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ハネモ目

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ハネモ目(ハネモもく、学名:Bryopsidales)は、緑藻植物門のアオサ藻綱に属する目の1つ。多くは肉眼視できる大きさになる大型藻であるが、基本的に藻体の中には隔壁がないため、巨大な単細胞といえる体をもつ(多核嚢状性)。ほとんどは沿岸域に生育する海藻であり、特に熱帯域に多い。ハネモ属やミル属、イワヅタ属(イワズタ属[1][2][3])、サボテングサ属などを含み、イワヅタ属の一種であるクビレヅタは「海ぶどう」の名で食用とされている。およそ30属680種が知られ[4]、日本からは約100種が報告されている[5]。

概要 ハネモ目, 分類 ...
ハネモ目

1. イワヅタ属の1種(イワヅタ科)
ミル属の1種(ミル科)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 植物界 Plantae (アーケプラスチダ Archaeplastida)
亜界 : 緑色植物亜界 Viridiplantae
門 : 緑藻植物門 Chlorophyta
綱 : アオサ藻綱 Ulvophyceae
目 : ハネモ目 Bryopsidales
学名
Bryopsidales
J.H.Schaffner, 1922
シノニム
英名
hair algae
科
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このグループに対する分類群名として、クダモ目(管状藻目、学名:Siphonales)やイワヅタ目(イワズタ目、学名:Caulerpales)が主に使われていたこともある[6][7][8]。また複数の目(ハネモ目、ツユノイト目、ミル目、イワヅタ目)に分割されていたこともある[9][10]。

特徴

体制

ハネモ目に属する種のほとんどは巨視的な大きさになり、長さ数メートル (m) に達するものもいるが、顕微鏡でなければ判別できない微細な糸状体である種もいる(例:カイガラミドリイト属)[4][6][7][11][12][13][14]。全て多核嚢状性 (siphonous, coenocytic) であり、基本的に藻体内に隔壁が存在しないため、巨大な単細胞体(または非細胞体[15])ともよばれる体のつくりをしている。多核で隔壁を欠く細胞糸からなり、1本の細胞糸が1個の単位となる単軸性 (uniaxial) のもの(ハネモ属、ツユノイト属、イワヅタ属、マユハキモ属など)と、多数の細胞糸が組合わさって1個の単位となる多軸性 (multiaxial) のもの(ミル属、サボテングサ属、ハゴロモ属など)がいる[4][12][13](下図2a, b)。イワヅタ属では、"葉"(直立枝)、"茎"(匍匐枝)、"根"(仮根)のような"器官分化"が見られる(下図2c)。また一部の種では、ある程度の"組織分化"を示す。例えばミル属では細胞糸が密集して藻体内側で髄を形成し、藻体表層部は細胞糸の一部が膨潤した小嚢 (utricle) で覆われている(下図1d, e)。葉緑体は小嚢内に密集している。イワヅタ属では、細胞壁が内側に多数突出して trabecula(pl. trabeculae)を形成しており、藻体を補強している。

2a. ハネモ属(ハネモ科)は単軸性の体をもつ。
2b. サボテングサ属(サボテングサ科)は多軸性であり、節と石灰化した節間部からなる体をもつ。
2c. イワヅタ属(イワヅタ科)の藻体は直立枝、匍匐枝、仮根からなる。
2d. ミル属(ミル科)は多軸性の藻体をもち、種によって二又分枝、球状、マット状など外形は多様。
2e. ミル属の体のつくり: 細長い細胞糸(隔壁無し)が絡み合って藻体を形成し、藻体表層では細胞糸が膨潤して小嚢を形成している。

細胞構造

藻体は細胞壁で囲まれる。細胞壁を構成する主要繊維多糖はセルロースではなく、分類群や生活環での時期によって異なる[13][14][16][17][18]。世代交代を行うもの(ハネモ、ツユノイトなど)では、配偶体がβ-1,4-マンナン、胞子体がβ-1,3-キシランを主とする。一方で世代交代を行わないものではグループによって主な繊維多糖が異なり、ミル属ではマンナン、イワヅタ属などではキシランを主とする。サボテングサ属やハゴロモ属などでは、細胞壁に炭酸カルシウムがアラレ石(アラゴナイト)の形で沈着して石灰化する[13][14]。

藻体内の大部分は大きな液胞で占められ、葉緑体などの細胞小器官を含む細胞質は表層近くに薄く分布する[4][12][13]。活発な原形質流動を示し、これによって昼夜で葉緑体の分布を変化させるものもいる[15][19]。藻体は細胞質分裂を伴わない核分裂を行い、多数の核を含む体になる[4][12][13]。核分裂は閉鎖型、中間紡錘体は残存型[7][11][13][20]。ときに極に中心小体が存在しない。

