グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード
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概要

フェスティバルの主催者であるリッチモンド公爵家は、グレートブリテン島南岸のチチェスター北部の丘陵地に12,000エーカーの広大な私有地を持ち、カントリー・ハウス (Goodwood House) や牧草地、リゾートホテル、ゴルフコース、グッドウッド競馬場、グッドウッド・サーキット、チチェスター・グッドウッド空港などを所有している。
第11代リッチモンド公爵チャールズ・ゴードン=レノックスは祖父第9代リッチモンド公爵フレデリック・ゴードン=レノックスが建設したサーキットを復活させた。また、公自身も熱心なレース愛好家であることから、私有地を開放して、古き良き時代のレーシングマシンの魅力を楽しむことのできるイベントを企画した。
1993年6月13日に最初の大会が開催され、成功裏に終わった。翌1994年からは2日間開催、1996年からは金曜日が追加され3日間開催となった。2012年からは木曜〜日曜の4日間で行われる。
入場料金は22歳以上の成人の場合、4日間通しチケットが270ポンド(2025年、日本円で約54,000円)。
カントリー・ハウス前の広場がメイン会場となり、古くは20世紀初頭のクラシックカーから最新型のF1マシンまでが多数展示される。名車・珍車の類まで普段目にすることのない様々なマシンを間近で見ることができる。また、専門書籍の書店やパーツショップ、モデルカーショップなどが出店し、ビンテージカーのコンクールやオークションも行われる。
イギリス荘園文化の薫りや開放的な雰囲気から「モータースポーツのガーデン・パーティー」と形容される。この種の催しとして歴史はまだ浅いが、年々規模が拡大し、世界的に注目されるイベントとなっている。初期の頃は数万人の参加者だったが、2003年には約15万8千人、2011年には推定18万人[1]を記録している。
なお、フェスティバルの2ヵ月後の9月には「グッドウッド・リバイバル」 (Goodwood Revival) というイベントも開催される。こちらはグッドウッド・サーキットを走行するヒストリックマシンのレースイベントである。
ヒルクライム



イベントのハイライトは、新旧の参加車両が出走するヒルクライムレースである。カントリー・ハウス周辺の庭園や牧草地を抜ける細い私道を、1台ずつ順番に走行する。計時方式(タイムアタック)だが、特に優勝等の設定はない。イギリスのモータースポーツ・アソシエーション (Motor Sport Association) からオブザーバーが派遣され、イギリス自動車レースクラブ (British Automobile Racing Club) からコースマーシャルとレスキューが参加している[2]。
コースは全長1.16マイル(1.856km)[3]で、高低差300フィート(約91m)[4]、平均勾配4.9%を登る。コース脇にはガードレールやスポンジバリアではなく、藁で作った昔ながらのストローバリアが並べられている。
レコードタイムは1999年にニック・ハイドフェルドがマクラーレン・MP4-13で記録した41秒6であった[5]が、2019年Day2(Timed Practice)にロマン・デュマがフォルクスワーゲンの電気自動車ID.Rで41秒18を記録し20年ぶりの更新となった[6]。さらに翌Day3(Qualifying Shoot Out)で同車が39秒90を記録し40秒の壁を打ち破る快挙を成し遂げた[7]。2022年にはマックス・チルトンが「ファン・カー」マクマートリー・スピアリングで39秒08を記録している[8]。スピアリングは2023年以降ヒルクライムの計時には参加していないが、2025年には「天井走行デモ」を披露している[9]。
また近年では世界ラリー選手権 (WRC) 用のワークスマシンを中心としたラリーカーのために特設ラリーステージも設けられている。出走車両は年代やカテゴリによってクラス分けされる。以前はソープボックス(動力を持たず、坂道を滑走するカート)によるレースも行われていたが、2004年を最後に休止されている。車両とドライバーの組み合わせにも趣向が凝らされている。往年の名ドライバーがゆかりのマシンを走らせることもあれば、現役若手ドライバーが戦前のマシンを初体験することもある。コースサイドの観客席間近をマシンが走行するので、スピードやエンジンサウンドなどの迫力を楽しむことができる。また、運営上の垣根がなく、一般客が自由にパドックに立ち入ってドライバーと交流を図れる点も参加者を増やす要因となっている。
2013年12月発売のPS3用ゲーム『グランツーリスモ6』には、このヒルクライムコースが収録された[10]。
事故
2000年のヒルクライムでは死亡事故が発生した。ジョン・ドーソン・ダマーがドライブするロータス・63がゴール付近でコントロールを失い、オフィシャルポストに激突。ドライバーとオフィシャル1名が死亡し、もう1名のオフィシャルも片足を切断する重傷を負った[11]。
また、同年のイベントではF1のジョーダン・グランプリの開発責任者だったマイク・ガスコインもジョーダン・199をドライブ中にコースオフし、コース脇の木に激突した[11]。ガスコインは無傷だったが、マシンはひどく損傷した。2001年以降は安全面の配慮からF1マシンは公式計時に参加していない。
記録


