ワン・ヒット・ワンダー
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ワン・ヒット・ワンダー(英語: one-hit wonder)は、ひとつの業績だけによって、広く社会的な人気を博し、一時的な成功だけによって広く一般大衆の間に知られるようになった人物などを指す表現で、最も一般的には、1曲のヒット曲の陰に他の業績が隠れてしまうようなミュージシャンについて用いられる[1]。日本語では、音楽以外のジャンルも含め、「一発屋」と称されることがある[2]。
ある国において「ワン・ヒット・ワンダー」とされるアーティストの中には、他の国々でより大きな成功を収めていることもある。またヒット曲を出した後に、人気のあるアルバムや続くヒット曲を出した者は、ワン・ヒット・ワンダーと見なすのは適切ではないが、いくつもヒット曲があるアーティストであっても、何年も何十年も後まで広く思い出されるほどの特定の1曲の大ヒット曲があると、誤って「ワン・ヒット・ワンダー」として扱われることがある。多くの場合、ワン・ヒット・ワンダーは、ヒット曲を出した後には人気が低下し、他の曲やアルバムがヒット作となることはない。
音楽産業における定義
『The Billboard Book of One-Hit Wonders』の中で、音楽ジャーナリストのウェイン・ジャンシック (Wayne Jancik) は、ワン・ヒット・ワンダーを「全国的な、ポップの、トップ40のヒットチャートに、ただ一度だけ登場した演者 (an act that has won a position on [the] national, pop, Top 40 record chart just once)」と定義している[3]。『ビルボード』誌は、アメリカ合衆国におけるワン・ヒット・ワンダーを「Billboard Hot 100 のトップ40入りを果たしながら、それを再び達成することがなかったアーティスト (artist that cracks the top 40 on the Billboard Hot 100 and never makes it back to that position)」と定義している[4]。
この公式な定義は、唯一のポップ・ヒット以外に、より大きな成功を他の領域で収めていて、典型的なワン・ヒット・ワンダーとはされない演者たちも含むものであり[5]、他方では、いくつものヒット曲があっても、1曲のシグネチャー・ソング (signature song) の陰に隠れてしまうような演者たちや[6]、トップ40入りすることは一度もなかったものの、何らかの形で(例えば、放送におけるターンテーブル・ヒットや、トップ40チャートの対象から外れるものなど)主流の中での人気を得たような者は含まれない[7]。
判断が分かれる事例
他国では複数のヒット曲がある者
アメリカ合衆国の『ビルボード』誌関係のチャートでは、「ワン・ヒット・ワンダー」にあたるものの、出身国など他の国々においては複数のヒット曲を出しており、国際的にも広く知られている演者も少なくない。
例えば、1984年に「ロックバルーンは99」が Billboard Hot 100 で最高2位となったネーナ、1985年の「テイク・オン・ミー」が Billboard Hot 100 で最高1位となった a-ha は、それぞれ母国(ドイツ、ノルウェー)やヨーロッパ各国ではいくつものヒット曲があるが、上記の定義ではワン・ヒット・ワンダーとなる。1963年に「上を向いて歩こう」が「SUKIYAKI」のタイトルで Billboard Hot 100 で最高1位となった坂本九も、「ワン・ヒット・ワンダー」とされている[8]。
他の分野の著名人に1曲だけヒット曲がある場合
特に、俳優など、他の分野における業績で、社会的に広く知られた著名人が、1曲だけヒット曲をもっている場合も、上記の定義では「ワン・ヒット・ワンダー」にあたるが、もっぱらその楽曲のヒットだけで知られているわけではないため、この表現で言及されることはあまりない。
例えば、もっぱら俳優として知られたデヴィッド・ソウルは、1977年に「やすらぎの季節 (Don't Give Up On Us)」が Billboard Hot 100 で最高1位となったが、他のシングルはトップ40に入らなかった[9](ただし、イギリスでは全英シングルチャートでもう1曲「Silver Lady」も最高1位となっている)。俳優ブルース・ウィリスが架空の人物ブルーノ・ラドリーニ (Bruno Radolini) として発表したカバー曲、1987年の「リスペクト・ユアセルフ (Respect Yourself)」は、Billboard Hot 100 で最高5位となった[10]。
カントリー歌手のハンク・ロックリンは、カントリーのチャートで多数のヒット曲を出したが、1曲だけ「Please Help Me, I'm Falling」は、Billboard Hot 100 にもチャート入りし、最高8位となった[11]。このような事例も、上記の定義では「ワン・ヒット・ワンダー」にあたる。
同じ曲の別バージョンが複数チャート入りした場合
ロス・デル・リオは、「恋のマカレナ (Macarena)」のヒットで知られるが、1996年8月に「Macarena (Bayside Boys Mix)」が Billboard Hot 100 で最高1位となった後、同年の遅い時期に「Macarena」がトップ40入り(最高23位)しており[12]、トップ40に2曲が入ったと見れば、上記の定義からは外れている。しかし、これらは同一曲のミックス違いであり、ロス・デル・リオは、しばしば「恋のマカレナ」のワン・ヒット・ワンダーとして言及される[13]。