葉緑体は盤状、多数。色素体として葉緑体のみをもつ場合(homoplastidy)もあるが、サボテングサ亜目は葉緑体とアミロプラストを両方もつ (heteroplastidy)[4][12][13][14]。葉緑体はときにピレノイドをもつ。イワヅタ属では、色素体DNAがピレノイド中に局在する例が知られる[21]。ほとんどの種は、カロテノイドとして青緑色光吸収能をもつシフォナキサンチンとシフォネインをもつが、チョウチンミドロ属はシフォナキサンチンを欠く[22][23][24]。

ハネモ目の藻体内部は基本的にひとつながりであり、原形質の流出を防ぐ意味での傷害に対する修復機構が発達している[13]。傷害時には、アクチン繊維が関与した細胞膜の急速な収縮が起こり、また細胞壁を閉じる栓が形成される。イチイヅタでは、傷害時にカウレルペニン (caulerpenyne)[25] とよばれるテルペノイドからオキシトキシン2 (oxytoxin 2) を生成し、これがタンパク質を架橋して急速に栓を形成する。またカウレルペニンは、同様の反応によって植食者への化学的防御物質(毒)として機能することが知られている[13]。

鞭毛細胞

3. ツユノイト属(ツユノイト科)の遊走子嚢 (3–7) と冠鞭毛性の遊走子 (8–11)

ハネモ目における鞭毛細胞としては、配偶子と遊走子が知られる[26]。配偶子は、細胞頂端から対向して生じる2本の鞭毛をもつ[24]。基底小体は上から見て反時計回りにずれて配列しており、鞭毛装置は回転対称の交叉型[24]。一方、遊走子はふつう多数の鞭毛を冠状につけた冠鞭毛性(stephanokont)であるが(図3)、カイガラミドリイト属の遊走子は頂端から生じる4本の鞭毛をもつ[26][24]。またミル属やイワヅタ属、サボテングサ属などにおいては鞭毛細胞は配偶子のみであり、遊走子は形成しない[26]。

生活環

4. ニセハネモ属(ニセハネモ科)の配偶子嚢 (g) と異型配偶子 (3, 5a): 配偶子嚢は本体と区切られている(分実性)。

ハネモ目における生活環の様式は多様である。

世代交代を行うもの(単複世代交代型生活環)では、2本鞭毛性の配偶子を形成する単相(染色体を1セットのみもつ, n) の配偶体と、冠鞭毛性の遊走子を形成する複相(染色体を2セットもつ, 2n)の胞子体の間で世代交代を行う[6][7][12][13][14][26][24]。世代交代を行うものは基本的に異形世代交代であり、配偶体が大型のもの(ハネモ属など)と胞子体が大型のもの(ツユノイト属など)があるが、配偶体と胞子体がほぼ同形である種もいる[4]。ツユノイト属などの配偶体は古くは別属(ウミノタマ属 Halicystis)として扱われていたため、現在では ウミノタマ世代とよばれることがある[26]。ただしツユノイトにおける"胞子体"は複相ではなく、雌雄配偶子由来の核が融合しないまま多核化したもの(重相, n+n)とする報告もある[12]。

ミル属やイワヅタ属、サボテングサ属などは世代交代を行わなず、栄養体が配偶子を形成し、これが接合して形成された接合子が新たな藻体へと発生する[6][7][12][13][14]。栄養体は複相で配偶子形成時に減数分裂が起こるとされることが多い[6][7][26](複相単世代型生活環)。一方で、接合子の発生時に減数分裂が起こり、栄養体は単相であるとする説もある[12]。

有性生殖における配偶子合体は基本的に異形配偶(小型の雄性配偶子と大型の雌性配偶子の合体)であるが(図4)、チョウチンミドロ属でのみ卵配偶が知られている(雌性配偶子が鞭毛を欠く)[4][14]。藻体全体が配偶子嚢となる全実性(holocarpic)のものと、隔壁によって配偶子嚢が他の部分と区切られる分実性(non-holocarpic)のものがいる[13](図4)。

藻体の分断化や匍匐枝から生じた藻体の分離による栄養繁殖を行うこともある[26][27]。

生態

5a. ハウチワ属(チョウチンミドロ科)上の Costasiella(テングモウミウシ Costasiella kuroshimae)
5b. サボテングサ属(サボテングサ科)上の Bosellia mimetica

