石油ストーブ

From Wikipedia, the free encyclopedia

石油ストーブ(せきゆストーブ)とは、ストーブの一種。灯油燃料として暖房用などを目的に用いられる器具である。

築地市場で用いられる反射式石油ストーブ(2008年式トヨトミHRS-D2908E)
テヘランの市場に並ぶ対流式石油ストーブ(1974年、アラジンブルーフレームヒーター)

広義には同様の用途で用いられる「石油ファンヒーター」を含むことがあり、現に石油ファンヒーターも「強制通気形石油ストーブ」という石油ストーブの一種であるが、本項ではそれを除いた製品・商品を主題に解説する。

概要

油を気化させて発生した気化ガスを燃焼させ、その燃焼熱(エネルギー)を利用して加熱し、暖をとる装置である。器具の構造によって異なるが、上部にやかんを載せて湯を沸かしたり、鍋物などを煮炊きが可能な製品もある[注 1][注 2][注 3]

「石油…」と一般に呼ばれるが、石油(原油)を直接燃料にするわけではない。厳密には「灯油ストーブ」と呼ばれるべきではあるが、灯油は石油からしか分離・製造できないため、「灯油=石油」とみなされて、この呼称が一般化している。

また、英語圏では「ストーブ」とは一般的に調理器具であるコンロを兼ねる暖房器具を指す事から、日本における「石油ストーブ」は「ケロシンヒーター(Kerosine Heater)」、同じく「石油コンロ」は「ケロシンクッカー(Kerosine Cooker)」と呼ばれており、直訳である「ケロシンストーブ(Kerosine Stove)」は用語としては余り用いられていない。

全てのストーブは必ず「水平な場所で使用する」よう指示されており、段差・傾斜・凹凸のある床面に置くと耐震自動消火装置が誤作動したり、灯油漏れなどによる火災事故のおそれがある(かつては全てのストーブに「水平器」が設けられていたが、現行モデルでは廃止)。移動・持ち運びは(万一転倒しストーブ本体が倒れた場合の火災・やけど・灯油漏れを防ぐため)必ず手動消火し本体が十分冷えてから行う(転宅などのため遠隔地へ石油ストーブを運ぶ場合、振動や揺れで内部の灯油が漏れて周囲が汚れたり火災事故となるのを防ぐため・必ず乾電池を外したうえでタンクと油受け皿内の灯油を抜いて空焼きし、運搬時は丈夫な保護シートを敷く)。

ポータブル石油ストーブは(石油ファンヒーター同様)室内の空気を用いて燃やす「開放燃焼式」なので、1時間に1度以上定期的に換気する必要がある[注 4]。時計・タイマー・一定時間が過ぎると強制消火する機能は非搭載なので、就寝時や部屋を無人にする時は火災事故防止のため必ず手動消火する。またストーブを衣類乾燥に用いると、干された衣類が上昇気流によりストーブの天板や前面に落下し火災事故に至る危険がある。加えてスプレー缶をストーブの上や前に置くと、熱で缶内の圧力が膨張し、爆発火災事故を引き起こす。

灯油は「今シーズン中に在庫を使い切り、翌シーズンの使い初めに新規購入する」よう取説で指示されており、昨シーズンより持ち越した灯油は変質灯油となりストーブを故障させるおそれがある(灯油入りポリタンクおよび金属タンクは直射日光や雨水が当たらず・かつ火の気のない冷暗所に保管し、空気や灯油以外の不純物と混じって品質低下を招かないよう、給油時以外はタンクの蓋を必ず閉めておく)。万一水などの不純物がストーブ内に混入・付着した場合は「芯とカートリッジタンクの交換」が必要となる場合がある。シーズンオフで長期保管する場合、「カートリッジタンクまたは本体タンク内に残っている灯油を必ず使い切り、油受け皿内にある灯油も『芯の空焼きクリーニング』によって完全に燃やしきる」よう指示されており、タンク内に灯油を残したまま長期保管すると「変質灯油」になり、翌シーズン使用開始時にストーブを故障させるおそれがある(保管時はストーブ本体の外観も掃除したうえで購入時の箱に入れる、または当該機種の本体サイズに合ったポリ袋・布カバーいずれかを本体へかぶせるなどして埃が付着しないようにし、直射日光・高温・火の気・雨水を避けられる場所へしまう)。

水など灯油以外の液体を入れていたポリタンクを灯油用へ転用する行為は、ストーブを故障させるおそれがあるので厳禁。ガソリンは灯油など他の油に比べて気化しやすく、静電気でも引火する危険がある。消防法では、「専用の金属携行缶に入れて保管する」ことが義務付けられており、携行缶以外で保管すると気化による火災事故の危険があるため厳禁とされている。また、ストーブなどの石油燃焼機器にガソリンを誤って給油すると、爆発火災が起きる危険がある[注 5])。

(下記のような一部の商品を除いて)点火は乾電池を動力源としており、フィラメント点火ヒーター式は単1型2本使用・高圧放電式は単2型4本使用(アルカリ乾電池を推奨)となっている(機種によっては、消火時に乾電池駆動のモーターで臭いを除去する機能も併載。他機器で使用した乾電池を流用すると点火しにくくなる場合があるため、「シーズン初めに新品乾電池使用」を推奨。シーズンオフで長期保管する場合、乾電池を入れたままにしておくと液漏れして本体や電池ケースを腐食させたり、不意の点火による火災事故につながりかねないので必ず外しておく)。多くの機種は乾電池ケースに蓋が付いておらず、電池ケース蓋付き機種はコロナ製対流式ストーブ「SLシリーズ」のみとなっている。また2025年以降発売モデルは「(燃え殻による火災および樹脂部品焼損防止の観点から)マッチおよびタバコ用ライターを用いた点火禁止」とする機種が出ており、「電池点火装置が故障などで使えない場合、市販の電池式やガス式点火器(チャッカマンなど)を用いて点火する」よう指示されている。

