非武装地帯 (朝鮮半島)
From Wikipedia, the free encyclopedia
自然
非武装地帯(DMZ)は、敵対行為の再開につながる可能性のある事態の発生を防ぐための緩衝地帯として[2]、大韓民国(韓国)および朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍事境界線(MDL)沿いに、南北それぞれに幅 2 km、延べ 4 km が設定されている[1]。おおむね北緯38度線上に、朝鮮半島を横断するように設定され、総延長はおよそ240 km[3]、面積は 907 km2 である[1]。DMZ東部、東海岸から鉄原までは太白山脈からなる山岳地帯であり、1,000 m 級の山がそびえる。鉄原平野を越えるとなだらかな丘陵地帯となり、西岸である漢江河口まで最大標高400 m 程度の地形が続く[4]。
朝鮮戦争休戦協定発効後72時間以内をもって、すべての兵力・物資・装備はDMZから撤退していなければならない。また、DMZでの敵対行為は認められない。民政(Civil administration)および救援(Relief)に従事するものを除いて、軍事停戦委員会の許可を得ない限り、軍人・民間人を問わずDMZに侵入することはできない[2]。
DMZは朝鮮戦争後、人間の活動の影響をほとんど受けなくなったため、多くの野生生物の生息地となっている[5]。大韓民国環境部の2003年の調査によれば、DMZには1,597種の植物、106種の魚類、29種の両生類・爬虫類、201種の鳥類、52種の哺乳類が生息している[6]。2012年、韓国はDMZを生物圏保護区として申請したものの、これは北朝鮮の反対により失敗に終わった[7]。
共同警備区域
DMZ内部には幅800 m、長さ 400 mからなる共同警備区域(JSA)が設定されている。同区域内の板門店には連絡事務所と会議場が設置されている。朝鮮戦争休戦協定においては、国連軍および朝鮮人民軍はJSAに最大35人の兵士を設置できることになっているが、南北関係の悪化により実際にはそれ以上の兵力が置かれていた[8]。JSAは国連軍・朝鮮人民軍が共同警備することになっていたが、1976年のポプラ事件以降は軍事境界線を挟んだ分割警備となっている[9]。
哨戒所

協定上軍人はDMZに立ち入ることができないが、実際には両国ともに民政を担う警察官という名目で兵士を配備している[10]。DMZ内部への軍事警察の立ち入りについては休戦協定時より両勢力が合意するところであった。当初、彼らの持ち込める武器は拳銃・小銃に限定されていたが、中朝側の軍事停戦委員会会議での提案のもと、短機関銃も持ち込まれるようになった。ベトナム戦争を背景とする南北関係の緊迫化にともない、機関銃や無反動砲などの重火器も持ち込まれるようになり、哨戒所の要塞化も進んでいった[11]。2019年の『ロイター』の記事によれば、韓国はDMZにおよそ60ヶ所、北朝鮮は160ヶ所の哨戒所を設置している[8]。
民間人居住地

韓国および北朝鮮は、DMZ内部にひとつずつ民間人の居住地を設置している。すなわち韓国の台城洞および北朝鮮の機井洞である[12]。2つの村は、それぞれ相手側に対して自陣営の生活の豊かさを誇示するための場として運営されている[13]。
台城洞には2024年時点で138人が居住し[14]、住民は納税・徴兵の義務を免除される。1年あたり8ヶ月以上村内に滞在しなければ住民で居続けることはできず、また、兵役免除の悪用を防ぐため、村外出身の男性と結婚した村の女性も住民登録を抹消される[15]。機井洞は実際には兵士の駐屯地として運用されており、民間人の住民は存在しないと考えられている[16]。

