オリノコワニ
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| 保全状況評価[2] | |||||||||||||||||||||||||||
| CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Crocodylus intermedius Graves, 1819 | |||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Orinoco crocodile | |||||||||||||||||||||||||||
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分布域 |
オリノコワニ (学名:Crocodylus intermedius) は、クロコダイル科に分類されるワニ。ベネズエラとコロンビアのオリノコ川水系に分布する。19世紀から20世紀にかけて皮目当てで狩猟され過ぎたので絶滅危惧種である。過去には全長6.8m、体重900kgを超える雄が報告されているが[4]、現在では最大でも5.2mであると考えられている。大型の雄は全長4.2m、体重450kgだが、雌は最大でも体重225kgほどである。性的二形は他のワニほど顕著ではない。成体でも体色は淡い。
個体数が少なく、野生下での生態は十分に記録されていない。魚食性(大型の肉食魚)が強い頂点捕食者であり、鳥、哺乳類、爬虫類、カイマン亜科も食する。繁殖は水位が低い乾季に行われ、砂に穴を掘って巣を作り産卵する。雌は数年間、巣と子供を守る。
クロコダイル属はおそらくアフリカを起源とし、東南アジアやアメリカ大陸へと広がったが[5]、オーストラリアとアジアを起源とする説もある[6]。クロコダイル属は近縁種である絶滅したマダガスカルのヴォアイから、約2500万年前の漸新世と中新世の境界付近で分岐した[5]。
以下は2018年の年代測定に基づく系統樹である。形態学的、分子学的、地層学的データが同時に使用されている[7]。また2021年のヴォアイから抽出したDNAを使用したゲノム研究も参考とした[5]。
| クロコダイル亜科 |
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形態

吻は比較的長く、似たような外見のアメリカワニよりも細い。基部はやや幅広く先端にかけて細くなる[8]。種小名は「中間」を意味し、クロコダイルとガビアルの中間的な吻を持つことに由来する[9]。口吻基部の背面は、瘤状に隆起しない[8]。背面に並ぶ大型鱗(背鱗板)は4 - 6列で、比較的規則的に並ぶ[8]。背鱗板は隆起が発達し(外側の鱗板でより顕著)、三角形の突起状になる[8]。一般に淡い黄褐色の皮膚をしているが、少なくとも3種類の色彩型があり、緑灰色の個体、黄褐色の個体、暗褐色から灰色の個体が知られる[9]。長期間かけて皮膚のメラニン量を徐々に変化させることで色を変えることができ、他の種でも記録されている。暗褐色の模様があり、若い個体では帯状となり、成熟した個体では散在する[10]。全長3.4m、体重182kgの個体の咬合力は6,276Nであった[11]。
サイズ

アメリカ大陸に分布する爬虫類の中では最大級であり、最大の肉食動物でもある。平均するとアメリカ大陸のワニの中では最大である。アメリカワニ、クロカイマン、アメリカアリゲーターは同程度の大きさであるのに対し、オリノコワニはそれよりも若干大きいか、過去にはそうであった可能性がある[12]。最大サイズを考えると、オリノコワニはイリエワニ、ナイルワニに次いで現存するクロコダイルの中で3番目に大きく、現存するワニの中ではクロコダイル2種とインドガビアルに次いで4番目に大きいが、現代ではこれらの種に匹敵する大きさの個体はほとんど存在しない[10][12]。雌は全長約2.5mで性成熟し、雄は全長約3mで性成熟すると考えられており、ほとんどの成体は体重93kgを超える。1985年から1992年までの野生の成体雌の平均全長は3.06mであったが、雄の全長は不明であった[13][14]。成熟した雄は全長3.6mを優に超え、4.1-4.8mに達し、大型個体では体重500-700kgに達することもある。一方雌では全長3.25mを超えて成長し、時には体重が225kgを超えることもある[15][16]。ギネス世界記録によると、調査された成体の平均全長はわずか3mで、最大の個体は4.2mであった[12]。飼育されている最大の雄は全長4.2m、体重428kg、最大の雌は全長3.9m、体重195kgであった。ベネズエラでは雄は全長4.1m、体重380kgに達し、雌は全長3.2m、体重210kgに達する[17]。1800年に射殺された個体は全長6.78mと測定され、情報源は信頼できると考えられているが、標本は現存していない[18][19]。この個体は確実な記録がある最大のワニである[8]。20世紀に皮を目的とした大規模な狩猟が行われたため、今日ではそのような巨大な個体は存在せず、現代では全長5.1mを超える個体は報告されていない[12]。Merchánは雄の最大全長を5.2m、雌の最大全長を3.6mとした[20]。
分布と生息地
生態
食性と狩り