現行モデルはヒーター切れの心配がなく1回の操作で確実に着火する「高圧放電点火式」が主流となっており、従来型フィラメント点火ヒーターを用いる機種生産は(需要が減少傾向にあるため)縮小が進んでいる(フィラメント式の場合・芯が摩耗すると新品アルカリ乾電池使用時でも点火しにくくなり、乾電池および点火ヒーターの消耗を早めることがある)[注 6][注 7]

トヨトミは、反射式&対流式石油ストーブと石油コンロの現行モデルを(単2アルカリ乾電池を4本用いる)高圧放電点火式へ一本化し、(単1乾電池を2本用いる)従来型フィラメント点火式機種は生産を完全終了(トヨトミ純正点火ヒーターは交換用途に絞って生産・販売を継続)。点火ボタン・レバーは廃止され、芯調節つまみを回転式は「点火」位置まで時計回りに回しきると・上下式は下いっぱいの位置まで下げきるとそれぞれ放電音がして芯に着火する方式に統一された。乾電池不要の手回し発電点火機種「RS-Gシリーズ」は、芯調節つまみを時計回りに「点火」位置まで回しきったのち・手回し発電式点火ハンドルを引き出して左右いずれかに毎秒1〜2回転させれば放電音がして芯に着火する。なおトヨトミ製の乾電池点火式ストーブ取説では、「シーズンオフなどで保管するため本機から外したアルカリ乾電池は・電池能力が残っていれば他機器に使えるので、本機で使用した電池は他機器動力源として再利用する方法で使い切ってから廃棄する」よう推奨している。

構造による分類

熱の伝播における方式

構造は、多くの熱を上部に発生させる「対流式」と前面に発生させる「反射式」とがあり、設置場所によって使い分けられる事がある。「対流式」から派生して、調理向けの「石油コンロ」も開発された。

対流式

対流式石油ストーブ(1992年式コロナSL-221)
対流式石油ストーブ(1960年式アラジンブルーフレームヒーター シリーズ15 H2201)

機器の中心に燃焼筒があり、炎は燃焼筒の中で立ち上がる。機器全周にわたって熱が放射されるが、熱くなった空気が上昇し、対流を発生させる効果が高い。部屋の中心に置くと空気の対流がよくなり、効率よく暖房できる。

金属製の置き台はネジを緩めることで取り外しが可能だが、通常使用時や保管時は必ず置き台を取り付けないと安定性が悪くなってストーブ本体が倒れやすくなり、灯油漏れなどによる火災事故を招く危険がある。また燃焼中はやけど防止のため運搬用の把手(キャリングハンドル)を必ず下ろしておき、移動・運搬は消火後本体が十分冷え、給油口の蓋をきちんと閉めたことを確かめてから行う(キャリングハンドルは取り外し可能だが、本体上部側面にハンドルがきちんと取り付けられずぐらついていると・運搬時にストーブ本体が外れて落下し、けが・灯油漏れによるやけどや火災のおそれがある)。

灯油タンクは本体と一体化(本体内蔵タンク式)しており、給油口の蓋は紛失しないよう十二分注意しなければならない(蓋を開けっぱなしにすると水・ゴミなどの不純物が灯油に混じって器具本体を故障させたり、運搬時に灯油が漏れて火災事故を招く危険がある)。

タンクには大抵フロート式の燃料計が取り付けられており、おおまかな残量を知ることが出来る。これは後年派生した石油コンロでも踏襲されている。1960年代の反射式石油ストーブは、対流式石油ストーブの下部構造にメッキ加工された反射板と格子状のガードを直に取り付けた形態を採っており、1960年代後半には、やかんなどを乗せる天板を設けた箱形の筐体に、下部構造を丸ごと納める形態を採るものが現れた。1970年代中盤以降にカートリッジ式タンクが現れるまでは、必要に応じてストーブ本体と筐体を分離出来る構造が主流であり、簡易的な対流式ストーブとして用いることも可能であった。

歴史
初期の対流式石油ストーブ(1935年式クロンプリンツ灯油ストーブ)

対流式石油ストーブは、当初は灯油ランプを大型化した暖房器具として世に現れた。灯油ランプでは1780年にアミ・アルガン英語版が円筒芯とガラス製煙突を用いたアルガンランプ英語版を発明して白光炎式燃焼の端緒を作り、1886年にはカール・ヴェルスバッハガスマントルを発明する進歩があったが、対流式石油ストーブは木綿製の平織芯をダイヤルで上下させて火力を調整し、火力が大きいモデルほど幅の広い平織芯を複数列配置するという構成が19世紀末まで用いられていた。

1906年にドイツ帝国のエッケル&グリニッケ社が、灯油を用いたマントルランプである「プラクティカス・バーナー」を発明、程なくアメリカ合衆国への輸出も開始する[1]。プラクティカス・バーナーはアメリカでも大きな人気を博し、アメリカの多くの中小企業がプラクティカス・バーナーに類似した構造のマントルランプの生産販売に乗り出した[2]。そうした企業の一つであるウェスタン・ライティング・カンパニーの創業者であったビクター・S・ジョンソン・シニア英語版は、プラクティカス・バーナーを独自に改良した「アラジンランプ」を1909年に発売。ジョンソン・シニアは米国法人のマントルランプ・カンパニー・オブ・アメリカ英語版の他、英国法人のアラジンインダストリーズを設立し、多国籍企業としての展開と共に盛んな技術開発を行った[3]

