プテリゴトゥス

From Wikipedia, the free encyclopedia

プテリゴトゥス
生息年代: 439–370.6 Ma[1]
Pterygotus anglicus の復元図
地質時代
シルル紀 - デボン紀
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: 節口綱 Merostomata
: ウミサソリ目 Eurypterida
亜目 : ウミサソリ亜目 Eurypterina
上科 : プテリゴトゥス上科 Pterygotioidea
: ダイオウウミサソリ科 Pterygotidae
: プテリゴトゥス属 Pterygotus
学名
Pterygotus
Agassiz, 1839
タイプ種
Pterygotus anglicus
Agassiz, 1849[2]
シノニム
Curviramus
Reudemann, 1935
本文参照

プテリゴトゥスPterygotus、またはプテリゴートゥス[3][4])は、古生代シルル紀からデボン紀にかけて生息した大型ウミサソリの1。発達した鋏角を特徴とするダイオウウミサソリ科の代表的な属であり、当時の生態系における高次捕食者の1つであったと考えられる[5][6]

学名Pterygotus」は「翼のある魚」を意味し、これは本属が発見当初に魚類と誤認された事が理由である[7]

大小2匹のプテリゴトゥスの化石

他のウミサソリと同様、体は前体(prosoma、頭胸部)と後体(opisthosoma、腹部)の2部に分かれる[8]ダイオウウミサソリ科の共有形質として、偏平で縦長い体の表面は状の突起が生えており、歯のある発達した鋏角、単純な第2-4脚、分節のない生殖肢、およびへら状の尾節を特徴とするウミサソリである[9][10][11]

前体は丸みを帯びた台形[12][9][10]背甲(carapace, prosomal dorsal shield)に覆われ、各1対の単眼(中眼)と大きな複眼(側眼)はその中央と両前端に配置される。それぞれの複眼は、4,000個以上の個眼によって構成される[5]。同科の別属と同じく、6対の前体付属肢関節肢)の中で最初の1対である鋏角(chelicerae)は腕のよう伸ばし、先端のは頑強で、可動指と不動指の内側には大小の歯が配置される。可動指は先端が滑らかに湾曲し、それぞれの歯は後ろ向きに曲がり、縁に鋸歯を欠く[9][10]アクチラムスジェケロプテルスほどには極端でないが、不動指・可動指とも数本の大きな歯のうち中央の1本が最も発達している[9][10]。残り5対の付属肢は基節に顎基のある脚であり、そのうち第2-4脚は華奢で突起のない歩脚状で[12]、第5脚は他のほとんどのウミサソリ亜目Eurypterina)の種類と同様、パドル状の遊泳脚に特化した[12][9]。遊泳脚の顎基には12本ほどの歯が並んでいる[9]。第1脚(触肢、pedipalp)の詳細は不明だが、おそらくエレトプテルスのように短縮化したと考えられる[13][14]

12節の背板と1枚の尾節(telson)が見られる後体は縦長く、第5脚の間に差し込んだ腹面の下層板(metastoma)は先端が内側に凹んだ楕円形である[9][10]。同科の別属と同じく、下層板と第5脚の直後にある生殖口蓋(genital operculum)は節が癒合し、中央の生殖肢(genital appendage)は分節しない[11]。生殖肢のうち type-A はへら状もしくは棍棒状、type-B は単純なひし[9][10]。へら状の尾節は丸く後端に尖り、背側の正中線は隆起する[9][10]。この正中線は、1本の垂直のへらに発達した場合がある[7]。尾節直前の最終体節(pretelson)も背側の正中線が隆起し、尾節にあわせて多少横に広がる[9][10]

最大級と最小級のプテリゴトゥスとヒトのサイズ比較図

本属は大型のウミサソリとして知られるが、体長は種によって大きく異なるとされる[15]。既知最大級の P. grandidentatus では全長が1.75mに及ぶと推測され[15]、これは同科で最大級のウミサソリとされるジェケロプテルスやアクチラムスに匹敵する[16]。既知最小の種は P. kopaninensis で、全長は約50cm前後だったと推測される[15]

生態

ほとんどのダイオウウミサソリ科ウミサソリと同様、プテリゴトゥスも遊泳性捕食者であったとされる[6][5]。遊泳脚で海中を泳ぎながら、水平と垂直のへらをもつ尾節のように用いていたと推測される[17]鋏角は付け根の幅広い可動域によって、捕食と身を守る役割を同時に担っていたと考えられる[7]

ダイオウウミサソリ科の中で本属はジェケロプテルスJaekelopterus)と同じく、優れた視力をもつ活動的な捕食者であったと考えられる[18][5]。同科のアクチラムスAcutiramus)とエレトプテルスErettopterus)に比べて、この2属の鋏角は頑強で中央の歯が強大化しており、より獲物を把握と粉砕する機能に特化していたとされる[5]。また、本属は鋏角で堆積物を掘り上げて環形動物を捕食したという説もあり、その捕食行動によって残されると思われる生痕化石Monomorphichnus)も発見される[14]

分布

プテリゴトゥスの分布は少なくとも3つの大陸に及び、化石は種によってヨーロッパ北アメリカ南アメリカ堆積層から見つかっている[2][1]。本属の種である可能性をもつ ?Pterygotus australisオーストラリアから発見されている[2][1]

分類

脚注

関連項目

Related Articles

Wikiwand AI