同じグループが名称を変えて複数のヒットを出した場合
1956年に競作でのヒットとなった「ストランデッド・イン・ザ・ジャングル (Stranded in the Jungle)」は、ザ・キャデッツ盤が最高16位、ザ・ジェイ・ホークス盤が最高18位、ザ・ギャダバウツ (the Gadabouts) 盤が最高39位となり、これら3グループはいずれも「ワン・ヒット・ワンダー」とされることがある[1]。しかし、ザ・キャデッツは前年にザ・ジャックス (The Jacks) という別名義でヒット曲を出しており、ザ・ジェイ・ホークスは、その後、ザ・ヴァイブレーションズ (The Vibrations)、ザ・マラソンズ (The Marathons) と名を変え、その都度ヒット曲を出して、それぞれが「ワン・ヒット・ワンダー」とされることがある[1]。
各国における「ワン・ヒット・ワンダー」
オーストラリア
オーストラリアのナイン・ネットワークのテレビ番組『20 to 1』は、2006年のシーズン2、第1回(通算第8回)に「One Hit Wonders」と題したエピソードを放送した[14]。そこで取り上げられた20曲は、2009年にコンピレーション・アルバムとして発売された[15]。
| # | 曲名 | 演者 | 出身国 | 年 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | マイ・シャローナ / My Sharona | ザ・ナック | 1979 | |
| 2 | ボーン・トゥ・ビー・アライブ / Born to Be Alive | パトリック・ヘルナンデス | 1979 | |
| 3 | ラジオ・スターの悲劇 / Video Killed the Radio Star | バグルス | 1979 | |
| 4 | ターニング・ジャパニーズ / Turning Japanese | ヴェイパーズ | 1980 | |
| 5 | ファンキータウン / Funkytown | リップス・インク | 1980 | |
| 6 | Dancing in the Moonlight | キング・ハーベスト | 1972 | |
| 7 | スピリット・イン・ザ・スカイ / Spirit in the Sky | ノーマン・グリーンバウム | 1969 | |
| 8 | ロックバルーンは99 / 99 Luftballons | ネーナ | 1983 | |
| 9 | ドント・ウォーリー・ビー・ハッピー / Don't Worry, Be Happy | ボビー・マクファーリン | 1988 | |
| 10 | パス・ザ・ダッチー / Pass the Dutchie | ミュージカル・ユース | 1982 | |
| 11 | ロッキン・ロビン / Rockin' Robin | ボビー・デイ | 1958 | |
| 12 | Slice of Heaven | デイヴ・ボビン・アンド・ハーブス | 1986 | |
| 13 | Counting the Beat | ザ・スウィンガーズ | 1981 | |
| 14 | タブサンピング / Tubthumping | チャンバワンバ | 1997 | |
| 15 | I'll Be Gone | スペクトラム | 1971 | |
| 16 | ミッキー / Mickey | トニー・バジル | 1982 | |
| 17 | エイキィ・ブレイキィ・ハート / Achy Breaky Heart | ビリー・レイ・サイラス | 1992 | |
| 18 | ヴィーナス / Venus | ショッキング・ブルー | 1969 | |
| 19 | マンボNo.5 / Mambo No. 5 (A Little Bit of...) | ルー・ベガ | 1999 | |
| 20 | 汚れなき愛 / Tainted Love | ソフト・セル | 1981 |
アイルランド
ニュージーランド
ニュージーランドの地上波テレビ局C4 (ニュージーランドのテレビ局)は、2006年9月に、毎週放送している、視聴者のウェブサイトへの投票で順位を決めるチャート番組『UChoose40』において、「ワン・ヒット・ワンダー」特集を組んだ[16][17]。その結果のトップ10は以下のようになった。
| # | 曲名 | 演者 | 出身国 | 年 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ティーンエイジ・ダートバッグ / Teenage Dirtbag | ウィータス | 2000 | |
| 2 | ハウ・ビザー / How Bizarre | 0MC | 1996 | |
| 3 | だってHIGHなんだもん / Because I Got High | アフロマン | 2001 | |
| 4 | アイス・アイス・ベイビー / Ice Ice Baby | ヴァニラ・アイス | 1990 | |
| 5 | アイ・オブ・ザ・タイガー / Eye of the Tiger | サバイバー | 1982 | |
| 6 | タブサンピング / Tubthumping | チャンバワンバ | 1997 | |
| 7 | マイ・シャローナ / My Sharona | ザ・ナック | 1979 | |
| 8 | ラジオ・スターの悲劇 / Video Killed the Radio Star | バグルス | 1979 | |
| 9 | フー・レット・ザ・ドッグス・アウト / Who Let the Dogs Out? | バハ・メン | 2000 | |
| 10 | ワイルド・アメリカ / I Touch Myself | ディヴァイナルズ | 1991 |