何者
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「私」は、大学の同級生、甲田伸太郎と、同じく同級生の結城弘一の鎌倉の家で最後の夏休みを満喫していた。甲田は9月より商社勤め、私と結城弘一は軍隊に入営することが決まっていた。そんなある日の夜、弘一が父親の書斎で何者かに撃たれ、足に重傷を負うという事件が起こる。泥棒が書斎の窓から侵入して部屋を物色しているところに弘一が入り、撃たれたものらしい。近くを通って銃声を聞いた甲田が真っ先にかけつけたが、すでに誰もいなかった。その泥棒は、現金よりも価値のない万年筆などの小さな金製品ばかりを盗んでいったので、近所にいる黄金マニアの琴野光雄が犯人と目されるが、弘一は持ち前の探偵趣味を発揮し、入院先のベッドで「私」や波多野警部を前にして、犯人は甲田だという推理を披露する。実際、甲田に不利な証拠が見つかり、甲田は捕らえられ起訴される。しかし以前から結城家に出入りしていた謎の男、赤井は退院した結城弘一と砂浜でふたりきりになったとき、すべて事件はあなたの自作自演なのだという。弘一は父が陸軍少将ながら極度の軍隊恐怖症者で、兵役を逃れるために自分の足を撃ったのだと。その話をしているすぐ背後には、彼の許嫁志摩子と「私」もいたのだった。最後に赤井は、自分は弘一が日ごろ軽蔑している明智小五郎なのだと正体を明かす。
主要登場人物
- 私(松村(まつむら))
- 主人公。本作の語り部。
- 甲田 伸太郎(こうだ しんたろう)
- 「私」の友人。事件の第一発見者。
- 結城 弘一(ゆうき ひろかず)
- 被害者。「私」の友人。父親は陸軍少将。探偵小説の愛読者。
- 結城 志摩子(ゆうき しまこ)
- 結城弘一の従妹にして許嫁。
- 常さん(つねさん)
- 結城家の下男。事件時に奇妙な行動を取る。
- 波多野警部(はたの)
- 事件を担当している敏腕警部。
- 赤井(あかい)
- 結城家に逗留している謎の客。探偵的行動をとる。
評価
江戸川乱歩によれば、「(動機に)一つの独創があり、自分ではよく出来た作と思つてゐたのに、全く反響がなかつた」という[1]。