果てしなきスカーレット
From Wikipedia, the free encyclopedia
| 果てしなきスカーレット | |
|---|---|
| Scarlet | |
| 監督 | 細田守 |
| 脚本 | 細田守 |
| 原作 | 細田守 |
| 製作 | |
| 出演者 | |
| 音楽 | 岩崎太整 |
| 編集 | 西山茂 |
| 製作会社 | |
| 配給 |
|
| 公開 |
|
| 上映時間 | 111分[2] |
| 製作国 |
|
| 言語 | 日本語 |
『果てしなきスカーレット』(はてしなきスカーレット、英題:Scarlet)は、2025年の日本の長編アニメーション映画。ジャンルはファンタジー・アクション。監督・脚本は細田守、制作はスタジオ地図。
本作はシェイクスピアの悲劇『ハムレット』、ダンテの叙事詩『神曲』の煉獄篇、筒井康隆の小説『時をかける少女』に着想を得ており[3][4]、父を殺害された王女が復讐のために時空を超える旅に出る姿を描く。略称は『果てスカ』[5][6]。
2025年9月4日、第82回ヴェネツィア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門にてワールドプレミア上映された[2]。日本では東宝およびソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの共同配給により、2025年11月21日に劇場公開された[1][7][8]。
中世の時代、父の死への復讐という危険な旅に出た剣士の王女・スカーレット。彼女こそが、この力強く時空を超えたアニメーション・アドベンチャーの主人公である。父を殺した叔父、クローディアスの復讐に失敗し、自身は毒を盛られて致命傷を負ってしまう。気がつくと、死者が時空を超えて集まっているという「死者の国」にいた。何故かクローディアスもそこに来ており(後、死因はスカーレットに服用した毒をクローディアス自身にも誤って服用してしまったことであると判明)、「死者の国」の支配者となっていた。そこで、彼女はもう一度復讐を胸に誓い、魂が救われるという「見果てぬ場所」を目指す。また、道中に現代日本から来た看護師の平和主義的な青年、「聖(ひじり)」と出会う。彼は戦いを好まず、争いは良くない、負の連鎖を断ち切らなければならないとスカーレットに言う。戦い、復讐を遂げるという目標があるスカーレットは聖と衝突しながらも、共に「見果てぬ場所」を目指し、旅をしていく。 あるとき、二人で焚火をしていると、聖が急に歌い始めた。それを聴いたスカーレットは、現代日本の渋谷で短髪の自分と聖がダンスをしているという光景を目にする。スカーレットは「こんな生き方もあったのか」と思い、次第に彼女の心は揺れ動いていく。なお、このシーンが、かの有名な「渋谷ダンスシーン」である。
再びクローディアスと対峙したとき、スカーレットは最も過酷な戦いに直面する。果たして彼女は憎しみの連鎖を断ち切り、復讐の先にある生きる意味を見出すことができるのか?—スタジオ地図[2]
登場人物
- スカーレット
- 声 - 芦田愛菜
- 本作品の主人公。中世デンマークにある王国の王女。父アムレット国王をクローディアスに謀殺され、復讐のために取り憑かれたように剣術、格闘術の稽古に明け暮れる。クローディアスの暗殺に失敗後、クローディアスに毒を飲まされ死亡。死者の国の血の沼で目を覚まし、老婆にクローディアスも死者の国にいると聞かされ、一度失敗した復讐を果たすため、死者の国の砂漠を一人で旅していた。その途中で聖と出会うも、価値観の違い過ぎる、特に誰であっても殺生を良しとしない聖の言動が理解できず、冷たい態度を取っていたものの、旅をするうち徐々に心変わりしていき、偶然2030年代の渋谷の街中で聖とダンスを踊る幻覚を見たことにより、平和な世界で聖と共に暮らすことに憧れを持つようになり、クローディアへの復讐一辺倒であった旅の目的に疑問を持つようになる。
- 聖(ひじり)
- 声 - 岡田将生
- 渋谷にある救命救急センター勤務の看護師。通り魔事件の被害者の手当に出動したが、偶然出会った通り魔から子供を庇い、刺殺される。死者の国に着いても、スカーレットと出会ってしばらくは、自分が死者であるという認識がなかった。生前習っていたなどの伏線描写が一切無いが、弓術と馬術を体得している。看護師という生業からも(死者の国であることを理解していないから、という面もあるが)、人の命や怪我には、誰であろうと放っておけない優しすぎる性格。しかし自分が死者と気付いてからはスカーレットの命を狙った刺客を躊躇無く弓で射ち殺すという行動をする。
- アムレット
- 声 - 市村正親
- スカーレットの父。心優しい国王だったが、クローディアスの罠に嵌められ処刑される。
- ガートルード
- 声 - 斉藤由貴
- デンマーク王妃でスカーレットの母。スカーレットを全く愛しておらずひどく嫌っているが、その理由は実の母親ではなく継母であるためである。アムレットの死後はクローディアスに寝返り、再婚し王妃に返り咲いている。
- クローディアス
- 声 - 役所広司
- スカーレットの叔父でアムレットの弟。冷酷非道な性格で、アムレットの処刑を命じた。スカーレットとほぼ同時に毒の誤飲によって生命を落としたが、スカーレットが旅を始めた頃には既に生前のデンマーク王城とほぼ変わらないほどの城を築き、王に君臨していた。
- ポローニアス
- 声 - 山路和弘
- 宰相。
- レアティーズ
- 声 - 柄本時生
- ポローニアスの息子。
- ヴォルティマンド
- 声 - 吉田鋼太郎
- 守備隊。
- コーネリウス
- 声 - 松重豊
- 守備隊。
- ローゼンクランツ
- 声 - 青木崇高
- 宮廷の家来。
- ギルデンスターン
- 声 - 染谷将太
- 宮廷の家来。
- 少女
- 声 - 白山乃愛