戦前の対流式石油ストーブ(1910年式パーフェクションオイルストーブ No.525)

円筒形の芯を用いた対流式石油ストーブは、20世紀初頭にアメリカのパーフェクション・ストーブ・カンパニーによって広められ、1913年の新型の燃焼筒の実用化以降、アメリカにおける白光炎式の対流式ストーブの代名詞となった[4]。一方イギリスのアラジンは、ジャック・インバー(Jack Imber)技師の主導の下、1931年にマントルを用いずに青光炎式燃焼を実現するバーナーヘッドの開発に成功し、同社の灯油ランプや石油ストーブに採用を開始。これがアラジンブルーフレームヒーターの始まりであった[5]

しかし、皮肉な事にパーフェクションとアラジンは共に、1970年代にトヨトミを始めとする日本製対流式石油ストーブの輸出攻勢に圧されて落日の時を迎え、1978年にアラジンブルーフレームは日本法人にて生産されるようになり、1982年に本家英国法人は倒産[6]。翌1983年にはパーフェクションも廃業するに至った。日本製の石油ストーブは1960年代から生産されていたが、1973年以降[7]対震自動消火装置の取り付けが義務化された事により、既存の海外メーカーの水準を上回る安全性を得たことも、好調な輸出の原動力となった。中でもトヨトミのレインボーストーブやムーンライターは、改良されたバーナーヘッド、長寿命のガラス繊維製芯を持ち、既存の対流式ストーブより遥かに小型であった為に海外市場で大きな人気を博し、海外の史家からはパーフェクションやアラジンを凋落させた決定打であったと見なされる程であった[4]

対流式ストーブには、反射式ストーブと同じ赤外線放射を行う燃焼筒を搭載したモデル(赤熱対流型)も存在する。ストーブの側面を囲む人々に、通常の対流式ストーブよりも優れた温熱効果をもたらすのが主目的であるが、中でも富士文化工業(現:フジカ[8])は新機軸を開拓した事績で知られる。1960年代にフジカペットとして始まった一連の燃焼筒付対流式ストーブは、着脱可能な天板により石油コンロの用途も兼ねるように設計されており、アウトドア用途で破損しにくいように、金網製ガードと放熱ドーム式燃焼筒を一貫して採用している。フジカペットは国内でもMMM(サンエム興業)やニューフジカ(崇立工業)といった競合他社を産んだ他、1970年代に対震自動消火装置を搭載したニューペット、1990年代には転倒しても灯油がこぼれにくい構造の「safetina」タンクを採用したハイペットに進化し、韓国のアルパカやパセコ(Paseco)、中国のトニサン(Tonysun、広州市恒富金物技術開発有限公司)などの海外の競合製品が台頭し、これに呼応する形[9]で国産他社もトヨトミKR-47AやコロナSZ-F32など、過去に存在した赤熱対流型を復活させてきた2025年現在も、ソロキャンパーを中心に根強い支持を獲得している。

反射式

反射式石油ストーブ(1998年式トヨトミRS-277)

燃焼筒の奥に熱の反射板を持ち、機器正面へ集中して熱が放射される。室内の空気を対流させるが、反射板による一方方向への暖房効果が高く、機器正面においては比較的遠方に対する暖房効果が高い。かつては燃焼筒上部がドーム型の製品もあったが、現行モデルの燃焼筒は全て「筒型」に統一されている(燃焼筒のガラスが割れたり亀裂が入った場合、火災や不完全燃焼防止のため当該機種に適合する新品をサービスパーツとして取り寄せ交換する)。本体前面には燃焼筒でやけどをしないようガードが設けられており、(高圧放電点火の)上位機種は網目の細かい「メッシュガード」を採用している。

灯油を気化させる「芯」は使用によって先端が炭化するため、シーズン中に1〜2度と収納時に灯油を抜いた状態で点火して残存灯油とともに炭化部分を燃やし切る「空焼き」を行うようにと指示される事がある。しかし、この空焼き処理によっても芯は消耗するため、メーカーから補修部品として替え芯が販売されている(芯に水などの不純物が付着するとタールによって不完全燃焼するおそれがあるため、芯と灯油を新品に交換する)。火力の調節は芯の露出長さ(芯の上下)で行うが、短くなって芯が上がり切らなくなった場合に芯の寿命とされる[注 8]

本体前面下部には燃焼用空気取入口が設けられており、ここが塞がれたりごみなどで目詰まりすると酸素不足で不完全燃焼し一酸化炭素中毒の危険があるので、「1か月に1度以上(掃除機を用いるなどして)ごみ・埃を除去する」よう取説で指示されている。また置き台は本体と一体化しているため(対流式機種とは異なり)取り外し不可。

なお、英国のアラジンは1930年代のブルーフレームの登場以前は、スウェーデンのラディウス社の加圧式ポータブルストーブ「ラディウス モデル33」をバッジエンジニアリングして「アラジンラジエーター」反射式石油ストーブとして販売していたが、1938年以降は「ブルーフレームバーナーでオイルヒーターを加熱する」形態の「アラジン シリーズ6」及び「シリーズ7」を新たにアラジンラジエーターの名称で販売した。

石油コンロ

香港で1960年代に用いられた石油コンロ(火水爐)

対流式ストーブを下敷きとした本体内蔵タンク式の構造に、火鉢に似た円筒形の金属外装と五徳を装着したもの。利用形態は火鉢や囲炉裏に類似しており、暖房器具兼調理器具として用いられる。

