ケイ化白金(II)

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ケイ化白金(II)
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
性質
PtSi
モル質量 223.169 g·mol−1
外観 斜方晶系の結晶[1]
密度 12.4 g/cm3[1]
融点 1,229 °C (2,244 °F; 1,502 K)[1]
構造
斜方晶系, oP8[2]
Pnma (No. 62)
a = 0.5577 nm, b = 0.3587 nm, c = 0.5916 nm
4
危険性
引火点 不燃性
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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ケイ化白金(II)(ケイかはっきん に、英語: Platinum silicide)は、化学式PtSiで表される無機化合物である。0.8 Kまで冷却すると超伝導体となる半導体である[3]

PtSiの結晶構造は斜方晶系に分類され、それぞれのケイ素原子が6つの隣接する白金原子を持つ構造をとる。白金原子とケイ素原子の距離は、1つが2.41 Å、2つが2.43 Å、1つが2.52 Å、残りの2つが2.64 Åである。それぞれの白金原子は同じ距離に6つの隣接するケイ素原子を持ち、隣接する2つの白金原子との距離は2.87 Å、2.90 Åである。距離が2.50 Åを超えるものは、化合物の結合相互作用に関与するには遠すぎるとみなされる。その結果、この化合物を形成する結合は、2組の共有結合のみであることが示されている。1組は、三中心Pt-Si-Pt結合であり、もう1組は、二中心Pt-Si結合である。それぞれのケイ素原子は1つの三中心結合と二中心結合を持つ。PtSiの最も薄い膜は、2つの原子層が交互に積層した1枚の斜方晶系の構造からなり、より厚い層はこの構造を積み重ねることで形成される。実験により、純粋なケイ素を欠いたPtSi中の金属結合が示されているものの、PtSi間の結合機構は、純粋な白金やPt
2
Siよりも、純粋なケイ素のものに類似する[4]

合成

方法

PtSiは様々な方法で合成される。基本的な方法では、純粋な白金の薄膜をシリコンウェハー上に堆積させ、不活性気体中の炉内で30分間450~600 ℃で加熱することで合成される。この方法は、酸素を含む環境ではシリコン上に酸化物層が形成されPtSiの形成を阻害するため、不活性気体中で行われる必要がある[5]

また、シリコン基板上にスパッタリングした白金の層を堆積させることでも得ることができる。PtSiは酸素により汚染されやすいため、他にもいくつかの方法が報告されている。急速な熱処理は、PtSi層の純度を向上させることが示されている[6]。低温(200~450 ℃)での処理も成功することが発見されており[7]、高温ではより厚いPtSi層が形成されるが、950 ℃を超える温度では、大きなPtSi粒子クラスターにより抵抗率の高いPtSiが形成される[8]

反応速度論

合成方法によらず、PtSiは同じ経路で合成される。まず、純粋な白金がケイ素とともに加熱され、Pt
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Siが形成される。すべてのPtとSiが消費され、表面がPt
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Siのみになると、ケイ化物は緩やかにPtSiへの反応を始める。Pt
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Siの反応の活性化エネルギーは約1.38 eVであり、PtSiの反応の活性化エネルギーは1.67 eVである。

酸素は優先的にPtに結合することでPt-Si結合を形成することができる部分を制限し、ケイ化物の形成を阻害するため、反応に極めて有害である。わずか10−7の低いO
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分圧でも、ケイ化物の形成を十分遅延させることが判明している。この問題を回避するために、不活性気体が使われ、小型のアニール室も用いられる[5]。金属膜の洗浄も極めて重要であり、不純な場合はPtSiの合成が不十分となる[7]

特定の状況では、酸化物層が有益となる場合がある。PtSiがショットキーバリアとして用いられる場合は、酸化物層はPtSiの摩耗を防止する[5]

応用

脚注

関連項目

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