シャルドネ (ブドウ)
イタリアのブドウ品種
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シャルドネ(仏: Chardonnay、フランス語発音: [ʃaʁdɔnɛ] (
音声ファイル))は、白ワイン用ブドウ品種。果皮が緑色の種付きブドウである。シャルドネはフランス中東部のブルゴーニュ地方発祥だが、北は英国から南はニュージーランドまで、ワインが生産されている場所であればどこでも栽培されている。新興のワイン産地においては、シャルドネの栽培は「通過儀礼」として扱われており、国際的なワイン市場へ参入するために良いと考えられている[1]。
シャルドネのブドウ自体は特徴がなく、シャルドネのワインの香りの多くはよく「テロワール」やオークの影響を受けた香りと関連付けられている[2]。シャルドネからは、すっきりとした酸とミネラルを感じるフランス・シャブリのワインからオークとトロピカルフルーツの香りを持つ新世界ワインまで様々なスタイルのワインが作られる。シャブリやオレゴンのウィラメット・ヴァレー、カリフォルニアのカーネロスのような冷涼な気候の地域では、シャルドネのワインはミディアムからライトのボディを有し、高い酸度と青梅やリンゴ、梨のような香りを有する。オーストラリアのアデレード・ヒルズやモーニントン・ペニンシュラ、ニュージーランドのギズボーンやマールボロのようなより暖かい地域では、柑橘や桃、メロンのような香りを有するようになり、非常に暖かい地域では、イチジクや、バナナやマンゴーといったトロピカルフルーツの香りが出てくる。マロラクティック発酵を経たワインはより柔らかな酸味を持つようになり、バターのような感覚の果実味やヘーゼルナッツの香りを持つようになる[3]。
シャルドネはシャンパンやイタリアのフランチャコルタといった世界中の多くのスパークリングワインにおいて重要な品種となっている。シャルドネの人気は1980年代後半に頂点に達し、ワインのグローバル化における最も有害な品種としてワイン専門家による反発を受けた。それにもかかわらず、シャルドネは世界で210,000ヘクタールと最も広く栽培されているブドウ品種の一つで、白ワイン用ブドウの中ではアイレンに次ぐ第2位であり、全てのワイン用ブドウ品種の中では第5位である[4]。
歴史

長きにわたってシャルドネとピノ・ノワールやピノ・ブランの間には関係があると推定されてきた。何世紀にもわたってフランスの同じ地域でみられることに加え、ブドウ品種学者たちはこれらの品種の葉の形や構造がほぼ同じであることに気が付いていた。ピエール・ガレはこの意見には同意せず、シャルドネは他の著名なブドウ品種とは無関係であると信じていた。ブドウ栽培学者のメイナード・アメリンとハロルド・オルモは白いマスカットとは一歩距離を置いた野生のヨーロッパブドウの子孫であると提案した。シャルドネの祖先が中東に起源を発し、十字軍によってヨーロッパに持ち帰られたと主張するレバノンやシリアのブドウ農園主たちによってシャルドネの本当の出自はさらに分かりにくくなった。ただ、この説を裏付ける外的証拠はほとんど存在しない[5]。それ以外の説では、シャルドネはキプロスで見つかった古代の在来ブドウ品種に起源を発するとしていた[6]。
現代のカリフォルニア大学デービス校でのDNA型鑑定結果によれば、シャルドネはピノ・ノワールとグーエ・ブラン(ホイニッシュ)の交配種として生まれたと考えられている[2]。ローマ人たちがグーエ・ブランをクロアチアからもたらし、フランス東部の農民によって広く栽培されたと考えられている[7]。
フランスの貴族のピノ・ノワールがグーエ・ブランの近くで栽培されたことにより、二種が交雑するために十分な機会が与えられた。二種が遺伝的に離れていたため、多くの交配種が雑種強勢を示し、さらなる繁殖のために選ばれた。これらの「成功した」交配種には、シャルドネやその兄弟品種であるアリゴテやオーバン・ヴェール、オーセロワ、バシェ・ノワール、ボーノワール、フラン・ノワール・ド・ラ・オート=ソーヌ、ガメイ・ブラン・グロリオ、ガメイ・ノワール、ムロン・ド・ブルゴーニュ、クニペルレ、ピューリオン、ルブロ、サシー[8]、そしてダメロン[9]が含まれる。
