アンドゥリル・インダストリーズ
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概要
従来のハードウェアを主体としたロッキード・マーティンなどの防衛産業とは異なり、「素早い指揮系統こそが戦場を支配する」との理念からソフトウェアを中核に据えた事業を展開しており、システムで使用されるハードウェアは汎用品を用いたデュアルユースを主軸とし、安価かつ大量生産体制である[5]。顧客が将来直面する課題を自ら予測し、国の予算が成立する前に自らの資金で先行開発を行い、完成した数種類のシステムの中から目的に見合ったものを納入するシリコンバレー方式のためシステム構築までの速度が数か月と圧倒的に早く、次々と国防関連の契約を獲得している[5]。従来の方式では仕様が掲示され、企業がそれに応じた開発予算を受け取ってから数年から数十年かけて開発することが一般的である。なお、軍事技術に消極的な他のシリコンバレー企業とは一線を画しており、軍事・防衛分野に極めて積極的である。
企業名
企業名のアンドゥリルとは、J・R・R・トールキン原作の小説『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)に登場する人物「アラゴルン」に託された架空の剣に因み名付けられた[6]。伝説の聖剣「ナルシル」の破片を再度鍛造し完成した剣となり、小説の中で使われる造語シンダール語で、「西方の焔」を意味する[7]。ラッキーは「折れた剣を鍛え直す」というエピソードになぞらえ、旧態依然とした防衛産業を最新技術で再構築し、西側諸国の価値観や安全を守るための「盾と矛」になるという意志を込めたと述べている[8]。なお、兵器製造を専門とする会社にこの名称を使用することは、トールキンが平和主義者として知られていたため批判を招く結果となった[9]。
共同設立者
- パーマー・ラッキー(Palmer Luckey)- 創設者
- パルマーとも。16歳の時、自宅のガレージで寄せ集めの電子部品からバーチャルリアリティ(VR)「Oculus Rift」を開発し、2012年にOculus VR社を設立したエンジニア[10]。2014年、同社を約20億ドル(約2,000億円)でFacebook(現Meta)に売却した経歴から「天才エンジニア」とも称される。熱心な日本のアニメ・ゲームファンでありオキュラス時代には何度も来日し滞在経験なども持つ親日家[11]。特に『SAO』や『ガンダム』などがお気に入りで造詣も深い。リバタリアニズムであり、シリコンバレーの主流派とは異なる政治的姿勢や、従来の国防産業を破壊するような「異端児」としての姿勢や、16歳の発明時からアロハシャツに短パン、サンダルなどの恰好からテック業界や防衛業界で大きな注目を浴び続けており、企業の顔として資金集めに影響力を持つ。

- トレイ・スティーブンス(Trae Stephens)- 会長
- ピーター・ティール率いるファウンダーズ・ファウンドのパートナー。パランティア・テクノロジーズの初期メンバーであり、他の事業も運営するなどベンチャーキャピタリストの一面も持ち合わせる。ジョージタウン大学外交学部卒で大学ではアラビア語と安全保障を専攻し、卒業後は米国の情報機関でのキャリアをスタートさせる。この経験から政府機関との折衝などを担当する。基本OSとなるラティスを立案した[12]。ビッグデータなどの解析から少子高齢化による労働力不足と自衛隊員不足に直面する日本こそがAIや自律型ロボットによる防衛能力の補完を最も必要としていると提言したことが日本法人の設立に繋がった。
- ブライアン・シンプ (Brian Schimpf) - 最高経営責任者(CEO)
- パランティアの元エンジニアリング・ディレクター。コーネル大学在学中から国防高等研究計画局(DARPA)が主催する自動運転車の競技会にチームリーダーとして参加するなど自律型システムにおける技術的背景を持つ。防衛・インテリジェンス分野のソフトウェア開発をリードした経験を活かし、会社全体の経営方針と自律型システムの構築を指揮する[13]。
- マット・グリム (Matt Grimm) - 最高執行責任者(COO)
