となりのナースエイド
From Wikipedia, the free encyclopedia
| となりのナースエイド | ||
|---|---|---|
| 著者 | 知念実希人 | |
| 発行日 | 2023年11月24日 | |
| 発行元 | 角川文庫 | |
| ジャンル | 小説 | |
| 国 |
| |
| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 文庫判 | |
| ページ数 | 368 | |
| 公式サイト | 角川文庫 | |
| コード | ISBN 978-4-04-114311-7 | |
|
| ||
| ||
| サーペントの凱旋 となりのナースエイド | ||
|---|---|---|
| 著者 | 知念実希人 | |
| 発行日 | 2024年12月2日 | |
| 発行元 | KADOKAWA | |
| ジャンル | 小説 | |
| 国 |
| |
| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 四六変形判 | |
| ページ数 | 352 | |
| 公式サイト | KADOKAWA | |
| コード | ISBN 978-4-04-115130-3 | |
| ||
『となりのナースエイド』は、知念実希人による小説[1]。2023年11月24日に角川文庫より出版された[1]。
星嶺大学医学部附属病院を舞台に新人ナースエイド(看護助手)の桜庭が先輩外科医の竜崎と奮闘する医療サスペンス物語[1]。
続編となる『サーペントの凱旋 となりのナースエイド』がKADOKAWAより2024年12月に刊行。
本作は、先にドラマ化された『祈りのカルテ』で縁ができたプロデューサーの藤森真実よりナースエイドを題材とした小説の執筆を持ちかけられ書き下ろされたものである[2]。
となりのナースエイド
星嶺大学医学部附属病院5階病棟に、新人ナースエイドとして配属された主人公の桜庭澪は半年前、姉の死をきっかけとしてPTSDになり、医療行為を行おうとするとパニック発作が現れて外科医を続けられなくなってしまい、元々4月から外科医として入職予定であった統合外科主任教授の火神郁男の紹介でナースエイドの仕事に就いた。直接的な医療行為はできない立場ではあるが、外科医の竜崎大河と時に対立しながらも患者に寄り添い奮闘すると同時に、姉の死の真相に迫っていく。
サーペントの凱旋
竜崎が日本を去ってから3年後、澪は週に数日はナースエイド業務を行うことを条件として外科医として勤務し、オームスのテストオペレータも務めていた。ある日、駐日アメリカ大使の親族が乳がんが全身に転移したのをオームス手術と並行して行う開頭手術のために竜崎が帰国した。日本では医師の資格がない竜崎のために、法律上は日本国外となるアメリカ大使館内にオーム手術設備を設置した上で、手術が行われた[4]。翌日、玲香の二人で打ち上げ中、父である火神郁男は軽井沢の別荘で研究をしていたが別荘は最近売却したと聞き、玲香が居酒屋に置き忘れた郁男の遺品の鍵を持ち、軽井沢の別荘へ向かい侵入すると、別荘を買い取ったのは竜崎が依頼した業者で、直ぐ転売してもらったという。遺品であるという鍵で開いた金庫から、火神郁夫が火神細胞とシムネスの関係についてまとめた資料が見つかった。
2週間後、竜崎とともに軽井沢に向かっている途中に、大男とチンピラ風の金髪の男の二人に、これ以上嗅ぎ回るなと警告的な攻撃を受けたが、依頼主を聞き出そうとした直後に大男が狙撃で射殺され、金髪の男は腹部に被弾し瀕死の重傷に。重傷者を見捨てられない澪は竜崎とともに近くの病院へ一時間かけて歩いて重傷者を搬送し、竜崎の執刀によりオペを行ったが、直後に訪ねてきた橘には病院長が口裏を合わせて竜崎をかばった。 その足で東京に戻り、パナアルケミの本社のサーバー室に侵入し、関連データをUSBメモリーにうつして、澪は玲香に協力を要請している最中に竜崎からの連絡で、金髪の男の話では二人組の依頼主はパナアルケミではなく火神玲香だと連絡があり、USBメモリーは玲香により破壊されてしまう。玲香は、3年前にプロジェクトを引き継いだときにパナアルケミからシムネスと火神細胞との関係を聞いていたという。言い合いの最中、猿田から友理奈の腫瘍が再発し、全身に腫瘍がみられると連絡が入り病院に駆けつけると、急速進行性シムネスの症状そのものであった。友理奈をシムネス患者にしてしまった自責の念もありなんとか助けたいと思う玲香だったが、澪はなすすべがないと悟っていた。