歴代の最速タイム記録[12]。公式記録は日曜日「The Sunday Shootout」での計時が対象となっており、2019年のコースレコード更新は反映されていない。
| 年度 | ドライバー | 車両 | タイム |
|---|---|---|---|
| 1993 | サーティース・TS20 | 0:56.30 | |
| 1994 | マクラーレン・MP4/9 | 0:47.80 | |
| 1995 | ウィリアムズ・FW08 | 0:46.06 | |
| 1996 | ウィリアムズ・FW07 | 0:45.00 | |
| 1997 | マクラーレン・MP4/11B | 0:47.30 | |
| 1998 | マクラーレン・MP4-12 | 0:48.30 | |
| 1999 | マクラーレン・MP4-13 | 0:41.60 | |
| 2000 | ティレル・P34 | 0:45.05 | |
| 2001 | フェラーリ 712 Can Am | 0:48.26 | |
| 2002 | トヨタ・セリカ パイクスピーク | 0:47.40 | |
| 2003 | グールド GR51 | 0:42.90 | |
| 2004 | ジャガー・XJR-12 | 0:49.26 | |
| 2005 | ジャガー・XJR-12 | 0:47.96 | |
| 2006 | 日産・350Z GT500 | 0:49.51 | |
| 2007 | 日産・350Z GT500 | 0:53.78 | |
| 2008 | ジャガー・XJR8/9 | 0:44.19 | |
| 2009 | ジャガー・XJR8/9 | 0:44.40 | |
| 2010 | ウィリアムズ・FW05 | 0:47.15 | |
| 2011 | ロータス・88 | 0:48.52 | |
| 2012 | シェブロン GR8 GT3 | 0:46.46 | |
| 2013 | ジャガー・XJR8/9 | 0:45.95 | |
| 2014 | プジョー・208 T16 パイクスピーク | 0:44.60 | |
| 2015 | スバル・インプレッサ "Gobstopper II" | 0:44.91 | |
| 2016 | スバル・インプレッサ "Gobstopper II" | 0:46.23 | |
| 2017 | ジャガー・XJR-12D | 0:46.13 | |
| 2018 | フォルクスワーゲン・ID.R パイクスピーク | 0:44.32 | |
| 2019 | フォルクスワーゲン・ID.R パイクスピーク | 0:42.32 | |
| 2021 | マクラーレン・720S GT3X | 0:45.01 | |
| 2022 | マクマートリー・スピアリング | 0:39.08 | |
| 2023 | マクラーレン・ソーラスGT | 0:45.34 | |
| 2024 | フォード・スーパーバン 4.2 | 0:43.98 | |
| 2025 | フォード・スーパートラック | 0:43.23 | |
| 2026 | フォード・スーパー マスタング マッハE | 0:41.98 |
テーマ
グッドウッドでは毎年何がしかのテーマを設けて、そのテーマに沿った車両やゲストが招待される。また、特定の自動車メーカーを取り上げ、そのメーカーにイベントのホストを任せている。メイン会場の庭にはメーカーの実車を使った巨大なオブジェが展示される。過去に取り上げられたメーカー(および個人)は以下の通り。
- 1997年 - フェラーリ 50周年
- 1998年 - ポルシェ 50周年
- 1999年 - アウディ 90周年
- 2000年 - ジャガー F1参戦
- 2001年 - メルセデス・ベンツ 100周年
- 2002年 - ルノー F1復帰
- 2003年 - フォード 100周年
- 2004年 - ロールス・ロイス 100周年
- 2005年 - ホンダ F1初勝利から40年
- 2006年 - ルノー グランプリレース参戦100年
- 2007年 - トヨタ 75周年
- 2008年 - ランドローバー 60周年
- 2009年 - アウディ 100周年
- 2010年 - アルファロメオ 100周年
- 2011年 - ジャガー Eタイプ50周年
- 2012年 - ロータス 60周年
- 2013年 - ポルシェ 911 50周年
- 2014年 - メルセデス・ベンツ モータースポーツ参戦120年
- 2015年 - マツダ
- 2016年 - BMW 100周年
- 2017年 - バーニー・エクレストン F1への貢献
- 2018年 - ポルシェ 70周年
- 2019年 - アストンマーティン グッドウッドでの最初のレースから70年
- 2021年 - ロータス
- 2022年 - BMW M 50周年
- 2023年 - ポルシェ 75周年
- 2024年 - MG 100周年
- 2025年 - ゴードン・マレーとゴードン・マレー・オートモーティブ
- 2026年 - シンガー
- アウディ(1999年)
- ジャガー(2000年)
- メルセデス・ベンツ(2001年)
- ルノー(2002年)
- フォード(2003年)
- ロールス・ロイス(2004年)
- ホンダ(2005年)
- ルノー(2006年)
- トヨタ(2007年)
- ランドローバー(2008年)
- アウディ(2009年)
- アルファロメオ(2010年)
- ジャガー(2011年)
- ロータス(2012年)
- ポルシェ(2013年)
- メルセデス・ベンツ(2014年)
- マツダ(2015年)
- BMW(2016年)
- バーニー・エクレストン(2017年)
- ポルシェ(2018年)
- アストンマーティン(2019年)
- ロータス(2021年)
- BMW M(2022年)
- ポルシェ(2023年)
- MG(2024年)
- ゴードン・マレー(2025年)
- シンガー(2026年)
