真正紅藻綱
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1. (上) サンゴモ属の1種 (サンゴモ目) (下) ユカリ属の1種 (ユカリ目) | ||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||
| Florideophyceae Cronquist, 1960 | ||||||||||||||||||
| 下位分類 | ||||||||||||||||||
真正紅藻綱(しんせいこうそうこう、学名: Florideophyceae)は、紅藻の中で最大の綱であり、およそ6,800種が知られる[3]。接合子(受精卵)が配偶体上で発生し、果胞子体とよばれる特異な複相世代を形成する。そのため、配偶体、果胞子体、四分胞子体からなる3世代交代を行う。すべて多細胞性であり(図1)、多くは沿岸岩礁域に生育しているが(海藻の中で最も種数が多い)、一部は淡水生(カワモズク、オキチモズクなど)。テングサ類やオゴノリ類、キリンサイ類、フノリ類、トサカノリなど食材や粘質多糖(寒天、カラギーナン)の原料として身近な海藻を含む。
真正紅藻綱に属する種は、全て多細胞性である[4][5][6][7][8][9](図1, 2)。藻体の外形は糸状、紐状、膜状、樹状など多様であり、一部の褐藻(オオウキモやホンダワラなど)ほど複雑・大型ではないが、皮層 (cortex) と髄 (medulla) のような単純な組織分化を示すものが多い[10][11][12][13](下図2d)。
藻体は分枝糸状体を基本とし、しばしばそれがまとまって偽柔組織 (pseudoparenchyma) を形成する[4][5][6][7][8](下図2d)。三次元的な細胞分裂による柔組織をもつものはいない。基本的に先端成長(頂端成長)をするが、節間成長をすることもある[14]。
糸状体を形成している中間の細胞が傷害などによって消失すると、ロドモルフィン (rhodomorphin) とよばれる糖タンパク質が分泌され、これが修復ホルモンとなって上下の細胞の分裂を誘導し、生じた細胞が中間部で融合して糸状体が修復される例が知られている[15][16]。このような糖タンパク質とその受容体は、有性生殖(連絡糸と助細胞の融合など)や二次ピットプラグ形成、寄生者と宿主の融合のような真正紅藻でよく見られる細胞融合現象にも関与していると考えられている。
真正紅藻において、細胞間にはピットプラグ(ピットコネクション)が存在する[4][5][6][7][8][17][18]。ピットプラグにおけるキャップ膜やキャップ層の有無や形式は多様であり、真正紅藻内の重要な分類形質となっている(紅藻のページ参照)。古くは、ピットプラグは真正紅藻綱に特有の構造だと考えられていたが[19]、現在ではオオイシソウ綱の一部やウシケノリ綱の胞子体でも見つかっている。
真正紅藻の細胞は、粘質多糖であるガラクタン(寒天やカラギーナンなど)に富む細胞壁で囲まれている[5][6][7][8][18]。細胞壁の繊維多糖はセルロースであることが多いが、種によっては β-1,4マンナンやβ-1,3キシランのこともある。また真正紅藻の中には、細胞壁に炭酸カルシウムを沈着させるもの(石灰藻)がいる(特にサンゴモ亜綱)。炭酸カルシウムの結晶様式には複数が知られているが、真正紅藻の中には方解石(カルサイト)を主とするもの(サンゴモ目など)とアラレ石(アラゴナイト)を主とするもの(ウミゾウメン目やイギス目などの一部)がいる。サンゴモ類の中には、体全体が石灰化する無節性 (nongeniculate) の種(図3a)と、石灰化した節間部が石灰化していない膝節で連結している有節性 (geniculate) の種(図3b)がいる。
