エレトプテルス
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Erettopterus bilobus の復元図 | |||||||||||||||||||||||||||
| 地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||
| シルル紀 - デボン紀前期 | |||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Erettopterus Salter in Huxley & Salter, 1859 | |||||||||||||||||||||||||||
| タイプ種 | |||||||||||||||||||||||||||
| Erettopterus bilobus Salter, 1859 | |||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
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Truncatiramus Kjellesvig-Waering, 1961b | |||||||||||||||||||||||||||
| 種 | |||||||||||||||||||||||||||
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本文参照 |
エレトプテルス(Erettopterus)は、古生代シルル紀からデボン紀前期[1]にかけて生息したウミサソリの1属[2]。ダイオウウミサソリ科の中で二葉状の尾節を特徴とし[3][4][5]、数十cmの中型種を多く含んでいる[6]。ジェネラリストな捕食者であったと考えられる[7]。

- 後体の前半部(左上)、全身(右上)、生殖口蓋(中央)と鋏角(下)
鱗状の表面をもつ体は腹背に偏平で縦長く、他のウミサソリ類と同様に前体(prosoma、頭胸部)と後体(opisthosoma、腹部)の2部に分かれる。二葉状の尾節によって他のダイオウウミサソリ科の属から区別される[4]。

前体は丸みを帯びた台形[4][8]の背甲(carapace, prosomal dorsal shield)に覆われ、各1対の単眼(中眼)と発達した複眼(側眼)はその中央と両前端に配置されており、それぞれの複眼は4000個前後の個眼によって構成される[7]。他のダイオウウミサソリ科の種類と同様、6対の前体付属肢(関節肢)のうち最初の1対である鋏角(chelicerae)は腕のように発達した[8][4]。その鋏角の鋏は同科のプテリゴトゥス、ジェケロプテルスやアクチラムスに比べて細長く、歯の特化はさほど進んでいない[9][5][7]が、歯の形と配列は多様で[9][4]、可動指の先端が二股に分かれた種もある[3][4]。残り5対の付属肢は付け根(基節)に顎基のある脚であり、そのうち第1脚(触肢 pedipalp)は短縮し、基節は直前の上唇に癒合した[10]。第2-4脚は華奢で突起のない歩脚状、第5脚は他のウミサソリ亜目(Eurypterina)の種類と同様、パドル状に特化した遊泳脚である[8]。
12節の背板と1枚の尾節(telson)が見られる後体は縦長く、第5脚の間に差し込んだ腹面の下層板(metastoma)は前端が凹んだ縦長い楕円形である[8][3]。同科の別属と同じく、下層板と第5脚の直後にある生殖口蓋(genital operculum)は節が癒合し、中央の生殖肢(genital appendage)は分節しない[9][3][8][4]。生殖肢の二形のうち type A は棍棒状/へら状、type B は楕円形/ダイアモンド状[9]。へら状の尾節は先端が内側に凹んでいるため、尾節全体が二葉状になり[9][3][8]、これは代わりにその先端が尖った同科の別属とは明らかに異なる[4]。尾節の背側は正中線が隆起し、これが1本の垂直のへらに発達した場合がある[3][11]。尾節直前の最終体節(pretelson)は少し横に広がって背板の正中線が隆起し、もう1つ前の11番目の背板まで正中線が隆起した種もある[11]。
本属は体長60-70cm位の種類が多く[6]、体長1mを超える大型種を中心とするダイオウウミサソリ科にしては中型である[7]。確実の記録に限れば、最大と最小の記録はそれぞれ9cm位の E. globiceps と90cm位の E. osiliensis に当たる[6]。E. grandis は不完全な尾節の断片化石に基づいて巨大な2.5mに及ぶ(同科で最大のジェケロプテルスに匹敵する)と推測されたが、再検証が必要とされる[6]。
生態

ほとんどのダイオウウミサソリ科のウミサソリと同様、エレトプテルスも遊泳性の捕食者であったとされる[3][12][7]。遊泳脚で海中を泳ぎながら、水平と垂直のへらをもつ尾節を舵のように用いていたと推測される[13]。幅広い可動域をもつ鋏角は捕食と自衛の役割を同時に担い[3]、180度ほど折り畳める鋏と柄部の関節は捕食の際に素早く展開できたと考えられる[12]。
同科の中で、(優れた視力と頑強な鋏角で)高度に特化した捕食者とされるプテリゴトゥスとジェケロプテルス、および(低い視力と華奢な鋏角で)待ち伏せ捕食者/腐肉食者とされるアクチラムスに対して、エレトプテルスはそれほど特化しなかったジェネラリストな捕食者で、そのニッチ(生態学的地位)は、むしろ別科のウミサソリであるユーリプテルス(ウミサソリ科)とスリモニア(スリモニア科)に似ていたと考えられる[7]。視力は優れるものの、プテリゴトゥスとジェケロプテルスほどではなったと推測される[7]。鋏角の歯は同科の別属より均一で、一部の種の場合では可動指の先端が二股状に曲がり返したことにより、その鋏は特定の摂食方法にこだわらず、獲物を捕獲する機能にも適していたと考えられる[3][7]。