- 死者の国でスカーレットが市場の外れで出会う。
- 老婆
- 声 - 白石加代子
- 墓掘り人
- 声 - 宮野真守、津田健次郎
- 年寄りの長
- 声 - 羽佐間道夫
- 聖が助けようとした隊商の年寄り。
- 宿の主人
- 声 - 古川登志夫
スタッフ
- 原作・脚本・監督 - 細田守
- 作画監督 - 山下高明
- キャラクターデザイン - Jin Kim、上杉忠弘
- CGディレクター - 堀部亮、下澤洋平、川村泰
- 美術監督 - 池信孝、大久保錦一、瀧野薫
- 色彩設計 - 三笠修
- 撮影監督 - 斉藤亜規子
- 音楽 - 岩崎太整
- プロダクションデザイン - 上條安里
- 衣装 - 伊賀大介
- 編集 - 西山茂
- リレコーディングミキサー - 佐藤宏明(molmol)
- 音響効果 - 小林孝輔
- ミュージックスーパーバイザー - 千陽崇之
- キャスティングディレクター - 増田悟司、今西栄介
- CGプロデューサー - 豊嶋勇作
- CG制作 - デジタル・フロンティア
- 製作指揮 - 澤桂一
- 製作 - 桑原勇蔵、門屋大輔、菊池剛、市川南、齋藤優一郎
- 製作統括 - 江成真二、工藤大丈、上田太地、小池由紀子
- エグゼクティブプロデューサー - 飯沼伸之
- プロデューサー - 齋藤優一郎、谷生俊美、高橋望
- Co-プロデューサー - 櫛山慶、佐原沙知、荻原知子
- 企画・制作 - スタジオ地図
- 製作幹事 - スタジオ地図有限責任事業組合(LLP)・日本テレビ放送網・ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 共同幹事
- 共同事業体 - 日本テレビ放送網、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、KADOKAWA、東宝、スタジオ地図
- プロモーションパートナーズ - 読売テレビ放送、電通、博報堂、ジェイアール東日本企画、ローソン、読売新聞社、ムービック、札幌テレビ放送、宮城テレビ放送、静岡第一テレビ、中京テレビ放送、広島テレビ放送、福岡放送、青森放送、テレビ岩手、秋田放送、山形放送、福島中央テレビ、テレビ新潟放送網、テレビ信州、山梨放送、北日本放送、テレビ金沢、福井放送、日本海テレビジョン放送、山口放送、四国放送、西日本放送、南海放送、高知放送、長崎国際テレビ、熊本県民テレビ、テレビ大分、テレビ宮崎、鹿児島讀賣テレビ
- 配給 - 東宝、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
製作
脚本と監督を務めた細田守は、『果てしなきスカーレット』では従来の2Dアニメーションや「ハリウッドスタイルのCG」を使用せず、異なる映像表現を目指すと述べた[11]。制作には細田の過去作よりも長い4年半が費やされた。これは、アニメでは珍しい表情の細部など、より詳細な美的表現のためにデジタル技術を取り入れたためである。細田は「多くのキャラクターやモデルのディテールは、2Dで行うには不可能ではないにしても、極めて困難なものになるだろう」と語っている[12]。
アニメーション制作はスタジオ地図が行い、日本テレビおよびソニー・ピクチャーズ エンタテインメントと共にプロデュースも担当している。プロデューサーにはスタジオ地図代表取締役の齋藤優一郎、日本テレビの谷生俊美、高橋望がクレジットされている[8]。
公開
日本では、東宝とソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの配給により、2025年11月21日に劇場公開された[7][11]。
当初、ソニーはコロンビアピクチャーズを通じて海外配給を行う予定で、北米では日本公開の2週間後となる12月12日の公開を計画していた[8][13]。しかし2025年8月、北米での配給権はソニー・ピクチャーズ クラシックスに移管された[14]。同社は同年後半に賞レースの参加資格を得るための限定公開を行い、その後2026年2月6日に拡大公開する計画を発表した[15]。その他の地域については、コロンビア・ピクチャーズがソニー・ピクチャーズ リリーシング インターナショナルを通じて配給権を保持している[1][16]。
2026年2月16日の日本テレビの定例会見における質疑応答で、同社専務の澤桂一は、『果てしなきスカーレット』の国内興行成績が不振だったことを認めた[17]。
日本での興行収入は約6億3000万円。前作『竜とそばかすの姫』の約66億円から10分の1未満の結果だった。
評価
「国際シネフィル協会」のマシュー・ジョセフ・ジェナーは、本作を「強力な物語作品であるだけでなく、視覚的・聴覚的にも優れた成果」と評し、「繰り返し見ることでより報われる映画である」と述べた[18]。一方、「IndieWire」の映画批評家アダム・ソロモンズは、「視覚的には印象的だが、物語的には記憶に残らないバロック・ファンタジー」と評した[19]。
2026年3月1日現在、レビュー収集サイトのRotten Tomatoesでは、73件の批評家レビューに基づいた支持率は75%[20]、Metacriticにおけるメタスコアは、16件の批評家レビューに基づき60点となっている[21]。また日本の映画情報サイトのユーザーレビューでは、映画.comで5点満点中3.0点[22]、Filmarksで5点満点中2.9点という評価を得ている[23]。
制作サイドの一つである日本テレビの取締役は、2025年12月の時点で「今までの作風にこだわらないものを作ろうとした。結果、受け入れにくかった方が多かったのではないか」と分析。さらに2026年2月には、大不振のまま終わってしまった現状を踏まえ「SNSなどのネガティブキャンペーンの波にのみ込まれてしまった。それによりライトユーザーを取り残してしまった」と説明している[24]。