ハネモ目は基本的に沿岸域に生育し、特に熱帯域で多様性が高い(サンゴ礁やラグーン)[12][13][14]。岩などに付着するものもいるが、砂泥地に定着しているものも多い。緑藻の海藻としては比較的深い水深に生育するものが多く、青緑色光を吸収するカロテノイド(シフォナキサンチンとシフォネイン)の存在がそれに関係していると考えられている[22][28]。チョウチンミドロ属(チョウチンミドロ科)のみは淡水域から知られており、湧水地などに生育する。

ウミウシの嚢舌類は海藻食であるが、その葉緑体をしばらく保持して光合成によって生きるものがいることが知られている(盗色素体化)[29]。種によってほぼ決まった種の海藻を利用するが、その多くはハネモ目の種を利用する[30](図5)。

ミル(ミル科)には窒素固定菌が共生していることがある[14]。ミルはグルコースを分泌して共生細菌に与え、固定された窒素栄養分を得ると考えられている。

6. サボテングサ類の化石(新第三紀)

サボテングサなどの藻体表面は石灰化しており、熱帯海域における石灰堆積物の主要構成要素となる[13](図6)。グレート・バリア・リーフなどではその厚さは 50 m に達し、堆積速度は 6 m/1000年ほどであると推定されている。

2025年現在、環境省レッドリストでは、ケイワヅタ(Caulerpa fastigiata)、チョウチンミドロ(Dichotomosiphon tuberosus)は絶滅危惧IB類 (EN) に、ヒナイワヅタ(Caulerpa parvifolia)、クロキズタ(Caulerpa scalpelliformis)は絶滅危惧Ⅱ類(VU)に、モツレチョウチン(Boodleopsis pusilla)、フササボテングサ(Halimeda borneensis)、ソリハサボテングサ(Halimeda distorta)、ヒロハサボテングサ(Halimeda macroloba)は準絶滅危惧(NT)に、クビレヅタ(Caulerpa lentillifera)、キザミヅタ(Caulerpa subserrata)、コテングノハウチワ(Avrainvillea erecta)、テングノハウチワ(Avrainvillea riukiuensis)、ヒナマユハキ(Chlorodesmis haterumana)、ツナサボテングサ(Halimeda tuna)、オオハゴロモ(Udotea argentea)、ハネモモドキ(Pseudobryopsis hainanensis)は情報不足(DD)にそれぞれ指定されている[31]。

人間との関わり

ハネモ目のうち、イワヅタ属(イワヅタ科)やミル属(ミル科)の中には食用として利用されるものがある(下図7a–d)。日本では、イワヅタ属のクビレヅタ(クビレズタ、Caulerpa lentillifera)が「海ぶどう」とよばれて広く流通しており、現在では陸上養殖技術が確立している[32]。またミル属の数種は、日本では和え物や酢の物とされることがあり、海外でも食用にされている。日本では、ミル (海松) は古代からよく知られた海藻であり、『大宝律令』や『万葉集』、『伊勢物語』にも記述がある[33]。また伝統色である海松色(みるいろ; モスグリーンに近い色)や、伝統的な紋様である海松文(みるもん; 二又分枝する姿を円形に配した紋様)も本種に由来する[34]。

イワヅタ属(カウレルパともよばれる)やサボテングサ属、マユハキモ属などは、アクアリウムで観賞用に利用されることがある[35](下図7e)。

7a. 海ぶどう寿司(クビレヅタ)
7b. クビレヅタのサラダ(フィリピン)
7c. マーケットで販売されるイワヅタ類(フィジー)
7d. マーケットで販売されるミル類(スペイン)
7e. イワヅタ類を用いたアクアリウム

ハネモ目の中には、人間活動によって本来分布していなかった地域に侵入した種が多く知られている。ミル(ミル科)は人間活動を介して東アジアから世界中に分布を広げたと考えられている[36]。本種は北米東岸で自生種による植生(ケルプ藻場)を阻害し、またカキ養殖に大きな被害を与えている[37]。

イワヅタ属(イワヅタ科)の数種は、スエズ運河を通って紅海から地中海に侵入したことが知られており、このような種はスエズ運河を建設したフェルディナン・ド・レセップスにちなんで Lessepsian species とよばれる[14]。パナマ運河は淡水湖(ガトゥン湖)を介しているため、このような侵入種は知られていない。

8. キラー海藻

地中海に逸出したイチイヅタ(イワヅタ科)の変異型は「キラー海藻 (killer alga)」とよばれ、野生型にくらべて大型で低温や弱光に強く、高い栄養繁殖力をもつとともに植食動物に対する毒性が強い[27][38][39][40]。この変異型はモナコの水族館の飼育水由来と考えられており、その性質のため大増殖して在来種を圧倒してしまった(図8)。この変異型は国際自然保護連合の「世界の侵略的外来種ワースト100」に選定されており、オーストラリアや北米西岸などにも侵入し、また日本からも見つかっている[38][41]。ただし地中海では2000年以降この変異型は減少し、それに代わってイチイヅタの別の系統(Caulerpa taxifolia var. distichophylla)やイワヅタ属の別の種(Caulerpa cylindracea)が地中海に侵入し、問題となっている[42][43]。

