近鉄1A系電車
From Wikipedia, the free encyclopedia
近鉄1A系電車(きんてつ1Aけいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道(近鉄)が2025年(令和7年)より導入している一般車両(通勤形電車)である。
| 近鉄1A系電車 | |
|---|---|
|
| |
| 基本情報 | |
| 運用者 | 近畿日本鉄道[1][2] |
| 製造所 | 近畿車輛[1] |
| 製造年 | 2025年 - |
| 運用開始 | 2026年1月16日[3][4] |
| 投入先 | 大阪線・名古屋線・山田線・鳥羽線 |
| 主要諸元 | |
| 編成 | 4両(2M2T)[1][2] |
| 軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
| 電気方式 | 直流1,500 V(架空電車線方式) |
| 最高運転速度 | 110 km/h[2] |
| 設計最高速度 | 120 km/h[1][2] |
| 起動加速度 | 3.0 km/h/s[2] |
| 減速度 | 4.0 km/h/s[2] |
| 編成重量 | 144.5 t |
| 車両重量 | 31.5 - 39.5 t[1][2] |
| 車両定員 |
Tc車・Mc車:120(110)人[1][2] M車:130(130)人[1][2] T車:130(120)人[1][2] ※()内はクロスシート時 |
| 全長 | 20,720 mm[1][5] |
| 車体長 | 20,000 mm[1][5] |
| 全幅 | 2,800 mm[1][5] |
| 車体幅 | 2,780 mm[1][5] |
| 全高 | 4,092 mm(空調機キセ)[5] |
| パンタ折畳み高 | 4,135 mm[1][5] |
| 屋根高さ | 3,695 mm[1][5] |
| 床面高さ | 1,140 mm[1][5] |
| 車体 |
アルミニウム合金 ダブルスキン構造[1][2] |
| 台車 |
積層ゴムブッシュ片側支持式ボルスタレス台車 動力車:KD-327 付随車:KD-327A |
| 車輪径 | 880 mm[1][5] |
| 固定軸距 | 2,200 mm[1][5] |
| 主電動機 |
かご形三相誘導電動機 三菱電機 MB-5183-A2[1][2] |
| 主電動機出力 | 240 kW[1][2] |
| 駆動方式 | WNドライブ[1][2] |
| 歯車比 | 101:16=6.31[1][2] |
| 制御方式 | 2レベルVVVFインバータ制御(ハイブリッドSiC素子)[1][2] |
| 制御装置 | 三菱電機 MAP-244-15V368(1C4M制御)[1][2] |
| 制動装置 | 回生ブレーキ、発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキ、抑速ブレーキ、保安ブレーキ[1][2] |
| 保安装置 | 近鉄型ATS、列車無線、列車選別装置 |
老朽化した車両の置き換えを主目的として、2024年(令和6年)より運用を開始した8A系(奈良線・京都線に投入)の大阪線・名古屋線版として設計され[6][7]、2026年(令和8年)1月16日より大阪線系統および名古屋・山田線系統用に4両編成で投入されている[1][3]。
本項では2026年(令和8年)度より製造予定である近鉄1B系電車(きんてつ1Bけいでんしゃ)についても記述する。
車両概説
車体
基本的な車体構造は8A系を踏襲しているため8A系と類似している点が多いが、本項では8A系との共通点・相違点を含めて記述する。
車体の構造・素材はアルミニウム合金製ダブルスキン構造となっている。連結面間を含む全長は20,720 mm(うち車体長は20,000 mm)、車側表示灯の部分を含む全幅(=最大幅)は2,800 mm(うち車体幅は2,780 mm)、側扉の幅は1,300 mmである[1][5]。
前面は8A系と同じ造形で、前照灯はコイト電工の全周発光タイプLEDを全面窓下部斜めに配置し、両側で16粒(片側8粒ずつ)を配置しており全光時には16粒すべてを、減光時には上部8粒(片側4粒ずつ)を点灯する仕組みとなっている[1]。
側面窓ガラスのうち、客用ドア間の窓については近鉄での一般車両の基本となっている中央に仕切りを挿入した1枚窓となっている[1][2]。このうち、車体に向かって右側の窓が開閉可能な一段下降窓であり、左側は固定窓である。車端部の窓は全車が固定式であるが、サ1A3形の賢島方にはトイレが設置されているため、その部分には窓はない。なお、窓ガラスには緑色に薄く着色されたUVカットタイプを採用している[1][2]。
種別・行先表示器は前面・側面ともにコイト電工製のセレクトカラーLED(幅960 mm、高さ190 mm)を採用した[1][2]。
前面の連結器には密着連結器を採用し、下部に2段の自動電気連結器を併設している[1][2]。また、大阪上本町・近鉄名古屋方の先頭車であるク1A1形には貫通幌を設置している[1]。
車両表記の書体は21000系で初めて採用され、一般車ではシリーズ21より採用を開始したヘルベチカを本系列でも採用している。
外観の塗装は塗り分けのデザインについては8A系と同様になっているが、8A系で採用した色調をわずかに変更したマルーンレッドは採用されず、ブルー系の塗装(正式な色名については不明)を採用している[1][2][6]。なお、やはり8A系で色調をわずかに変更したシルキーホワイトについては1A系でも採用され、ブルー系の色にシルキーホワイトを組み合わせたものとしている。
