ブゴニア
From Wikipedia, the free encyclopedia
| ブゴニア | |
|---|---|
| Bugonia | |
| 監督 | ヨルゴス・ランティモス |
| 脚本 | ウィル・トレイシー |
| 原作 |
チャン・ジュヌァン 『地球を守れ!』 |
| 製作 | |
| 製作総指揮 |
|
| 出演者 |
|
| 音楽 | イェルスキン・フェンドリックス |
| 撮影 | ロビー・ライアン |
| 編集 | ヨルゴス・モヴロプサリディス |
| 製作会社 |
|
| 配給 |
|
| 公開 |
|
| 上映時間 | 118分[3] |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $45–55 million[4] |
| 興行収入 | $41.6 million[5][6] |
『ブゴニア』(原題: Bugonia)は、ヨルゴス・ランティモス監督、ウィル・トレイシー脚本による2025年のブラック・コメディ・スリラー映画である[注釈 2]。チャン・ジュナンの2003年の韓国映画『地球を守れ!』の英語リメイクであるこの作品は、2人の若者からその正体が地球を破壊しようとしている宇宙人であると疑われ、誘拐される有力なCEOが描かれる。イギリス・アイルランド・韓国・アメリカ合衆国の合作であるこの映画は、エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、エイダン・デルビス、スタヴロス・ハルキアス、アリシア・シルヴァーストーンらが出演する。
映画の企画は2020年に始まり、チャンが監督、トレイシーが脚色、アリ・アスターがプロデューサーに就任した。その後チャンが健康上の懸念を理由に監督を降板し、エグゼクティブ・プロデューサーの立場となった。2024年2月までにチャンの後任としてランティモスが監督となり、さらに、ストーンが主演兼プロデューサーとしてプロジェクトに加わった。同年5月にプレモンスがキャストに加わり、その直後にフォーカス・フィーチャーズが第77回カンヌ国際映画祭中に配給権を獲得した。主要撮影は7月にイングランドのハイ・ウィッカムとジョージア州アトランタで始まり、その期間中に残りキャストも発表された。また2025年5月にギリシャのミロス島での追加撮影が行われた。『ブゴニア』の推定製作費は4500万ドルから5500万ドルであるが、これはランティモス史上最高額である[4][16]。
『ブゴニア』は2025年8月28日に第82回ヴェネツィア国際映画祭の主要コンペティション部門でプレミア上映され、さらに同年10月24日にアメリカ合衆国でフォーカス・フィーチャーズ配給により一般公開された。批評家の反応は概ね良く、ストーンとプレモンスの演技も高く評価された。両名は第83回ゴールデングローブ賞や第32回アクター賞で候補に挙がり、さらに第98回アカデミー賞でこの作品は作品賞や主演女優賞を含む4部門で候補となった。
キャスト
※括弧内は日本語吹替。
- ミシェル・フラー - エマ・ストーン(武田華)
- テディ・ガッツ - ジェシー・プレモンス(森宮隆)
- ドン - エイダン・デルビス(玉井勇輝)
- テディの自閉症の従兄弟であり、ミシェル誘拐に協力する。
- ケイシー・ボイド - スタヴロス・ハルキアス(蓮岳大)
- ミシェルを捜索する副保安官で、かつてのテディのベビーシッター。
- サンディ・ガッツ - アリシア・シルヴァーストーン(日野由利加)
- テディの母。
製作
企画と脚本
チャン・ジュヌァンの韓国映画『地球を守れ!』の英語リメイクの企画は、ウィル・トレイシーが脚色し、チャンが監督を務めるという布陣で2020年に始まった[23]。プロデューサーとしてアリ・アスターと契約を交わしており、彼はトレイシーの起用と主人公から男性から女性に変更するというプロセスで重要な役割を果たした[18]。トレイシーは脚本に取りかかる前に『地球を守れ!』を一度しか鑑賞しておらず、2本の映画が互いに独立したものとなることを望んだため、脚本上でオリジナル版のストーリーを忠実に再現しようとはしなかったと述べている[24]。
チャンは健康上の問題を理由として監督から退いたが、エグゼクティブ・プロデューサーとしてプロジェクトに引き続き参加した[19]。2024年2月、ヨルゴス・ランティモスがリメイク版の監督を務め、エレメント・ピクチャーズが製作チームに加わることが明らかとなった[25]。チャンはランティモスの起用を喜び、彼を映画の監督に「非常に適任」と評した[19]。またエマ・ストーンへの出演交渉も行われ、これで彼女はランティモスとの4度目のコラボレーションとなった[26]。ジェシー・プレモンスは5月にタイトルが『Bugonia』に変更され、カンヌ映画マーケットに出品された段階で正式にキャストに加わった[2][27]。10月にはアリシア・シルヴァーストーンがキャストに加わった[28]。2025年5月、エイダン・デルビスとスタヴロス・ハルキアスの出演が明らかとなった[1]。
