バニリン
有機化合物のひとつ、バニラの香りの主成分
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バニリン(華尼林[3]、英: vanillin、中: 香草醛)は、バニロイド類に属す最も単純な有機化合物であり、バニラの香りの主要な成分となっている物質。ラテン語読みでワニリンと呼ばれることもある。
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| 物質名 | |||
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4-Hydroxy-3-methoxybenzaldehyde | |||
| 識別情報 | |||
3D model (JSmol) |
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| バイルシュタイン | 472792 | ||
| ChEBI | |||
| ChEMBL | |||
| ChemSpider | |||
| ECHA InfoCard | 100.004.060 | ||
| EC番号 |
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| Gmelin参照 | 3596 | ||
IUPHAR/BPS |
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| KEGG | |||
| MeSH | vanillin | ||
PubChem CID |
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| RTECS number |
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| UNII | |||
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |||
| C8H8O3 | |||
| モル質量 | 152.15 g/mol | ||
| 示性式 | C6H3(OH)(OCH3)CHO | ||
| 外観 | 白色あるいは淡黄色固体(通常は針状結晶) | ||
| 密度 | 1.056 g/cm³, 固体 | ||
| 融点 | 80–81 °C (353–354 K) | ||
| 沸点 | 285 °C (545 °F; 558 K) | ||
| 1 g/100 ml (25 °C) | |||
| 危険性 | |||
| GHS表示: | |||
| Warning | |||
| H302, H317, H319 | |||
| P280, P305+P351+P338 | |||
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |||
| 引火点 | 147 °C (297 °F; 420 K) | ||
| 安全データシート (SDS) | ICSC 1740 | ||
| 関連する物質 | |||
| 関連物質 | アポシニン、オイゲノール、アニスアルデヒド、フェノール | ||
存在
合成
最初の合成は、1874年にヴィルヘルム・ハールマン、フェルディナント・ティーマン、カール・ライマーらにより、コニフェリンを原料として行なわれた[5]。 これによりバニリンの工業的な生産が可能となり、彼らによってそのための香料会社ハールマン・ウント・ライマー社(現:シムライズ社)がドイツのホルツミンデンに設立された。
現在ではより効率的な4つの合成法が開発されている。サフロールバニリン、オイゲノールバニリン、グアヤコールバニリンの3つの合成法の基礎的な部分の開発を行なったのもティーマンらである。
- サフロールバニリン
- サッサフラスの精油から得られるサフロールをナトリウムメトキシドで処理して二重結合を移動させると同時にアセタールを開環させ、オゾン酸化で二重結合を酸化開裂すると同時にアセタールを除去してプロトカテクアルデヒドとし、ジメチル硫酸でメチル化してバニリンとする。
- オイゲノールバニリン
- クローブバニリンとも呼ばれる。チョウジの精油から得られるオイゲノールをアルカリで二重結合を移動させてイソオイゲノールとし、これをオゾンなどで二重結合を酸化開裂させてバニリンとする。
- リグニンバニリン
- 亜硫酸パルプの製造の際に出る廃液中のリグニンスルホン酸をアルカリ中で酸化分解してバニリンとする。リグノバニリンとも呼ばれる。
- グアヤコールバニリン
- 現在主流の合成法である。グアイアコールをホルミル化して合成する。ホルミル化の方法はライマー・ティーマン反応を用いる方法やグリオキシル酸を付加させた後、これを酸化分解する方法などが知られている。
化学的合成のほかに、合成生物学を利用して細菌や藻類のDNA配列を人為的に操作することで、バニリンを生成する細菌や藻類を生み出そうという試みも行われている(シンバイオ・バニリン)。
醸造によるバニリン生成
バニリンは、原料に米と黒麹を使用した蒸留酒である泡盛の醸造過程において生成される。原料米中の細胞壁多糖にエステル結合しているフェルラ酸が、黒麹菌の持つフェルラ酸エステラーゼによって遊離され、その一部が脱炭酸されて4-ビニルグアヤコールとなり、蒸留液に移行し、貯蔵中に非酵素的酸化によりバニリンに変化する[6][注 1]。
利用
類縁体
類縁体のエチルバニリン(3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド)もバニリンより強いバニラ様の香りを持つ化合物として知られており、香料として用いられている。
その他
国立国際医療センター研究所に所属する山本麻由は、牛糞からバニリンを抽出することに成功し、2007年、第17回イグノーベル化学賞を受賞した。ケンブリッジ市最高のアイスクリーム店トスカニーニズ(Toscanini's Ice Cream)が彼女の成果を称えて "Yum-a-Moto Vanilla Twist" という新しいバニラアイスクリームを製作し、授賞式で振る舞われた[13]。もちろん、このアイスクリーム中のバニリンは牛糞由来ではない。
牛糞1グラムに水4ミリリットルを加えて200度で60分間加熱することで、1グラムあたり約50マイクログラムのバニリンが抽出された。つまり、牛糞中のリグニンスルホン酸をアルカリ中で酸化分解してリグノバニリンを生成したわけである。
元となった論文は、「第8回国際水熱反応ならびに第7回国際ソルボサーマル反応」合同会議で発表された「飼料中のリグニンが未消化で出ることの間接的証明」である。