- パランティアの初期メンバーとしてイラクやアフガニスタンに派遣され米軍の技術支援に直接携わった経験を持つ。自国内では詳細まで理解できないとして自ら志願して現地に赴くほどの現場主義。最高物流責任者(CLO)も兼任し、サプライチェーン管理の他、施設管理、セキュリティ、財務、人事など多岐にわたる実務部門を率いている[14]。シンプと同じくコーネル大学在籍中に競技会メンバーとして在籍した。小さなガレージから始まったスタートアップを2025年末には全世界で約7,000人の従業員を抱える巨大企業へと成長させた立役者。物理的なインフラ構築の重要性を重視する[14]。
- ジョセフ・チェン (Joseph Chen) - エンジニアリング・ディレクター
- Oculus VRの元メンバーで製品責任者。元米陸軍所属の退役軍人で第173空挺旅団の降下兵としての経歴を持つ。ライス大学で電気工学の学士、南カリフォルニア大学では経営学修士(MBA)を取得しており、技術とビジネスの両面に精通する。兵役時代の経験を活かし現場のニーズを技術に落とし込むハードウェアおよびソフトウェアエンジニアリングに従事している[15]。このため試作品やテスト段階において現場からは「実用に耐えより実戦的である」と評価が高い。
アンドゥリルは主にデータ解析に秀でるパランティア組と技術に秀でるオキュラス組に分かれており、このメンバーから最強の布陣ともされる。また、ラッキーとスティーブンス共に既に企業経営を経験していることから権力争いに発展することが無く、シンプの経営方針に同意している。「防衛産業を最新技術で再構築する」という目標の下に5名は対等なプロフェッショナルとしての関係にある。
歴史
投資家ミートアップ
共同創業者であるラッキーは、一般消費者向けに初となる仮想現実用ヘッドセットの1つ「オキュラスリフト」を開発した。2014年6月、カナダ、ブリティッシュコロンビア州ソノラ島で開催されたオキュラスの初期投資家であるベンチャーキャピタル、ファウンダーズ・ファウンドが主催する会議に出席した[16]。ここでファウンダーズ・ファウンド代表であるピーター・ティールに諭され、パランティア・テクノロジーズを離れファウンダーズ・ファウンドに加わったばかりの30歳のトレイ・スティーブンスと出会う[16]。ラッキーとスティーブンスは、テクノロジー系スタートアップ企業が防衛関連の契約を獲得するという共通点があることに気付いており[17]、ここでスティーブンスは、パランティアとスペースX以外に数十億ドルもの資金を投じる政府と密接に協力しているベンチャー企業が殆どないのはおかしいと考えており、ファウンダーズ・ファウンドもスペースXの初期投資家の内のひとつであった。また、スティーブンスの目標は、この2社に加わる企業に対し資金を提供することだったが、シリコンバレーでそれを実現するのは困難だと考えていた[16]。
2015年、国防総省と国土安全保障省はシリコンバレーに事務所を開設。2017年、前年に開始された取り組みの一環として、国防総省は、中東で運用されるドローンの画像認識を向上させるプロジェクトを皮切りに、最新のAI研究を軍事技術に活用することを目標としたアルゴリズム戦争クロスファンクショナルチーム(AMCFT)、「プロジェクト・マービン」の立ち上げを行っている[17]。
ハイテク軍事用途のソフトウェアスタートアップのアイデアは、スティーブンスとパランティアの同僚数名によって提起された[18][19]。2016年の大統領選挙後、スティーブンスは国防政権移行チームに任命され、その後、バラク・オバマ政権で国防長官を務めたアシュトン・カーターを筆頭に改革組織の中心となる国防イノベーション委員会に参加[18]。ファウンダーズ・ファンドが投資できる国防スタートアップを探していたスティーブンスは、2014年にOculus VRをフェイスブックに20億ドルで売却して得た資金の活用を考えていたラッキーと共に、アンドゥリルの従業員募集を開始している[18]。
ラッキーは2017年3月にフェイスブックを退社しているが、これは自身がドナルド・トランプ支持者であることを理由に解雇されたと主張したが、フェイスブック側はこれを否定している[18][20]。スティーブンスとラッキーはパランティアとオキュラスから人材を採用し、低コストのハードウェア部品と高度なソフトウェアを組み合わせるというラッキーの開発手法をオキュラスのヘッドセットに流用する計画を立てた。なお、ラッキーは防衛産業は数十年にわたって技術革新が見られないため容易だと推測していた[18]。
2017年以降

