一枚の切符
江戸川乱歩による日本の小説
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登場人物
- 左右田 五郎(そうだ ごろう):探偵趣味のある書生。富田博士を尊敬している。
- 松村(まつむら):左右田の親友で、聞き手。
- 富田博士(とみたはかせ):学界にその名を轟かせている博士。妻殺害容疑で勾引されている。
- 黒田 清太郎(くろだ せいたろう):事件を担当した刑事。
あらすじ
ふたりの青年、左右田と松村は、左右田が尊敬している富田博士が嫌疑者となっている事件について話し合っている。博士の妻は、博士邸の裏を通る線路で轢死体となって発見された。懐には病気を苦にしたため死ぬとの遺書があった。しかし死因を調べると服毒死であった。刑事黒田は、博士邸からその現場に行く足跡に、博士の靴による足跡、しかも何か重いものを運んだ足跡があることから、博士が妻を毒殺し、そののち筆跡を真似た遺書をしのばせた遺体を線路に運んだと断定、名探偵と騒がれていた。しかし、左右田は異なる意見を新聞に投書する。反論の根拠は、列車から投げ捨てられた貸し枕の受け取り切符だった。それは轢死前日の日付のもので、線路際の大きな石ころの下にあった。その石ころは博士邸の近くにいくつかあるのと同じものだ。つまり前日か当日、誰かがその重い石ころを線路際まで運んできたのだ。それは、遺体を運んだと思わせる足跡をつけるためではなかったか。つまり博士の妻は病気を苦にしていたのもあったが、同時に自分を嫌い妾をかこっている夫に復讐するために、そのような芝居を打ったのだというのが左右田の投書の主旨である。