また中国からの輸入ポータブル石油コンロには、複数の丸紐芯式灯油ストーブ(定格火力は丸紐芯数で決定される)が見られる。

燃焼における方式

芯(しん)式

通常、燃焼筒の下部にはガラス繊維など不燃性繊維でできた燃焼芯が露出しており、芯の下端は灯油に浸っている。毛細管現象によって上昇する灯油を、芯の先端で燃焼させる。炎は燃焼筒の中で立ち上がり、燃焼筒上部の金網を赤熱させる。この金網と燃焼筒全体から赤外線が放射される。1970年代以前は燃焼芯の材質はアラジンに代表される綿製が主流で、1965年以前のナショナルなどでは紐型の燃焼芯が用いられていた事もあった。しかし、綿製芯は空焼きする事が不可能であり、紐芯は芯交換の作業手順が煩雑であった事から、1970年以降は殆どのメーカーがガラス繊維製の筒型芯を用いる構造へと移行した。

芯上下レバー、カートリッジタンク式の反射式石油ストーブ(EUROSTOVE Vienna、1997年式トヨトミRS-L27相当)

一般的な芯式ストーブは、円筒状に織られた芯が燃焼筒(または燃焼室)下部にある金属製の外筒と内筒の間に挿入され、ストーブの筐体に設けられた調整用ダイヤルまたは芯上下レバーで円筒内の芯を昇降させて炎を調節する。この構造から「芯上下式」と呼ばれる。かつて芯が上下せず一定の高さに固定され、ポット式ストーブと同様に送油量を調節することで、炎を調節する構造のものも存在した。芯式はファンヒーターに比して、構造が簡単で故障が少なく騒音もなく、動作に商用電源が不要[注 9]で利用場所を選ばず、災害など停電時も有用である。

対流式は機器の外装自体が燃焼筒となっているものがほとんどで、耐熱ガラスの覗き窓から芯で灯油を燃焼する炎の様子が確認でき、俗に金冠燃焼とも呼ばれる。炎の色により「白光炎式」(ホワイトフレーム、もしくはゴールドフレームとも)と「青炎式」(ブルーフレーム)があり、製品名に「アラジンブルーフレームヒーター」と用いるものもある。

一段式ガラス燃焼筒
二段式ガラス燃焼筒(トヨトミダブルクリーン)

反射式同様の燃焼筒を採用した対流式ストーブもかつては三洋電機などから発売されており、現在(2019年)でもフジカが販売している。またトヨトミは2009年に一度撤退したが、2015年から復刻商品として再発売した。1970年代までは燃焼筒はドーム型の金網を赤熱させて赤外線を放出する方式が主流であったが、1963年にトヨトミが燃焼筒を耐熱ガラス張りとし、赤外線の輻射効率を高めると共に視覚効果を醸すガラス燃焼筒を実用化すると、特許が失効する1970年代後半以降各社がこの方式へと移行した。ガラス燃焼筒の利点は燃焼芯の直径が同一であっても、燃焼筒の長さを増す事で放熱量を増加させる事が出来る点であり、2025年現在では同一の燃焼芯を用いる機種であっても燃焼筒の長さがより長い高性能機が複数種類ラインナップされている事がある。また、トヨトミは1979年に白光炎式と赤外線輻射式の二段の燃焼筒を持つ「ダブルクリーン」も開発、高い熱効率と消臭効果を持つ燃焼筒を持つモデルが最上位機種として位置付けられる様になった。1990年代に入ると耐熱ガラス燃焼筒の上部にステンレス製の二次燃焼筒を持つ高効率燃焼筒が競合他社でも多種実用化に至り、ホームセンターなどで多数廉売される普及機には一段式ガラス燃焼筒のモデル、家電店で併売される上位機種には二段式ガラス燃焼筒または二次燃焼筒付ガラス燃焼筒のモデルが展開される販売戦略が定着した[注 10]

灯油タンクは(石油ファンヒーター・FF式石油暖房機同様)「カートリッジタンク式」に統一[注 11]され、本体内蔵タンク式は対流型と石油コンロのみとなった(万一カートリッジタンクが破損しても、各機種に適合した予備カートリッジタンクを各メーカーよりサービスパーツとして取り寄せ購入可。灯油こぼれによる火災や水・ゴミなど不純物混入による器具故障を防ぐため、給油口の蓋や口金は破損・紛失させないよう十二分注意が必要)。カートリッジタンクには手を汚さずに給油可能な「よごれま栓」と、万一タンクを倒しても油漏れを防ぐ閉止弁「こぼれま栓」が採用され安全性向上が図られている[注 12]。さらに消防法の規定により「給油時自動消火装置」と「耐震自動消火装置」も搭載され、燃焼中にタンクを抜く・及び外部から強い衝撃が加わると瞬時に芯を下げて強制消火し(灯油漏れなどによる)火災を未然に防げるようになっている(芯調節つまみは「緊急消火」位置になり、「臭いセーブ消火位置」までつまみを手動で動かす通常消火に比べ消火時の臭いが強くなる。タンク未装着時はストッパーで芯上下機構をロックし点火できなくする安全装置も兼務[注 13]。なお本体内蔵タンク式機種は給油時自動消火装置非搭載で「耐震自動消火装置のみ搭載」のため、給油は必ず完全手動消火後に本体が十分冷えてから行う。ただし耐震&給油時自動消火装置はあくまで緊急用なので、通常時はストーブを強く押す・タンクを抜く・緊急消火ボタンを押す形による強制消火ではなく、芯調節つまみを「臭いセーブ消火位置」まで回して手動消火する=この場合、完全消火までに最長約5分を要する。消火ボタンを押して消火後・乾電池式モーターによる消火時臭い除去機能搭載機種は既に国内メーカー全社が生産を終了したため、現行モデルは乾電池を点火時のみに使用)。また灯油が少なくなると空になる約2時間前から給油を色で予告する「給油サイン」もカートリッジタンク採用の芯式石油ストーブ全機種に搭載(タンクは手動消火後に本体が十分冷えてから抜く。灯油が多い時は青・緑・本体キャビネットと同一色いずれかを示し、残量が半分以下になるとサインが赤色に変わる方式の機種と、前面に窓を設けてタンクの灯油満量サインが直接見えるようにした機種の2通りある。本体内蔵タンク採用機種は油量計にて直接給油を予告)。カートリッジタンクには灯油を溢れさせないための「満量サイン」が上部側面に付いており、黒く変色することで油面の位置がわかる。

