内垣啓一
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京都府京都市に生まれる[1][2][3]。京都第一中学校(旧制)、第一高等学校(旧制)を経て、1950年(昭和25年)京都大学文学部ドイツ文学科卒。1951年(昭和26年)に東京大学教養学部助手となり、1953年(昭和28年)戦後初めてのドイツ学術交流会招聘留学生としてハンブルクにおいて研究を続け[4]、以後ドイツ文学、ドイツ演劇、比較文学、比較演劇の講師、助教授、教授を務め、1986年定年退官。
ドイツ文学のエキスパートとして古典から現代までの数多くの文学作品や戯曲を翻訳し出版しているのみならず、研究領域はドイツ演劇に加え、ドイツオペラから新劇や伝統芸能に至るまで舞台芸術全般に及んだ。クラシック音楽にも造詣が深く、音楽家の自伝・評伝の翻訳から音楽評論まで手掛けた。1950年代から演劇誌、音楽誌等にきわめて旺盛な執筆活動を行う傍ら、畑中良輔との共同作業によるリヒャルト・シュトラウス『ばらの騎士』の訳詞を手始めに、研究者の枠を超えて実演の領域にも進出。1960年代から劇団新人会などに所属し演劇の舞台演出も手掛けている。1963年(昭和38年)に日生劇場のこけら落としで来日したベルリン・ドイツ・オペラ、とりわけグスタフ・ルドルフ・ゼルナーの演出は鈴木敬介や内垣など多くの聴衆・舞台関係者にとっては「価値観がひっくり返る衝撃[5]」であった。内垣はその後、二期会等のオペラ演出も行い、自らの知識と経験を実演の場で表現した。中でもリヒャルト・ワーグナーの楽劇『パルジファル』日本初演をはじめとするドイツオペラの演出は、「ドイツ的世界観」を理論と実践の双方で身に付けている内垣ならではの仕事であり、後世にわたって大きな影響を与えている。演劇界においても、国際的な事情を熟知したうえで次々と綴られた内垣の演劇評は常に重要な示唆をもたらした。1976年(昭和51年)1月号 - 6月号の半年間にわたって『悲劇喜劇』に掲載された早野寿郎との対談演劇時評は特に名高い。なお、内垣は早野の死去後『悲劇喜劇』1983年(昭和58年)5月号に追悼文を寄せている。
1989年(平成元年)8月17日死去。63歳没。島根県大田市明善寺に埋葬[6]。早逝のため栄典はないが、日本の舞台芸術を語る上では不可欠の人物である。
エピソード
- 1968年(昭和43年)7月20日、バイエルン国立歌劇場において、ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』公演中に指揮者ヨーゼフ・カイルベルト が心臓発作を起こして急死するが、内垣はそのとき観客席におり、一部始終を音楽の友1968年(昭和43年)10月号に寄稿している。
著書
- 音楽の都ウィーン(原色写真文庫)講談社 1968
- 例外と原則 朝日出版社 1992/09/01 ISBN 9784255242019
講義録
- 外国語科研究紀要.34(1)東京大学教養学部外国語科 編[他]([東京大学教養学部外国語科]、1986-11)内垣啓一教授最終講義『演劇論』記録=Zur Dramaturgie. Aus Prof.Uchigakis letzter Vorlesung 14.2.1986/内垣啓一[7]
共編著
翻訳
※新版が出ているものも併せて掲載した。
- 白薔薇は散らず ドイツの良心ショル兄妹 インゲ・ショル 未來社 1955(未来社1960版、筑摩書房 世界ノンフィクション全集 第28 1962版あり[7])
- シュヴァイツアー著作集 第12・13・14巻 バッハ 浅井真男、杉山好共訳 白水社 1957-1958
- 同罪者 ゲーテ全集 第3巻 小牧健夫等編 人文書院 1960[7]
- 未知の女の手紙 ツヴァイク全集1 みすず書房 1961
- アモク ツヴァイク全集1 みすず書房 1961[7]
- ツヴァイク全集4 みすず書房 1961[7]
- プンティラの旦那と下僕マツテイ ブレヒト戯曲選集 第4巻 白水社 1962
- コーカサスの白墨の輪 ブレヒト戯曲選集 第5巻 白水社 1962
- ヴォルポーネ ツヴァイク全集2 みすず書房 1962
- 燃える秘密 ツヴァイク全集2 みすず書房 1962[7]
- 世界城塞物語 エーゴン・アイス 関楠生、辻瑆共訳 河出書房新社 1962
- オペラ対訳シリーズ 第4 ヴォツェク ビュヒナー原作 ベルク作曲 音楽之友社 1963
- 若きウェルテルの悩み ゲーテ 世界の文学 第5 中央公論社 1964。(新装世界の文学セレクション36)中央公論社 新版1994 ISBN 9784124031478
- 白バラは散らず ドイツの良心ショル兄妹 改訳版 未来社 1964 ISBN 9784624110130
- エラスムスの勝利と悲劇 藤本淳雄、猿田悳共訳 ツヴァイク全集13 みすず書房 1965
- 主題と変奏 ブルーノ・ワルター回想録 渡辺健共訳 白水社 1965
- ファウスト博士 ハイネ ドイツの文学 第2巻 三修社 1966
- ロゴス エーリヒ・フリート オーストリア詞華集 Peter Rindl 撰[他] 朝日出版社 1966[7]
- マラーの迫害と暗殺 ペーター・ヴァイス 岩淵達治共訳 白水社 1967
- オペラ対訳シリーズ 第9 若い恋人たちへのエレジー ウィスタン・H・オーデン、チェスター・コールマン台本 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ作曲 音楽之友社 1967
- 楽しき哉うさ晴らし(世界の劇場、2)ヨハン・ネストロイ作 岩淵達治共訳 1968[8]
- 三文オペラ ブレヒト 世界の文学 中央公論社 1969
- ブレヒト マリアンネ・ケスティング 宮下啓三共訳 理想社 1971
- 地霊 ヴェーデキント 現代世界演劇2 白水社 1971
- アンドラ フリッシュ 現代世界演劇10 白水社 1971
- 群盗 シラー名作集 白水社 1972、復刊2022ほか
- 薔薇の騎士・ナクソス島のアリアドネー ホーフマンスタール選集4 河出書房新社 1973
- エグモント ゲーテ全集4 潮出版社 1979、新版2003。以下はほぼ新装刊行
- ブレヒト戯曲選集 全5巻 白水社 新版1995 ISBN 9784560035054
千田是也編 加藤衛、小宮曠三、岩淵達治共訳 - バッハ頌 白水社 1996 ISBN 9784560037256
浅井真男、芦津丈夫、荒木昭太郎、粟津則雄、伊藤晃、尾崎喜八、桑名一博、酒田健一、佐藤良雄共編 - ツヴァイク伝記文学コレクション 6 エラスムスの勝利と悲劇 藤本淳雄、猿田悳共訳 みすず書房 新版1998 ISBN 9784622046660
- バッハ 上 シュヴァイツァー/浅井真男、杉山好共訳 白水社 新版2009 ISBN 9784560080047
- バッハ 中 浅井真男、杉山好共訳 白水社 2009 ISBN 9784560080054
- バッハ 下 浅井真男、杉山好共訳 白水社 2009 ISBN 9784560080061
- チェスの話 ツヴァイク短篇選 辻瑆、関楠生、大久保和郎共訳 池内紀解説 みすず書房 新版2011 ISBN 9784622080916