一部の真正紅藻では、細胞壁最外層にタンパク質層が存在し、クチクラ (cuticle) とよばれる(動物や陸上植物のクチクラとは関係がない)。多層のクチクラを介した光の干渉によって、水中で光る (iridescence) 種もいる[20][21](上図3c)。日本に分布する種の中では、スギノリ(スギノリ目)やウスバワツナギソウ(マサゴシバリ目)などが水中で光ることが知られている[22]。
葉緑体は細胞膜に沿った側膜性でピレノイドを欠き、1細胞に多数のことが多い。しかし、中央にピレノイドをもつ星状中軸性の葉緑体が1細胞に1個存在するものもいる(特にウミゾウメン亜綱)[8][9][18]。カロテノイドとしてゼアキサンチンとβ-カロテンをもち、それに加えてアンテラキサンチンをもつものと、ルテインとα-カロテンをもつものがいる[23]。ゴルジ体シス面は小胞体・ミトコンドリア複合体に面している。貯蔵多糖は基本的にアミロペクチンであり、細胞質基質に貯蔵される。アミロースを欠く点で緑色植物などがもつデンプンとは異なるため、特に紅藻デンプン (floridean starch) とよばれる[24]。低分子炭水化物としてフロリドシド、ジゲネアシド、ズルシトール、マンニトール、ソルビトール、トレハロースなどが報告されている[25]。真正紅藻の細胞は、しばしば多核性や多倍性を示す[18]。
生殖と生活環

真正紅藻類は、基本的に単相の配偶体 (gametophyte)、配偶体上にできる複相の果胞子体 (carposporophyte)、および独立した複相の四分胞子体 (tetrasporophyte) からなる3世代交代 (triphasic life cycle) を行う[4][5][6][7][8][18](図4)。
配偶体は、雌雄同株の場合と雌雄異株の場合がある[4][5][6][7][8][18]。精子嚢は不等分裂によって斜めに切り出され、それぞれ不動精子 (spermatium) を1個形成する。造果器 (carpogonium) は、1細胞–約20細胞からなる特殊な細胞列(造果枝、胎原列 carpogonial branch)の先端に形成される。造果枝の中で造果器の下に続く細胞を器下細胞 (hypogynous cell) とよび、また造果枝が生じる細胞を支持細胞 (supporting cell) とよぶ。造精器や造果器は、体を構成する細胞糸に側生または頂生し、サンゴモ目では生殖器巣 (conceptacle) とよばれる藻体の特殊な窪みの中に形成される。

接合子(受精した造果器)は直接、または別の細胞(助細胞など)を介して造胞糸 (gonimoblast) とよばれる複相の細胞糸を形成し、造胞糸全体またはその先端が果胞子嚢となる[4][5][6][7][8][18]。それぞれの果胞子嚢では複相の果胞子 (carpospore) が1個ずつ形成される。造胞糸の集まりは配偶体上に形成されるが、核相が異なるため(複相と単相)、配偶体とは異なる世代と見なされ、果胞子体 (carposporophyte) とよばれる。果胞子体の発生においては、母体である配偶体からの栄養供給が重要な役割を果たしている[26]。発達した果胞子体は、しばしば母体となった配偶体由来の保護組織に囲まれる。この保護組織は果皮 (pericarp)、果皮とそれに包まれた果胞子体を合わせて嚢果 (cystcarp) とよばれる(図5)。嚢果の一端にはふつう孔 (ostiole) があり、果胞子はここから放出される。果皮の内側にはしばしば無色の細胞糸層が発達しており、果胞子体への栄養補給に働いていることが示唆されている。
果胞子体の形成様式には以下のような多様性があり、重要な分類形質となっている[5][6]。
- ウミゾウメン型: 最も単純な形式であり、受精した造果器がそのまま造胞糸を形成する。ウミゾウメン亜綱やイタニグサ亜綱に見られる。
- サンゴモ型: 受精した造果器が器下細胞や支持細胞と融合し、さらに隣接する支持細胞などと次々に融合して巨大な融合細胞 (fusion cell) を形成し、そこから造胞糸を形成する。サンゴモ亜綱に見られる。