系統と分類

多核嚢状性という特異な特徴をもつことから、古くから緑藻綱の中の独立の分類群、クダモ目(管状藻目、学名:Siphonales)として扱われていた[8][9][10]。ただしクダモ目には、シオグサ目やカサノリ目を含むこともあった。またこの広義の意味でのクダモ目の範囲をハネモ綱(Bryopsidophyceae)として扱うこともあった(この場合現在ハネモ目とされる藻類を複数の目に分けていた)[10]。

1960年代以降の微細構造学的特徴(鞭毛装置、細胞分裂様式)の研究から、アオサ目、シオグサ目、カサノリ目などとともにアオサ藻綱に分類されるようになった[4][7][11][13][20][44]。

その後も独立の綱(ハネモ綱 Bryopsidophyceae)として扱われたことがあるが[12]、2020年現在ではふつうアオサ藻綱の1目とされる。2020年現在、目の名としてはハネモ目(学名: Bryopsidales) が用いられることが多いが[4][11][45]、2000年代まではイワヅタ目(学名: Caulerpales)を充てることが一般的であった[7][13][20]。分子系統学的解析からは、同様に多核嚢状性であるカサノリ目の姉妹群であることが示唆されている[46][47]。ただしより大量の分子データに基づいた解析からは、ハネモ目が緑藻綱の姉妹群である可能性も示唆されている(つまりアオサ藻綱は非単系統群)[48]。

ハネモ目の中では、カイミドリイト亜目(カイガラミドリイト属のみ)が最初に分岐し、残りの種はハネモ亜目(ハネモ、ツユノイト、ミルなど)とサボテングサ亜目(イワヅタ、チョウチンミドロ、サボテングサ、ハゴロモなど)に分かれることが示されている[49](下図9、下表1)。

ハネモ目
カイガラミドリイト亜目

カイガラミドリイト科

ハネモ亜目

ニセハネモ科

ハネモ科

ツユノイト科

ミル科

サボテングサ亜目

チョウチンミドロ科

イワヅタ科

サボテングサ科

系統群 1 (Lineage 1)

系統群 2 (Lineage 2)

ニセハウチワ連

リピリオプシス連

サボテングサ連

ミルモドキ連

ハゴロモ連

9. ハネモ目の系統仮説の1例[49].

表1. ハネモ目の属までの分類体系の1例[4][49][50] (2020年現在)
  • ハネモ目 Bryopsidales Schaffner, 1922
    • カイガラミドリイト亜目 Ostreobineae Verbruggen & Guiry in Verbruggen et al., 2017
      10a. カイガラミドリイト属 (5–8) (カイガラミドリイト科)
      藻体は単軸性で微小な分枝糸状体 (図10a)。遊走子は4本鞭毛性。ピレノイドを欠く。貝殻など石灰質基質中に穿孔して生育。
      • カイガラミドリイト科 Ostreobiaceae Silva ex Maggs & Brodie in Brodie et al., 2007
        • カイガラミドリイト属 Ostreobium Bornet & Flahault, 1889 (図10a)
    • ハネモ亜目 Bryopsidineae Hillis-Colvinaux in Verbruggen et al., 1984
      藻体は単軸性または多軸性、分実性。homoplastidic (アミロプラストを欠く)。胞子体は冠鞭毛性の遊走子を形成する。
      • ニセハネモ科 Pseudobryopsidaceae Cremen, Leliaert, West, Lam & Verbruggen, 2019
        ハネモ科に類似するが、特殊化した枝が配偶子嚢になる (上図4)。分子系統解析に基づいて分離された[49]。
      • ハネモ科 Bryopsidaceae Bory, 1829
        藻体は単軸性。羽状 (図10b)、放射状または二又分枝する。世代交代ありまたはなし。世代交代を行う場合、大型で直立する配偶体と小型で匍匐性の胞子体の間で異形世代交代を行い、胞子体は冠鞭毛性の遊走子を形成する。配偶子嚢は特殊化していない枝が隔壁で区切られる。
      • ツユノイト科 Derbesiaceae Hauck, 1884
        10c. ツユノイト属 (ツユノイト科)
        藻体は基本的に単軸性。世代交代ありまたはなし。世代交代を行う場合、大型で糸状の胞子体と小型で嚢状の配偶体 (ウミノタマ世代 Halicystis-stage) の間の異形世代交代、または糸状の胞子体と配偶体の同形世代交代。胞子体は冠鞭毛性の遊走子を形成する。
      • ミル科 Codiaceae Kützing, 1843
        藻体は多軸性、細胞糸が絡み合って髄を形成し、藻体表層では細胞糸が膨潤した小嚢が密集している。小嚢に配偶子嚢が側生し、隔壁で区切られる。ピレノイドを欠く。細胞壁はマンナンを主とする。
    • サボテングサ亜目 Halimedineae Hillis-Colvinaux, 1984
      藻体は単軸性または多軸性、全実性 (ヒメイワヅタ属を除く)。heteroplastidic (葉緑体とアミロプラストをもつ)。世代交代を行わない (ふつう複相単世代型生活環とされる)。細胞壁はキシランを主とする。

ギャラリー

ハネモ

ハネモは、主に緑藻綱ハネモ目ハネモ科に属する Bryopsis(ブリオプシス)属の海産緑藻の総称である。細い主軸から羽状に枝を伸ばす形態をもち、その外観が羽毛に似ることから「羽藻」と呼ばれる。

日本でハネモ類として知られる種には、ハネモ(Bryopsis plumosa)、オオハネモ(Bryopsis maxima)、ネザシハネモ(Bryopsis corticulans)などがある。ハネモ類は、多核性の大型単細胞性藻類として知られ、種によっては数センチメートルから十数センチメートル程度に成長する。

海水水槽では、英語名の Bryopsis algae として扱われることが多い。リーフアクアリウムでは岩やサンゴ周辺に繁茂することがあり、除去が難しい藻類、いわゆる害藻として認識される場合もある。一般的な糸状藻類と比較して、シダ状または羽毛状に枝分かれして見える点が特徴である。

サボンテングサ

サボンテングサ(学名:Halimeda tuna)は、サボテングサ科サボテングサ属に属する海産緑藻の一種である。藻体は小さな円盤状から扇形の節が連なった形をしており、サボテン状の外観を呈する。体内に炭酸カルシウムを沈着する石灰藻で、サンゴ礁や岩礁域などの暖海に生育する。

死後は石灰質の砂の供給源となり、サンゴ礁生態系における炭酸塩堆積にも関与する。観賞用海水水槽では、石灰質の大型緑藻として扱われることがある。

チョウチンミドロ

チョウチンミドロ属(Dichotomosiphon)は、ハネモ目チョウチンミドロ科に属する緑藻の属である。代表種にチョウチンミドロ(Dichotomosiphon tuberosus)がある。

チョウチンミドロは淡水産の緑藻で、藻体は隔壁の少ない多核性の管状細胞からなり、二叉状に分枝する。日本では主に沖縄県の湧水地や水路などに分布し、清澄な流水環境に生育する。和名は、提灯状の接合子を形成することに由来する。淡水に生育するが、系統的には海産種の多いハネモ目に属し、海産祖先が淡水環境に適応したものと考えられている。

ツユノイト

ツユノイト属(学名:Derbesia)は、ハネモ目ツユノイト科に属する海産緑藻の属である。藻体は不規則に分枝する糸状または管状の多核性嚢状体からなる。日本産種としてホソツユノイト(Derbesia marina)、ミルツユノイト(D. minima)、ネダシツユノイト(D. rhizophora)、ツユノイトケバ(D. tenuissima)などが知られる。本属は糸状の胞子体と、かつて Halicystis と呼ばれた球状または袋状の配偶体との間で異形世代交代を行うことで知られる。

ミル

ミル属(学名:Codium)は、ハネモ目ミル科に属する海産緑藻の属である。藻体は多核性の管状細胞からなる嚢状体で、表面に小嚢と呼ばれる袋状構造を密生する。形態は種によって異なり、スポンジ状、円柱状、指状、扇状などを呈する。代表種にミル(Codium fragile)があり、日本では古くから食用や文化的意匠に用いられてきた。

イワヅタ

イワヅタまたはイワズタ(学名:Caulerpa prolifera)は、ハネモ目イワヅタ科イワヅタ属に属する海産緑藻の一種である。藻体は匍匐茎をもち、仮根によって基質に付着し、細長い葉状の直立部を形成する。体は隔壁の少ない多核性の嚢状体からなり、見かけ上は根・茎・葉のように分化して見える。暖海域の浅海に生育し、砂泥底や岩礁、海草藻場周辺などに見られる。成長が速く、匍匐茎の伸長や断片化によって無性的に増殖する。

脚注

外部リンク

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