ロマンスカー

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小田急ロマンスカー3000形 (SE車)(左)70000形(GSE車)(右)
(2019年5月25日)

ロマンスカーとは、「ロマンスシート」を座席として使用した鉄道車両の愛称、あるいは列車愛称のひとつ。数々の私鉄で使われてきた愛称である。和製英語である。

ロマンスシート

ロマンスシートの例(小田急ロマンスカー3000形 (SE車)

映画館、喫茶店などで第二次世界大戦後に見られた二人掛け座席を指す和製英語。英語の"love seat"に相当する。20世紀末以降はその他の呼び名(転換クロスシート、回転クロスシートなど)が使用されることも多くなってきた。

歴史

日本の鉄道史において、乗客が列車の進行方向に向けて2人単位で着席できる形式の座席は、1920年代以降広まった。鉄道省二等車では背もたれの反転で方向転換が可能な2人掛けの腰掛(転換クロスシート)が出現し、一部の私鉄もこの流れを追った。また、鉄道省の特急列車用三等車にも、一方向固定式の2人がけ座席が用いられるようになった。しかし、この車両を使用した場合終着駅では、1両毎に転車台で、または、列車の営業区間とは異なる路線を経由させて編成ごとの方向転換を行う必要があった。これについては、デルタ線も参照されたい。

それ以前は、進行方向に向けて着席できる座席は4人1組の向かい合わせ固定式(いわゆるボックスシート)のみであり、2人単位のスペースを確保できる座席の出現は画期的であった。向かい合った未知の乗客との対峙を否応なく強いられる4人がけ座席と違い、例えば男女の2人連れが心理的なプライバシーをある程度保ちつつ、2人だけで語らいながら旅をする、ということも可能になったわけである。

1927年昭和2年)、京阪電気鉄道が日本初の本格的転換クロスシート車である1550型を製造した際、京阪はこの車両を、進行方向に二人並んで座ることから「ロマンスカー」と命名した。これがロマンスカーという言葉の始まりである[1]

当時、京阪が発行した「ローマンス・カーの栞」には

「此度は日本では未だ其比を見ぬ工合のよい二人相乗り横掛座席(クロッスシート)の全鋼製車(ロマンスカー)十五列車(三十輌)を新造し皆様の御乗用に提供致すことになりました。ゆったりとお楽に乗心地よく、高速度で快走する新造列車を以って奉仕の出来ることを誇りと致しますと共に旧に増して御愛用の程を御願致します」

と記されている[2]

1940年代末期以降は、大手私鉄はもとより、地方の中小私鉄においても都市間連絡輸送や観光客輸送を目的に転換クロスシート装備の2扉電車を導入するケースが頻出し、それぞれが「我が社のロマンスカー」としてアピールされた。

しかし、1950年代後半以降は列車呼称・車両形態が多様化し、私鉄各社がおのおの独自のネーミングを用いるようになるにつれ、既存の「ロマンスカー」・「ロマンスシート」という表現はあまり用いられなくなり、いつしか廃れた。

唯一小田急電鉄は、自社の特急電車の愛称として1950年代初頭から一貫して用い続けてきたため、村下孝蔵によって歌われるなど、一般にも広く定着した。同社は1990年代後半、「ロマンスカー」関連の呼称を商標登録した[注 1]

英語表記について

この種の車両を英語で称する場合、歴史や冒頭の定義である「二人掛け座席腰掛として使用した鉄道車両の愛称、あるいは列車愛称」に求めると、"pair-seats train"が相当するとされる。しかし、鉄道車両の座席配置の内、主にクロスシートと称される座席配置でよく用いる腰掛は通例2人掛けである事が多い。

また、旧国鉄JR特急形車両に用いる普通車の腰掛も、同様に通例2人掛けであることが多い。

そのため、この種の車両一般を指す場合、豪華な列車と言った意味合いで、"deluxe train"が用いられるともされる。

また小田急ロマンスカーは英語案内でもブランド名として"Romancecar"を用いているため、それを援用して使用する事例があるともされる。

使用例

脚注

関連項目

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