イスラエルベト・シェアンの家庭で用いられるリッピンギルズ・ファイアサイド石油ストーブ。ストーブ右側に置かれているのがガラス製のカートリッジタンクである。(1969年)

カートリッジタンク式は1940年代末にイギリスのリッピンギルズ・アルビオン・ランプ社[10]で初めて開発された。「ファイアサイド」(Fyreside)と名付けられた小型の反射式ストーブは、天板を開いてガラス製灯油タンクを逆さに差し込む構造であり、火力調整を芯の上下ではなく、固定式の円筒芯に供給される油量をバルブで調整する事によって行う仕組みであった[11]。ファイアサイドはイギリスの他、オーストラリアニュージーランドで大いに売れたが、構造上火災を誘発しやすかった事から[12]イギリス連邦諸国以外には余り普及せずに終わり、リッピンギルズ社自体も1971年に倒産した[13]。日本で金属製のカートリッジタンク式が登場するのは、1970年代以降である。

1950年代のニュージーランドの調度品。白い反射式ストーブはジップ・インダストリー社[14]製のジップ・ケロシンラジエーター。基本構造はリッピンギルズ・ファイアサイドとほぼ同じ。

カートリッジタンク式は給油の度に本体を灯油缶置き場まで持ち運んだり、逆に灯油缶を本体まで運んでくる必要が無くなったことから、腕力の弱い利用者でも扱いやすく、石油ストーブの利便性向上に大きく寄与した。しかしその反面、次のような新たな短所を抱え込むことに繋がった。カートリッジタンクは口金を下向きにして本体に挿入され、本体側タンクの口金受けの突起に押されることで灯油を供給し、本体側タンクの油面が常に一定の高さを保つように設計されている。その為、何らかの原因で本体に大きな揺れが加わると、本体側タンクへの灯油供給が過剰となり、口金受けから灯油が溢れてしまうことがある。これは本体を頻繁に持ち運ぶ必要がある用途では大きな問題となるため、最低でも本体を移動させる際にはその都度カートリッジタンクを本体から抜く必要があり、車載して移動する場合など、本体に大きな横揺れが掛かることが予想される際には、本体側タンクからも灯油を完全に抜いた上で、口金受けを外してからカートリッジタンクを挿入するという面倒な事前作業が必要となる。これは、今日でも比較的頻繁に持ち運ばれる運用を前提として設計された、本体内蔵タンク式の対流式や石油コンロでは必要とされない手順であり、それ故にオートキャンプソロキャンプの愛好家の間では、トヨトミレインボーストーブに代表される小型対流式ストーブと共に、かつては前時代的な設計と見なされていた本体内蔵タンク式の反射式石油ストーブが、レトロな実用品として再評価され、中古市場でも珍重されるようになる風潮を産み出している。

芯調節つまみは「回転式」と「上下式」に二分されており、回転式の現行モデルはつまみサイズが従来より大きくなり回しやすくなっている(上下式つまみを採用した機種は減少傾向にあり、コロナの現行モデルは回転式に統一。つまみはストッパー付きで半周または1周の範囲でしか回せない)。なおシーズン初めの使用や芯を交換・空焼きクリーニング後は、「給油後30分以上放置し芯に灯油を十分染み込ませてから点火する」よう取扱説明書で指示されている。また再点火は消火後5分以上経過し、本体および芯が十分冷えてから行う(消火直後に再点火すると芯へ爆発的に着火して臭いや煤が出る場合があり、従来型フィラメント式点火ヒーター採用機種では点火ヒーターが断線することがある)。

部品交換時は必ず「各メーカー純正部品」を用いるよう指示されており、メーカー純正以外の部品を用いたり(取扱説明書に記載された箇所以外を)素人改造すると不完全燃焼や一酸化炭素中毒の危険がある(摩耗した芯の交換は専門店への依頼を推奨=かつては芯交換方法がストーブ本体説明書に詳しく書かれていたが、現行モデルは各機種に適合したメーカー純正別売り替え芯に付属の説明書にのみ芯交換方法を記載。耐震自動消火装置の感震部を分解したり潤滑油で拭くと、装置誤作動や動作不良による火災のおそれあり)。本体の清掃及び部品交換は必ず消火して本体が十分冷えてから行うと共に、やけどや感電防止のため乾電池は必ず外しておく。また清掃・マッチを用いた手動点火などのため燃焼筒を外して再度置く場合、燃焼筒が芯を踏んでいる(正しく据わらず溝からずれ脱線している)状態で点火すると煤が出て異常燃焼(不完全燃焼)し火災や一酸化炭素中毒に至る危険がある。