2017年6月ファウンダーズ・ファンドから資金提供を受けアンドゥリルが設立された[21][19] 。ラッキーとスティーブンス、マット・グリム、ジョー・チェンの4名によって共同設立され[16]、 ブライアン・シンガーマンが資金調達ラウンドを主導した[16]。また、ラッキー、スティーブンス、グリムの3名はパランティアの取締役に自社のプレゼンを行っている。ここでブライアン・シンプがパランティアへの参加を決意し、5人目の共同創設者(兼CEO)となった[16]。
2017年6月、アンドゥリルの幹部は国土安全保障省(DHS)カリフォルニア支局に連絡を取り、低コストの国境警備システムを提案した。最終的に、アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)はアンドゥリルに対し新しい国境システムの試験運用費用を承認している[16]。
2018年6月、試験用監視塔がテキサス州の私有地において非公式での試験運用を開始。監視塔はアンドゥリル社の技術部門によってAI対応基本ソフトウェアである「ラティス」を用い遠隔操作により運用された[16][22]。CBPはテキサス州とサンディエゴでアンドゥリルと共同で試験導入プログラムを実施する[23]。
2019年6月、英国海軍は近代化計画の一環としてAI対応ソフトウェアであるラティスを導入[24][25]。その後英国海兵隊とも契約を締結[26]。2019年に報道機関プロパブリカは、メキシコと米国の国境に隣接する基地などを含む日本と米国の軍事基地内にアンドゥリルのシステムを設置する米国海兵隊との1,350万ドルの契約を報じている[26]。この年にはCBPのサンディエゴセクターにさらに多くの監視タワーが設置された。CBPはテキサス州向け用途の追加発注を行い、モンタナ州とバーモント州の国境エリアで寒冷地向けの試験導入を開始した[23]。2019年9月の資金調達ラウンドでは、アンドゥリルはファウンダーズ・ファンドの他にジェネラルカタリスト、アンドリーセン・ホロウィッツなどのさまざまなベンチャーキャピタル企業から1億2,000万ドルの資金を確保した。この時点での評価額は10億ドルを超え、2018年の4倍にまで増加した[18]。
2020年7月、アンドゥリルは米軍向けのプロジェクトに対しアンドリーセン・ホロウィッツやファウンダーズ・ファンドなどのベンチャーキャピタル企業から2億ドルの追加資金を調達している[27]。アンドゥリルは、同社の評価額が20億ドルに上昇したと述べた[27]。この年ワシントン・ポスト紙は、アンドゥリルが非機密契約で約2,800万ドルを受け取ったと報じているが、これは防衛業界では少額である[27]。2020年7月、アンドゥリルの年間収益は1億ドルと推定された[27]。また、7月にCBPとアンドゥリルは、CBP向けに監視塔を配備する5年間2,500万ドルの契約を締結[28][29][30]。9月、アンドゥリルは監視塔用にCBPからさらに3,600万ドルを受領する。 CBPは2022年までに200基の監視塔を設置する計画であった[31]。10月、グーグルはCBPの開発チームによるAI実装を支援するためGoogle Cloudテクノロジーとアンドゥリルテクノロジーの統合を開始[32]。2020年、アンドゥリルは最大9億5,000万ドルの契約に基づき高度戦闘管理システム(Advanced Battle Management System, ABMS)[23]の開発を支援するため米空軍に選ばれた50社以上の企業の1つとなった[33][34]。
2021年2月、タイムズ紙は、英国海兵隊が最前線で標的の映像を提供するためにアンドゥリルのゴーストドローンを試験運用していたと報じた[35]。4月、アンドゥリルは大型航空機から発射可能なドローンを製造するエリア・アイ社を買収した。エリア・アイは以前、陸軍、空軍、海軍、NASAなどの米国政府機関と契約している[36]。エリア・アイはアトランタに拠点を置くテクノロジー系スタートアップ企業で、政府顧客向けの監視ドローンを開発。ジョージア工科大学の航空宇宙研究者らによって設立され、中小企業技術革(SBIR)などの政府契約を通じて主に資金提供を受けている[37]。6月、アンドゥリルはアンドレセン・ホロウィッツ、8VC、ファウンダーズ・ファンド、ジェネラル・カタリスト、ラックス・キャピタル、バロール・エクイティ・パートナーズ、D1キャピタル・パートナーズから4億5,000万ドルの資金調達を発表した。これにより、評価額は2020年7月の2倍となる46億ドルにまで上昇した[38]。なお、この資金調達ラウンドは、投資家で起業家のエラド・ギル氏が主導している[36]。7月にはBBCが英国海軍が自律型ドローンのテストでゴーストドローンを使用し、ターゲットのライブ映像を提供したと報じている[39]。
