フリーダム・パイナップル

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繁体字 自由鳳梨
簡体字 自由菠萝
拼音 Zì yóu fèng lí(自由鳳梨)[注 1]
通用拼音 Zìh yóu fòng lí(自由鳳梨)[注 2]
フリーダム・パイナップル
(自由鳳梨/自由菠蘿)
日本向け台湾産パイナップル
各種表記
繁体字 自由鳳梨
簡体字 自由菠萝
拼音 Zì yóu fèng lí(自由鳳梨)[注 1]
通用拼音 Zìh yóu fòng lí(自由鳳梨)[注 2]
注音符号 ㄗˋ ㄧㄡˊ ㄈㄥˋ ㄌㄧˊ
(自由鳳梨)
発音: ヅーヨウ フォンリー(自由鳳梨)[注 3]
台湾語白話字 Chū-iû ông-lâi(自由王梨/旺來)
台湾語発音: ツーイゥ オンライ
英文 Freedom Pineapples
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フリーダム・パイナップル[1]英語: Freedom Pineapples中国語: 自由鳳梨)は、2021年2月末に中国政府検疫政策(禁輸)によって引き起こされた台湾産パイナップルの国内外における購買運動。日本を筆頭に大幅な他国市場開拓に成功したが、それまで輸出の90%以上を占めていた中国の穴を埋めることはできず、輸出量は前年比約64%になり、栽培面積を減少させざるを得なくなった[2]

2021年2月末、中華人民共和国政府は台湾でパイナップルの収穫期を迎えようとする3月より害虫を理由として輸入停止措置を決定した[3]。中国側が2020年春に害虫の検出を通知したことを受け、行政院農業委員会(農水省に相当。以下農委会)によると台湾側は検疫強化などでその後延べ5,121トンを輸出したが、2020年1月1日からの1年2ヶ月で検疫合格率は99.97~100%だったことから反発の意を示した[4][5]

3月以降、各国の支援が拡大すると中国側は国務院台湾事務弁公室が農業分野での台湾優遇措置を発表したが、台湾では行政院報道官、農委会、外交部とも取り合わない意向を発信している[6]。また、両岸間における種苗の流失問題についても、7月末に行政院経済部国際貿易局中国語版はフルーツ18品目の種苗輸出に対し農委会の同意を要するよう対中輸出を厳格化した[7]

名称

当初は台湾で「鳳梨之戰(パイナップル戦争)[8]」「鳳梨之亂(パイナップルの乱)[9][10][注 4]」などと報じられていた。 日米欧など西側諸国の協力体制が明らかになると、外交部長呉釗燮がFacebookなどで「#FreedomPineapple」というハッシュタグを用いるなど[13]イラク戦争下の米国における反仏活動の象徴である「フリーダム・フライ」や、それをもじった豪中間の政治・貿易闘争による「フリーダム・ワイン[1]」になぞらえて「フリーダム・パイナップル」と呼ばれるようになった[14][15][16]。一部日本語メディアでは「自由パイナップル」の表記もある[17]

台湾のパイナップル

台湾のパイナップルは毎年3-7月が収穫期となっており[18]、下表のとおり南部の4県市と中部南投県が一大産地となっている。果肉は他国産より甘味があり、芯の部分までそのまま食べることができる[19]

地域別生産分布

2011-2019年県市別パイナップル作付面積推移(ha)[20]
全県市計北部中部南部東部
宜蘭県基隆市新北市桃園市新竹県苗栗県台中市彰化県南投県雲林県嘉義市嘉義県台南市高雄市屏東県花蓮県台東県
2011年8,263.8350.330.103.38130.87238.901,183.75401.5965.231,089.741,301.141,009.452,361.84140.03287.48
2012年8,191.9646.190.120.54110.65230.861,188.83588.2362.451,028.581,177.77863.612,465.55137.71290.77
2013年8,657.6943.630.700.39104.52247.291,235.35711.0773.151,147.181,109.30925.642,522.60218.09318.18
2014年8,950.2244.051.071.010.40109.43251.641,252.58745.1873.651,320.611,131.911,042.782,361.60255.50357.15
2015年9,472.1247.111.260.411.080.41116.10250.171,236.39767.0073.791,321.241,268.011,022.842,703.02289.65373.11
2016年10,379.3845.291.180.010.340.67115.69249.101,290.25816.4073.751,317.401,481.421,131.213,228.35286.90341.21
2017年10,490.5945.461.170.000.140.90122.34253.701,272.83842.7578.771,311.821,505.941,160.533,265.78283.86343.29
2018年8,427.5445.471.480.000.091.96118.39172.32905.02556.6156.841,003.131,204.461,142.112,627.54242.26349.76
2019年8,239.0028.890.021.650.080.042.00129.24176.86870.29488.3362.771,046.001,299.791,054.052,511.09223.84343.96