2009年以降製造機種は「設計上(一般家庭用として、取扱説明書及び本体注意書きに従った正常な状態で使用した場合)の標準使用期間」が本体及び取扱説明書に表記され、石油ストーブの平均寿命は「8年」とされている(設計上の標準使用期間を超えて長期使用すると、部品の劣化・破損が進んで油漏れによる火災事故、および不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故に至るおそれあり。なお補修用性能部品は当該機種の生産終了後6年間保有しており、この期間を過ぎて故障した場合は修理不能となるため製品自体の買い替えとなる。保証期間は購入日から起算して1年間だが、消耗品交換・および水や灯油以外の油などが混じった不純灯油や昨シーズンより持ち越した変質灯油使用に起因する修理は保証期間内でも有料。業務・店舗用など長時間稼働させる環境で芯式石油ストーブを使用した場合・8年に満たないうちに部品劣化が急速に進み短期間で故障するおそれがあるので、業務用暖房は大型ブルーヒーターや電気暖房を推奨)。

加圧式

ソビエト連邦諸国で広く用いられる加圧式石油ストーブ(ケロガスロシア語版)。写真は燃料に軽油を用いる反射式ストーブであるが、生活文化の違いからか、日本の製品の様なガードや天板は設けられていない。

原理は1892年にスウェーデンで開発された。何らかの方法を用いて燃料タンク内を加圧し、噴霧気化させた灯油をバーナーで燃焼させる方式。点火後は、ヒートパイプを用いて燃焼バーナーの熱をタンクに導いて加温することで、加圧・気化が行われるので、加圧作業は基本的に点火時のみでよい。消火時は、タンクの減圧コックを開いて圧力を抜く(デコンプ)ことで消火する。

この“何らかの方法”には、通常、人力による加圧(ポンピング)が使われる。しかし、この作業は煩わしいもので、しかもそれなりに力を必要とするため、女性にとっては酷な作業でもあった。そこで、別の着火の容易な燃料を用いて点火し、後に灯油に移行するという方法が開発された。この点火用燃料には、日本においては、当初ガソリンが用いられた。これによりユーザーはそれまでのポンピング作業から開放され、製品はいずれも大ヒットとなった。しかしその結果、加圧式の衰退後、後々まで禍根を残す「ガソリン・灯油取り違え」事故が多発したほか、灯油よりもはるかに引火性が高く取り扱いに難のあるガソリンの保管・給油時の事故(当時は自動車の普及がほとんどなく、ガソリンの危険性は一般に周知されていなかった)や、デコンプせずにバルブのみ閉じて消火した後、タンクやバルブが残熱で破損する事故なども発生した。

当初、調理用のコンロとして、日本ではコロナや東陽技研工業(現:ダイニチ工業)が製造・販売を行っていた。この燃焼機構をもとに、コロナが1955年に暖房用の「加圧式石油ストーブ」を開発、発売し、大ヒットとなった。

しかし、1957年にヤナセが輸入代理店となって、上記芯式のI.R.ヒーター(ブルーフレームヒーター・シリーズ15)が日本で発売されると、家庭暖房用に関しては、日本国内メーカーも芯式のストーブへと移行。取り扱いの簡便さと安全性で及ばない加圧式は間もなく姿を消した。

その後、調理用石油コンロとしては、ガスと異なり供給設備が不要なこと、芯式の石油コンロでは火力で及ばないことから、しばらく卓上用のポータブルコンロとして生き残ったが、この用途でも、1969年岩谷産業カセットガスの卓上用ポータブルコンロ「カセットフー」を開発・発売すると、やはり安全性・取り扱いの簡便性から、急速に交代して行った。

現在も残る加圧式石油ストーブは、いわゆるコンパクトストーブと呼ばれるレジャー・屋外用ポータブルのコンロである。加圧方式は、小さいものではポンピング方式が主流だが、この用途にもキャンピング用カセットガスが登場し、その簡便性からシェアを伸ばしている。しかし、ボンベ・カセットカートリッジ供給の液化ガスは自らの気化熱で温度が下がるという特性があり、これに日本の冬季の低温が加わると、気化不良を起こす場合があるため、加圧式石油ストーブも一定のユーザー層を確保している。より大きいものでは、余熱式が主流だが、ガソリンの取り扱いの難しさや消防法による制限から、カセットガスを点火用熱源とするものが多い。バーナーの他、ランタンも存在する。

灯油を加圧気化して燃焼させるという根底の機構そのものは、加圧加温に電気を使う石油ファンヒーターへと受け継がれることになる。

ポット式

トルコの工場で用いられるポット式オイルストーブ。日本で製作される廃油ストーブにもこのような形式が存在する

灯油を燃焼室内で燃焼させる構造で、「芯」を使用しない石油ファンヒーターでも使われている方式である。以下では石油ファンヒーターのように温風を吹き出すファン機能が搭載されていないストーブについて説明する。

燃焼室の皿形になった底部(ポット)に灯油を流し込み、電熱線で点火する。燃焼室には電動送風機による強制給気で空気が送られ、燃焼室外周や内筒に空けられた空気孔から吹きつけることで燃焼を助ける。火力の調節は、燃焼部の脇に置かれた油量調節器のダイヤルを回して行う。油量調節器は給気口の開度調節板と連動しており、不完全燃焼や立ち消えを防ぎ油量に応じ効率よく安定した燃焼が得られるよう調整されている。また停電などで送風機が働かない場合もある程度油量を絞れば、煙突による自然吸気でそのまま使用することが可能である。

燃焼室は耐熱塗装を施した薄鋼板製の外板で覆われ、外板からの輻射熱で部屋を暖める構造であった。家庭用でも10〜30畳用と芯式に比べ発熱量の大きい製品が主流で、部屋の中央に設置するのが普通だった。壁際に置けば輻射熱による火災の恐れもあった。形状は円筒型の他、外板を四角柱の形に替え、更に上部を逆L字に折り曲げた構造の角型も販売された。全高が低く抑えられ外観がコンパクトになり、更に天板の面積が広がったことでやかんや湯沸かし鍋、煮物の大鍋などを一緒に載せられるという利点もあり積雪寒冷地の家庭用として普及した。