この映画の題名は、ウェルギリウスの『農耕詩』を含む古代地中海の文献に記されている民俗儀式の名称である。この儀式では、ウシを犠牲に捧げることで、その死骸からミツバチが自然発生するを信じられていた[29]。
撮影
主要撮影は2024年7月にイングランドのオックスショットとハイ・ウィッカムで始まった[30]。撮影はジョージア州アトランタでも行われ、10月に修了した[31]。作品中のオーキソリス本社の撮影場所として、ディットン・パークの共同ワーキングスペースであるボタニカ・ディットン・パークが使われた[32]。ランティモスは、『ブゴニア』の結末の場面をアテナイのアクロポリスで撮影することを希望したが、ギリシャ中央考古学評議会が拒否したことで叶わなかった。代替地として、ミロス島のサラキニコ海岸が選ばれ、2025年5月に撮影が行われた[33]。製作費は4500万ドルとされていたが、『Deadline Hollywood』は実費は5500万ドルに達すると報じており、『哀れなるものたち』を上回ってランティモス作品で最高額となった[4]。
これがランティモスとの4度目の共作となるアイルランド人撮影監督のロビー・ライアンは、ビスタビジョンカメラを用いて8パーフ-35ミリフィルムで撮影した[34][35]。ライアンの推定によると、この映画の約95%がビスタビジョンで撮影されており、これは『片目のジャック』(1961年)以来最も同フォーマットを多用した作品となっている[36]。頭を剃る場面は、カメラが止まりやすいという性質を考慮し、4台のビスタビジョンカメラを同時に稼働させてワンテイクで撮影された[37]。
音楽
イェルスキン・フェンドリックスが映画音楽を作曲・指揮し、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラが演奏した。フェンドリックスとランティモスの共作は、『哀れなるものたち』(2023年)と『憐れみの3章』(2024年)に続いて3度目である[38]。音響デザイナーのジョニー・バーンによると、ランティモスはフェンドリックスに「ハチ」、「地下室」、「宇宙船」という3つのキーワードを基にスコアを書き上げるように依頼した。また彼はスコアを聞くまで、脚本やその他の映像素材を一切提供しなかった[39][40]。
公開
マーケティング
2025年4月2日、シネマコンにおけるユニバーサル・ピクチャーズ/フォーカス・フィーチャーズのパネルで、ランティモスとストーン不在の中で映画の映像が初公開された[41]。6月26日には、グリーン・デイの曲「バスケット・ケース」を使用したティーザー予告編がオンライン上で公開された[42]。ヴェネツィア国際映画祭でのプレミア上映前日の2025年8月27日、初のポスターが公開された。翌日にはチャペル・ローンの楽曲「Good Luck, Babe!」のリミックスが使用された最初の公式予告編が公開され、映画で丸刈りになるストーンの姿が明らかとなった[43][44]。
アメリカ合衆国の限定公開の1週間前には、作品世界観に基づくウェブサイト「Human Resistance HQ」が公開され、これはストーンが演じるミシェル・フラーのキャラクター解説、映画のプロットに関連する記事とファイル集、作中の企業であるオーキソリス社のLinkedInページのリンクが掲載された。さらにロサンゼルスとニューヨークにオーキソリスの広告看板が設置され、それぞれに「アンドロメダ人の汚物」("ANDROMEDAN FILTH")と「人類抵抗軍に参加せよ」("JOIN THE HUMAN RESISTANCE")と落書きされた[45]。
アメリカ合衆国での限定公開の4日前、ロサンゼルスのカルバー・シアターで事前無料試写会が開催され、会場に理容師が待機して頭を剃るサービスが行われ、観客全員が丸刈りで入場した[46]。
劇場公開

『ブゴニア』は、2025年8月28日に第82回ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映された[48][49]。2024年5月のマルシェ・ドゥ・フィルムにて、フォーカス・フィーチャーズがCJ・ENMフィルムズ&テレビジョンが権利を保有している韓国を除く全世界での配給権を獲得し、その親会社であるユニバーサル・ピクチャーズが国際配給を担うこととなった[2]。アメリカ合衆国では2025年10月24日に限定公開され、その1週間後の10月31日に拡大公開された[1]。当初の公開予定日は2025年11月7日であった[50]。アイルランドでは2025年10月31日、韓国では11月5日に公開された[51]。デジタル上映に加え、一部劇場では35ミリで上映された[52]。
ホームメディア
2025年11月25日にビデオ・オン・デマンド(VOD)での配信、12月23日にDVD、Blu-ray、Ultra HD Blu-rayの発売が始まった[53]。