生産および輸出状況

下表のとおり国内での総生産量(40-50万トン)に対し、国外へ輸出されるものは多くて10%前後だったが、直近10年(2011-2020年)ではその輸出先シェアは中国大陸が輸出量の9割近くを占め、日本と香港はそれに次ぐ規模(合わせて数%)となっていた。

台湾では小規模農家が多いことや途上国より割高な土地および人件費による高コスト体質なこともあり[21]、2019年(令和元年)における日本政府による年間パイナップル輸入統計では、台湾産は981トンで、全体の9割超となるフィリピン産の14.6万トンに対して圧倒的に後塵を拝していた[22]

2021年

中国政府の禁輸措置と、それに対抗する台湾政府のパイナップル消費促進キャンペーンに伴い、3月以降は輸出情勢が大幅に変化した。3-4月で対日本は前年度全体の3倍以上に、対香港は2ヶ月連続で前年度全体を上回り、2ヶ月の総量および輸出額でも約3倍となった。3-6月の4ヶ月で日本へは前年比8倍かつ過去19年分の総量に匹敵する1.6万トンが輸出され[23]、輸出先シェアは71%となり、24%に急増した香港とともに驚異的な輸入増加を見せた。オーストラリア米国も支援を表明した。しかし、中国禁輸の影響は非常に大きく、この時点で総輸出量は23,459トンで、昨年同期の37,225トンから37%近く減少した[24]。最終的に、2021年の輸出量は2.95万トンに留まり、前年比36%減、ピークだった2019年比57%まで減少した[25]

2022年

2022年も引き続き中国の禁輸は実施された。前年輸入拡大を支援した国において、日本は同程度を維持したが、欧州や米国の輸入量は減少したことで、輸出量はさらに減少し、年間輸出量は前年比28%減の2.1万トンであった。生産量も10年ぶりに4万トンを割った。なお、中国による台湾産農林水産物の禁輸品目はパイナップル以外にも広がっており、農林水産物全体の輸出額も2019年から減少傾向にある[26]

台湾のパイナップル生産量および輸出統計(生産・輸出量はトン、輸出額は1,000米ドル)
生産量[27] 輸出[28]
全世界中国大陸日本香港シンガポール欧州連合南北アメリカ
2009年-1,925t1,643737t464868t775113t1548t1218t2152t84
2010年420,171.702,492t2,5501,111t9901,004t1,044160t20924t42--52t91
2011年401,366.963,376t3,4262,085t1,768921t1,018243t34022t442t347t117
2012年392,210.904,663t4,3043,600t2,793739t811231t38530t14513t2421t75
2013年413,465.305,259t5,9004,034t4,175904t968162t45627t5817t2243t100
2014年456,242.899,539t10,5348,183t8,333920t1,143285t72513t760t1117t216
2015年493,998.3523,629t28,17621,485t24,7221,265t1,698288t60911t75434t781101t193
2016年527,160.7629,551t39,90527,855t37,1061,136t1,587178t5046t32109t202148t299
2017年553,530.8227,717t37,86326,811t36,286668t97270t1984t79t17144t356
2018年432,083.6732,429t44,12331,311t42,169698t1,014189t37419t306t15161t446
2019年431,084.1352,679t67,08651,112t64,4971,041t1,422207t508128t2014t16138t371
2020年419,502.4546,297t55,96842,121t50,3642,171t3,0431,255t1,588429t46327t51231t387
2021年 402,836.22 29,527t 38,051 4,158t 5,266 17,919t 22,984 6,553t 8,280 273t 317 34t 73 260t 647
(1-7月)-28,605t36,4723,969t5,02517,583t22,4686,235t7,758261t2521t44212t459
(1月)-1,261t1,6441,216t1,5591t412t1713t250t018t33
(2月)-1,888t2,4451,785t2,24783t12313t311t50t03t16
(3月)-4,718t5,773810t9931,719t2,2031,768t2,175239t1852t478t98
(4月)-7,700t9,84564t495,519t7,0601,962t2,4795t266t1822t45
(5月)-7,657t9,73148t656,457t8,1481,077t1,3551t51t436t91
(6月)-3,783t4,9632t72,894t3,746796t1,0441t53t5t30t74
(7月)-1,605t2,09545t106910t1,184613t6801t58t1426t103
2022年 382,333.21 21,187t 29,016 424t 504 17,548t 24,328 2,863t 3,372 42t 107 13t 28 153t 426
備考:表中の背景色赤は期間内最低値を、背景色緑は期間内最高値を、太字は最大の輸出先を示す。

