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ピューマ

食肉目ネコ科の動物 From Wikipedia, the free encyclopedia

ピューマ(Puma concolor)は、哺乳綱食肉目ネコ科ピューマ属に分類される食肉類である。現生のネコ科では4番目に大型であり[8]、現代のアメリカ大陸では(競合種でありピューマを捕食することもある)ジャガー[9]に次ぐ大きさを持つネコ科動物である[10]。

概要 ピューマ, 分類 ...
ピューマ
ピューマ
ピューマ
Puma concolor
保全状況評価[1][2][3]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 哺乳綱 Mammalia
目 : 食肉目 Carnivora
科 : ネコ科 Felidae
亜科 : ネコ亜科 Felinae
族 : (ネコ族 Felini)
属 : ピューマ属 Puma
種 : ピューマ P. concolor
学名
Puma concolor (Linnaeus, 1771)[3][4]
シノニム
  • Felis concolor Linnaeus, 1771[3][5]
和名
ピューマ[4][6]
英名
Cougar[3][4][6][7]
Deer tiger[3]
Mountain lion[3][4][6][7]
Puma[3][4][6][7]
Red tiger[3]
分布域
分布
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呼称

「ピューマ(Puma)」の語源を辿るとスペイン語名を経ているが、本来の由来は南アメリカのペルーやエクアドルに暮らす先住民族のケチュア語にある[11][12]。「ピューマ」は英語読みであり、スペイン語だと「プーマ」となる。

英名は「クーガー(Cougar)」。また、ライオンのメスに似ていることから、生息地では「アメリカライオン (American lion)」や「マウンテンライオン(Mountain lion)」とも呼ばれ[13][14][4]、民俗学者の南方熊楠は著書『十二支考』の中で「亜米利加獅」や「米獅」という当て字を用いている[15]。一方で、化石種のライオンの亜種であるアメリカライオンとは異なる。

これらの他にも英語圏では「パンサー(Panther)」や「 Catamount」とも呼ばれるが(フロリダパンサーも参照)、前者はヒョウおよびヒョウ属にも使われる呼称でもある。

分類

分類学上、本種をピューマ属とせず、ネコ属の下位に置いて「ピューマ亜属」とする学説もあり[17]、その場合の学名はシノニムとしての Felis concolor である[16]。

大型ネコ類の中で唯一、分類学的にヒョウやライオンよりイエネコや小型ヤマネコに近い。その証拠に吠えることが出来ず、普通のネコに近い声で鳴く。

以前は32亜種に分ける説もあったが、形態のわずかな差異しかなく亜種をまとめる説が有力とされる[4]。1975年のワシントン条約発効時からワシントン条約附属書I・ワシントン条約附属書IIに掲載されている亜種もいたが、2017年に分類の変更に伴い掲載されていた全亜種が「P. c. couguar」に含まれるということになりこれらの掲載は抹消されている[2]。

2000年に発表されたミトコンドリアDNA、16SrRNAなどの分子系統解析から、以下の亜種に分ける説もある[18]。

以下の亜種の分類・分布は、IUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[18]。

Puma concolor concolor (Linnaeus, 1771)
南アメリカ大陸北部および西部
Puma concolor cabrerae (Pocock, 1940)
南アメリカ大陸南東部
Puma concolor capricornensis (Molina, 1782)
南アメリカ大陸北東部
Puma concolor costaricensis (Merriam, 1901)
コスタリカ、パナマ
Puma concolor couguar (Kerr, 1792)
北アメリカ
P. c. coryi(フロリダパンサー)はシノニムとされる(フロリダ州の個体群が他個体群と隔離されたのが約100年ほど前で、分子系統解析でも支持されなかった)[4]。
Puma concolor puma (Molina, 1782)
南アメリカ大陸南部

以下の2亜種のみとする説もある。以下の分類・分布も、IUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[18]。

Puma concolor concolor (Linnaeus, 1771)
南アメリカ(アンデス山脈以西の個体群を除く可能性もある)
Puma concolor couguar (Kerr, 1792)
北アメリカおよび中央アメリカ(アンデス山脈以西の個体群を含む可能性もある)

分布

カナダのユーコン準州から、チリにかけて分布する[8][4]。

形態

頭部

ネコ科の現生種では4番目に大きな種類であり[8]、全長は1.5 - 2.75メートルになるが[19][20]、円筒形の尻尾が長いこともあり[21][4][7]、全長と裏腹に比較的に軽量で素早い[22]。

頭胴長(体長)オス107 - 168センチメートル、メス96 - 141センチメートル[4]。尾長57 - 95センチメートル[4][21]、体高60 - 90センチメートル[23]、体重はオスが39 - 80キログラム、メスで22.7 - 50キログラムに達する[4]。大きさは緯度や気候・獲物の量などによって変異があり、分布域北端と南端の温帯域の個体群は大型[4]、熱帯域の個体群は小型になる傾向が見られる[4][6][24] 。北アメリカでの平均体重は、地域差を統合するとオスが56-62キログラム前後、メスが42-45キログラム前後である[25][26][27] 。最大級の個体は体重が86.4 - 95.5キログラムにもなる[26]。一方で、体重105 - 125キログラム以上の個体も何度か報告されているが、これらの記録は過剰推定であった可能性が高い[28]。

