夕陽の舞い
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物語
二十歳の大学生五条正之は、スキー場の山荘で出逢い一夜の口づけを交わしながら互いに名前も知らぬまま別れた年上の女性が忘れられずにいた。父の由之は作家で文壇の重鎮だったが女性にだらしなく、門下生の夏子と6年越しの愛人関係にあった。夏子とのことを妻の敏江に気取られそうになった由之は出版社の社員岡野に押し付け結婚させるが、純真な正之は父の行状に嫌悪感を募らせていった。その矢先敏江が急死する。後妻の座を狙う夏子は岡野と仮面夫婦を続けて好機到来を待つ。友人荒木の仲立ちで由之の再婚話が持ち上がった。父への反発から再婚相手と会うことを拒み続けた正之だったが、挙式の日に初めて見るその人は夢にまで見た幻の女性。憧れ続けた人を母と呼ばなければならない正之は傷つき懊悩する。新婦美名子も偶然のいたずらに言葉を失い、この日から秘密を抱えた二人の苦悩に満ちた同居生活が始まった。一方美名子に激しく嫉妬する夏子は由之へのつきまといをエスカレートさせていく。思いを断ち切ろうと正之は美名子に「一日も早くお母さんと呼べるようにします」と告げるが、その決意が崩れるのに長い時間は要しなかった。