各国の反応

台湾国内

中華民国総統蔡英文はただちに政府としての支援を表明し、高雄市では市長陳其邁とともに消費を呼び掛けた[29]

副総統頼清徳もかつて市長職を務めた台南市に出向くなど精力的な農家支援を展開した。自身のInstagramやFacebookではパイナップルをPUI PUI モルカー(天竺鼠車車)に仕立てた「鳳梨車車」を食す姿を投稿し[30]、Twitterでも日本語で日本人に対する消費の呼びかけを行った[31]

桃園市長鄭文燦もTwitterで日本語での消費呼びかけを投稿した[32][33]

台湾鉄路管理局は自局の名物駅弁台鉄弁当でパイナップルを使った新メニューを発売し[34]台湾ビールで知られる国営の台湾菸酒公司[35]金色三麦を展開する民間の龍運集団でも国産パイナップルの調達を増やした[36]

企業、個人、加工業者による国内の注文と国外への輸出は3月2日時点で4万5千トンに達し、中国への年間輸出量がこの運動でほぼ消化されることが確定した[37]

台湾国外

日本

日本へ出荷されたパイナップルは早期に品切れ状態となった(2021年3月)

店頭価格でも台湾産パイナップルはフィリピン産に比べて割高だったが[19]、一連の騒動により、日本の輸入量は前年比で倍増が見込まれるほどとなった。国内最大の産地である屏東県では、日本の小売大手西友などの調達もあり、2021年の対日輸出量が倍増となる600トンに達する見込みとなった[38]。SNSでの呼びかけが拡大し、首都圏で店舗を展開しているベルクスでは入荷後即完売の状態が続いた[19]。日本国内でのこうした協力に対し駐日台北経済文化代表処代表(大使に相当)の謝長廷も謝意を述べた[39]

3月11日、適正農業規範(TGAP)認定を受けたパイナップルを含む台湾産フルーツ数品目が2020年東京オリンピックで供給可能となったことを発表した[40]

前総理大臣の安倍晋三Twitterで台湾産パイナップルを手に取りアピールする画像を投稿すると、蔡英文や陳其邁が日本語で返信した[41][42]

また、3月30日には、台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処から山口県庁を通じて、山口県内にある10の児童養護施設に台湾産パイナップルが300個贈られた[43]

一方で、台湾で報道されていた産地偽装疑惑をまとめサイト「保守速報」が日本語で拡散したことで、日本の小売店は検疫証明書をネット上で公開し、最終的に保守速報側が謝罪・訂正する事態もあった[44]

また、輸出された一部(3%弱)に変色などの不良品が発見された[45]

6月3日には愛媛県松山市職員有志が共同購入を呼びかけて購入した9トンの台湾産パイナップルが到着した[46]

香港

香港に出荷された台湾産パイナップル(2021年4月)

区議会議員(油尖旺区)の林兆彬中国語版は購買による台湾支援を呼び掛けた[8]。購買運動拡大の結果、2021年3月の台湾からの輸入量は2月の中国の輸入量とほぼ同等となり、かつ日本を上回った。

韓国

3月11日、屏東県産のパイナップルが釜山に出荷された[47]

シンガポール

在住台湾人や進駐企業などの協力で調達が増え、店頭ではマレーシアやインドネシア産との価格差も小さく2021年のシンガポールへの輸出量は倍増が見込まれることになった[18]。ただし対日輸出同様に品質管理の向上が課題となった[48]

米国

駐米台北経済文化代表処代表(駐米大使に相当)の蕭美琴は、前アメリカ合衆国国務長官マイク・ポンペオと会談の際に台湾産ドライパイナップルを進呈し、米国の支援に謝意を表明した[49]。 ポンペオもドライ・パイナップルを食し、「チェックメイト」と投稿した[50]

カナダ

在カナダの華僑団体がバンクーバーの代表処と協力し、高雄産のパイナップル18.6トンが出荷された[51]

脚注

関連項目

外部リンク

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