2023年6月、アンドゥリルは固体燃料ロケットを製造するアドラノス社を買収し、ミサイルや宇宙打ち上げ用の固体燃料ロケットの開発技術を獲得[40]。2023年9月、アンドゥリルはノースカロライナ州に拠点を置く自律航空機開発会社ブルーフォーステクノロジーズ社を買収[41]。2023年9月、アンドゥリルのエンジニアは自社の攻撃用ドローン「アルティウス700M」に実弾を装着して発射試験を実施。アンドゥリルは「システムは標的に対して正確かつ効果的だった」と述べている[42]。
2024年1月、アンドゥリルは、米空軍が協働型戦闘機の開発のために契約したベンダー5社の内の1社となった[43]。2024年4月、米陸軍防衛イノベーションユニットは、ロボット戦闘車両のペイロード用のソフトウェアフレームワークの開発にアンドゥリルを選定した[44]。8月、アンドゥリルはファウンダーズ・ファンドとサンズ・キャピタルが主導する資金調達で15億ドルを調達し、企業価値は140億ドルに達した。この資金は自律型兵器システムの製造施設の設立に充てられている[45][46]。
2024年7月12日、ドナルド・トランプ政権が2024年に承認した約3億ドルの武器取引の一環として、アンドゥリルは攻撃型無人機「Altius 600M」の最初のバッチを台湾国防部に引き渡した。この他に巡航ミサイル「Barracuda-500」を国内で生産する計画も含まれている[47][48]。この結果、アンドゥリルとその幹部は台湾への武器販売を理由に中国政府から制裁を受ける[49]。
2025年1月、アンドゥリルは、オハイオ州ピカウェイ郡に10億ドル規模の製造施設を建設する計画を発表。この施設では、同社のラティス・ソフトウェアを搭載した航空・海上ドローンを含む兵器システム製造を予定している[50]。ラティス・プラットフォームは、2024年に米国宇宙軍によって監視ネットワークへの導入が決定されてる。アンドゥリルはまた、ドローンの脅威から軍人を守るための防衛システムを強化するためにOpenAIと提携している[50]。6月アンドゥリルはファウンダーズ・ファンドや1789キャピタルなどのベンチャーキャピタル企業から25億ドルを調達した[51][52][53]。
2025年11月、HD現代重工業との戦略的提携を締結し、自律型無人水上艦(ASV)の共同開発を行うことが発表された[54]。
2025年12月3日、日本の複数企業と提携し純国産型のドローンを製造するため日本に現地法人を設立したと発表した[55][56]。
2025年12月3日、日本の新興モータメーカである株式会社アスターと、日本国内におけるAnduril製品の生産等に向けた協業の検討を目的とした覚書を締結[57]
製品
ラティス

防衛用ソフトウェアプラットフォーム(OS)[26][6][28]。人工知能を用い陸海空、宇宙、サイバーの全領域において各種センサーや異なるメーカーのドローンを含んだ機器などから得られたデータをネットワークに統合し、物体を識別分類するための基本ソフト[6][26][58]。AIが自動で脅威を検知・識別・追跡する。また、オペレーターに対し「どのドローンで対処すべきか」といった最適解を掲示し、迅速な意思決定を助長する。国境警備や各種ドローンの制御に使用される[59][26]。
技術的な特徴として特定のハードウェアに依存せず、サードパーティ製のシステムとも容易に連携できる柔軟性を備え[59]、一人のオペレーターが数百の無人システムを同時に群制御(スウォーム)し、複雑なミッションを自律的に遂行させることが可能。 通信が不安定な環境(DDIL;Disconnected(切断)、Intermittent(断続的)、Limited(制限)、Low-bandwidth(低帯域))でも動作するよう設計されたメッシュネットワーク機能を備えている。
2020年9月に行われた演習でラティスの実演を行っている[59]。アメリカ空軍の高度戦闘管理システム(ABMS)プログラムの一環として、ニューメキシコ州ホワイトサンズミサイル実験場でロシアの巡航ミサイルの撃墜をシミュレートしたものとなり、初期データ取得後の対応時間の遅延を短縮することを目的としている。 この演習中、ラティスは空軍の運用システムとミサイル探知センサーからデータを取り込み、潜在的なミサイルを追跡しユーザーに警告した。システムはオキュラスの仮想現実ヘッドセットにその地域の地図を表示[59]。ユーザーはミサイルを敵対的としてタグ付けすると、ラティスが対応可能なオプションを提示した[59]。
