第82回天皇賞
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出走馬11頭中、2頭が八大競走の優勝馬。うちの1頭カツラノハイセイコが1番人気に推されていた。稀代のアイドルホースハイセイコーの初年度産駒で、前年の東京優駿(日本ダービー)を制した同馬は、体調不良による休養から明けた3戦目・前走の目黒記念(秋)を制し復活をアピール。父のファンの後押しもあり、1番人気での天皇賞挑戦となった。
その1歳上のホウヨウボーイが2番人気。デビュー戦快勝直後に骨折が判明し長期休養。復帰後は10戦7勝2着3回の好成績を挙げ、関東のエースとしてここに臨んでいた。
3番人気はシルクスキー。1977年に死亡したミンスキーの産駒の牝馬。強烈な末脚が特徴で、前々走の京都大賞典では同期馬カツラノハイセイコらを相手に快勝。1962年にはクリヒデ、1971年にはトウメイが牝馬による天皇賞制覇を果たしていることから、高い人気を受けていた。
そして、ホウヨウボーイと同世代のメジロファントムが4番人気。この時点で重賞勝ちは東京新聞杯だけだったが、前年の天皇賞(秋)と有馬記念を共に僅差の2着。この戦績から、ダークホースとして人気を集めることとなった。
これ以外にも、田原成貴がその才能を高く評価したグレートタイタン、前々年の有馬記念優勝馬カネミノブなどの有力馬が参戦。総勢11頭の出走馬により、天皇賞が行われた。
出走馬と枠順
レース展開
前半
前日の大雨の影響もあり、天候は晴れていたものの重馬場でのレースとなり、人気薄の牝馬・プリテイキャストが先導する形でスタートした。プリテイキャストはこの年の3月に長距離重賞のダイヤモンドステークスを制していたが、春の天皇賞では逃げ潰れて15着と惨敗、前走の目黒記念(秋)は最下位の11着に敗れており、多くの人はこのレースのペースメーカーにしか思っていなかった。だが、プリテイキャストを管理している調教師の石栗龍雄は、関西の逃げ馬ハシハリーが出走を回避したことと、単走で行った最終追い切り[1]でカツラノハイセイコを凌ぐタイムを記録していたことなどから、このレースの勝機を見出していた。プリテイキャストはスタートに難点があったが、他馬が無理に先行しなかったため、逃げを打つことに成功。優勝候補のカツラノハイセイコとホウヨウボーイを引き連れる形で、プリテイキャストは第4コーナーを抜けて最初のゴール板を通過した。ところが、この辺りから母タイプキャスト譲りの気性難が出てしまい、後続馬が折り合いをつけペースダウンしている中、プリテイキャストだけは鞍上の柴田政人の指示に従わず暴走し始めた。ただ、柴田はこのことを予期していたため、全く動じることなくプリテイキャストをマイペースで走らせることにした。
後半
第2コーナー出口で残り8ハロン(約1600メートル)の標識を通過し、レースは後半戦へ突入。逃げるプリテイキャストは他馬を引き離し、向う正面では最大100メートル近い大差のリードを保っていたが、決してハイペースで走ってはおらず、前半1マイルを1分43秒台という、馬場状態を考慮に入れても遅いタイムで通過していた。この状況に、3歳時にプリテイキャストの主戦騎手だったメジロファントム騎乗の横山富雄と、人気薄のアラナスゼット騎乗の岡部幸雄は危機感を抱いていた。しかし、直前を走っているカツラノハイセイコとホウヨウボーイの先手を打って動き出すと不利になる可能性が高く、両馬を振り切っても後方待機のシルクスキーに足許を掬われる危険を抱えるという状態となっていた。
大差を付けて逃げるプリテイキャスト以外の馬たちは仕掛けるタイミングを見出せず、スタート地点であった第3コーナー入口をプリテイキャストは大きなリードを保ったまま通過した。ここで柴田はプリテイキャストの気性を考え早めにスパートを掛けると、堪りかねた横山と岡部がメジロファントムとアラナスゼットを追い出し始めた。カツラノハイセイコ鞍上の河内洋とホウヨウボーイ鞍上の加藤和宏も、2頭の動きを察知して仕掛けた。最後方を追走していた伊藤清章騎乗のシルクスキーも、最後方を脱け出して追い込みを開始する。
こうしてレースは一気にハイペースとなり、プリテイキャストとカツラノハイセイコらの差も次第に縮まってきた。だが、ここまでにプリテイキャストが後続に付けた差は大きく、残り800メートルの時点でも60メートルほどのリードを保ったまま最後の直線に入った。追い掛ける10頭は差を詰めに掛かるものの、ここまでの追走でスタミナを消費したことが影響し、プリテイキャストは最後の1ハロンでは失速したものの、7馬身差[2]の逃げ切り勝ちとなった。2着および3着はペースを察知して早めに仕掛けていた横山鞍上のメジロファントムと岡部鞍上のアラナスゼットが入線。本命視されていたカツラノハイセイコは6着、ホウヨウボーイは7着に終わり、互いに掲示板を外した。シルクスキーはブービーの10着に終わった。
競走結果
| 着順 | 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | タイム | 上がり3F | 着差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 3 | 3 | プリテイキャスト | 3.28.1 | 40.2 | |
| 2 | 2 | 2 | メジロファントム | 3.29.2 | 37.8 | 7馬身 |
| 3 | 5 | 5 | アラナスゼット | 3.29.6 | 38.2 | 2 1/2馬身 |
| 4 | 6 | 7 | カネミノブ | 3.29.8 | 38.1 | 1 1/4馬身 |
| 5 | 8 | 11 | グレートタイタン | 3.29.9 | 37.3 | 3/4馬身 |
| 6 | 4 | 4 | カツラノハイセイコ | 3.30.1 | 39.2 | 1馬身 |
| 7 | 7 | 8 | ホウヨウボーイ | 3.30.4 | 39.4 | 2馬身 |
| 8 | 8 | 10 | クリーンファミリー | 3.31.5 | 38.9 | 7馬身 |
| 9 | 6 | 6 | ユキフクオー | 3.31.6 | 40.0 | 1/2馬身 |
| 10 | 1 | 1 | シルクスキー | 3.32.1 | 39.5 | 3馬身 |
| 11 | 7 | 9 | シービークロス | 3.32.8 | 40.4 | 4馬身 |