建築のカプリッチョ

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製作年1770-1778年
寸法54.2 cm × 36.2 cm (21.3 in × 14.3 in)
『建築のカプリッチョ』
イタリア語: Capriccio architettonico
英語: An Architectural Caprice
作者フランチェスコ・グアルディ
製作年1770-1778年
種類キャンバス上に油彩
寸法54.2 cm × 36.2 cm (21.3 in × 14.3 in)
所蔵ナショナル・ギャラリーロンドン

建築のカプリッチョ』(けんちくのカプリッチョ、: Capriccio architettonico: An Architectural Caprice)は、18世紀イタリアの画家フランチェスコ・グアルディが1770-1778年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。1910年にジョージ・ソールティング英語版から遺贈されて以来[1]ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている[1][2][3]

グアルディは1760年ごろからカナレットを手本としたヴェネツィアヴェドゥータ (都市景観画) を描き、カナレットの構図をしばしば模倣した[2][3]。しかし、まもなく忠実な地誌的描写からもカナレットの散文的な様式からも解放され、詩的な「カプリッチョ」に専心した。カプリッチョ (奇想の絵画) とは、ヴェネツィアの建築モティーフをいろいろと組み合わせたり、廃墟やラグーナ (潟) を描いた軽妙な絵画のことで、グアルディは水のきらめく雰囲気を捉えた最初の画家であった[2][3]

グアルディのパステルカラーとさりげない筆致は、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロに影響を受けたのかもしれない。一方で、グアルディの絵画のサイズはどんどん小さくなり、マッチ箱と大差ないものまで描かれた。そうした小品の絵画は、グランドツアーの記念品としてイギリスの大きなカントリーハウスに飾られるようなものではなく、ちょっとした飾り、あるいは寝室用の土産物として制作されたのであろう。ちなみに、グアルディの大部分の景観画とは異なり、彼のカプリッチョは縦長の形式となっている[2][3]

作品

サン・マルコ広場の時計塔英語版
「スカーラ・デイ・ジガンティ (巨人の階段)」

本作手前のアーチはサン・マルコ広場の時計塔英語版のもので、建物と「スカーラ・デイ・ジガンティ (巨人の階段)」として知られる階段はドゥカーレ宮殿の中庭から採られたものである。グアルディはアーチの幅と遠方のアーチまでの距離を誇張し、鑑賞者の視線を後景の方に引き込んでいる。階段の巨大さは、画面に壮大な印象を与えている。鑑賞者が覗きこんでいるアーチは部分的に影になっているが、強い陽光が地面と左側の壁の一部を斜めに照らしている。グアルディは明らかに細部を描くことに興趣を感じており、それは前景左側のドア上の彫像、窓枠に下がっている白い布、反対側の壁に下げられているランタンなどに見て取れる[1]

カナレット『ヴェネツィア: サン・マルコ広場』 (1758年ごろ)、ナショナル・ギャラリー (ロンドン)

本作より以前に、カナレットは、ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵の『ヴェネツィア: サン・マルコ広場』などに見られるように鑑賞者の視線を画面奥に導くアーチという仕掛けを導入した[1]。グアルディはそれにヒントを得たのかもしれない[2][3]。とはいえ、グアルディの作品は見た目だけでなく、彩度の低い色を薄く塗り重ねていることにおいて、カナレットの作品とは異なっている[1]。さらに、鑑賞者はカナレットの作品の前で立ち尽くすだけであるが、グアルディの作品ではレモン・イエローの服を着た女性の後をついていくように促される。鑑賞者が日向から日陰に入っていくと、その先にはまた日向があり、それは暗さで縁取られているために一層輝いている[2][3]

この場面は、都市生活のスナップショットのように見える[1]。おそらく季節は春で、早朝の風景であろう[2][3]。前景右側の2人の男が物乞いの少年に硬貨を与えている[1][2][3]。アーチに縁どられたピンク色の壁が鑑賞者に広場内の建物を検分するように誘う。後景右側の階段を上る人々に加えて、左側のバルコニーから青い布を下げている2人の人物が、交差する建築物の垂直線と水平線をやわらげている。ゴシック的な建築と古典主義的な建築、富める者と貧しい者、暗い影と明るい陽光といった対比がヴェネツィアの本質を捉えている[1]

脚注

参考文献

外部リンク

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