アルティウス

アンドゥリル・アルティウス(Agile Launched, Tactically-Integrated Unmanned System)は[60]、アトランタに拠点を置く子会社「Area-I」が開発した固定翼のチューブ発射式無人航空機シリーズとなり、2021年4月にArea-Iを買収した。アルティウス600は機首にモジュール式ペイロードが搭載可能。C-130輸送機、UH-60ブラックホーク、各種地上車両、MQ-1Cグレイイーグルやクラトス XQ-58 ヴァルキリーなどの大型無人航空機を含む様々な発射装置や各種プラットフォームから発射することが可能。
アンビル
アンビル(別名:インターセプター[61])は、主に他の無人航空機を攻撃するために設計された無人戦闘航空機、クワッドコプターである[62]。発射後、アンビルはコンピュータビジョンを使用し標的ドローンの位置を特定し[58]、操縦者は標的に体当たりするよう指示を出すことができる[18]。一部メディアなどによれば、このドローンの最高時速は 320 km/h(200マイル)に達する。2025年時点でヘリコプターや巡航ミサイルなどのより大きな目標を攻撃するための開発を開始している[18]。なお、アンビルはAI対応ソフトウェア「ラティスシステム」に統合することが可能である[29]。
この迎撃機は、敵の物体を識別して衝突させることができるドローンとして構想された[18]。米軍はペンタゴンに実用的プロトタイプの映像を送った後、テスト用に少数の発注が行われた[18]。アンドゥリルは2019年10月にこのドローンを公表した[63]。
2019年時点でアメリカ軍とイギリス軍に納入されており、海外の戦闘地域へのドローン配備を請け負っている[18]。
アンビルMと呼ばれる起爆型は2023年10月に公開された。これは火器管制モジュールと弾薬ペイロードを使用しアメリカ軍のUASグループ内のグループ1及びグループ2のUASを破壊する[64]。
バラクーダ

空気吸入式の巡航ミサイルシリーズとなり、通常は固定翼航空機、海軍の各種プラットフォームやヘリコプターから発射される。このシリーズには3つの派生型が存在する。16kg 弾頭を搭載し射程距離が160km 未満のバラクーダ100、16kg 弾頭を搭載し最大射程距離が280~370km のバラクーダ250、45kg 弾頭を搭載し射程距離が800km のバラクーダ500である[65][66][67]。
ボルト / ボルトM
軍用と民間向けの2種類の構成で提供される、重量5.4kg(12ポンド)の無人航空機(UAV)。Mは「Munitions(軍需品)」の略。製品はラティスAIネットワーク上で制御される。バックパックに収納でき、5分で展開が可能。飛行時間を延長させるための交換可能なバッテリーを搭載している。主な用途は、情報収集・監視・偵察(ISR)と捜索救助(SAR)である。遠隔飛行モードと自律飛行モードの両方を備えており、飛行時間は45分、航続距離は20.0km(12.4マイル)。オペレーターは目標と迎角を指定し、その後はドローンを操作せずに自律飛行させることができる[68]。
ボルトMは最大1.4kg(3ポンド)の弾頭が搭載可能。対人対物弾頭の両方に対応するが、重量増加により飛行時間は40分に短縮される[68]。
コッパーヘッドUUV
汎用性と自爆型の弾薬搭載能力を備えた自律型水中機シリーズとなり、ダイブLD及びゴーストシャーク、その他の無人海中・航空プラットフォームから発射されるように設計されている[69]。コッパーヘッド100は、サイズと性能においてMk54魚雷とほぼ同等であり、コッパーヘッド500は、サイズと性能においてMk48魚雷とほぼ同等。どちらのシステムも再利用と回収が可能[69]。
ダイブLD
ボストンに拠点を置くダイブ・テクノロジーズが設計した自律型無人潜水機(AUV)。ダイブ・テクノロジーズは2022年2月に買収されている[70]。沿岸および深海の調査、検査、及び情報・監視・偵察(ISR)で使用することを目的としている[71]。2022年5月、オーストラリア海軍が3台の超大型自律型水中車両(XL-AUV)の開発と製造のために1億ドルの契約を締結したと発表した[72]。Dive-LDはコッパーヘッドファミリーのUUVとコッパーヘッド-Mファミリーの兵器を搭載して展開することが可能[69]。
ダスト
ダストは 1.8kg(4ポンド)の小型地上設置型センサーで、近くの監視塔が監視できない狭いエリアなど、視界が遮られた場所にいる人や物体を検知するように設計されており、2ヶ月間稼働する内蔵バッテリー、または外部ソーラーパネルで駆動する[73]。
フューリー

偵察や戦闘に適した、翼幅5.2メートル(17フィート)の長距離亜音速ステルス無人戦闘機[41][74]。最初の試作機の設計は、ブルーフォース・テクノロジーズ社によって行われた。フューリーは、ジェネラル・アトミックス社と共に、2024年4月に行われた米空軍の共同戦闘機(CCA)プログラムで選定された[75]。主な諸元は最大速度:Mach 0.95、実用上昇限度:50,000 ft (15,000 m)、Gリミット: +9 / −3 である。
アンドゥリルは、この開発競争のためにブルーフォースの設計を大幅に改良した。アンドゥリルが開発したこのYFQ-44A「協調型戦闘ドローン」は半自律型で、幅広い米軍リソースと連携して運用される予定である。2025年10月31日カリフォルニア州南部で初飛行が行われた[76]。競争相手であるジェネラル・アトミックス社のYFQ-42は2025年8月に初飛行を行っている[77]。
ゴースト


無人航空機[78]。名称はその静粛性と被発見性能から名付けられた[35]。ゴースト1、2、3型は実際の軍事作戦で投入済であるが、これらに関する情報は公に公開されていない[6]。
ゴースト4は2020年9月に発表された[78]。金属合金と炭素繊維複合材を用いて製造されており[35]、単一ローター型のヘリコプター形状を採用している。これにより、マルチローター設計と比較し騒音が低減される上に運動効率と積載量が増加する[6]。折り畳み式となり、展開時の全長は 2,725 m(8 ft 11.3 in)である。バックパックで運搬するため 1.07m(3フィート6インチ)まで折りたたむことが可能[79][35]。公称では最大飛行時間100分、巡航速度52ノット(60マイル/時;96km/h)、最大積載量16kg(35ポンド)、充電時間35分を主張している[6][80]。遠隔操作または自律飛行が可能である[6]。
機械学習とコンピュータビジョンアルゴリズムを用いて標的を識別・追跡する[3][35][80]。データはラティスシステムにアップロード可能[6]。ドローンは自立飛行向けに設計されたNvidiaプロセッシングユニットを採用している[80]。各種通信障害などにより通信を必要とする分析システムなしの状態で独自に画像を処理するための独自ユニットが搭載されている[80]。搭載カメラはオペレーターにライブ映像を提供する[35]。ラッキーは、最大2,520フィート(770m)離れた対象物を高解像度で追跡・撮影できると主張している[19]。
ゴーストは5つのモジュラー式ペイロードベイを備えるため、レーザー兵器の運用や巡航ミサイルの探知追跡など、複数の役割を遂行可能である[80][6]。また、ペイロードは数分で交換可能な設計となっている[80]。複数のゴーストは従来のベースシステムを用いて「群れ」を形成し、相互にデータをやり取りすることで本部で運用するラティスの有効射程を拡大できると報告されている[3]。ゴースト4は耐候性が向上され[6][80]、ローターシステムも全面的に改修が施された[80]。
過去のゴーストシリーズの利用機関には、米国国土安全保障省及び税関・国境警備局が含まれる[6]。米国防総省及び英国国防省はゴースト3を採用[80]。英国海軍は実戦配備に向けたゴーストの試験を実施している[35]。米国陸軍は2024年9月、中隊レベルでの小型UAS要求を満たすためゴーストXを選定。ゴーストXの飛行時間は75分、航続距離は25km(16マイル)である[81][82][83]。
ゴーストシャーク
ゴーストシャークは自律型潜水艇である。2022年5月、アンドゥリルはオーストラリア海軍および国防科学技術グループと契約を結び、3年間で3機のプロトタイプを製造する計画である[84]。
2025年半ばまでに量産可能な設計を完成させることを目標としている[85]。2024年4月時点で試作機の試験が進行中であり、アンドゥリル関係者は同艇が既に多くの海上試験を実施したと報告している。具体的な技術詳細は非公開であるが、本プロジェクトは迅速な開発と潜在的な大量生産に向けた拡張性を重視している[85]。ゴーストシャークは数十基のコッパーヘッド100級UUV(またはコッパーヘッド100M)と、複数基のコッパーヘッド500級UUV(またはコッパーヘッド500M)を搭載、展開可能である[69]。
