障害者手帳

一定の障害を持った者に発行される証明書 From Wikipedia, the free encyclopedia


障害者手帳(しょうがいしゃてちょう)とは、障害者として日本地方公共団体に障害者として認定を受けると発行される手帳である。

東京都の精神障害者保健福祉手帳(カード型)のカバー
精神障害者保健福祉手帳の表紙の一例(徳島県)
3級の精神障害者保健福祉手帳の一例(滋賀県)
カードタイプの精神障害者保健福祉手帳の一例(東京都)。「旅客鉄道株式会社等旅客運賃減額」制度の適用前後の変遷が記載されている。
身体障害者手帳の表紙の一例(色は発行元により異なる)
身体障害者手帳の証明欄の一例
身体障害者手帳の詳細欄の一例

種類

日本では、下記の3種類を障害者手帳として定義している[1]

手帳の発行主体

手帳の発行主体は手帳の種類や居住する自治体により異なる。

  • 都道府県・・・以下に含まれない全ての手帳を発行する。
  • 政令指定都市・・・3手帳ともに発行し、その市が発行主体となる。
  • 中核市・・・身体障害者手帳のみ発行する。
  • 鳥取県鳥取市(中核市)、岩美町若桜町智頭町八頭町・・・「岩美町、若桜町、智頭町、八頭町を含め、鳥取市が鳥取県から権限を移譲される」という扱いになるため、鳥取市が発行主体となる[3]
  • 上記以外の市町村・・・市町村が発行主体となる場合は、「市町村が都道府県から権限を移譲される」という扱いになるため、都道府県の条例によって、市町村(身体のみ)・都道府県のいずれかが発行主体となる[4]。なお、手帳の種類によって発行主体が異なる場合も多い。例えば、精神障害者保健福祉手帳および療育手帳は都道府県が発行し、身体障害者手帳は各市(条例で権限が譲渡された場合のみ)が発行する等[5]

手帳の色と表記

カバーの色やレイアウトは都道府県毎で全く異なり、統一されていない。精神障害者保健福祉手帳は「障害者手帳」、身体障害者手帳は「身体障害者手帳」と印字される[6][7]。療育手帳は「療育手帳」であることが多いが、「愛の手帳」などの独自の表記であることも多い。

表記によって障害を区別されないように入れ物(ケース)の表記のみ同一の「障害者手帳」を統一採用している地方公共団体もあり、一例として佐賀県埼玉県で統一様式を採用している[8]。この場合でも内部の手帳台紙の表記は「身体障害者手帳」「療育手帳」(知的障害)「障害者手帳」(精神障害)となっているが、複数の障害者手帳を持っている場合は本体の表記を見ないと判りにくい欠点があるほか、一部の交通機関で割引対象外の精神障害者の判別が困難になるなどの影響も出ている。

一部の地方公共団体では内部の手帳台紙の表記すらも厚生労働省の手帳の様式から逸脱して「障害者手帳」で統一している。

手帳の提示にて受けられる各種サービス

原則として、証明写真が貼ってある手帳所持者本人に限り、各種サービスを受けられる。障害者手帳の種別や等級、各地方自治体により、受けられるサービスに差があるため、利用の際は各地方自治体、施設や交通事業者に確認が必要である。民間施設でもそれぞれ独自にサービスを受けられる場合がある。

まず精神障害者保健福祉手帳身体障害者手帳療育手帳共通で受けられるサービスを列挙する。

次に、障害の種類によってサービスが受けられる例を列挙する。

  • 身体障害者・知的障害者への一部公共交通機関(路線バス・船舶・航空機、及び上記以外の鉄道)の障害者・介助者の運賃割引[15][16][17][18][19]
    • 上記運賃および通行料金割引3例のうち、精神障害者については後述参照

精神障害者におけるサービスの差異の問題

過去、精神障害者は他の障害とは区別され各種優遇を受ける事が出来ない場合もあった。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律で順次改善されつつある[20][21]。他方、高速バスの割引が次々に廃止されるなど、相反する動きもみられる。

2022年時点では精神障害者保健福祉手帳ではJRグループ運賃割引(例外的にJR西日本宮島フェリーは割引となる[22][23][24][25]・多くの有料道路での通行料金の割引[26][27]はないが、多くの鉄道路線[28](一例として、東武鉄道「お体の不自由なお客さまへの鉄道運賃割引」函館市企業局交通部#障がい者等の乗車料金の割引を参照)や、高速バス・路線バス(一例として、函館バス#障がい者・高齢者の割引等ジェイ・アール北海道バス#障がい者の運賃割引北海道中央バス#運賃形態を参照)において行われていないなど、精神障害者は、やるせなくて辛い想いを感じていることが多くある[7]。なお、国土交通省が標準約款の運賃割引対象として精神障害者を加えたことで割引の導入が進んだ、高速バスの運賃割引に関しては精神障害者は廃止が多くある[29]

なおJRは、2025年令和7年)4月1日より精神障害者に対しても障害者割引を導入した[30]

なお、公共交通機関においては各自治体が独自の助成制度(一例として、山口県 健康増進課 の町営バス・福祉タクシーの助成や北海道函館市の「函館市障害者等外出支援事業」など)を行ってる事もあるが、助成範囲が各市町村内に限られたり、通院・施設通所のための特定路線のみとなっているなど、運行路線全体をカバー出来ないケースがあるために不十分となっている事が多い。