クローン、交配種、変異種

2006年時点で、フランスでは34種のシャルドネのクローン品種が見られる;そのほとんどがディジョンのブルゴーニュ大学で開発されたものである。これらのいわゆる「ディジョン・クローン」はそれぞれの対応する属性に基づいて育てられており、ブドウ農家らが彼らの「テロワール」に最適なクローン品種や、彼らがワインに求める特徴を出せるようなクローン品種を植えられるようになっている。例としては、'Dijon-76'、'95'、および'96'はより香りの凝縮した果実を生み出せる低収率のクローンであり、'Dijon-77'と'809'は「ブドウらしい」香りを持つよりアロマティックなワインを生み出し、'Dijon-75'、'78'、'121'、'124'、'125'、そして'277'はより活発で高収率のクローンである。新世界の品種としては「メンドーサ」クローンがあり、初期のカリフォルニアのシャルドネに用いられた。「メンドーサ」クローンはブドウの結実不良であるミルランダージュを起こしやすい[2]。オレゴンのような場所では、より新しいディジョン・クローンの使用がウィラメットバレーのようなブルゴーニュに近い気候の地域でいくらか成功を収めている[6]。
シャルドネはいくつかのフランス-アメリカハイブリッドブドウの親品種として用いられてきた他、他のヨーロッパブドウ品種との交配に用いられてきた。例としては、1953年にニューヨーク州農業試験場で生み出されたシャルドネとセイヴァル・ブランの交雑種であるシャルドネルがある。シャルドネの変異種としては、珍しいピンク色の果実をした「シャルドネ・ロゼ」(Chardonnay Rose)や非常にアロマティックなワインを作り出す「シャルドネ・ブラン・ミュスケ」(Chardonnay Blanc Musqué)がある[2]。シャルドネ・ブラン・ミュスケはマコネーのクレッセ村周辺でみられ、南アフリカで栽培され、マスカット風の香りを生み出す'Dijon-166'クローンと時折混同される[6]。
1930年代にシャルドネはセイベル種のブドウと交雑され、ラヴァット・ブランを生み出した[10]。
栽培

シャルドネは比較的容易に栽培できることや様々な環境に適応できることから、幅広い評価を得ている。シャルドネは非常に「順応性があり」、「テロワール」やワイン生産者の感覚を反映することができる。非常に樹勢の強いブドウであり、葉が良く茂ることで果実の栄養分を奪ってしまう可能性がある。ブドウ農園の管理者たちはこれに対応するため、積極的に剪定と樹冠管理を実施する。密に植えられると、シャルドネは養分を奪い合うことを強いられるため、果実に栄養をつぎ込むようになる。特定の状況ではシャルドネは非常に高収率となるが、1ヘクタールあたり80ヘクトリットル(1エーカーあたり4.5トン)を大きく超えるような収率になるとワインの品質が低下する。高品質のワインの生産者たちは収率をこの半分以下に抑えている[2]。
ブドウは熟すとすぐに酸を急速に失うため、ワイン造りにおいて収穫時期は極めて重要である。栽培におけるリスクとしては、シャルドネは芽吹きの早いブドウ(通常、ピノ・ノワールより1週間後)であるため、春の霜による被害が挙げられる。霜の脅威に対応するためにブルゴーニュで開発された手法としては、芽吹きの直前に積極的に剪定を行うことがある。これにより木に「衝撃を与える」ことができ、芽吹きを最大2週間遅らせることができる。2週間は暖かい天候が訪れるのに十分である場合が多い[6]。「ミルランダージュ」や「花振るい」、ブドウの薄い果皮を侵すうどんこ病も問題となりうる[2]。シャルドネは熟すのが早いため、生育時期の短い地域でも生育することができ、ブルゴーニュのような地域でも秋雨による腐敗の危険性が生じる前に収穫することが可能である[5]。