のちに芯式同様、耐熱ガラスで覆った燃焼筒の上部を反射板の前部に露出させることで輻射熱を得る反射式の製品が発売された。伝熱部である前面の燃焼筒と反射板、やかん等を載せられる天板以外は塗装した薄鋼板のカバーで覆われており、接触による火傷の危険が少なくなり壁際への設置も可能となった。だがやがてこれらの商品は温風を併用するファンヒーター形式へと進化し、そうでないものは一定の面積以上の大型で官公庁や業務用のものに限られるようになっていった。

官公庁でもファンヒーターやヒートポンプ暖房が主流になる中、教育機関では石炭を燃料とするストーブの設備(煙突や貯炭室→貯油室)の有効活用から長年、トヨトミとサンポットが微小なマイナーチェンジのみで生産を続けてきた。しかし生徒(特に高校生)が教室内でインスタント食品用のお湯に始まり、焼肉鍋物と問題のある使用をすることが多かった。経済産業省省エネ基準設定によりこの形態では達成が難しいことから、最大手のトヨトミが生産から撤退し煙突不要型のファンヒーターへと取替えが進んだ。ただ両社とも開放式大型ストーブ(こちらはマイコン制御の温度調整機能等がある比較的現代的な製品である)に煙突取付けオプションを用意しており、従来品の置き換えにも対応している。サンポットのみが現在も製造している[15]

ファンヒーター形も含め、煙突が必要な従来型ストーブの需要は北海道、および北東北青森県秋田県岩手県)など一部の寒冷地に限られつつある。また、トヨトミはレーザーバーナー[注 14]を使用し[注 15]、同社製のファンヒーター同様の燃焼機構に置き換えている製品があり、ほぼ同じ外観・設計で温風タイプ(純粋なファンヒーターとは異なり輻射熱の割合も大きい)と無温風タイプのモデルをラインナップするなど、石油ファンヒーターとの境界は曖昧になりつつある。

石油ファンヒーターや芯式ストーブに比べると構造が簡素で、灯油以外の燃料で使用することも比較的容易である。古くなったストーブに小改造を施し、廃油を燃料に使用している例(いわゆる廃油ストーブ)が稀に見られる。

排気の種類による方式

  • 煙突式 - 古くから存在する最も一般的な方式。室内から伸びた煙突により屋外へと排気する。現在でも販売されているが、煙突のある一般住宅そのものの減少により市場規模は縮小傾向にある。
  • FF式 - 1980年代中頃から普及し始めた方式。 ストーブ本体から伸びた排気筒により屋外へ強制的に排気する。寒冷地では一般的であるが、積雪時に閉そくし一酸化炭素中毒になる恐れがあり、大抵の製品には閉そくしないように注意書きがされている。かつてFF式のストーブにおいて、ファンヒーターのようなカートリッジタンク式の製品も見られたが、給油の手間がかかるというデメリットが存在したため、ほとんど普及しなかった。

石油ストーブの普及

先進国ではセントラルヒーティングエアコンなど暖房器具の多様化により石油ストーブの販売は鈍化している[16]。ただし、石油ストーブは手軽に持ち運べるため、ガレージなどの補助暖房に利用されている[16]

世界的には市民が燃料の灯油を入手するのが難しい国も多く、石油ストーブがあまり普及していない地域もある[16]

石油ストーブによる事故

火災や換気不足による一酸化炭素中毒による死亡事故が複数報告されており、2005年から2010年の5年間で89人が死亡、重軽傷者が214人発生している[17]。また石油ストーブ周辺は高温になり、可燃物への引火やスプレー缶の爆発などによる事故も318件発生している[17][18][19]

気密性が高い住宅では換気不足による一酸化炭素中毒を引き起こすだけではなく、石油ストーブを使用するときに発生する水蒸気により壁や窓ガラスに結露が発生し断熱材に湿気を帯びさせるため、壁やサッシにカビが生えたり断熱材周辺の木材を腐らせシロアリやキノコが群生する可能性がある[20]。そのため、集合住宅や賃貸物件では安全面の理由も含め石油ストーブの使用を禁止している場合も多い[21]

なお、日本国内で流通する国産または正規輸入品の石油ストーブはこうした過去の事故事例の教訓から、日本産業規格「JIS S 2019 自然通気形開放式石油ストーブ[22]」により、下記の4つの出火安全対策が義務付けられている[7]

  • 芯上下機構がレバー形式のものは、落下物によりレバーが動かされない様、本体筐体から外にレバーの先端が露出しない配置にするか、操作扉などで保護された構造としなければならない事。(1989年改正構造規定)
  • 地震や他物の衝突などで一定以上の揺れが本体筐体に加わった場合、何らかの方法により自動的に燃焼を消火する対震自動消火装置を備える事。(1973年改正による設置義務化)
  • 石油ストーブが転倒した場合、灯油タンクからの灯油の漏出が「15秒間で50g以下」となる構造とする事。(1965年改正構造規定)
  • 保護柵などの構造により、燃焼部に可燃物が直接接触できないようにする事。

輸入品

2025年現在、日本国内で流通する石油ストーブの大半が日本メーカーが手掛けるものであるが、1970年代まではアラジンを始めとする対流ストーブに輸入品が散見され、今日でも欧米製のビンテージ品が輸入販売される事がある。

また、現行品でも消費生活用製品安全法の認証を受けて正規販売される海外メーカーも存在しており、韓国のテセオ電気(TAESEO ELECTRIC CO.,LTD.)が手掛けるアルパカストーブが特に著名である。