登場人物
主要人物・病院関係
- 桜庭澪(さくらば みお)
- 星嶺大学医学部附属病院の新人ナースエイド。異変や心情を察知しながら患者に寄り添う優しい性格である一方、姉を失った経緯もあり悪事は徹底的に許さない正義感を持つ。
- 竜崎大河(りゅうざき たいが)
- 星嶺大学医学部附属病院の統合外科のプラチナ外科医。澪のアパートの隣人で、他にも部屋を借りて独自のトレーニングルームとしている。
- 天才的な技術を持つが、技術至上主義であり、患者への寄り添いは避けていた。
- 手術を止めに来た澪の言葉や、隣人として挨拶に来たときの咄嗟に結んだ結び方で、澪が外科医であると判断。
- 遠藤剛史(えんどう つよし)
- 元自衛隊員のナースエイド。妻に先立たれたシングルファーザーで小学生の娘がいる。
- 早乙女若菜(さおとめ わかな)
- 看護師国家試験に落ちて、ナースエイドに。澪より2か月早く入職。
- 園田悦子(そのだ えつこ)
- 附属病院開院当初から勤務するベテランナースエイド。大学生の孫もいる。
- 定森恵理子(さだもり えりこ)
- 5階病棟の主任看護師。
- 火神郁男(ひがみ いくお)
- 統合外科主任教授。
- 壺倉(つぼくら)
- 統合外科医局長。ゴールドの外科医だが手術の腕より事務能力に長けているので医局長の立場にいる。本来は禁止されている患者から謝礼の金銭を受け取る傾向にある。
- 大垣(おおがき)
- ゴールドの中年外科医だったが、澪の言葉を無視し手術を行おうとして患者を死の危険に晒したとして、竜崎がシルバーに降格させた。
- 桑原(くわばら)
- 消化器専門のプラチナ外科医。
- 火神玲香(ひがみ れいか)
- 火神教授の娘で、ゴールド外科医。竜崎の後輩に当たるが、竜崎は尊敬する先輩であり恋愛感情はもっていない。
病院の患者
- 木下花江(きのした はなえ)
- 70代の食道がん患者。手術前から腰の痛みを訴えていた。胸腔鏡手術予定であったが、大動脈解離が見つかり開胸手術とし、大動脈解離と食道がんの手術を続けて行った。
- 加賀野すみれ・百合(かがのすみれ・ゆり)
- 胸部が結合している双生児で分離手術のために入院の女子高生。
- 笹原遥未(ささはら はるみ)
- 膠芽腫で、覚醒下開頭頭蓋内腫瘍摘出術で、言語療法士と澪と会話しながら手術に営む。
- 術後に無意識の時に聞いていた病室の隣りにあるナースエイド控室での会話を話す。
- 玉野小夜子(たまの さよこ)
- 羽ばたき園に入園している小学生。熱性けいれんで附属病院に救急搬送された。
- 幼少期に父母が離婚し、父親に引き取られたものの2年前に交通事故死し、母親が経済的理由で育児放棄しているので入園した。
その他
- 桜庭唯(さくらば ゆい)
- 澪の姉で新聞記者。高校時代に白血病の治療をした後、シムネスを発症。澪が数ヶ月の延命のために強く手術を勧めて大腸を摘出し人工肛門を造設したが、人工肛門のパッチがずれた場合取材先に迷惑がかかるからという上司の無理解で取材へ行くのをやめさせられた。再入院中だったある日、病院の屋上から転落死し、当初は自殺とされていたため、澪は自分が無理に手術を勧めたからだと悔やんでいた。
- 橘信也(たちばな しんや)
- 唯の交際相手で、新宿署刑事。
- 辰巳浩二 (たつみ こうじ)
- 半グレ集団や麻薬ビジネスのボス。唯が生前追っていた検事総長収賄事件の重要人物かつ指名手配で逃亡中。
- 愛人に産ませた子への病院外での生体肝移植手術を竜崎に依頼。澪は逃亡のための顔の形成手術だと思い込み、竜崎の手術を止めようとしていた。
- 辰巳から肝臓の摘出は奥多摩の洋館で、子への移植は麻布十番の病院で行われ、直後に辰巳は逮捕された。
- 玉野早苗(たまの さなえ)
- 小夜子の母で、信仰心から小夜子の手術を拒否した。