シャルドネはほとんど全ての土壌に適応できるが、最も好む3種は白亜、粘土、石灰であり、シャルドネの「故郷」においてどれも非常によく見られるものである。シャブリのグラン・クリュはキンメリッジアン期の泥灰土、石灰、白亜からなる丘の斜面に植えられている。より格の低い「プティ・シャブリ」アペラシオンに分類される周辺地域においては、ポートランド紀の石灰に植えられているため、ワインの洗練さには劣っている。白亜土壌はシャンパーニュワイン産地一帯でみられ、コート=ドール県には石灰と粘土からなる地区が多くみられる。ブルゴーニュにおいては、ブドウの木がどれだけ石灰にされられるかがワインにいくらか影響を与えるようである。ムルソー地区においては、ムルソー・シャルムの「プルミエ・クリュ」の畑においては表土は石灰岩の上に2メートル近くの厚さがあるため、採算されるワインは非常に豊かで丸みのあるものとなる。一方、近隣のレ・ペリエールの畑では、石灰岩の上の表土は30センチメートルほどの厚さしかないため、この地区のワインはずっと力強く、ミネラル感があって引き締まっており、熟成まで瓶の中でより長い時間がかかる。その他の地域では、土壌の種類が気候が最適でないことを補ってくれることがある。例えば、南アフリカにおいては、フランスより明らかに温暖な気候であるにもかかわらず、石が多く、粘土の多い頁岩質の土壌の地域では低収率となり、よりブルゴーニュ風のワインが生産される傾向がある。一方で、より砂岩質の畑から生産されるワインはより豊かで重いものとなる傾向がある[6]。
ピノ・ブランとの混同
ブドウ品種学上のいくらかの類似性のため、ピノ・ブランとシャルドネはしばしば混同され、今日においても多くの別名を共有している。ブドウのつるも葉も房も初見では同じに見え、いくつかのわずかな差異が見られる。最も明らかな差異はブドウが熟している際に見られ、シャルドネのほうがピノ・ブランよりもより金緑色である。よりよく観察すると、つるのシュートにおける毛の質感や長さにわずかな違いがある他、シャルドネの葉においては葉柄基部の切れ込み(petiolar sinus)の周囲の葉脈が「裸」になっていて、縁取られたようになっている[6]。カベルネ・ソーヴィニヨンはこの特徴を有する他の数少ないヨーロッパブドウの一つである[11]。ピノ・ブランとシャルドネの混同は北イタリア中で広がっており、二種は入り混じった状態で栽培され、ワイン醸造において混ぜ合わされていた。イタリア政府は1978年まで二種を区別するための研究者を派遣しなかった。同様の状況はフランスにおいても起きており、ブドウ品種学者たちがシャブリとブルゴーニュのブドウ畑を念入りに調べ、本物のシャルドネを特定し、ピノ・ブランを取り除くようになる19世紀中頃まで二種はよく混同されていた[6]。
フランス
フランスではシャルドネはユニ・ブランに次いで2番目に多く栽培されている白ブドウ品種である。シャルドネはシャブリとブルゴーニュで最初に有名になった。シャンパーニュではピノ・ノワールやピノ・ムニエとブレンドされることが多いが、単一品種の「ブラン・ド・ブラン」スタイルのスパークリングワインの製造に用いられることもある。シャルドネはロワールやジュラのAOCワインにも用いられるほか、ラングドックのヴァン・ド・ペイにも用いられる[2]。
ブルゴーニュ