オリノコワニの食性についてはほとんど研究されていないが、目撃情報や飼育下での研究によると、食事の大半は大型魚類であると考えられる。比較的細い鼻先は、水中の獲物を捕らえる際に水の抵抗を最小限に抑えることができる利点がある。水面に浮かびながら体を曲げ、伸ばすことで推進力を得て魚を捕らえる[9]。頂点捕食者であるため、無脊椎動物[21]、爬虫類、鳥類、哺乳類など、様々な生物を捕食することもある。頭蓋骨はかなり細長いが、基部は幅広く、雑食であることを示している。特に成熟した雄は年をとるにつれて鼻先が広くなるが、これは他の大型のワニと同様に、より大きな獲物を捕らえるための変化と考えられている[22]。水中および陸上の獲物を襲う。大型個体はサル、シカ、鳥、他の爬虫類、家畜、機会があれば大型肉食動物も獲物にする[10]。多くの大型のワニと同様に、メガネカイマンなど小型のワニを捕食する様子も観察されており、時には同種の小型個体を共食いすることもある[23]。
繁殖

乾季に水が引くと、オリノコワニは川岸に掘った巣穴に入る。つがいは一年のうち乾燥した10-12月に交尾をする。雄は鳴き声を上げて雌にアピールする。雌の個体数は雄の2倍であることが多く、大きく低い声の雄を選ぶ傾向にある[24]。再導入された個体群では、14頭の成体雄のうち、6頭が産まれた卵の90%以上を育てた[25]。1-2月に雌は巣を掘り[9]、20-70個[8]、平均40個の卵を産む。すべてのワニと同様に穴を掘って巣を作り、通常は砂州に巣を作る。卵は土と植物の下に置かれ、約3ヶ月で孵化する。卵の最も一般的な天敵はテグー属のトカゲであり、母親はトカゲを殺すこともある[25][26]。幼体は雨季の夜の間に孵化し、母親は幼体を巣から掘り出して水面まで運ぶこともある[9]。幼体はクロコンドル、テグー、アナコンダ、カイマン、ハナグマ、ジャガーなどの肉食動物に捕食される危険があるが、母親はこれらの肉食動物を殺すこともある。成体には人間以外の天敵はいない。雌は3年以上幼体を守るが、独立するまでには1年近くかかる[10]。飼育下個体の研究では、成体が巣作り中に攻撃的な行動をとることが報告されており、通常は比較的温厚であっても、子育て中は近づくことができないほど活発であるという[27]。9-12年で性成熟し[9]、寿命は70-80年に達する可能性がある[10]。
人間との関係
人間への襲撃も報告されているが、比較的大人しいうえに、個体数が非常に少なく、人間の居住地から比較的隔離されていることを考えると、今日では非常に珍しい[9]。過去には比較的多くの被害が起こっており、1800年に本種の分布域を訪れたアレクサンダー・フォン・フンボルトは、原住民からオリノコワニによって年間2、3人の成人が殺されていると聞いた[28]。個体数が比較的豊富であった1900年代から1930年代にかけて、致命的な襲撃が少数記録されている[29]。2009年には漁師が襲撃され、重傷を負った[28][30]。2011年にも襲撃の記録があるが、その詳細は不明である[28]。
脅威と保全

その皮を目的とした過剰な狩猟により、絶滅の危機に瀕している。1940年代から1960年代にかけて、オリノコ川とリャノの湿地帯では何千頭ものワニが殺され、絶滅寸前まで追い込まれた。1970年代に保護対象となったが、いまだ個体数は回復していない。現在はコロンビアとベネズエラで保護されており[2]、ワシントン条約の付属書Iにも記載されている[3]。皮を目的とした狩猟に加え、食料や売買目的の卵や幼体の密猟、生息環境の汚染、オリノコ川上流域でのダム建設計画などが脅威となっている[2]。同所的に生息するメガネカイマンは個体数が多く、繁殖速度も速いため、餌を巡る競争で本種を排除してしまう可能性がある[10]。
野生個体数は不明だが、250頭から1500頭と推定されている[31]。ベネズエラで最大の個体群はコヘデス州とララ州のサラレに存在し、成体の個体数は500頭未満である。他にも小規模な個体群が数多く存在する[32]。
2007年11月時点では、Species360に登録された動物園で50頭が飼育され[33]、ダラス世界水族館では35頭が飼育されていた。その他にも多数の個体がベネズエラの繁殖施設で飼育されている。1990年代初頭以来、多数の幼体がベネズエラ、特にリャノの私有牧場と国立公園の両方に放されている。ベネズエラでは6つの飼育下繁殖プログラムが続いているが、その多くは資金やスタッフの不足、私有施設と国有施設の間の対立に悩まされている[34]。
2014年にはコロンビアのリャノに生息する10種の野生生物を保護するプログラム「Proyecto Vida Silvestre」の対象となった。これにより2015年5月から2016年2月の間に、41頭がコロンビア東部のエル・トゥパロ国立自然公園に再導入された[35]。