- 聖瀧院光樹(せいりゅういんこうき)
- 宗教法人オーラの御心教祖。
サーペントの凱旋
- 竜崎大河(りゅうざき たいが)
- アメリカを拠点に裏の世界で手術をこなすうちに、サーペントと呼ばれるようになったが本人は嫌っている[5]。
- 桜庭澪(さくらば みお)
- 週に3回の半日程度の時間でナースエイド業務をすることを条件に外科医として勤務し、オームスのテストオペレーターもこなす。周囲はナースエイド業務を減らして外科医やテストオペレーターに集中させようとするが、本人はナースエイド業務を最優先させたいと考える[6]。3年前のナースエイドの同僚は、早乙女若菜は看護師国家試験に合格しオペナースに、遠藤剛史は自衛隊時代の同期に誘われ運送会社の共同経営者に、園田悦子は豊富な経験を買われ専門学校講師に引き抜かれ、いずれもナースエイドの現場からは去っていた[7]。
- 火神玲香(ひがみ れいか)
- 火神郁男の娘。郁男の死後、医局と病院を辞めて、オームス開発のパナアルケミに就職したが、オームス設備は病院に設置してあるため週に2~3回は病院に出入りしている[8]。
- 愛川萌香(あいかわ もえか)
- パナアルケミの若手研究員で、澪のアシスタントとして派遣されている。垢抜けない上京したての大学生のような外観でメガネがトレードマーク[9]。
- 三枝友理奈(さいぐさ ゆりな)
- シムネス患者で13歳。8年前に小児白血病の治療後に火神細胞による万能免疫細胞療法を追加で行い、シムネス患者となった。その火神細胞による治療を勧めたのが、当時小児科で初期臨床研修中であった火神玲香であった[10]。
- 猿田(さるた)
- 恰幅の良い中年男性で、火神郁男が若い頃世話になったという人物の息子というコネで医局に入ったものの、手術の腕はイマイチだったため自ら希望して3年前までは関連病院に出向していたが、医局内外とのコミュニケーション能力が高く、新任の教授が関連病院から呼び戻して統合外科医局長の座にいるが、澪とは犬猿の仲である[11]。
- 橘信也(たちばな しんや)
- 唯の交際相手で、新宿署刑事。竜崎が帰国してから、竜崎が日本国内で手術するのではと常に見張っている。
用語
- 統合外科
- 星嶺大学医学部統合外科医局。医局長は壺倉、主任教授は火神。医局員は年功序列ではなく手術の腕でプラチナ、ゴールド、シルバーにランク付けされており、プラチナはゴールドをシルバーへ降格できる権限を持つ。プラチナは手術専門で、病棟担当や患者および患者家族への説明はゴールドが担当する。
- シムネス(全身性多発性悪性新生物症候群)
- がん細胞にシムネスウイルスが感染することが原因と考えられる本作品内の疾患[12]、あらゆる臓器に同時多発的に悪性腫瘍が生じる奇病[13]。シムネス発症者は、いずれも発症の数年前にがんを患っていた。患者数は全国でも年間数十例程度。
- シエラレオネ
- 西アフリカの小国で、首都から車で6時間ほどの小さい村でシムネス患者が発見された。竜崎は何度か調査で滞在していた[14]。
- 急速進行性シムネス
- バイオコンピュータ内蔵の新火神細胞が癌化したもので手術などで腫瘍が除去されると自己防衛機能により急速に増殖し常識ハズレの速度で腫瘍が増大する。オームス手術で用いられる新火神細胞とシムネスが融合して一時的に腫瘍が消えたように見える[15]。新火神細胞の自動集合プログラムによってシムネスが暴走状態になると血流を逆上り心臓へ集まり腫瘍で心臓を破裂しようとする機能がある[16]。新火神細胞には自己破壊プログラムも組み込まれている[17]。
- パナアルケミ
- 火神細胞とその補助薬品でメガファーマに急成長した世界的な製薬会社。火神細胞などの特許が切れ収益が悪くなる前に次期主力商品となるオームス実用化を急ぐため、桜庭澪をテストオペレーターにせざるを得なかった[18]。
書誌情報
- 知念実希人
- 『となりのナースエイド』 2023年11月24日発売、角川文庫、ISBN 978-4-04-114311-7
- 『サーペントの凱旋 となりのナースエイド』KADOKAWA、2024年12月2日。ISBN 978-4-04-115130-3。