屋根の塗装には、8A系と同様であるグレーの絶縁塗料で塗装している。床下機器と台車にもグレー塗装を施している[1]。
車内
本系列は、近鉄伝統のL/Cカーとなっている[1][2][7]。
車内の座席についても1両に2ヶ所の「やさしば」を設置したり、車端部がロングシートでドア間がデュアルシートを採用しているなど基本的な構造は8A系を踏襲している[1][2][7]。デュアルシートについては8A系と同様、各ドア間ごとにロングシートとクロスシートとを適宜に組み合わせることも可能な仕様となっている[1][2][7]。なお、各車両の両端の座席は優先座席となっている[1]。
本系列では、大阪上本町・近鉄名古屋方より3両目に連結しているサ1A3形のモ1A4形寄り(=賢島方)車端部左側に大型車椅子・オストメイト対応の設備・折り畳み式おむつ交換台を完備したトイレを取り付けている[1][2][7]。トイレの扉は開閉とも押しボタンで操作する方式である[1][2]。
車椅子・ベビーカーの向けスペースも8A系と同じく全車両に設置されているが、トイレのあるサ1A3形ではトイレの向かい側(=賢島方右側)に設置されている[1]。その他の形式の設置位置はク1A1形とモ1A2形では賢島方左側に、モ1A4形では大阪上本町・近鉄名古屋方右側にそれぞれ設置している[1][2]。
車内案内表示器は側扉鴨居部に設置されている。大きさは幅がおよそ1,040 mm、高さおよそ260 mmのLCDモニタを千鳥状(=各側面の側扉に交互で2基ずつの合計4基)に配置している[1][2][7]。
このほか、深紫外線LEDを使用した車内に入った空気に対する除菌を実施する装置[3]や、側扉の車内・車外ともにドア個別開閉スイッチを設置している[3]。
- 車内
(2026年3月30日) - サ1A3形のトイレ外観
(2026年3月30日)
乗務員室
シリーズ21以降近鉄一般車標準となっている横軸2ハンドル方式を採用し、左にマスターコントローラーを右にブレーキハンドルを設置している。前者には抑速ブレーキノッチが3段用意されている[1]。
8A系と同じく、グラスコックピットを運転台計器類に採用。また、車両状態を表示するモニタ装置はLCDであり、2面用意されている。通常は左側にメーター類を表示される設定となっているが、モニタ異常時などの対策として右側モニタでも表示可能なバックアップ機能を備えている[1][2]。
機器類
空調装置は8A系と同じく集中式となり、三菱電機製のCU7042(54.86 kW=47.000 kcal)を1両に1基ずつ屋根中央部分に搭載。CU7042のキセについてはステンレス鋼製の無塗装仕上げとなっている[1][2]。
また、屋根と同じ灰色に塗装された換気扇が1両に1基ずつ設置されているが、その設置位置はク1A1形とモ1A2形が賢島方に、サ1A3形とモ1A4形が大阪上本町・近鉄名古屋方となっている[注 1][1][2]。
集電装置には東洋電機製造製のシングルアーム型PT7605-A(丸パイプ製アームを使用したばね上昇式)をモ1A2形とモ1A4形の大阪上本町・近鉄名古屋方に1基ずつ搭載している[1][2]。また、パンタグラフ下降用空気管を高圧引き込み線のさらに左側に細い配管で設置し、電磁鉤外しの電線管についてもパンタグラフ碍子台と避雷器との間で車体の内部に引き込む形で設置した[1]。なお、パンタグラフ周辺にはヒューズ箱を設置しており、このうちモ1A2形では車端部に左から順で主ヒューズと母線ヒューズの2つを、モ1A4形では同じく車端部に、左から順に主ヒューズ、高圧補助ヒューズ、母線ヒューズの順番で3つを並べている。そのヒューズ箱と集電装置との間には接地端子台と避雷器を設置している[1]。
先頭車の運転室部分の屋根上に列車無線アンテナを設置している[1]。
8A系との主な相違点として、回生ブレーキの失効対策として発電ブレーキ用の抵抗器とトイレタンクを設置している点である[1][2]。前者は電動車であるモ1A2形と制御電動車であるモ1A4形のそれぞれ左側に、後者はサ1A3形の賢島方に設置している[1][2]。トイレタンクは2基設置しており、車端部のものが汚水および汚物の処理装置で車体中央寄りのものが水揚げ装置となっている。この関係で、サ1A3形の賢島方連結面に設置されている配管の設置方法が8A系のサ8A3形とは異なっている部分がある[1]。
主電動機には8A系と同じく三菱電機製の全閉三相交流誘導電動機(型式:MB-5183-A2、1時間定格出力240 kW)となっている[1][2]。
主制御器には三菱電機製のVVVFインバータ(型式:MAP-244-15V368、ハイブリッドSiC方式)を、モ1A2形とモ1A4形の、それぞれ左側に搭載している。なお、素子放熱部を黒く塗装している[1][2]。
補助電源装置には、ク1A1形の右側に東洋電機製造製の静止形インバータ(容量190 kVA)を取り付けている[1][2]。
空気圧縮機には、三菱電機製のスクロール式(型式:URC1200SD-1、容量1,155 L/min、オイルフリー)をク1A1形の右側に設置している[1][2]。
台車は近畿車輛製で、動力台車にはKD327を、付随台車にはKD327Aを取り付けている(いずれも8A系と同一の台車形式)[2]が、このうち付随台車については8A系のものとは異なり、連続勾配対策として各軸に1組ずつのディスクブレーキを設置している[1][2]。なお、落成時点では第1編成・第4編成・第5編成の両先頭台車先頭軸には増粘着剤噴射装置(アルミナ)を装備している。また、第5編成の一部台車にはレール塗油器も設置されている[注 2][1]。