フジツガイ科

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フジツガイ科
生息年代: Albian–現世
[1][2]
Lotoria_perryi
インドフジツガイ Perry’s triton
分類
: 動物Animalia
: 軟体動物Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 新生腹足類 Caenogastropoda
上科 : ヤツシロガイ上科 Tonnoidea
: フジツガイ科 Cymatiidae
学名
Cymatiidae Iredale, 1913[3]
英名
tritons family[4]

中名 嵌線螺科 (qiān xiàn luó kē)[5]

フジツガイ科Cymatiidae)は新生腹足類のヤツシロガイ上科に属する巻貝の科である。太平洋などの暖海に生息するカコボラシノマキは貝殻に毛が生え、螺肋のほかに縦肋が張り出す。冷水性のアヤボラFusitriton oregonensisでは縦肋は弱い。肉食性[6]

暖海性の属はインド洋・西太平洋大西洋西部の浅海に分布する。冷水性の属は、各大陸の南端・オーストラリア南部・ニュージーランドのほか北太平洋などに分布する。種によって岩礁底・泥砂底・サンゴ礁棚の下など生息場所が異なる[7][8]

系統発生

フジツガイ科が属するヤツシロガイ上科Strongら (2019)による系統分岐図のうちフジツガイ科関連の一部を下に示す。各属で例示した種の和名は主にアボットら (1985)奥谷ら (2004)を参照した。なお生息域は、インド洋-西太平洋をIWP, 西大西洋をWA, オーストラリアを豪州、ニュージーランドをNZのように略記した。

ビワガイ科 Fisidae

ヤツシロガイ上科

イボボラ科 Personidae[9] 両極除く世界中

フジツガイ科

ハチマキボラ[10] Cabestana tabulata 豪州

ヒメミツカドボラ[11] Turritriton labiosus IWP

ダテスズカケボラ[12] Reticutriton pfferianus WA

ミツカドボラ[13] Monoplex nicobaricus IWP

シノマキ[13] Monoplex pilearis

ダテシノマキ[10] Monoplex krebsii WA

ショウジョウラ[14] Septa rubecula IWP

ツブリボラ[15] Ranularia gutturnia

オオゾウガイ[16] Ranularia pyrum

ルイスニセイボボラ[14] Personella lewisi WA

ヒラセウネボラ[17] Gyrineum hirasei WPやや深所

シマアラレボラ[18] Gyrineum gyrinum

マツカワガイ[17] Gyrineum perca

サザレイボボラ Distortomina pusilla WP

Austrotriton bassi 豪州南部

Proxicharonia palmeri NZ北島

マゼランアヤボラ[19] Fusitriton magellanicus NZほか

シマダンゴボラ[20] Argobuccinum pustulosum NZ, チリなど

パーキンソンボラ[12] Austrosassia parkinsonia 豪州南東部     

ニセイボボラ[21] Sassia semitorta WP

オキニシ科 Bursidae

Ranellidae ヨーロッパアヤボラ[18] 豪州, アフリカ, 欧州

ホラガイ科 Charonidae

ヤツシロガイ科 Tonnidae    

トウカムリ科 Cassidae

Strongら(2019)によるヤツシロガイ上科関連の分岐図の一部[22]

かつて奥谷ら (2004)などでフジツガイ科に含められていたイボボラ類、ホラガイ類は近年別の科として分離された。これらはヤツシロガイ上科としての共通点がある一方で、軟体部の構造や貝殻の形態にフジツガイ科との相違点がある[23]

種類

主に下表のような属と種が知られている。例示した各属の貝の和名はアボットら (1985, p. 123-130)奥谷ら (2004, p. 112-115)によった。

貝殻の外観 各属の種の一例・分布の例
分岐図上部の分岐群[22] 主にインド-西太平洋の以下6属。
Cabestana tabulata (Menke, 1843) (AM MA35334-1)
Cabestana Röding, 1798

図はハチマキボラ[10]
オーストラリア, ニュージーランド
他の種は地中海, 南アフリカなどにも生息。

Turritriton labiosus (MNHN-IM-2000-4111) 003
Turritriton Dall, 1904

図はヒメミツカドボラ Turritriton labiosus[24]
インド-西太平洋と西大西洋に生息。
ほかに中央アメリカ西岸に生息する種もある。

Reticutriton pfeifferianus (MNHN-IM-2012-20073)
Reticutriton Habe & Kosuge, 1966

図はダテスズカケボラ Reticutriton pfeifferianus
インド-西太平洋と西大西洋に分布。
R. lineatusガラパゴス諸島の外洋に生息。

Monoplex parthenopeus 01
Monoplex Perry, 1810[25]

