バゴー地方域
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歴史
バゴー地方域の歴史は、下ビルマにおけるモン族の興隆と、それに続くビルマ族王朝との争覇の歴史である。
紀元後、モン族によってタトン王国などの都市国家が形成された。13世紀にパガン王朝が崩壊すると、モン族はバゴー(ペグー)を首都とするペグー王朝を建国し、海上交易の拠点として繁栄を極めた。16世紀にはビルマ族のタウングー王朝がバゴーを占領して首都を移し、ミャンマー全域を支配する帝国へと拡大したが、後に首都は北部のインワ(アヴァ)へと再移転された。
19世紀、第二次英緬戦争(1852年)の結果、バゴーを含む下ビルマはイギリスに併合された。植民地政府の下でエーヤワディー・デルタの開拓が進み、バゴーは世界的な米の輸出拠点として急速な発展を遂げた。
1948年のビルマ独立後は「バゴー管区」として行政区画が整備され、2008年憲法により現在の「バゴー地方域」へと名称が変更された。
地理
バゴー地方域はミャンマーの中央南部に位置し、北緯17度19分から19度28分、東経94度45分から97度10分の間に広がる。面積は14,038平方マイル(約36,360平方キロメートル)であり、北はマグウェ地方域およびマンダレー地方域、東はカレン州およびモン州、南はヤンゴン地方域、西はエーヤワディー地方域およびラカイン州と接している[1]。
地域の中央部には、ミャンマーの屋台骨とも言われるバゴー山脈(ペグー山脈)が南北に貫いている。この山脈はそれほど標高は高くないものの、良質なチーク材の産地として知られる広大な森林地帯を形成している。また、地方域の西端にはラカイン州との境界を成す険しいアラカン山脈(ラカイン山脈)がそびえ、平野部への季節風を遮る壁の役割を果たしている[1]。
バゴー地方域の水系は、主に3つの主要河川によって構成され、地域の経済と農業を支える基盤となっている。
地方域の西部を南北に流れるエーヤワディー川の流域には、広大で肥沃な沖積平野が広がり、ピイ(プローム)などの主要都市がこの大河沿いに発展して古くから水上交通の動脈として機能してきた。一方、中央のバゴー山脈の東側を流れるシッタン川(シッタウン川)は、東部の山地との間に平坦な耕作地を形成しており、ミャンマー屈指の米作地帯となっている。これらに加え、地方域南部の首府バゴー付近を流れるバゴー川が、ヤンゴン方面へと続く重要な水路として機能している[1]。
気候は熱帯地域に特有の三つの季節(雨季、寒季、熱季)によって構成されている。11月から1月までの寒季、2月から5月までの熱季を経て、6月から10月の雨季にはモンスーンの影響で年間降水量は地域により約2,500mmから3,300mmに達する。ただし、地方域の北端部は、中央乾帯(ドライゾーン)から続く伝統的な「アニャー」の南限に位置しており、南部と比較して降水量が少なく乾燥した気候特性を併せ持っている[1]。
行政区画
隣接行政区画
人口動態
経済
バゴー地方域は、下ビルマにおける農業の中心的拠点であると同時に、ミャンマーの国防を支える軍需工業の重要拠点としての側面を持つ[1]。
農業・林業
豊かな水資源と広大な平野を活かした稲作が主産業であり、ミャンマー屈指の「米びつ」として知られる。シッタウン川流域やエーヤワディー川流域では大規模な二期作が行われている。また、中央のバゴー山脈は世界的に有名なチーク材の産地であり、古くから林業が地域の貴重な外貨獲得源となってきた[1]。
工業・商業
南部ではヤンゴンに隣接する地理的優位性を活かし、軽工業や加工貿易が盛んである。首府バゴー周辺には工業団地が整備されており、衣料品や食品加工などの製造業が集積している[1]。
軍需産業(カパサ)
バゴー地方域、特にピイ(プローム)近郊やバゴー山脈の麓には、ミャンマー国防省傘下の国防産業局(DSI)が管理する軍需工場(カパサ)が多数集中している。これらの工場では、小火器から弾薬、重火器に至るまで、ミャンマー軍(国軍)の基幹装備が製造されており、地域の雇用や経済構造において極めて特殊かつ重要な地位を占めている。
交通
ヤンゴンとマンダレーを結ぶ南北の主軸に位置しており、ミャンマー全土の物流・人流を支える交通の要衝である。
陸上交通
水上交通
エーヤワディー川とシッタウン川という2つの大河を利用した水運が伝統的に盛んである。特に西部のピイは、歴史的にエーヤワディー川の主要な河港都市として発展してきた。
航空
現在、バゴー近郊ではミャンマー最大級の国際空港となる予定のハンタワディ国際空港の建設プロジェクトが進行している。これが完成すれば、ヤンゴン国際空港を補完・凌駕する空の玄関口として、地域の経済構造を劇的に変化させることが期待されている[5]。
- ピイ空港(Pyay Airport)
- タウングー空軍基地(Taungoo Air Base)

