伏木国分事件
From Wikipedia, the free encyclopedia
1981年3月30日の夜、富山県高岡市伏木町にある越中国分駅の待合室でウイスキーを飲んでいる男性を高岡警察署の警官が見つけ、職務質問をしたところ、男は日本円で190万円あまりを所持していることが判明。ただし、その応答は要領を得なかった[1][注釈 1]。男性は、ダークブラウンにグレーのツートンの縦縞の背広(上下)にグレーのレインコートを着ており、関西訛りがあり、メモ類などは携帯しておらず、小田実『世直しの倫理と論理・下』(岩波新書)を所持していた[4]。
警察は、泥酔している50歳前後の男性を国鉄高岡駅前の高岡プラザホテルに宿泊させ、翌日あらためて事情聴取することとしたが、当日(3月31日)の朝、男性はホテルの7階から投身自殺した[1][2][注釈 2]。男性は飛び降りの際「金日成主席万歳」と叫んだとも報道されている[1][2][4][注釈 3]。
男性は、神戸市葺合区(現、中央区)北本町通在住の吉田正彦こと朝鮮籍の姜正彦(本籍は済州道済州郡)であった[4]。彼は、「姜正彦」名義の外国人登録証を保持していたが、しかし、これはのちに精巧な偽造であることが判明した[1][4]。
検察は、1982年2月27日、偽造有印公文書行使被疑事件として書類送致したが、被疑者死亡につき不起訴とした[1][2]。
この事件は、北朝鮮のスパイ事件において、工作員が自殺した唯一の事例である[5]。工作員(姜正彦)の遺骨は高岡市内の納骨堂に納められており、骨壺には「故 不詳殿」と記されている[5]。