シャルドネはブルゴーニュにおける主要なブドウの一つであるが、ピノ・ノワールと比べると3分の1程度である。シャブリに加え、シャルドネはコート・ドール(主にコート・ド・ボーヌ)やコート・シャロネーズやマコネーでも見られる。シャルドネは8つの特級畑で栽培されている;モンラッシェ、クリオ・バタール・モンラッシェ、バタール・モンラッシェ、シュヴァリエ・モンラッシェ、ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ、シャルルマーニュ、コルトン・シャルルマーニュ、ミュジニーである。最も高価であることに加え、ブルゴーニュのシャルドネを用いたワインは長らくシャルドネを通じた「テロワール」の表現の基準と考えられてきた。モンラッシェと名前のつく5つの特級畑のワインは13%を超えることも多いような高いアルコール度数に加え、深く濃厚な風味で知られている。シャサーニュ・モンラッシェ周辺のワインは特徴的なヘーゼルナッツの香りを持つ傾向がある一方で、ピュリニィ・モンラッシェのワインはより金属的な風味を持つ。コルトン・シャルルマーニュの「グラン・クリュ」と「プルミエ・クリュ」はともにマルチパンの香りを示すことが知られる一方で、ムルソーのワインは最も丸みを帯びてバターの風味を有する傾向があるとして知られている[2]。
コート・シャロネーズとマコネーはコート・ドールの南にあるワイン生産地域である。メルキュレ、モンタニー・レ・ビュクシー、リュリーの村々はコート・シャロネーズにおける最大のシャルドネ生産地であり、最良のワインはコート・ド・ボーヌのものに匹敵する。マコネーでは白ワインの生産はマコンの町とプイィ・フュイッセ地区が中心である。プイィ・フュイッセのフルボディのワインは長くカルト的な人気のワインの地位を有しており、ブルゴーニュの「グラン・クリュ」の白ワインに匹敵する価格となっている。より南のボジョレー地区ではシャルドネはアリゴテから主要な白ワイン用ブドウの地位を奪いつつあり、サン・ヴェラン周辺の地域においてはガメを置き換えつつある[2]。プイィ・フュイッセを例外として、マコネーのワインは「新世界」のシャルドネと全く同じというわけではないが、最も近いブルゴーニュのワインである。典型的には、マコン・ブラン、ブルゴーニュAOC、ボジョレー・ブラン、サン・ヴェランのワインは発売から2~3年で消費されることを意図している。一方で、コート・ドールの上質の白ワインの多くはワインの香りと特徴を出すのに瓶内で少なくとも3年の熟成を要する。ヘーゼルナッツやリコリス、スパイスなどの香りはこれらのワインが熟成するにつれて生まれる香りである[1]。
シャブリ

シャルドネはシャブリ地区でAOCとして認められている唯一のブドウ品種である。シャブリは世界中で認められており、「シャブリ」の名称が(シャルドネから作られていないものであっても)辛口の白ワインを意味する幾分一般化された言葉となっているほどである。シャブリの名称は欧州連合(EU)内においては保護されており、EU内で販売されるワインについて、ヨンヌ県で生産されたシャルドネのワインのみが「シャブリ」を名乗ることができる。シャブリ地区はパリ盆地の外縁に位置している。盆地の反対側は英国のキンメリッジであり、シャブリ地区に広がるキンメリジャン土壌の名称はこれに由来している。フランス語ではこの土壌を「アルジロ=キャルケール(仏: argilo-calcaire、粘土石灰質の意)」と表現し、その組成は粘土、石灰、そして化石化した牡蠣殻からなる。最も高価なシャブリのワインは、シャブリの町近くのスラン川沿いの斜面の南西側に位置する合計約247エーカー (100 ha)の7つのグラン・クリュ(ブランショ(Blanchot)、ブーグロ(Bougros)、レ・クロ(Les Clos)、グルヌイユ(Grenouilles)、レ・プルーズ(Les Preuses)、ヴァルミュール(Valmur)、ヴォーデジール(Vaudésir))のものである。これらのワインはシャブリ・ワインで特徴的な「火打石の風味(仏: goût de pierre à fusil)」をもっともよく表している[12]。
