アズレン

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アズレン
アズレンの構造式。赤字は位置番号を示す
アズレンの球棒モデル{{{画像alt1}}}
識別情報
3D model (JSmol)
ECHA InfoCard 100.005.449 ウィキデータを編集
KEGG
特性
化学式 C10H8
モル質量 128.17 g/mol
外観 濃青色結晶
融点

99100 °C

沸点

242 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アズレン: azulene)は10個の炭素原子と8個の水素原子からなる炭化水素で、ナフタレン構造異性体にあたる。分子式は C10H8分子量128.17、融点99100 °C、沸点242 °C。ナフタレンのような特有の匂いを持つ、代表的な非ベンゼン系芳香族化合物である。後述するアルキル基で置換されたアズレンは、モノテルペンにも分類される。

アズレンは濃青色の昇華性の高い結晶であり、これはナフタレンやその他多くの炭化水素が無色透明であることと対照的である。名称もスペイン語で「青い」を意味する "azul" に由来する。消炎作用があり、副作用の心配がほとんどないため、昔から肌の炎症を抑えるために化粧品や石鹸、入浴剤などの日用品に用いられており、鼻、喉、胃などの炎症を抑えるためにうがい薬、目薬、胃薬などの医薬品としても用いられている。

その歴史は古く、15世紀にはカモミールの水蒸気蒸留によってアズレンを含む濃青色の精油が得られていた。1863年にイギリスの調香師セプティマス・ピース英語版ピース&リュバンの共同創設者)によりノコギリソウニガヨモギから単離され、彼によって命名された。レオポルト・ルジチカがアズレンの構造を解明し、1937年にスイスの化学者プラチドゥス・アンドレアス・プラットナー (Placidus Andreas Plattner, 1904年–1975年) によって初めて合成された。今日ではいくつかの合成法が知られている[1][2]

水には溶けず、有機溶媒に溶ける。

構造

アズレンの共鳴構造

ナフタレンが2つのベンゼン環の一辺を共有する構造である一方、アズレンは7員環と5員環が縮環した構造を持つ。ナフタレンと同様に10個のπ電子を含む共鳴構造を持つが、共鳴安定化エネルギーはナフタレンの半分である。双極子モーメントが0であるナフタレンと対照的に、アズレンの双極子モーメントは1.08 D,[3]である。この分極は、それぞれ芳香族性を有する6π電子構造のシクロヘプタトリエニウムイオン(トロピリウムイオン)とシクロペンタジエニルアニオンが縮環した構造としてアズレンを見ることによって説明できる。その極性のため、求電子的反応は5員環側で、求核的反応は7員環側で受けやすい。ナフタレンなどより芳香族性はやや低く、水素化などの反応を受け付けやすい性質がある。

アズレンはカシャの法則から逃れる分子として知られており、その誘導体もまた最低励起一重項状態から蛍光しないものが多い。

合成

特異な構造から、アズレンの合成法は化学者たちの関心の対象となってきた[4]。現在もアズレンの合成は困難であり、2019年現在、単価は250 mgで10500円となっている[5]

1939年のプラットナーらによる初の合成は、インダンジアゾ酢酸エチルによるものであった[6]

効果的なアズレンのワンポット合成は、シクロヘキサジエンとC5のシントンを環化させるものである[7]

また、以下のようなシクロヘプタトリエンをジクロロケテンと反応させる方法も知られる[8][9]

実験室においては、ピリジン2,4-ジニトロクロロベンゼンを反応させ(ジンケ反応英語版)、これをジメチルアミンと反応させて生じるジンケアルデヒド英語版シクロペンタジエンと反応させる方法が知られる[10][11]。この方法では、ジンケアルデヒドをシクロペンタジエンと反応させる際に125 °Cで4日間撹拌し、生成物をカラムクロマトグラフィーで分離するなど長時間を要するが、生成したアズレンは昇華しやすいため分留した溶媒にも移ってしまい、収率は良くない。

誘導体

出典

外部リンク

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