カワサキ・W800

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JAPAN MOBILITY SHOW 2025での展示(2025年11月5日撮影)

W800は、2010年からカワサキモータース(旧・川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー)が製造している空冷2気筒バイクである。Wシリーズのフラッグシップモデルでもある。

650-W1を原点として開発された、W650の後継車種である。2011年にエンジンをボアアップした改良型という形態で登場した。2年の断続期間を経て、2019年には排出ガス規制に適合した上でフレームも一新したW800 STREETおよびW800 CAFEを発表し、遅れてスタンダードタイプも復活した。2021年には「メグロ」ブランドを冠したメグロK3が本車両をベースとして発売された。

W800は同年代の車種の中でもクラシカルな見た目であることが特徴である。低回転域から豊かなトルクを発生させるため、街中はもちろん幹線道路のようなハイスピードが中心の環境でも楽に運転できる。スポーティなほかの車種と比べるとパワー自体は低いものの、癖のない素直なハンドリングや低いシート高や重心も相まって、大柄な割には比較的扱いやすくなっている[1]

開発の経緯

以前に販売されたW650は「かつてのW1シリーズのイメージを与える意図が込められた」ことから、英国風のビンテージスタイルを追求し、ベベルギヤを採用した新規エンジンを起こすなど、とことん雰囲気にこだわった。この結果W650は好評だったが、その過半数の購入した動機はスタイリングデザインであった。さらに過去5年間のユーザー年齢層を調べたところ、20代から50代までほぼ均等の割合だったため、W1を知らないユーザーも多くなっていることから、650という数字にこだわる必要がなくなった[2]

また、650 ccから800 ccへ排気量を拡大することも、諸事情に見送られた結果、正式には2009年4月ごろに決定した。これは「新しい排ガス・騒音規制に対応した際に、そのままの排気量では力不足になることを考慮した結果である」のだが、そうなれば足回りの強化だけでなくフレームそのものを再設計しなければならず、販売価格が上がってしまうという懸念点があった。この結果、W650が生産終了となってからW800の登場までしばらくの期間を要した[2]

まずは非常に好かれていたスタイリングデザインを極めるべく、W800にはW650よりもクラシカルな雰囲気が盛り込まれた。チーフデザイナーの松村典和によれば、「W650はすでに完成されたデザインだったので、Wブランドのイメージを壊さないように、見た目の質感向上を目指しました」と語っていた。実際にはスロットルボディカバーや大型ウィンカーの採用など細かい変更点によるものである。さらにチェーンケースに至るまで、W1を意識してデザインされており、素材は樹脂からクロームメッキのスチール製に変更された[2]

このほか従来のW650と比較すると、性能はもちろん実用面でも大幅に変更された。

初代(2011年 - 2016年)

カワサキ・W800
2012年モデル
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗カワサキ
車体型式 EBL-EJ800A
エンジン EJ800AE型 773 cm3 4ストローク
内径×行程 / 圧縮比 77.0 mm × 83.0 mm / 8.4:1
最高出力 35 kW (48 PS) / 6,500 rpm
最大トルク 62 N⋅m (6.3 kgf⋅m) / 2,500 rpm
車両重量 216 kg
      詳細情報
製造国 日本の旗 日本
製造期間 2011年 - 2016年
タイプ ベーシック
設計統括
デザイン
フレーム ダブルクレードル(高張力鋼)
全長×全幅×全高 2,180 mm × 790 mm × 1,075 mm
ホイールベース 1,465 mm
最低地上高 125 mm
シート高 790 mm
燃料供給装置 燃料噴射装置
始動方式 エレクトリックスターター
潤滑方式 強制潤滑方式 / ウェットサンプ
駆動方式 チェーン駆動
変速機 常時噛合式5段リターン
サスペンション テレスコピック
スイングアーム
キャスター / トレール 27.0° / 108 mm
ブレーキ シングルディスク
機械式リーディングトレーリング
タイヤサイズ 100/90-19M/C 57H
130/80-18M/C 66H
最高速度
乗車定員 2人
燃料タンク容量 14 L
燃費
カラーバリエーション
本体価格
備考
先代 カワサキ・W650
後継
姉妹車 / OEM
同クラスの車
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W800は2010年(平成22年)10月に海外輸出向けモデルとしてヨーロッパで先行して発表され、2011年(平成23年)2月1日より日本国内仕様が発売された[3]。Wシリーズとしては2年ぶりの復活となる。

エンジンはW650をベースにボアアップを行い、ボアxストロークを77.0 mm x83.0 mmとして総排気量を773 ccに拡大し、燃料供給装置には新たに電子制御式燃料噴射装置を採用している。燃料ポンプはタンクの外側に配置されており、デザインや容量を犠牲にすることなく、サブスロットルを採用する事で自然なスロットルフィールを生み出している[4]。エンジン出力はW650からの48 PSが維持されているが、極低回転域で最大トルクを発揮させるセッティングが行なわれている。なお車体構成に大きな変更はされていない。

大げさな姿勢を取ったり、荷重移動を意識したりしなくとも自然に狙ったラインで曲がることができるようになっており、クセのないシャープなコーナリング性能を発揮する[5]。タンデムシートは平たいため、荷物を安定して積むこともできる[6]。ところで、W650に用意されていたアップハンドル仕様はなく、このときはローハンドル仕様のみだった[7]

この発表と同時に2011年モデルには、スペシャルエディションが追加された[3]。このモデルは、マフラーやエンジンなどのメッキパーツも含めて、全体的にブラックを基調とした仕上がりになっている。ホイールリムの形状は変化していないが、ゴールドアルマイト処理されたものになっている[8]

2012年モデルでは300台限定で「Chrome Edition」が販売された[9]。クロームメッキを施したタンクを装着し、エンジン、前後フェンダー、ヘッドライトボディ、ホイールのリムは車体カラーに合わせ、シックなブラック塗装とした。

2016年(平成28年)に欧州・日本仕様のファイナルエディションが発表され、生産終了となった。1973年に登場した650RS W3を彷彿とさせるカラー&グラフィックに専用のエンブレムを採用し、塗装工程までW3と同様という拘りであった[10]。ちなみに生産終了となった理由はW650と同様に、排出ガス規制の強化によるものである[4]

2代目(2019年 - )

脚注

外部リンク

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