一方で、Amazonなど大手ネット通販サイトなどを経由して、消費生活用製品安全法の認証を受けていない中国製の石油コンロ(煤油炉中国語: 煤油炉)が販売されている例も見られる。煤油炉の多くは日本で1960年代初頭に用いられていた紐芯型の構造を下敷きとしている。

これらのいずれの輸入品も、現在の日本で装備が義務付けられている様々な安全装置が原則として装備されていない事が多く、国内正規販売網を持つ海外メーカーでも2010年代以降度々リコールに至っている例も見られる為[23]、運用に当たっては特に留意が必要である。

主な製造メーカー

現在生産中メーカー

※ダイニチ・長府は芯式ポータブル石油ストーブ生産を行っていない(石油ファンヒーター・FF式石油暖房機・対流式ブルーヒーター・煙突式石油ストーブのみ生産)。

  • 株式会社千石
    1985年設立。2002年以降生産を千石へ全面委託。
    • グリーンウッド
    1995年設立。千石の反射式石油ストーブ部門であったが、高圧放電点火式の「GKP-P249N」を最後に、2022年撤退。2023年以降はアラジンブランドで販売される事となった。
  • コロナ(旧:内田製作所)
品番は反射式が「SX」・「BX」・「RX」で、対流式が「SL」でそれぞれ始まる(高圧放電点火機種は反射式のSXシリーズのみで、「E」を付加して区別)。
品番は反射式が「RS」・「RC」・「HRC」で、対流式が「RB」・「RL」・「CL」・「KS」・「ML」・「KR」でそれぞれ始まる(乾電池不要の手回し発電点火機種は「Gシリーズ」として区別)。FF式石油暖房機と石油ファンヒーターは長府製作所へもOEM供給している。
生産はトヨトミへ委託
「ハイペット」のサブネームを持つ赤熱対流式ストーブを生産。放熱ドーム型の燃焼筒の採用を継続している唯一のメーカーでもある。創業者の大野日佐太は技師でもあり、「Safetina」防漏タンクを始めとする様々な技術開発を行った[25]他、1970年代初頭には梁瀬次郎の要請の下、ヤナセや大日本インクとの提携でアラジンブルーフレームヒーターの普及中期の技術的改良に貢献した事績でも知られている[26]
現在は、農芸用保温器のみ。「ニッセン」の略称で知られ、「ゴールドフレーム」の名称を持つ灯油ランプに似た造形の対流式ストーブは現在でも審美的評価が高い。

過去に生産していた日本メーカー

2005年式ナショナルOS-L26D。1990年のOS-18ADより続いた当時最もスリムな形状の反射式石油ストーブであり、そのコンセプトはトヨトミRS-H29シリーズに引き継がれた。
  • パナソニック
    • 松下住設機器→松下電器産業(ナショナル)
    1960年代前半より「アロハ」のサブネームを持つ石油ストーブで参入。高圧放電点火式の「OS-L26D」を最後に2005年限りで石油ストーブ生産より撤退。
  • 日立製作所
    1960年代から1970年代に掛けて生産。
  • 三菱電機
    1960年代に対流式石油ストーブを生産していた。
  • シャープ
    1960年代後半より「ペチカ」のサブネームを持つ石油ストーブで参入。1984年には「201(におワン)」電気モーター式消臭装置を採用した事で注目を集めたが、点火ヒーター式の「HSR-240L」「HSR-26L」を最後に2002年限りで石油ストーブ生産より撤退。シャープ製石油ストーブは電気モーター式消臭装置の登場以降は一貫して芯上下レバー式を採用しており、ダイヤル式に見られる「臭いセーブ消火位置」の設定が無く、緊急消火ボタンで消火する前提の設計となっていた。
    • ニッセイ(暖房器具)
    1980年代より石油ストーブを生産。シャープの反射式石油ストーブのOEM生産元でもあった。1990年代後半には岩谷産業(2007年撤退)にもOEM供給を行っており、シャープの撤退以降は「におい吸臭装置」と名称変更した電気モーター式消臭装置搭載モデルも引き続き生産を続けていたが、点火ヒーター式の「NC-S242RD」「NCH-S292RD」を最後に2013年に事業撤退。2022年に会社も廃業し消滅した。
鍬渓温泉で用いられる、1979年式東芝KSR-214。耐震消火装置が搭載され始めた時期のモデルであり、東芝は「ハイピシャッター」と称していた。
  • 東芝
    1961年参入。1970年代まで生産。1970年代末期の対流型は日本船燈からのOEMでもあった。
  • 新日本電気(現:日本電気ホームエレクトロニクス)
    1960年代から1970年代に掛けて生産。
  • サンポット[注 16]
  • サンデン
  • ユアサ商事
    1990年代初頭のみ。カートリッジタンクが筐体後部に露出した珍しいデザインを採っていた。
  • トヨクニ
    1980年代前半より「レオペット」のサブネームを持つ石油ストーブで参入。後にファンヒーターにも参入したが、石油ストーブは2001年の「DSK-34UWS」、ファンヒーターは1996年の「DSF-A30A」を最後に事業撤退。後に会社も廃業し消滅した。なお、同社は事業参入から事業末期の1990年代後半に至るまで、「レオペット2000」シリーズにて本体内蔵タンク式の反射式石油ストーブの生産を続けていた事績が知られており、2010年代後半よりソロキャンパーの間で俄に注目が高まった。
  • サンエム興業
    「MMM」の名称で1980年代初頭まで、フジカペットに類似した赤熱対流型ストーブを養蚕・温室用途向けに販売。
  • 崇立工業
    1970年代から1987年の倒産[28]まで、ニューフジカの名称で赤熱対流型ストーブを製造。

脚注

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI