ラザルスクス
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| ラザルスクス | ||||||||||||||||||||||||
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復元画 | ||||||||||||||||||||||||
| 地質時代 | ||||||||||||||||||||||||
| 後期暁新世 - 前期中新世 | ||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Lazarussuchus Hecht, 1992 | ||||||||||||||||||||||||
| 種 | ||||||||||||||||||||||||
ラザルスクス(学名:Lazarussuchus)は、コリストデラ類に属する絶滅した淡水棲爬虫類の属[1]。同じくコリストデラ類に属するモンジュロスクスやフィリドロサウルスと同様に吻部と頸部が短く、全体的な形態が有鱗目のトカゲに類似する[1]。フランスの上部漸新統から産出したタイプ種L. inexpectatus[2]とチェコの下部中新統から産出したL. dvoraki[3]の2種が知られる。大型の動物ではなく、L. inexpectatusの保存された体の長さは尾を含めて30センチメートルを超過する程度である[2]。フランスの上部暁新統から軟組織を保存した本属の完全な標本が発見されているが、当該標本は種レベルで同定されていない[4]。
ラザルスクスの最初の化石はタイプ種L. inexpectatusのほぼ完全な関節した骨格(Claude Bernard University no Re 437, coll. Gennevaux 92813)であり、フランスのオード県ナルボンヌ付近のArmissan limestone quarryにて、上部漸新統チャッティアン階から発見され、1992年に記載された。最も新しいコリストデラ類の化石であり、かつ中期ジュラ紀に生息した最も基盤的なコリストデラ類であるティニオジェニイズと類似することから、属名はラザラス効果に由来する[2]。2005年に命名された第2の種L. dvorakiは、チェコ北西部のMerkur-North産地の下部-中部中新統から産出した単離した頭骨および椎骨に基づいて記載されており、種小名は標本を収集したZdeněk Dvořákへの献名である[3]。
2008年にはドイツのバイエルン州北部のOberleichtersbachに分布する上部漸新統からラザルスクスの化石が報告され、25個の骨を含む当該標本はおそらく新種のものであると提唱された[5]。2013年にはフランスのムナ付近に分布する上部暁新統から大部分が印象として保存されたラザルスクスのほぼ完全な関節した骨格(BDL 1819)が記載され、当該標本には崩壊した骨といくつかの軟組織が保存されていた。当該標本は命名済みの2種から区別不能であったため、種レベルでの同定は行われなかった[4]。2019年には絶滅した類人猿のDanuviusの記載論文の補足情報にて、ラザルスクスの未同定化石がドイツ・バイエルン州のプフォルツェン付近のHammerschmiede clay pitから報告された。Hammerschmiede産地は磁気層序学的年代推定により、約1162万年前に遡る上部中新統トートニアン階の基底とされている[6]。
特徴

ラザルスクスは小型かつトカゲに類似する外見を持つ。尾を含めたL. inexpectatusの保存部位の長さは30センチメートルを超過する程度であり、頭骨長は約4.5センチメートルである[2]。Matsumoto et al. (2013)はラザルスクスを他の既知のコリストデラ類から区別する形質状態として、対をなす外鼻孔が吻部の高い位置に存在すること、前上顎骨が長く伸びること、鼻骨の前部に前上顎骨が重なりかつ鼻骨が左右の前前頭骨の前端に挟まれること、鼻骨が上顎骨と接さないこと、頭骨の後部三分の一の骨が表面に粗い結節状の装飾を伴うこと、後眼窩骨と後前頭骨が癒合して後眼窩前頭骨を構成すること、下側頭窓が鱗状骨・方形頬骨・頬骨・後眼窩前頭骨によって閉鎖されること、頸肋が幅広かつ平坦であること、胸肋が幅広かつ鎌状であり他の椎骨の大きさに対して相対的に大きいこと、上腕骨のectepicondylar grooveが架橋されて孔を構成すること、肩甲骨のブレードが細長くかつ側面が平行であることが挙げられる[4]。
L. inexpectatusは頭頂骨の後頭頂突起がparietal plateの長さと等しいかほぼ等しく、後側に向かって30°未満の角度で伸び、僅かに弱く窪む。このため上側頭窓が前後に長く伸び、ほぼ長方形をなす。頸椎は9個であり、胴椎の後部は後関節突起(postzygapophyses)の直下に棘突起が存在して追加の関節面として機能し、機能的な仙椎は4個存在し、そのうち最前位のものがsacrodorsalである。また、細長いT字型の間鎖骨を持つ[4]。L. dvorakiは後頭頂突起の長さがparietal plateの長さの三分の一に過ぎず、後側に向かって45°を超過する角度で伸び、外側縁が窪んでいる。このため上側頭窓が小型化しており、L. inexpectatusと比較すると前内側方向から後外側方向に長軸を持つ楕円形をなす。また、胴椎は関節棘突起を持たない[4]。
Menat標本は上顎骨歯が40本におよび、前上顎骨歯も併せて合計52本に及ぶ。L. inexpectatusは前上顎骨歯が11本で上顎骨歯が24本であるが、この差異がアロメトリーによるものである可能性は排除できない。Menat標本は10個の頸椎を持つ点で9個の頸椎が報告されているL. inexpectatusと異なるが、Menat標本の第10頸椎はL. inexpectatusの第9頸椎と類似しており、L. inexpectatusの第8頸椎と第9頸椎の間にギャップがあることが示唆されている。肋骨結節と肋骨小頭はL. inexpectatusにおいてクレストで結合されているが、第9頸椎の肋骨のクレストは限定的である。Menat標本においてクレストは第9頸椎の肋骨の特に強いクレストを含めて全ての頸椎に存在している。ただし、この差異は前述したような椎体数のずれによるものである可能性がある。L. inexpectatusの間鎖骨は原記載においてT字型と記載されているが、骨の主要部は見ることができず、発達した外側突起が見えるのみである。対照的に、Menat標本の間鎖骨は菱形であるが、外側突起が不完全であるため比較が困難である。L. inexpectatusのタイプ標本は第V中足骨の近位部に足底側の結節を持つが、Menat標本は当該の結節を持たない。ただし、この差異は3次元的に保存された標本においてのみ適切に評価できるものである。Matsumoto et al. (2013)はMenat標本がほぼ確実に種レベルで区別される標本であるとしながらも、その根拠となる差異の多くあるいは全てが標本の大きさや保存状態で説明可能となることに触れ、種の標徴が明確な形態的差異に基づかなければならないことを理由に挙げ、Menat標本に基づく新種の命名を見送った[4]。
Oberleichtersbachのラザルスクスの前上顎骨はL. inexpectatusのものよりも短く、この他にも定義されていない差異が頭骨に存在する[5]。
軟組織
ラザルスクスのMenat標本には軟組織の残滓が保存されているものの、鱗が保存されていない。当該標本は足部に水かきが存在しないことを示唆する。また、尾椎の上部には刻み目のある縁を伴う暗色部の領域が存在しており、現生のムカシトカゲやトカゲやワニのようないくつかの爬虫類に見られるものに似たクレストの存在が示唆される[4]。