- テングサ型: 造果器から生じた造胞糸が所々で配偶体の栄養細胞 (栄養助細胞) と融合しながら伸長し、果胞子嚢を形成する。受精した造果器が器下細胞や支持細胞と融合して融合細胞を形成し、ここから造胞糸を伸ばすこともある。マサゴシバリ亜綱テングサ目に見られる。
- ヒビロウド型: 造果器または融合細胞から連絡糸 (connecting cell, connecting filament, ooblast) とよばれる細胞糸を伸ばし、これが造果枝外に既に存在する特殊な細胞である助細胞 (auxiliary cell) と融合する。助細胞は連絡糸を介して受精核(のコピー)を受け取り、造胞糸を形成する。助細胞の位置は分類群によって多様であり、スギノリ目などでは造果糸から離れた場所に存在するが、マサゴシバリ目では造果糸の支持細胞から助細胞が生じる。マサゴシバリ亜綱に見られる。
- イギス型: ヒビロウド型に似るが、助細胞は造果糸の支持細胞から受精後に生じる。このような形式は、受精できて初めて次世代に対する投資を行うので、無駄な投資を避けるという意味があるのかもしれない。マサゴシバリ亜綱イギス目に見られる。
真正紅藻はこのような過程を経て、1個の接合子(受精した造果器)から多数の果胞子を形成することができる。例えば Schmitzia sanctae-crucis(スギノリ目)では、1個の接合子から 4,500個もの果胞子が形成される[27]。このような特徴は、分散において不利と思われる鞭毛を欠くという紅藻の性質を補う意味があると考えられている[28]。

果胞子は、発芽して四分胞子体となる。四分胞子体は四分胞子嚢 (tetrasporangium) を形成し、そこでふつう減数分裂を行って4個の四分胞子 (tetraspore) を形成する[4][5][6][7][8][18](図6)。ただし四分胞子形成時ではなく、発芽時に減数分裂が起こるとの報告もある[29]。四分胞子嚢中での胞子の配置様式には、十字状 (cruciate)、環状 (zonate)、四面体状 (tetrahedral) などの多様性があり、重要な分類形質とされる。四分胞子の代わりに、胞子嚢中に2個形成される二分胞子 (bispore) や、多数形成される多分胞子 (polyspore) を形成する例も知られている。
上記のように、真正紅藻の生活環は、基本的に配偶体、果胞子体、四分胞子体からなる3世代交代からなる。配偶体と四分胞子体の大小、各世代の移行過程などに基づいて真正紅藻の生活環は以下のようにタイプ分けされる[4][5][6]。
- イトグサ型 (Polysiphonia-type): ほぼ同形同大の配偶体と四分胞子体、および配偶体上に寄生した微小な果胞子体の間で3世代交代を行う。
- カギノリ型 (Asparagopsis-type): 大型の配偶体と微小な四分胞子体、および配偶体上に寄生した微小な果胞子体の間で3世代交代を行う。
- カワモズク型 (Batrachospermum-type): 大型の配偶体と微小な四分胞子体(シャントランシア期)、および配偶体上に寄生した果胞子体の間で3世代交代を行い、四分胞子体が四分胞子を形成することなく直接減数分裂して配偶体が生じる。
- ダルス型 (Palmaria-type): 雄性配偶体と胞子体は同形同大であるが、雌性配偶体は微小な盤状体。果胞子体を欠き、受精した造果器は直接四分胞子体に成長する。
また一部の種では、果胞子から四分胞子体にかけての時期を省略して造胞糸が直接四分胞子嚢(四分果胞子嚢 carpotetrasporangium)を形成する[18]。
生態

真正紅藻の多くは沿岸岩礁域に生育しており(図7)、海藻として最も種数が多い[4][5][6][7][8]。岩などの基物に付着しているが、最終的に基物から切り離されて浮遊性になる種も報告されている[30]。他の海藻や動物に特異的に付着している種もいる[31][32][33]。