背面は淡黄褐色や濃黄褐色で、斑紋は入らない[4]。耳介の外側と尾の先端は、黒や濃褐色[4]。出産直後の幼獣には、濃褐色の斑点や斑紋が入る[4]。多くの個体は、生後9 - 12か月で斑紋が消失する[4]。幼獣は体中に黒から黒褐色のヒョウのような斑紋があり、尾には黒い輪があるが、これらは成長とともに消えていく。

嗅覚が鋭く、ネコ科の大型肉食獣の中では特に眼球が大きく、視力が高い。

生態

幼獣

大きさの割に体重が軽く、敏捷で瞬発力に優れている[22]。高さ4メートル、幅12メートルほどを跳躍した記録が残されている。

森林や低木林・草原・サバンナ(パンタナルやパンパなども含む)・岩が多く植生の点在する砂漠など、様々な環境に生息する[4]。

基本的に単独行動であり、オスでは平均の広さ250 km2(半径9キロメートルの円)程度の縄張りを持つとされる。比べ、メスの縄張りは狭く面積はその半分から3分の1程度である。ただし、縄張りの広さは環境に左右され、餌が豊富で条件がよい地域ではオスの縄張りが1頭当り25 km2(半径3キロメートルの円)程度の地域もあるという。

妊娠期間は82 - 98日[4]。1回に1 - 4頭(平均3 - 4頭)の幼獣を産む[4]。飼育下では、最大6頭の幼獣を産んだ例がある[4]。飼育下での寿命は長くても20年[4][5]。

捕食行動

足跡

主に小型から中型の有蹄類などを捕食対象とする一方で、爬虫類や鳥類は哺乳類と比較すると主要な獲物ではない。また、人間やペットのイヌやネコが捕食されたり殺害される場合も存在する[4]。

北米大陸ではシカやヒツジ属などの偶蹄目や齧歯目など[注釈 1]、南米大陸ではグアナコなどの動物[注釈 2]が含まれる。バク、カピバラ、ヤマアラシ、キツネ類[29]、コヨーテ[30]、オオカミ[31]、タテガミオオカミ、ボブキャット、ハナグマ、サル、ワニ[注釈 3]、レアなどを狙うこともある[4]。

地面に伏せて獲物に忍び寄り、後ろや物陰から瞬発力を利用して飛びかかることを得意とする。大型の獲物は喉に噛みついて窒息死させ、ヤマアラシ[注釈 4]以外の小型の哺乳類などに対しては頭部や頸部に噛みついて殺傷する。獲物の行動を止めるため、顎や喉笛に食いついたり、獲物を転倒させて、腹部に食いついたりもする。捕食された動物の中には、飛びつかれた際の衝撃による骨折が死因のものも見つかっている[4]。

他の捕食者との関係

ピューマは他のネコ科やイヌ科やワニなどの肉食動物を捕食したり殺傷することが知られているが、ピューマ自身も他の大型の捕食者によって殺害されたり被食対象になることもある[9][4][31][8]。また、人間活動が捕食者同士の相互作用に影響を与えることもあり、たとえば競合相手でありピューマによる捕食対象にもなり得るボブキャットやコヨーテとの地域毎による関係性の変化が挙げられる[30][32]。

北米大陸ではアメリカグマやヒグマ、オオカミとの間に主にワピチを巡った競合が発生する場合があり、これらの競合種に仕留めた獲物を奪われることもある。なお、ピューマは捕らえた獲物を数回[注釈 5]に分けて消費することもあるが、この際に獲物の死骸を保存したりスカベンジャーによる奪取を防ぐために、土や落ち葉・雪をかぶせて隠すこともある[4]。

また、とくにオオカミやクマ類とは捕食目的以外にも互いに殺傷対象となる場合があり、互いに幼獣が狙われる場合が顕著だが、オオカミの成獣を殺害することもある[31][8]。なお、ワピチとアメリカバイソンの個体数の変動がこれらの捕食者間の関係性(主に競合の頻度)に変化を促す可能性が指摘されている[33]。

捕食者とくにネコ科同士の捕食と被食の関係性には体の大きさが重要なファクターであり、現代のアメリカ大陸ではピューマを上回る大型種はジャガーのみであるが[10]、ピューマと同様にジャガーにも大きさに地域差が存在しており、たとえば北米大陸ではオスのジャガーがメスのピューマと同程度の体重(50キログラム程度)になる[34]。ジャガーがより大型化する南米大陸では、ジャガーがピューマの成獣や幼獣、ピューマに比較的近縁なジャガランディ、オセロットなどの小型ネコ科などを殺傷したり捕食する事例が記録されている[9]。

人間との関係

警告標識

家畜や、郊外ではイヌ・ネコなどのペットを襲うこともある[4]。ごくまれに人間を殺害することもあり、1890 - 2012年にアメリカ合衆国およびカナダで本種による死亡事故は23例(うち2例は狂犬病による)とされる[4]。

狩猟、害獣としての駆除、道路建設による生息地の分断化および交通事故(フロリダ州で顕著)などにより生息数は減少している[3][4]。アメリカ合衆国東部ではフロリダパンサーの生息地であるフロリダ州を除いて地域絶滅(英語版)した[4]。1977年にネコ科単位でワシントン条約附属書IIに掲載され、2019年にコスタリカとパナマの個体群がワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]。

日本では2020年の時点でプマ属(ピューマ属)単位で、特定動物に指定されており、2019年6月には愛玩目的での飼育が禁止された(2020年6月に施行)[35]。

インカ帝国に存在したクスコの街はピューマの形を模している[36]。

脚注

外部リンク

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