母音字
| 大文字 | 小文字 | 転写例 (ラテン文字表記と カナによる類似音) |
| А | а | a | ア |
| Е | е | ä | エ |
| О | о | o | オ |
| Ö | ö | ö | ウ |
| У | у | u | ウ |
| Ÿ | ÿ | ü | ユ |
| Ы | ы | y | ウ |
| И | и | i | イ |
ショル語の母音体系の基本となる短母音音素は8つある。長母音を表記するための専用の文字はなく、母音字を二つ重ねることでこれを表記する。二重母音はなく、半母音й をともなった aй, eй などがある。母音調和はа, ы, о, у の4つの後舌母音とе, и, ö, üの4つの前舌母音。
母音の異音とその条件[1]
| 音素 | 異音 | 条件 |
| /ɑ/ [v 1] | [ɑ] | 軟口蓋音、口蓋垂音の前後。 |
| [ʌ] | 軟口蓋音、口蓋垂音以外の子音の前後。 |
| [ɐ] | 二音節語の最初の非強勢音節。
前の音節に非円唇後舌狭母音[ɯ]や非円唇中舌広めの狭母音[ɪ̈]、円唇後舌半広母音 [ɔ] や円唇後舌狭母音 [u] を含む場合。
など。 |
| /ɯ/[v 2] | [ɯ] | |
| [ɪ̈] | 二音節語の第一音節
多音節語の第二非強勢音節
語末 |
| /ɔ/ |
[ɒ] |
口蓋垂破裂音[q]、[ɢ]の後 |
| [ɔ] |
上記以外 |
| /u/ |
[ʊ] |
多音節語の第二および第三の非強勢音節
二音節語の第一音節が/ɔ/を含む場合 |
| [u] |
上記以外 |
| /ɛ/ |
[ɛ] |
ほとんどの場合。 |
| [æ][v 3] |
二音節語の第二音節において、第一音節が[y]、[i]、[ɨ̞]を持つ場合
二音節語の第一音節において、後続の子音が硬口蓋接近音 [j] の場合
ほか一部の単音節語 |
| /i/ |
[i] |
|
| [ɪ][v 4] |
|
| [ɨ̞] |
非強勢音節、特に前の音節の母音が長母音である場合の第二音節や最終音節 |
| /y/ |
[y] |
|
| [ÿ] |
コンドマ方言の特に南部コンドマ方言の話者に特徴的であり、[y]と同じ位置で現れる。 |
| /ø/ |
[ø] |
|
| [ɵ] |
[ÿ]同様、コンドマ方言の特に南部コンドマ方言の話者に特徴的であり、[ø]と同じ位置で現れる。 |
- 注釈[v]
- ↑ 非強勢の場合、やや弱化し、その調音は/ɯ/に近づく。[2]この二つは交代し得る。さらに、一部の方言には口蓋化された[ɑ̽]が存在し、[tʃ]、[ʃ] や[jl]のあとに出現することがある。[3]非強勢の [ɪ̈]/[ɯ] が弱化し、脱落することもある。[4]
- ↑ 非強勢の[ɪ̈]は音響的に非強勢の[ɐ]と類似している。[3]
- ↑ コンドマ方言の特に南部コンドマ方言の話者に特徴的である。
- ↑ 南部コンドマ方言の話者に特徴的である。
上記の短母音には対応する長母音がそれぞれある。ショル語では、母音の長短のみの違いがある単語があるため、音韻的に区別される。
出典:[1]
括弧内はロシア語からの借用によって取り入れられた音素。
子音の異音とその条件
| 音素 | 異音 | 条件 |
| /p/ | [p][c 1] | #_V, #_C, V_ C[-vd], C[- vd]_V, C_#, V_# |
| [b][c 2][c 3] | V_V, C[son]_V, C[+vd]_V |
| /m/ |
[m] | #_C, V_V, C_V, _# |
| /t/ |
[t][c 4] |
#_C, #_V, V_ C[-vd], C[- vd]_V, _# |
| [d] |
#_C, #_V, V_ C[-vd], C[- vd]_V, _# |
| /s/ |
[s] |
#_C, C_#, C[-vd]_V, C[son]_C[-vd] |
| [z] |
V_V, C[son]_V |
| /ʃ/ |
[ʃ] |
#_C, C_#, V_C[-vd] |
| [ʒ] |
V_V, C[son]_V |
| /tʃ/[c 5] |
[tʃ] |
#_C, C_#, C[-vd] _V |
| [dʒ] |
V_V, C[son]_V, C[+vd]_V |
| /l/[c 6] |
[l][c 7][c 8] |
V_#, V_V, j_V |
| /r/[c 6] |
[r] |
V_V, V_C, V_# |
| /n/ |
[n] |
#_V, V_C, V_# |
| /j/ |
[j] |
V_#, V_C, C[+vd]_V, C[son]_V, V_V |
| /k/ |
[k] |
#_V[-back], V[-back] _#, V[- back] _+C[-vd][c 9] |
| [q][c 10][c 11] |
#_V[+back], V[+back] _#, V[+back] _+C[-vd][c 9] |
| /g/ |
[g] |
V[-back] _V[-back], C[son]_V[-back] |
| [ɣ] |
V[-back] _# |
| [ʁ] |
V[+back] _# |
| [ɢ] |
V[+back] _V[+back], C[son]_V[+back] |
| /ŋ/ |
[ŋ] |
V_#, V_C[+vd], V_C[son] |
| /f/ |
[f] |
|
| /v/ |
[v] |
|
| /x/ |
[x] |
|
| /ɕ/ |
[ɕ] |
|
| /ts/ |
[ts] |
|
- 注釈[c]
- ↑ 前舌母音の前後では軽く硬口蓋化、円唇母音の前後で唇音化、語末で内破音化する。
- ↑ 語末の[p]は次の単語が母音が始まる場合には、有声化して[b]になる。
- ↑ ムラッス川方言の上部トミ川方言では、[b]は[β]として発音される。[5]
- ↑ /t/は通常共鳴音の後では[d]になるが、テュルク諸語に共通する語彙においては共鳴音[l], [r], [m], [j]の後でも有声化せず[t]のままであり続ける。
- ↑ /tʃ/は形態素の境界を超えては有声化しない。
- 1 2 ショル語では本来語頭に来ないが、直前の母音が省略されることで例外的に語頭に立つことがある。
- ↑ 前舌母音の後に発音される場合には硬口蓋化する。
- ↑ [l]は[j]の後に来る場合、硬口蓋化する。
- 1 2 形態素の境界で、接続する接尾辞の無声子音の前に現れる。
- ↑ 形態的に分解できない単語の一部は例外的に[q]が共鳴音と組み合わさることがある。
- ↑ [q]と次の子音の間の後舌母音が脱落した場合、語頭で子音が続く場合がある。
ロシア語由来のいくつかの単語には子音と後続の前舌狭母音を[j]で区切るъや子音の硬口蓋化を示すьも使われる。
出典:[1]
本来語では6つある。
これに加えて、ロシア語からの借用語ではほかに2つある。
出典:[1]
多くの場合、最終音節にあるが、二音節語で第二音節に狭母音がある場合、第一音節に置かれる。また、長母音が含まれる場合は、通常そこに強勢が置かれる。借用語においては、通常借用元の言語のものが保持される。
語が接辞添加によって長くなると、第一強勢を最終音節に、第二強勢が第一音節に置かれる。ただし、語末の接尾辞が非強勢接尾辞の場合は例外である。