図はカコボラ。大西洋・地中海・西太平洋に分布。

Septa rubecula (MNHN-IM-2012-20102)
Septa Perry, 1810

図はショウジョウラ。インド洋・太平洋などに分布。
西大西洋に分布する種もある。

Ranularia pyrum (MNHN-IM-2012-20077)
Ranularia Schmacher, 1817

図はオオゾウガイ。インド-西太平洋。
ほかに熱帯西大西洋に生息する種もある。

系統分岐未詳 以下の3属は系統分岐未確認。
Cymatium femorale - 1814
Cymatium Cabestana Röding, 1798

図はコウモリボラ[26]。西大西洋。
多くの種が本属以外へ分類されるようになった[27]

Cymatium lotorium 2010 G1
Lotoria Emerson & Old, 1963

図はフジツガイ[16][13]。インド-西太平洋。

Ranularia caudata 001
Linatella Gray, 1857

シゲトウボラ[28][17]のみ。インド-西太平洋と西大西洋。

分岐図下部の上の分岐群[22] 以下の2属
Personella lewisi (MNHN-IM-2013-61171)
Personella Conrad, 1865

ルイスニセイボボラ一種のみ。
カリブ海カナリア諸島

Gyrineum gyrinum
Gyrineum Link, 1807

図はシマアラレボラ。インド-西太平洋
180º毎に縦張肋が種によっては鰭状に出る。
ほかに地中海や北米西岸産の種もある。

分岐図下部の下の分岐群[22] 以下の7属で主に南半球南部に生息。
Distorsomina pusilla (MNHN-IM-2013-5158)
Distorsomina Beu, 1998

サザレイボボラ1種のみ。西太平洋。

Austrotriton bassi (MNHN-IM-2013-42218)
Austrotriton Cosmann, 1903

図はAustrotriton bassiで豪州南部産。
ほかにニュージーランド南島産の種もある。

図なし Proxicharonia Powell, 1938

ニュージーランド北島産。

Fusitriton oregonensis
Fusitriton Cossmann, 1903

図はアヤボラ[17] Fusitriton oregonensis
アヤボラは北太平洋産で幼生の浮遊期間が長く原殻が大きい[29]
他の種は南極近海産で、いずれも寒海性。

Argobuccinium tumidum
Argobuccinum Herrmannsen, 1846

シマダンゴボラ。各大陸南端産。
他の種は他の属へ移された[30]

Austrosassia parkinsonia (MNHN-IM-2013-42206)
Austrosassia Finlay, 1931

図はパーキンソンボラ。
豪州南部とニュージーランド北島。

Sassia semitorta (MNHN-IM-2013-59481)
Sassia Bellardi, 1873

図はニセイボボラ。西太平洋。
欧州に化石が多い。

ホラガイ類 Charoniaとイボボラ類Distorsioはフジツガイ科から独立した科へ移された。

形態

  • 軟体

軟体部外面にヒョウのような斑点模様がある。ヤツシロガイ上科の特徴として、肉食性のため吻・鼻(吻鞘)・足の前端が発達していて顎板をもつ。歯舌は紐舌型[31]で中歯は中央が尖った梯形、側歯は中歯と似て広く鋸歯がある。縁歯は鈎針状に尖った2歯[32][17]。眼は触角のつけ根にある。腎臓は左右に一対あり、多数の襞が連なった葉状の腎組織をもつ。嗅検器は繊毛帯をもつ両櫛状[33]。鰓は外套腔とほぼ同じ長さで、鰓葉は単葉で尖らない。本科の特徴として外套腔の縁が厚くて広い。メスの輸卵管が閉じている点でオニノツノガイ上科よりも新しい構造をもつ一方で、オスの輸精管は閉じずに溝状であり、新腹足類よりは古い形態である[23]

  • 貝殻

貝殻外面に毛が生えた種が多い(たとえばカコボラシノマキ)。暖海性の種は螺肋と縦肋があってゴツゴツとした外観。外唇が肥厚して180º毎あるいは240º毎の周期的な縦張肋が出て、外唇の内面に襞や結節が形成される種が多い。冷水性の種では螺肋は明らかだが縦肋が弱い。水管溝が明瞭で、種によっては長く伸びる点はアッキガイ科Muricidaeイトマキボラ科と似ている。殻口上部に排泄溝を持たない点でオキニシ科と区別できる。蓋は歪んだ楕円形で下端または側方に核がある[17]

生態

肉食で、獲物に毒液を注入して麻痺させたのち、殻の中に吻を挿入して食べる。メスは小さくて丸い卵胞を岩礁上に産みつける。幼生は種によって1~3カ月の長期間浮遊生活するので、カコボラシゲトウボラLinatella caudataのように太平洋大西洋に分布する種もある[4][17]

化石

最古の化石は海洋低酸素事変があった白亜紀アルビアンの英国のGault層に始まり、フランスコタンタン半島始新世の地層からも多くの化石が見つかっている[2]

脚注

参考文献

外部リンク

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