真正紅藻の多様性は熱帯域で最も高いが、北極や南極など極地で年間10ヶ月間氷で覆われる場所に生育する種もいる[8]。
真正紅藻の中には、細胞壁に炭酸カルシウムが沈着して石灰化する種(石灰藻)が比較的多く知られている(サンゴモ亜綱、ウミゾウメン目の一部など)。石灰化する紅藻(特にサンゴモ目)は沿岸域で量的に多く、その石灰化は生態系にも大きな影響を与えることがある(サンゴ礁や磯焼け)[34][35]。また石などに無節サンゴモ類が着生し、それが長い年月(ときに100年以上)をかけて層状に成長して転石状になることがあり、サンゴモ球(ロドリス rhodolith, rhodlite, algalith, coralline algal nodule)とよばれる[36][37](図8)。日本、オーストラリア、地中海、北大西洋、カリフォルニア湾、カリブ海東部、ブラジルなどではサンゴモ球は海底に一面に密集していることがあり、rhodolith bed とよばれる[38]。サンゴモ球は深い水深にも見られ、バハマ沖の水深 268 m からの報告もある[39]。
真正紅藻は生産者として沿岸生態系において重要な構成要素であり、さまざまな動物の食料となり、また住処を提供している。少なくとも一部の紅藻はテルペノイドやアルカロイド、ハロゲン化合物などの物質を産生し、被食防御や抗微生物物質としていることが知られる[40][41]。
真正紅藻の一部は淡水生であり(ウミゾウメン亜綱に多い)、特に流水域に生育する(カワモズク、オキチモズク、チスジノリなど)。このような種の中には、絶滅危惧種となっているものも多い[42]。
真正紅藻綱の中には、寄生性の種が100種ほど知られている[43][44][45]。寄生性紅藻の多くは、ごく近縁な紅藻を宿主とする(アデルフォパラサイト adelphoparasite)。その寄生様式は極めて特異であり、寄生者の細胞が宿主細胞に融合することによって寄生者の核が宿主細胞内に送り込まれ、この宿主細胞から寄生者の藻体が形成される(つまり寄生者の核が宿主細胞を乗っ取る)[5][46][47]。
人間との関わり
真正紅藻の細胞壁を構成する粘質多糖であるガラクタン(寒天、カラギーナンなど)は、増粘剤やゲル化剤としてさまざまな用途(食品や芳香剤、培地固化剤など)に広く利用されている[48]。また食用とされる真正紅藻も多い。一方で神経毒を含むものや、食中毒を起こすものも知られている。
寒天


寒天 (agar) はアガロース (agarose) とアガロペクチン (agaropectin) からなる[49]。アガロースは、1,3-β-D-ガラクトピラノース-1,4-3,6-アンヒドロ-L-ガラクトピラノースの繰り返しからなる直鎖状の中性多糖であり、ゲル化力に富む。アガロペクチンは、アガロースが硫酸基、ピルビン酸基、メトキシル基などの官能基で修飾された酸性多糖である。アガロペクチンは水溶性の性質を示し、粘性に富むがゲル化力は弱い。
寒天はテングサ類(テングサ目)やオゴノリ類(オゴノリ目)を原料とする[49]。これらの紅藻は寒天原藻 (agarophyte) ともよばれる。日本では採取された天然のテングサ類(特にマクサ、他にオバクサ、オオブサ、オニクサ、キヌクサ、ヒラクサなど)が主であるが、チリ、インドネシア、ベトナムなどでは原料としてオゴノリ類の養殖が行われており、寒天の原料となるオゴノリ類の80%は養殖由来である(2000年当時)[50]。
寒天は熱水で抽出して濾過精製、冷却凝固し、圧力をかけて脱水(圧力脱水法)または冷凍して水と分離する(冷凍脱水法)[49]。寒天は他のゲル化剤に比べて融点(85–98°C)と凝固点(33–45°C)の差が大きく、変形性に乏しく、含水量が大きい。寒天は食用(羊羹、ところてんなど)、飼料、化粧品、医用品(錠剤、歯科印象剤)、日用雑貨(芳香剤など)、研究試薬(寒天培地、電気泳動用ゲルなど)などさまざまな用途に用いられている(図9, 10)。
