られている。細胞内では、ハンチンチンはシグナル伝達、物質の輸送、タンパク質やその他の構造への結合、アポトーシスからの保護に関与している可能性がある。ハンチンチンタンパク質は出生前の正常な発生に必要である[8]。

HTT遺伝子は4番染色体(英語版)に位置する。HTT遺伝子には、グルタミンをコードするシトシン-アデニン-グアニン(CAG)からなる3塩基の繰り返し配列が存在する。この領域はトリヌクレオチドリピート(トリプレットリピート)と呼ばれる。このCAGリピートの数は10個から35個であることが多い[9]。

タンパク質

機能

ハンチンチンの機能はよく理解されていないが、軸索輸送に関与していることが知られている[10]。ハンチンチンは発生に必要不可欠であり、マウスではハンチンチンの欠失は致死となる[8]。ハンチンチンは他のタンパク質との配列相同性がみられず、ヒトや齧歯類では神経と精巣で高度に発現している[11]。ハンチンチンはBDNFの発現を転写レベルでアップレギュレーションするが、ハンチンチンがどのように遺伝子発現を調節しているのかは不明である[12]。免疫組織化学、電子顕微鏡、細胞分画法研究により、ハンチンチンは主に小胞や微小管に結合して存在することが示されている[13][14]。このことは、ハンチンチンがミトコンドリアの細胞骨格への固定や輸送に機能していることを示唆している。ハンチンチンはクラスリン結合タンパク質であるHIP1(英語版)と相互作用し、エンドサイトーシスを媒介する[15][16]。また、RAB11A(英語版)との相互作用を介して上皮細胞極性の確立にも関与している[17]。

相互作用

ハンチンチンは少なくとも19種類のタンパク質と直接相互作用することが示されており、そのうち6種類は転写、4種類は輸送、3種類はシグナル伝達に関与し、その他の6種類(HIP5、HIP11、HIP13、HIP15、HIP16、CGI-125)は機能未知である[18]。また酵母ツーハイブリッドスクリーニングによって発見され、免疫沈降によって確認されたものとして、HAP1(英語版)やHIPなど100種類以上の相互作用タンパク質が見つかっている[19][20]。

相互作用タンパク質 ポリグルタミンの長さへの依存性 機能
α-アダプチンC/HYPJ(英語版) あり エンドサイトーシス
Akt(英語版)/PKB なし キナーゼ
CBP あり アセチルトランスフェラーゼ活性を有する転写コアクチベーター
CA150(英語版) なし 転写コアクチベーター
CIP4(英語版) あり CDC42(英語版)依存性シグナル伝達
CtBP(英語版) あり 転写因子
FIP2(英語版) 不明 細胞形態形成
Grb2[21] 不明 成長因子受容体結合タンパク質
HAP1(英語版) あり メンブレントラフィック
HAP40 (F8A1(英語版), F8A2, F8A3) 不明 未知
HIP1(英語版) あり エンドサイトーシス、アポトーシス
HIP14(英語版)/HYP-H あり 輸送、エンドサイトーシス
N-CoR(英語版) あり 核内受容体のコリプレッサー
NF-κB 不明 転写因子
p53[22] なし 転写因子
PACSIN1(英語版)[23] あり エンドサイトーシス、アクチン細胞骨格
DLG4(英語版) (PSD-95) あり シナプス後肥厚(英語版)
RASA1(英語版) (RasGAP)[21] 不明 Rasに対するGTPアーゼ活性化タンパク質
SH3GL3(英語版)[24] あり エンドサイトーシス
SIN3A(英語版) あり 転写リプレッサー
Sp1[25] あり 転写因子

ハンチンチンは次に挙げる因子とも相互作用することが示されている。

ミトコンドリア機能不全

ハンチンチンはATM酸化DNA損傷応答複合体中の足場タンパク質である。ハンチンチンの変異はミトコンドリアの機能不全に重要な役割を果たしており、電子伝達系の阻害、高レベルの活性酸素種、酸化ストレスの増大を伴う[32][33]。DNAへの酸化損傷の促進はハンチントン病の病理に寄与している可能性がある[34]。

臨床的意義

CAGトリヌクレオチドリピートの数と疾患状態の分類[35]
リピート数 分類 疾患状態
<28 正常型(Normal) 無症状
28–35 中間型(Intermediate) 無症状
36–40 低浸透型(Reduced penetrance) 一部が発症
>40 完全浸透型(Full penetrance) 発症

ハンチントン病はハンチンチン遺伝子の変異を原因とし、過剰な(36個以上の)CAGリピートの存在によって不安定なタンパク質が形成されることで引き起こされる[35]。こうしたリピートの拡大の結果、N末端に異常に長いポリグルタミン配列が含まれたハンチンチンタンパク質が産生されるようになる。そのためハンチントン病は、トリプレット病もしくはポリグルタミン病と呼ばれる神経変性疾患群の一部を構成している。ハンチントン病において重要な意味を持つは、18番目のアミノ酸から始まるグルタミン配列の拡大である。発症していない人物ではこの配列には9個から35個のグルタミン残基が含まれ、この長さでは悪影響が生じることはない[5]。36個から39個の場合、低い浸透率(英語版)で疾患の発症がみられる[36]。

長いグルタミン配列を持つタンパク質は、細胞内の酵素によって断片へと切断されることが多い。こうしたタンパク質断片は神経細胞内部で神経核内封入体(neuronal intranuclear inclusions、NII)と呼ばれる異常な塊を形成し、また正常なタンパク質をこうした封入体へ引き込んでいる可能性もある。ハンチントン病患者でみられるこうした特徴的な封入体の存在が、疾患の発症に寄与していると考えられてきた[37]。しかしながらその後の研究では、観察可能なNIIの存在は神経細胞の寿命を伸ばし、近隣神経細胞内の変異型ハンチンチンを減少させることが示されており、こうした封入体が果たす役割には疑問が投げかけられている[38]。また、上述の研究では小さすぎて沈着物として認識されなかったようなものも含め、さまざまな種類の凝集体が変異型タンパク質によって形成されることが現在では認識されている[39]ことも混乱をもたらす1つの要因となっている。神経細胞死の可能性の予測は現在でも困難であるが、(1) ハンチンチン遺伝子中のCAGリピートの長さ、(2) 細胞内を拡散する変異型ハンチンチンタンパク質への曝露など、複数の因子が重要となると考えられている。NIIは単なる発症機構であるわけではなく、拡散するハンチンチンの量を減少させることで神経細胞死を食い止める対処機構として有用となる場合もある[40]。

36個から40個のCAGリピートを持つ場合にはハンチントン病の徴候や症状が生じる場合も生じない場合もある一方、40個より多くのリピートを持つ場合には正常な寿命のいずれかの時点で疾患を発症する。60個以上のリピートがある場合、若年性ハンチントン病と呼ばれる重症型の疾患を発症する。このように、グルタミンをコードするCAGリピートの数が疾患の発症年齢に影響を与える。36個よりも少ないリピートでハンチントン病と診断された例は報告されていない[36]。

出典

関連文献

外部リンク

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