ヴェネツィアのレガッタ
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| イタリア語: Regata a Venezia 英語: Regatta in Venice | |
| 作者 | フランチェスコ・グアルディ |
|---|---|
| 製作年 | 1770年ごろ |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 48.6 cm × 78.4 cm (19.1 in × 30.9 in) |
| 所蔵 | フリック・コレクション、ニューヨーク |
『ヴェネツィアのレガッタ』(伊: Regata a Venezia、英: Regatta in Venice)は、18世紀イタリアの画家フランチェスコ・グアルディが1770年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した風景画である。現在、ニューヨークの美術館フリック・コレクションに所蔵されている[1][2]。フリック・コレクションを設立したヘンリー・クレイ・フリックの娘ヘレン・クレイ・フリックにより美術館に寄贈された[3]。

グアルディは、1735年から1743年にかけて都市景観画 (ヴェドゥータ) のミケーレ・マリエスキの下で修業を積み、1760年に兄のジャン・アントニオが死去すると、もっぱらヴェネツィアの景観画を描くようになった。彼は束の間、15歳年上であったカナレットを手本にし、カナレットの死後はヴェネツィアの景観画の後継者となった[4]。しかし、グアルディが重視したのはカナレットのような精密さではなく、光に満ちたヴェネツィアの雰囲気であった。彼は印象派風の自由な筆致によってカナレットの地誌的な風景画の限界を破り、主観的なものの見方や感じ方を導入することで近代風景画の先駆者の1人となっている[5]。
作品
絵画はヴェネツィアのカナル・グランデ (大運河) を表している。遠景にはリアルト橋 (カナル・グランデの突き当り) が見え、その右横にはサン・バルトロメオ教会の17世紀の鐘楼と15世紀のゴシック式建築サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂のドームが見える。グアルディは、これらの建築物を描くことで都市景観における過去と同時代の変貌を記録している。前景には、1582年にアレッサンドロ・ヴィットーリア によって設計された、ヴェネツィアの貴族バルビ家の居館バルビ宮殿が見える。
グアルディは、バルビ宮殿のバルコニーを人々で満たしている。それにより、鑑賞者の視点は、伝統的なヴェネツィアのボート競技レガッタに誘われる。描かれているのは、レガッタのクライマックスである「パレート (paleto)」である[3]。パレートは、カナル・グランデの真ん中に立っている折り返し地点である。ここで、ボートは旋回することになるが、勝者は通常、先頭を行っている。画面の競技者たちは自分たちのボートを回転させようと、櫂を水の中の異なる方向に差し入れている。

レガッタ競技は普通、伝統的なゴンドラのような舟「ビッソーネ (bissone)」のパレードに続いて行われた。このパレードは、レースの水域を空け、騒々しい観衆を落ち着かせるためのものであった[3]。グアルディはこれらビッソーネを明るい色彩で描き、漕ぎ手たちの服装も同様の色彩で描いている。
グアルディの様式は、オランダの画家たちに大きな影響を受けているように見える。この建築物と遠近法を重視した構図の中では、水、空、光が中心的な要素となっている。しかし、グアルディの時代には、文化的な行事と建築物の景観は、一般的なものではなかった[6]。なお、グアルディの先達カナレットも、『カナル・グランデの眺め』 (ウフィツィ美術館、フィレンツェ) において類似した視点から同様の光景を描いている[7]。