サドヤ
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概要
江戸時代から続く油屋であった『佐渡屋』を1909年(明治42年)に洋酒を取り扱う『サドヤ洋酒店』に改名・業態変更し、1917年(大正6年)に『サドヤ醸造場』を創業してワイン造りを開始する[1][2]。1936年(昭和11年)に善光寺町に自家農園を開墾し、フランスよりカベルネ・ソーヴィニヨンなどワイン用ブドウの苗木を導入し[3]、1939年(昭和14年)より醸造を開始し、翌1940年(昭和15年)には完成したワインを宮内庁へ納入している[1]。
太平洋戦争が勃発すると酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)の生産を行なうが(後述)、太平洋戦争が終わると農地改革により多くのブドウ畑を手放すことになるが残された3.5haの農地でワイン醸造を再開[4]。1946年(昭和21年)には好天に恵まれたことから良質なブドウの生産に成功し、1950年(昭和25年)にはそれを基に醸造した「シャトーブリヤン1946」を発売した[1]。
その後は事業を拡大していき、1989年(平成元年)には 南フランスに農場「シャトーレアルドール」を開設[1]。2013年(平成25年)に甲府市内の老舗ホテルである古名屋ホテル傘下に入り、同年サドヤ敷地内に結婚式場「サドヤシャトー・ド・プロヴァンス」とレストラン「レアル・ドール」をオープンしている[5]。
施設
- 本社(山梨県甲府市)
- ワイン醸造拠点をはじめ、ワイナリー、結婚式場、レストランがある。ワイナリーは予約をすれば見学も可能(有料)。
- 善光寺農場(山梨県甲府市)
- 標高350m、面積3.0ha。栽培品種はメルロ、タナ、ソワノワール[注 1]、セミヨン、甲州、マスカット・ベーリーA[7]。
- 最初にワイン用ブドウの栽培を行なうようになった農場で、扇状地の傾斜にある。当地で栽培されたブドウを使用したワインは「シャトーブリヤン」として出荷されている。
- 東光寺農場(山梨県甲府市)
- 標高264m、面積0.2ha。栽培品種は甲州[7]。
- 善光寺農場の近くにあるが立地は平坦で、規模が小さいことから研修農場としても活用している。当地で栽培されたブドウを使用したワインは「Liel 甲府」として出荷されている。
- 明野村農場(山梨県北杜市)
- 標高670~740m、面積3.0ha。栽培品種はカベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、シラー、ピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、シェンブルガー[注 2][7]。
- 2024年(令和6年)に取得した農場で、高地かつ日照時間の長い旧明野村にある。当地で栽培されたブドウを使用したワインは「Liel 明野」として出荷されている。
アクセス
以下、本社までのアクセスを記載する。
- 甲府駅北口より徒歩4分。
- 中央自動車道甲府昭和インターチェンジから車で15分。
- 中央自動車道甲府南インターチェンジから車で20分。
逸話
戦時中のロッシェル塩製造
ブドウには微量ながら酒石酸が含まれており、ワインを醸造する過程で樽の中に白い酒石酸の結晶が貯まることがある。これにカリウムソーダを加えると酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)が生成されるが、このロッシェル塩は音波をすばやく捉える特性があり、これを基にドイツでは音波防御レーダーを開発して艦船や潜水艦に装着してソナーとして活用した[8]。
日本はそれまでフランスからロッシェル塩を輸入していたが、1941年(昭和16年)12月8日より太平洋戦争が勃発するとフランスと対峙した影響で輸入が出来なくなったことから、大日本帝国海軍はロッシェル塩の国内製造に着手[9]。サドヤはロッシェル塩の精製技術が高かったことから一大拠点となり[8]、敷地内に海軍技術研究所公務分室が置かれ、納入の際には盛大な式典が行われたとされている[10]。このロッシェル塩の製造のためにワインの生産も増え、1944年(昭和19年)には1300万リットル、1945年(昭和20年)には3420万リットルまで急増したが[8]、品質は二の次だったと言われている[9]。1945年(昭和20年)7月6日深夜より発生した甲府空襲でロッシェル塩の製造拠点だったサドヤも狙われ、敷地内には200発を超える焼夷弾が投下され、貯蔵庫も被害に遭い流れ出したワインが近くの川(位置からして濁川支流の藤川)を赤く染めたとの証言がある[10]。
戦後、酒類行政を取り扱っていた大蔵省(現在の財務省)は目的を喪失したこともありロッシェル塩の増産策を放棄したことでサドヤでの生産も終了し[8]、サドヤは「ワインが軍事目的に使われた」ことを負の遺産とし、残ったロッシェル塩の結晶を保管するも一般公開せず秘匿としていた[10]。しかし2013年(平成25年)に国立科学博物館からワイン展開催にあたり貸し出してほしいと依頼を受けたことからロッシェル塩を提供し、以降ロッシェル塩について証言を行なっている[10]。なお、ロッシェル塩の精製作業場だった所は現在結婚式場用の教会となっている[10]。
この話は漫画「戦争めし」(作者:魚乃目三太)の其の弐拾参「甲州ワインと戦争秘話」でもサドヤがモデルとして取り上げられている。