ロードランナー

全長1.8メートル(6フィート)のデルタ翼機で、ツインターボジェットエンジンを搭載し、亜音速域での飛行と極限の機動性を実現している。同社関係者によれば、自律型ドローンと再利用型ミサイルの中間的な存在と位置付けられている。基本型には情報収集や偵察センサーなどのモジュール式ペイロードが装備可能。ロードランナーMはUAS(無人航空システム)となり、巡航ミサイル、有人航空機を迎撃するための弾頭を備える。両モデルとも専用コンテナからの垂直離着陸が可能で、M型は射出後未爆発の場合にのみ回収と再利用が可能。仕様は非公開だが同等の航空機と比較して弾頭搭載量が3倍、G負荷下での機動性が3倍、片道航続距離が10倍とされている[86][87][88][89]。
2023年12月にロードランナーを発表。開発期間2年を経て、米国顧客からの数百機規模の受注に対し少量生産を開始すると表明した。単体価格は数十万ドル台前半とされているが、量産化に伴い価格低下が見込まれている。名称は競合機であるRTXコーポレーションのレイセオン・コヨーテ ブロック2に由来し、アニメ『ワイリー・コヨーテとロード・ランナー』のキャラクターに因む[86][87][88][89]。
セントリータワー

セントリータワーは高さ10メートル(33フィート)[90]の太陽光発電式の可搬型自動監視塔である[27][28][91]。2時間で設置可能であり、セントリーにはカメラ、通信アンテナ、レーダー、サーモグラフィ画像装置が備わっている[28][16][91]。セントリータワー及びラティスを含めた関連システムは、固定型の国境壁に代わる持続可能で経済的な代替案として「仮想国境壁」[92][93][16][94] あるいは「スマートウォール」と呼ばれる[95][93][94]。
米国政府は1990年代からデジタル国境警備装置の導入を模索している。1997年から2005年にかけて失敗に終わった2つの開発プログラムに4億2,900万ドルを費やしている[96]。国土安全保障省の「SBinet プログラム」は2000年代半ばに国境壁の構築を目的として開始された。ボーイング社は2006年9月、推定76億ドルの契約を獲得した[16]。このボーイングによる警備システムはアリゾナ州の国境沿いで導入されているが、拡張計画は後に中止された[96]。多額の予算超過、納期遅延、その他の問題に悩まされたこのプログラムは、10億ドル以上を費やし2011年に中止された[96]。原因の一端は、地域毎に適したシステム導入ではなく、万能型を追求した点にあった[96]。イスラエルの防衛企業エルビット・システムズは国境警備用の無人監視カメラ塔を開発したが、この装備はアンドゥリル製より高価で機能面で劣ると評価された。また、セントリータワーに用いられる小型設計は土地利用問題を軽減した[16]。
アンドゥリルの初期投資家向け資料には「ポール型境界警備システム」が含まれていた。スティーブンスは前線基地向けの商品開発に関心を持っていたが、ラッキーは国境警備にも活用できると考えていた[16]。アンドゥリルの幹部は2017年6月、カリフォルニア州の国土安全保障省事務所に掛け合い国境警備隊員との商談を実現させた[16]。ここでアンドゥリルは迅速に試作品を製作し、シンプら従業員は試作機を試験場に持ち込んでいる[16]。彼らはオープンソースの機械学習トレーニングデータを用いてソフトウェアを訓練し、人間を他の物体から識別・区別できるよう施した[16]。また、遠方の目標を撮影するため、ラッキーは脱毛装置から流用した市販の赤外線レーザーを、カメラ用フラッシュに似た照明源として用いることを提案した。これによりセントリータワーは遠方の標的を高解像度で捉えることが可能となった[16]。これはサーマルカメラ使用に比べ安価な代替案と見なされた[16]。
スティーブンスは米下院議員ウィル・ハード(共和党・テキサス州選出)に連絡を試み[97]、2018年初頭に国境近くの牧場用地で3基のタワーを用いた非公式試験の実施を手配した[16]。設置から10週間以内に、これらのタワーは55件の逮捕と445 Kg(982ポンド)のマリファナ押収につながっている。サンディエゴ郊外での公式試験では、12日間で10件の摘発に繋がったことでセントリータワー契約を獲得した[16]。
- 海兵隊:米海兵隊は2019年7月15日、以下の4基地向けラティス及び監視塔契約を1,350万ドルで締結した[99]。