カラギーナン


カラギーナン (carrageenan) は、カラギナン、カラゲナン、カラジーナン、カラゲーナン、カラゲニンともよばれる直鎖含硫黄ガラクタンである[51]。カラギーナンは、1,3-β-D-ガラクトピラノース(Gユニット)と β-1,4結合する α-D-ガラクトピラノース(Dユニット)または 3,6-アンヒドロ-α-D-ガラクトピラノース(DAユニット)の繰り返しおよび硫酸エステル基からなる。ユニットの違いや硫酸基の数によってさまざまなタイプに類別される(α, β, γ, δ, θ, ι, κ, λ, μ, ν-カラギーナン)。
主な原料はキリンサイ類(スギノリ目)であり、特に Kappaphycus alvarezii(商品名: コットニー)が総生産の80%ほど、Eucheuma denticulatum(商品名:スピノスム)が10%ほどを占めている[51](図11)。フィリピンではキリンサイ類が大量に養殖されており、世界中の総生産の約80%を担う。他にイバラノリ、ギンナンソウ、スギノリ、ツノマタ(スギノリ目)などが利用され、特にヤハズツノマタ(Chondrus crispus, アイリッシュモス Irish moss)がよく知られている。これらの紅藻はカラギーナン原藻 (carrageenophyte) ともよばれる。
カラギーナンは熱水で抽出して濾過精製、塩化カリウムを加えてゲル化し圧力をかけて脱水(ゲルプレス法)またはアルコールを加えて析出させ精製する(アルコール沈殿法)[51]。精製度が低い低コスト抽出法として、水酸化カリウム溶液で煮沸してゲル化した後に洗浄、天日乾燥する方法が用いられる。カラギーナンは硫酸基を多くもつため負に帯電しており、カリウムなどの陰イオンやタンパク質と反応してゲル化する。
カラギーナンは食用(乳製品、ジュース、肉製品など)、飼料、化粧品、日用雑貨(芳香剤など)などさまざまな用途に用いられている(図12)。
フノラン
フノリ類(スギノリ目)の細胞壁多糖は、古くは織物用糊料や漆喰の材料として用いられていた[52][53]。細胞壁ガラクタンであるフノラン (funoran) は、歯の再石灰化を促進するとされることからガムに用いられ[54]、また薬理効果が示唆されていることから健康食品としても利用されている[55][56]。ときにこれら製品の原料として、さらに文献においても「フクロノリ」と記されていることがあるが、これは「フクロフノリ」の誤りである(真のフクロノリは褐藻の1種)[13]。
食用
下表に示したように、さまざまな真正紅藻が食用として利用されている[48]。ほとんどは天然藻体を収穫しているが、養殖が試みられている例もある。
| 分類群 | 種 | 食例 |
|---|---|---|
| ダルス目 ダルス科 | ダルス | スープ、サラダ、あかはたもち |
| オゴノリ目 オゴノリ科 | オゴノリ、ユミガタオゴノリ (シルナ、スーナ)、クビレオゴノリ、シラモ、ツルシラモ、カタオゴノリ、リュウキュウオゴノリ | 海藻サラダ、刺身のツマ、酢味噌和え、酢の物、 (寒天) |
| スギノリ目 スギノリ科 | スギノリ、シキンノリ | 海藻サラダ、 (カラギーナン) |
| スギノリ目 スギノリ科 | アカバギンナンソウ | 酢の物、味噌汁、 (カラギーナン) |
| スギノリ目 イバラノリ科 | イバラノリ | モーイ豆腐、 (カラギーナン) |
| スギノリ目 ミリン科 | トサカノリ | 海藻サラダ、 (カラギーナン) |
| スギノリ目 ミリン科 | ミリン | 酢の物 |
| スギノリ目 フノリ科 | フノリ類 | 味噌汁、酢の物、海藻サラダ |
| スギノリ目 ツカサノリ科 | トサカモドキ属の一種 (Callophyllis variegata; "carola") | サラダ |