シャルドネはポンティニー修道院のシトー会修道士たちによって12世紀に初めてシャブリに植えられたと信じられている[13]。今日、この地域で好まれてきたシンプルなスタイルのワイン造りのおかげで、シャブリ地区で作られたワインはシャルドネの品種の個性を最も「純粋に」表現しているものの一つである。シャブリのワイン生産者たちは石灰質の土壌と高い酸度を維持するのに役立つ涼しい気候の「テロワール」を強調したいと考えている。シャブリのワインでマロラクティック発酵やオーク樽での熟成が行われることは(オークの使用は増加しつつあるものの)ほとんどない。青リンゴのような鋭い酸はシャブリの特徴であり、香りの中にも表れる。酸度は熟成によって和らげることができ、シャブリはシャルドネを用いたワインの中で最も長期の熟成に耐えるもののひとつである[5]。シャブリのワインには繊細なはちみつのような香りへと熟成する前にかび臭くなってしまう土っぽい「濡れた石」の香りを持つものもある[1]。オークの使用はシャブリのコミュニティでは論争の的となっており、「シャブリのスタイル」や「テロワール」に反するとして使用しない生産者がいる一方、他の生産者は「新世界」のシャルドネのワインのようにならない範囲でオークの使用を採用している。オークを使用する生産者たちはバニラの香りを思わせるアメリカンオークよりもニュートラルなオークを好む傾向がある。樽の「焦がし」の程度は非常に軽度の場合が多く、これによってワインで感じられる「トースト感」が抑えられる。シャブリにオークを用いることの擁護者たちは透過性のあるオークの樽を用いることによってワインの酸素濃度を高めることができることを利点として挙げている。これにより、ワインをより柔らかくすることができ、一般的に飾り気がなく酸の強いシャブリを熟成が進む前でも飲みやすくする効果がある[12]。
シャンパーニュ

シャンパーニュにおいては、シャルドネはこの地域で栽培されている3種の主要なブドウ品種の一つである。シャルドネはオーブ県とマルヌ県で最も広く見られ、20世紀においてはこの2か所とシャブリでフランス全土におけるシャルドネの栽培量の半分以上を栽培していた。マルヌ県のコート・デ・ブラン(「白い丘」の意)地区においては、シャルドネは白亜の土壌で生育している。コート・デ・ブラン周辺の3つの主要な村においては、シャンパン生産者たちがそれぞれ自らのスタイルに応じて特徴を出せるようなシャルドネが栽培されている。アヴィーズの村は最も軽やかなワインを生み出すブドウを栽培しており、クラマンの村のブドウのワインは最も香り高く、メニルの村のブドウのワインは最も酸度が高い。コート・デ・ブランはシャンパーニュ地方においてシャルドネが中心的に植えられている唯一の地区である。ほかの4つの主要な地区(オーブ、コート・ド・セザンヌ、モンターニュ・ド・ランス、そしてヴァレ・ド・ラ・マルヌ)においてはシャルドネの栽培はピノ・ノワールより少ない。エーヌ県の地域においては、ピノ・ムニエのみが主要な栽培品種である。栽培量が少ないにもかかわらずシャルドネのみから作られた「ブラン・ド・ブラン」スタイルのシャンパンは「ブラン・ド・ノワール」よりはるかに一般的に生産されている。この理由として、ピノ・ノワールやピノ・ムニエから生産されるワインは非常に粗くて重いものであり、シャルドネが持つ洗練さやバランスに欠けることが挙げられる。発泡性でないシャルドネのスティルワインはコトー・シャンプノワのAOCとして生産されている。このワインはシャブリよりもずっと酸が強く、通常は極辛口に仕上げられる[5]。
シャブリと同様の日射量があるにもかかわらず、シャンパーニュのシャルドネは完熟することがほとんどない。これは、この地域の平均気温が約10℃であり、ブドウが熟すために必要な最低限の平均気温をかろうじて上回る程度だからである。これにより、シャルドネのブドウは果実の香りを完全に成熟させることができないため、シャンパーニュのスティルワインは非常に「シャルドネらしくない」味となる。その代わり、そもそもブドウの香りがあまり成熟しないため、他のワイン生産地域が奮闘しているような収率を低く保つための労力は少なくて済む。それよりも、シャンパーニュのワイン生産者たちがシャルドネに求める要素はブレンドにもたらす洗練さや酸度のバランスである。クリーミーさやナッツのような香りと、一部の華やかな香は特に澱と触れている期間が長いことから形成される[6]。
