かつてヨウジウオ上科はウミテング科 と共にヨウジウオ下目 Syngnatha を構成していたが、ウミテング科はセミホウボウ科 と近縁であることが分かりセミホウボウ亜目 に移動されている[ 1] 。
ヘラヤガラ上科・ヘコアユ上科はヘラヤガラ下目 Aulostomoida にまとめられ、鰓弁は他の真骨類 と同様、細長い櫛状となっている。歯は小さいか、あるいはない。
ヨウジウオ上科 Syngnathoidea は2科53属237種で構成される。側線をもたず、椎骨のうち前方の3つが細長く伸びることが共通する特徴である。独特な分葉構造を示す鰓弁をもち、総鰓魚類と総称されることもある。また、頭部・体部は板状の、尾部は環状の骨板によって完全に覆われる。鰓孔は小さく円形で、頭の後背側に開口する。歯をもたない。
カミソリウオ Solenostomus cyanopterus (カミソリウオ科)。色彩変異に富む種類で、海藻に擬態することもある
ニシキフウライウオ Solenostomus paradoxus (カミソリウオ科)。体を覆う多数の皮弁と、鮮やかな色彩が特徴
カミソリウオ科 Solenostomidae は1属5種(あるいは4種)からなり、インド洋から西部太平洋にかけての熱帯域に分布する。小型の甲殻類 を主な餌とする種類が多い。雌が育児嚢をもち、卵を保護する。
体は短く、左右に平たく側扁し、大きな骨板に覆われる。背鰭は2つに分かれ、前部は5本の脆弱な棘条からなる。第2背鰭は基底部分が隆起し、17-22本の軟条で構成される。腹鰭と尾鰭が大きく、腹鰭は第1背鰭と対在する。鰓孔はやや大きめである。
ノコギリヨウジ Doryrhamphus japonicus 。団扇のような円形の尾鰭が特徴
ウィーディーシードラゴン Phyllopteryx taeniolatus 。オーストラリア南部に分布する
ポットベリード・シーホース Hippocampus abdominalis
ヨウジウオ科 Syngnathidae は三大洋に広く分布するとともに、少数の淡水産種も知られる。ほとんどの種類は温暖な浅い海に生息するが、アラスカ やフエゴ諸島 近海など寒冷な海に住むものもいる。タツノオトシゴ など、魚らしからぬ特異な体型と、多様な色彩変異に富む種類が多く含まれ、観賞魚としてよく知られた一群である。
カミソリウオ科とは逆に、雄が卵を保護する習性がある。雄の腹部あるいは尾部には溝状または袋状の育児嚢が存在し、雌によって卵が産みつけられる。雄は卵が孵化・成長するまで育児嚢の中で保護し、親と同じ姿にまで育った稚魚を1尾ずつ放出する。
体は細長く、全身をリング状の骨板によって囲まれる。背鰭は1つで、臀鰭は極めて小さい。背鰭・臀鰭・胸鰭のいずれかを成長の過程で失う種類があり、チンヨウジウオ属では3つとも消失する。すべての種は腹鰭をもたず、尾鰭を欠くものもいる。尾鰭をもたない種類では、尾部が自由に動いて海草やサンゴ に巻きつきやすくなっており、体勢の保持に利用されている。鰓孔は非常に小さい。腎臓は右側のみ存在し、糸球体を欠く。
テングヨウジ属には本科の淡水魚のほとんどが所属する。
ヘラヤガラ上科 Aulostomoidea は2科2属7種で構成される。前方の4つの椎骨が細長く伸び、腹鰭の鰭条は5-6本の軟条からなる。
トランペットフィッシュ Aulostomus maculatus (ヘラヤガラ科)。長い吻の先端には、小さな口ヒゲがある
ヘラヤガラ科 Aulostomidae は1属3種からなり、三大洋の熱帯域に分布する。本目の魚類としては比較的大きく成長し、最大のものは体長80 cmに達する。主に岩礁域に生息し、小魚や甲殻類などを捕食する。ヘラヤガラ など、大型の魚に寄り添うように泳いだり、頭を下にして逆立ち泳ぎをしたりする習性が知られる。
体は鱗に覆われ左右に平たく、極めて細長い。吻は長く、先端に1本の肉質のヒゲをもつ。背鰭は8-12本の独立した棘条と、22-27本の軟条部に分かれる。尾鰭は丸みを帯びる。肛門 は腹鰭のずっと後ろにある。側線はよく発達する。
アカヤガラ Fistularia petimba (ヤガラ科)。比較的深い海に生息する大型種
ヤガラ科 Fistulariidae は1属4種を含み、三大洋の熱帯・亜熱帯域に分布する。浅い海のサンゴ礁 ・外洋に住み、小魚や甲殻類を食べる。ヘラヤガラ科と同様に大型種を含み、体長は最大で1.8mに達する。日本近海からはアカヤガラ (Fistularia petimba )とアオヤガラ (F. commersonii )の2種が知られ、前者は高級食用魚として珍重される[ 2] 。
ヘラヤガラ科と似て体は側扁し細長く、吻は筒状に伸びる。鱗と口ヒゲをもたず、背鰭の棘条を欠く。尾鰭は二又に別れ、中央の2本の鰭条が糸状に細長く伸びる。肛門は腹鰭のすぐ後ろにある。
ヘコアユ上科 Centriscoidea は2科5属15種で構成される。前方の5-6個の椎骨が細長く伸び、腹鰭は1棘4軟条。サギフエ科・ヘコアユ科は1つの科にまとめられる場合もある。
サギフエ Macroramphosus scolopax (サギフエ科)。海底付近で群れを作り、斜め下向きになって泳ぐ習性がある
サギフエ科 Macroramphosidae は3属11種を含み、熱帯から亜熱帯の海に広く分布する。白亜紀 前期の化石 が見つかっており、これはヨウジウオ亜目の魚類としては最も古い記録である。
体は側扁し、体高が高い。吻は細長く突き出し、口ヒゲはない。背部に骨板をもつ。背鰭の棘条は4-8本で、2本目が非常に長く伸びる。側線を欠く種類がある。
サギフエ属 Macroramphosus
Centriscops 属
Notopogon 属
ヘコアユ科 Centriscidae は2属4種からなり、インド洋から西部太平洋に分布する。ほとんど常に頭を下にした逆立ち泳ぎをすることが特徴で、細長い口で動物プランクトン などを吸引する。日本近海にはヘコアユ とヨロイウオの2種が分布し、前者は観賞魚として人気の高い種類である。
体は極度に側扁し、剃刀 のような独特の体型をもつ。ほぼ全身が薄い骨板に覆われる。背鰭は体の後端に寄っており、第1棘条が真後ろに向かって突き出している。背鰭の軟条部と尾鰭は腹側に寄り、ほぼ真下を向く。側線をもたず、歯を欠く。
ヘコアユ属 Aeoliscus
ヨロイウオ属 Centriscus