| イソノハナ目 ムカデノリ科 | ムカデノリ、カタノリ、サクラノリ、タンバノリ、フダラク、ツルツル、コメノリ、マツノリ、キョウノヒモ | 酢の物、海藻サラダ、刺身のつま、ムカデコンニャク |
| イギス目 イギス科 | イギス、アミクサ、エゴノリ | イギス豆腐、おきゅうと、 (寒天) |
肥料など
真正紅藻を含む海藻はミネラルに富むことから、世界各地で古くから肥料に使用されてきた[57]。江戸時代、伊豆においてテングサ類(テングサ目)の肥料使用が禁止されたことから、これを利用した寒天製造が始まったとの記録もある。ヨーロッパでは、酸性土壌の土地改良に無節サンゴモの Phymatolithon calcareum や Lithothamnion corallioides などが大規模に用いられている(このような無節サンゴモ類は maerl と総称される; 図13)。1994年にはフランス、イギリス、アイスランドの3国で約8万トンが採取されたという。
その他
マクリ(別名: カイニンソウ、イギス目)は、神経毒であるカイニン酸 (kainic acid) を多く含み、日本では駆虫薬として用いられていた[58]。カイニン酸は、神経科学における重要な試薬として用いられている。ハナヤナギ(イギス目)も同じく神経毒であるドウモイ酸 (domoic acid) をもつことが報告されており、駆虫薬として用いられていた[58]。ドウモイ酸は珪藻 (Pseudo-nitzschia) からも報告されている。
オゴノリ類(オゴノリ目)のいくつかの種は日本を含む世界各地で食用とされているが(上表参照)、食中毒の例がいくつか報告されている[48]。原因物質としてポリカバノシド類、アプリシアトキシン類、プロスタグランシン類が報告されているが、一部は付着藍藻由来である可能性も示唆されている。
系統と分類
真正紅藻は紅藻の中で最大のグループであり、2019年現在およそ6,800種が知られている[3]。果胞子体の存在を特徴とする紅色植物の一群として、古くから認識され、真正紅藻綱または紅藻綱 (Rhodophyceae)、真正紅藻亜綱 (Florideophycidae) に分類されていた[5]。また真正紅藻亜綱と同じ範囲でウミゾウメン亜綱 (Nemaliophycidae; 現在では範囲が変わっており、真正紅藻の一部のみを含む) の名が使われることもあった[4]。真正紅藻以外の紅藻類は、原始紅藻類(綱または亜綱)としてまとめられていたが、現在では複数の綱に分割されている[59]。紅色植物門の中では、真正紅藻綱はウシケノリ綱の姉妹群であり、両者を合わせて"真正紅藻亜門"[2] (Eurhodophytina) に分類することが提唱されている[60][61][62]。
伝統的には、真正紅藻は果胞子体の発達様式をもとに4目、後に6目(ウミゾウメン目、テングサ目、カクレイト目、スギノリ目、マサゴシバリ目、イギス目)に分類されることが多かった[63]。その後、ピットプラグの形式や生殖様式、生活環などに基づいていくつかの目が提唱された(ベニマダラ目、イタニグサ目、カワモズク目、ダルス目など)。さらに2000年代以降は、分子系統学的研究などに基づいて新たな目が次々と提唱されている。2019年現在では、真正紅藻内に約30目が認識されており、これらは5つの亜綱にまとめられている[3][60][64][65]。これら亜綱・目の系統関係、および目までの分類体系を以下に示す。
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| 14. 真正紅藻綱の系統仮説[64][62][66] |
表2. 真正紅藻綱の目までの分類体系の一例および代表種[3][13][67] (2020年現在)
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