ユングトゥもしくはユングドゥ、ヨングトゥは八重山諸島の主要な歌謡の一つである。
その起源は祭祀儀礼にあると考えられるが、呪詞文芸から歌謡文芸への変化の過渡期にあるとされ、近代では種子取り祭りや新築落成祝、結婚祝いなどの余興として演ぜられる。
大人が一人で行い、簡単な身振りの動作を伴う。手拍子はない。比較的長編である。詠唱の形態は歌謡的な一種の曲調をもったものか、語り的か、その混合である。かならず生まれ育った集落の方言を用いる。昔話的な歌い納めの定型句として「ユー」「ユー、ヒサレー(ユーヒサレー、シィサリー)」がある。「ユー」は「~だそうよ」の意味の伝聞の終末句であり、「ヒサレー」は一般に目上の人への挨拶であるが、神前での集団礼拝でも使用される。後者から、本来、神前で奏上されたことが推知される。
内容は動植物・虫・魚・自然・恋愛・性愛などを歌うものが多く、人間の行動の叙述が多く、神酒醸造、農作業の場面に関する物が多い。専ら滑稽的・諧謔的だが、専ら呪言的なものもある。その双方が混在する場合もある。叙事的であり、一部には早口言葉的なものがある。笑いへの呪力信仰が認められる。即興的に歌われる場合があり、本人や別の人の体験談を面白おかしく誇張して詠うこともあるが、個人的に歌われるものであり、共同体に共有され、特定の作者はいない。