航空会社は精神障害者に運賃割引を行っていなかったが、日本航空などJALグループ各社は2018年10月4日から精神障害者も対象となり[17][31]。追って全日本空輸などのANAグループ各社、及びAIRDOソラシドエアスターフライヤーなどのコードシェア便航空会社でも2019年1月から精神障害者も対象とされた[18][32][33][34][35]。さらに2020年1月からは調布空港と伊豆諸島を結ぶ新中央航空でも精神障害者割引が開始されている[36]。多くの航空会社では精神障害者手帳2・3級であっても同伴者1名が割引になることが多い。

日本国外での使用

あくまで日本国内の法令に基づき発行されており、海外での使用は想定されていないため、手帳自体に英語等の外国語表記は一切存在しない。しかし、海外の一部の美術館等で自国への翻訳文を添付することにより、割引や優先入場等を受けられる場合がある(例:フランスなど[37])。

なお、同じ漢字文化圏台湾では、国立故宮博物院については、外国籍の非居住者であっても同伴者1名を含め、無料になる[38]

障害者手帳取得、所持のデメリット

障害者手帳を取得することや、所持することについて基本的に大きなデメリットはない。 手帳を利用する場面が減り手帳を提示することが減った。就業するに際して、障害を「クローズ」して就労を決めたことを忘れて障害を秘匿することがある。

発行にかかるコストとメリット、デメリット

特に期限が設定されている精神障害者保健福祉手帳について、取得し維持するには相当な自己負担が発生する。まず申請をする際に医師診断書が必要であり、保険適応外で税込み5,500円程度の自己負担があり、それが2年が期限の場合には2年ごとに5,500円の負担になる。また申請、発行する際に証明写真の提出を求められるので、2年が期限の場合には2年ごとにそれも負担になる。また精神障害の診断について長期の通院が前提となるために通院にかかる費用もかかる。

障害者手帳を発行するかどうかは任意である。発行は無料ではないため、このようなコストに見合った意味があるのかどうか天秤にかけて検討する必要がある人もいる。

障害者雇用のデメリット

障害者求人枠では、基本的に一般求人枠よりも低い競争率で応募できるが、多くは非正規雇用であるだけではなく、例えば「雇用期間3ヶ月(更新あり)」などという形式で有期雇用契約の形を取る。障害者法定雇用率や最低賃金などの規制があるが有期契約には制限はなく、契約期間満了という理由で納得させて解雇しやすいという多くの企業の思惑があると思われる。このような有期雇用契約は、雇用がより不安定であるといえる。

障害者であるデメリット

障害者であるデメリットは様々ある。ただ、それは障害者であるという診断を受けることによって発生するデメリットであって、手帳所持の有無には関わらない。

例えば、視覚障害や肢体不自由などの身体障害を理由に安全運転に必要な能力を有していないと判断された場合には、自動車運転免許が発行禁止、停止、失効される可能性がある。また現在、精神障害を理由とする資格制限や行動制限が存在する。医師、看護婦、調理師、美容師、自動者運転等の免許から、風俗営業、薬局の許認可に至るまで、約80の資格や職業を禁止し、さらに警備員としての就業、危険なペットの飼育、図書館等の公共施設の利用、議会の傍聴などの様々な行動を禁止ないし制限している[39]。精神障害者であることを開示せず、「クローズ」というかたちで秘匿しながら警備員に就業したような場合には、免職などの処分をされる可能性もある。

その他、障害の程度により生命保険の加入審査等に影響する可能性がある。働けていない障害者は、働けていないという理由によりローンの審査に影響する可能性がある。例え収入や貯金が十分であっても、障害を理由に賃貸物件への入居を断られる(この理由は障害に限らず年齢、国籍、職業等さまざま存在する)こともあり、社会的課題とされている。

手帳の時事

2012年6月27日障害者自立支援法に代わる法律として「障害者総合支援法」が公布された(2013年4月1日施行)。この法律では、自民党の発案により、障害者認定基準が見直され、障害の「重さ」でなく、必要としている支援の程度により認定が行われることとなった。これは、知的障害精神障害ではコンピューターによる一時判定では低く判定されるも、専門家による二次判断で高く判断される傾向があり、こうしたばらつきを是正するためとしている[40]

厚生労働省2018年平成30年)10月24日の社会保障審議会の障害者部門で、耐久性が高く持ち運びしやすい「カード型」タイプの手帳を発行可能とし[41][42]2019年(平成31年)4月1日の省令改正により療育手帳以外の手帳でも「カード型」タイプの発行が可能となった[43][44][45][46][47]

その他

  • 2008年7月に厚生労働省は、学生の障害者について、それまで親が居住する自治体が手帳を交付するとしていたのを、実際に学生本人が居住する自治体が交付するよう変更した。しかし、同省の周知不足や、自治体の認識不足により、制度変更後も、学生の障害者が手帳の交付を拒否された事例がある[48]
  • 同音の漢字による書きかえのため、『碍(礙)』が同じ発音の『害』で代用されており、法令上は「障害者手帳」となっているものの、一部の媒体では書きかえられた漢字を使用せず『障がい者手帳』と『害』の漢字を平仮名の『がい』と交ぜ書きで記述している場合がある[49]

関連項目

出典

外部リンク

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