2020年7月:国土安全保障省(DHS)が仮想国境壁プログラム(アンドゥリル製監視塔を含む)の拡充契約を締結。総額最大2億5,000万ドル[100]。
セントリー(消防車両)
セントリーは、装甲人員輸送車を改造して水を運搬する自律型消防車両として提案された[16]。この車両は、特殊効果の専門家であり元『MythBusters』共同司会者のジェイミー・ハイネマンがカリフォルニア州オークランドで開発し、アンドゥリルに委託した[16]。
施設
アンドゥリルはカリフォルニア州コスタメサに本社を置き、ボストン、アトランタ、シアトル、ワシントンD.C.、ロンドン、シドニーに支社を展開する。同社は軍事基地への近接性やシリコンバレー企業の中で軍事関連に積極的であると見做される姿勢を避けるためアーバインに拠点を置くことを選択した[19]。最高執行責任者のグリムによれば、アンドゥリルの業務には対面でのやり取りが不可欠であるとしている。同社は製品製造に産業用設備を必要とし、機密契約に伴うセキュリティ要件を満たす必要があるほか、顧客向けに実演を直接提供している[100]。
同社はキャンプ・ペンドルトン近郊に試験場を保有している[19]。
ザ・プレス(The Press)
2018年7月、アンドゥリル社は、アーバイン近郊のジョン・ウェイン空港に隣接する約1万4,400平方メートル(15万5,000平方フィート)のビルをリースした[101]。2021年2月には、カリフォルニア州コスタメサにある約5万9,000平方メートル(64万平方フィート)の空き地をリースする[100]。この施設は1968年からロサンゼルス・タイムズ紙のオレンジカウンティ局および印刷所として使用されていたことに因み[100]、「ザ・プレス」と呼ばれている。敷地内には鉄道線路やガソリンスタンドが残されているが、これらはそれぞれ社員用の公園とコーヒーショップに改装される予定である。複合施設の広さは約4万2,000平方メートル(45万平方フィート)で、西側へ約1万8,000平方メートル(19万平方フィート)拡張されるエリアは研究開発拠点および駐車場として計画されている。なお、この再設計および拡張にかかる費用は総額2億ドルに上ると予想されている。アンドゥリル社は2022年にこのコスタメサの拠点へ入居する計画を立案しており、このリース契約内容は面積においてコスタメサとしては史上最大規模となり[100]、オレンジカウンティ全体でも2006年以来の大型開発計画となった[100]。
アーセナル1(Arsenal-1)
2025年1月、アンドゥリル社はオハイオ州コロンバスに「アーセナル1」と名付けた製造拠点の建設を発表した[102][103][104]。また、これに続く大型製造拠点の建設も今後計画されている。この施設は同格の競合メーカーよりも迅速に先進的なシステムを製造できるよう設計される予定である[105]。
批判と論争
2019年、アンドゥリル社は「テック業界で最も物議を醸しているスタートアップ」と称された[18]。
アメリカ税関・国境警備局(CBP)によるアンドゥリル製の監視塔の運用は、アメリカ自由人権協会(ACLU)やその他の人権団体、移民活動家から批判を受けている。その理由は国境付近での監視を常態化させ、かつ監視の強化が移民をより危険なルートへと追いやっているとされるためである[99][18][90][106]。
開発を進める自律型兵器システムにおいて、2025年後半に複数の試験失敗や実戦での不具合が報告されており、軍内部や専門家からその信頼性に疑問の声が上がっていることがロイターやウォール・ストリート・ジャーナルによって報じられた。ロシアのウクライナ侵攻によりウクライナ側に対し各種の自立兵器が提供されているが、ウクライナ保安庁(SBU)の一部部隊は、アルティウスドローンがロシアの妨害電波に脆弱で目標を破壊できなかったと明らかにした。該当ドローンは問題が深刻で昨年の使用が中断され、その後再配備されていないと関係者は述べている。この報道に対しアンドゥリル側は「我々は迅速に行動し、継続的にテストを重ね、頻繁に失敗しながら改善を繰り返す、高度に反復的な技術開発モデルを採用している。これは我々が引き受けているリスクで、実際に多くの失敗を経験している」と説明した。ランド研究所の上級政策研究員ジョナサン・ウォンによれば「アンドゥリルは制度的セーフティネットが十分ではなく、試行錯誤が避けられない構造だ」と分析している[107][108]。