必死剣 鳥刺し
日本の映画作品
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ストーリー
江戸時代。東北の小藩である海坂藩。3年前、藩の物頭で天心独明流の達人としても知られる兼見三左ェ門は、藩主・右京太夫が能を上覧する席上で、その愛妾・連子を刺殺する。これは右京太夫が藩政を顧みなくなった上に連子が藩政に口出しするようになり、右京太夫の従弟で「御別家」とも呼ばれる帯屋の諫言も無視されたがゆえの、暴政を止めるための独断行動であった。お家断絶を含む死を覚悟しての行動であったが、中老・津田から下された沙汰は1年の閉門蟄居という寛大なものだった。自分が藩主を説得したと語る津田に、兼見は深く感謝する。
蟄居中、兼見は姪の理尾から世話を受ける。愛妻と死に別れて間もない行動だったために、理尾は伯父は死に場所を求めていたのではないかと推測していた。理尾は密かに兼見を慕っていたが、それに気づかない兼見は献身的な彼女の将来を案じて暇を出そうとし、拒絶される。
1年後、蟄居が明けて久しぶりに藩内を探索した兼見は、騎馬にて道を行く侍を見送る。 それは連子が存命だったころに起こった農民一揆を宥めた帯屋隼人正の姿であった。 しかしその結末は、右京太夫はこれを許さず首謀者らしき農民5人は斬首の後首を晒され、帯屋と右京太夫との確執が明確になったというものだった。
それからさらに2年後(現在)。兼見は津田に召し出され、家禄を戻された上で近習頭取として殿の側に仕えるよう命令される。実は直心流の達人としても知られる帯屋が謀反を企てているとし、その護衛として選ばれた故の沙汰であったという。その際、津田は兼見に天心独明流の使い手であり「鳥刺し」または「必死剣」と呼ばれる必勝の技があることを確認し、事が起こった時にはその技で帯屋の狼藉を妨げる事を命じる。
兼見は、理尾の身を案じて友人の保科に彼女の縁談を頼む。しかし、理尾は兼見への想いを告白し、その夜、二人は結ばれる。翌朝、兼見は「事が終われば必ず迎えに行く」と約束し、理尾を馴染みの村へ避難させる。その後理尾の見合い相手の牧が訪ねて来た折に帯屋と右京太夫との間に不穏な噂がある事を聞いた兼見は津田と牧の食い違う言い分を回想しながら物思いにふける。
大雨の日、右京太夫の命を狙って帯屋がやってくる。待ち構えていた兼見が迎え撃ち、達人同士の熾烈な剣戟の末に兼見は相手の刀を絡め取る様にして隙を作り これを討つ。控えて様子を窺っていた津田はそれを見事な「鳥刺し」だったと勘違いをして褒めつつも兼見が乱心して帯屋を殺したと大声を挙げ、周囲の藩士たちに兼見を討ち取るように命じる。津田が3年前に兼見を助命させたのは、すべて剣の達人である帯屋を討たせ邪魔者を同時に排除するための計略であった。疲労と同僚を殺すことに躊躇して剣先が鈍る兼見は、不意の一太刀を受けてから次々と手傷を負い這い回りながら抵抗するも、ついにはへたり込むようにして床に突っ伏す。兼見が事切れたと思い不用意に近寄った津田であったが、伏していた体が急に跳ね上がり、本当の秘剣「鳥刺し」による一突きにて津田は絶命させられる。その様子に右京太夫が腰を抜かして怯える中、藩士たちが座ったまま動かない兼見に刀を突き立て、兼見の凄絶な最期をみた光岡は誰にともなく「必死剣」と呟くのだった。
エピローグ、理尾は兼見との子を産む。今も兼見が迎えにくることを信じている彼女を描いて、物語は終わる。
出演
- 兼見三左エ門(豊川悦司) - 本作の主人公。物頭、後に近習頭取。剣術の達人。
- 里尾(池脇千鶴) - 睦江の姪。三左エ門に献身的につくす。
- 帯屋隼人正(吉川晃司) - 通称「御別家」。右京太夫の従弟。直心(影)流の名手。
- 睦江(戸田菜穂) - 三左エ門の妻。故人。
- 右京太夫(村上淳) - 海坂藩藩主。連子を寵愛し、藩の財政を逼迫させる。
- 連子(関めぐみ) - 右京太夫の側室。藩政に口をはさみ混乱に至る。
- 多恵(山田キヌヲ) - 連子の侍女。
- 矢部孫千代(矢島健一) - 家老。
- 大場兵部(油井昌由樹) - 大目付。
- 福井(つまみ枝豆) - 物頭時代の三左エ門の同僚。
- 光岡(俊藤光利) - 物頭時代の三左エ門の同僚。
- 山内(村杉蝉之介) - 物頭時代の三左エ門の同僚。
- 安西直弥(瀧川鯉昇) - 勘定方。故人。連子の讒言により切腹させられた。
- 茂吉(石山雄大) - 赤石郡の百姓の代表格。
- 権蔵(田中聡元) - 赤石郡の百姓。
- 常吉(生津徹) - 赤石郡の百姓。
- 喜助(前田健) - 赤石郡の百姓。
- 兼見清蔵(外波山文明) - 三左エ門の本家筋。
- 兼見伝一郎(高橋和也) - 兼見清蔵の息子。
- 牧藤兵衛(福田転球) - 普請組。
- はな(木野花) - 三左エ門の家に奉公する老女。
- 保科十内(小日向文世) - 物頭。三左エ門の友人。
- 津田民部(岸部一徳) - 中老。三左エ門の助命を主張する。
- その他 - 十貫寺梅軒、濱田龍臣、広岡由里子、亀谷さやか、影山英俊、春風亭傳枝
スタッフ
- 監督 - 平山秀幸
- 製作者 - 伊藤秀裕 中曽根千治 平城隆司 尾越浩文 川村龍夫 外村衆司
- プロデューサー - 江川信也
- 原作 - 藤沢周平
- 企画協力 - 文藝春秋
- 脚本 - 伊藤秀裕 江良至
- 音楽 - EDISON
- 撮影 - 石井浩一
- 美術 - 中澤克巳
- 照明 - 椎原教貴
- 録音 - 田中靖志
- 編集 - 洲崎千恵子
- 殺陣/所作指導 - 久世浩
- 現像 - 東映ラボ・テック
- スタジオ - 日活撮影所 庄内映画村
- ロケ協力 - 山形県 鶴岡市 出羽三山神社 宮城県 登米市 ほか
- 製作 - 「必死剣鳥刺し」製作委員会(エクセレントフィルムズ、東映、テレビ朝日、ポニーキャニオン、ケイダッシュ、産経新聞社)
- 製作プロダクション - エクセレントフィルムズ
- 配給 - 東映