その他のフランスの地域

シャンパーニュ、シャブリ、ブルゴーニュでフランス全土におけるシャルドネの栽培の5分の3を占めている。次に大きな割合を占めているのはラングドックであり、リムーの町の周辺で最初に栽培がおこなわれ、スパークリングワインの「ブランケット・ド・リムー」を作るために30%を上限としてモーザックとブレンドすることが認められている[1]。1991年以来毎年、リムーにおいてはトック・エ・クロシェ祭においてシャルドネの生産が祝われている。2000年までに9000ヘクタール以上のシャルドネが植えられ、その多くが「ヴァン・ド・ペイ・ドック(Vin de Pays d'Oc)」のワインの製造に用いられている。これらのワインは「シャルドネ」として単一品種がラベルに表示された最初の例として特徴的である。シャルドネが栽培されているフランスの他のワイン生産地域としては、アルザス、アルデシュ県、ジュラ、そしてロワール渓谷が挙げられる[2]。ジュラでは「ヴァン・ド・パイユ」デザートワインを造るのに用いられている。ここではシャルドネはムロン・ダルボワやガメイ・ブランとして知られており、サヴァニャンとブレンドされることもある。アルボワ(Arbois)、コート・デュ・ジュラ(Côtes du Jura)、そしてレトワール(L'Etoile)のAOCで最も広く見られる。ロワールにおいてはシュナン・ブランを主体としたワインの「アンジュ・ブラン」に20%までシャルドネをブレンドすることができ、シュナン・ブランの鋭さを幾分和らげるためにシャルドネを用いる生産者が増えてきている[5]。ソミュールのスパークリングワインでもシャルドネを用いることができ、一部のミュスカデの生産者たちはオーク樽熟成のシャルドネのワインを試験的に製造している[1]。
北米
北米、特にカリフォルニア州において、シャルドネは成功を収め、フランスのものと明らかに異なるスタイルのワインを生み出した。1990年にリースリングを上回って以来、シャルドネは北米において最も有力な白ワイン用品種である。米国においては、カリフォルニア州、オレゴン州、テキサス州、ヴァージニア州、そしてワシントン州において最も多く見られるが[2]、アラバマ州、アリゾナ州、アーカンソー州、コロラド州、コネチカット州、ジョージア州、アイダホ州、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ミネソタ州、ミズーリ州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州、オハイオ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、テネシー州、バーモント州でも栽培されている。カナダでは、シャルドネはブリティッシュコロンビア州、ノバスコシア州、オンタリオ州、そしてケベック州で見られる[14]。
カリフォルニア州

カリフォルニア州において最初に商業的に成功したシャルドネのワインはリバモア・バレーAVAで栽培されたブドウから造られたものである。ウェンテ・ヴィンヤーズはいくつかのカリフォルニア州のブドウ園が1940年代にシャルドネを導入するのに使ったクローン品種を開発した。在イタリアアメリカ合衆国大使であったジェームズ・デイビット・ゼラーバッハは1950年代にハンゼル・ヴィンヤーズを創業し、ブルゴーニュスタイルのシャルドネのワインを造ることに専念した。彼の成功に後押しされた他のカリフォルニア州のワイン製造者たちが追従し、パリスの審判として知られる1976年に開催されたフランス人の審判らによるブラインドテイスティングイベントでのシャトー・モンテレーナのブルゴーニュ産のシャルドネに対する勝利で頂点に達した。これにより、カリフォルニア産のシャルドネの需要が高まり、カリフォルニア州のワイン生産者たちはシャルドネの栽培を急いで増加させた[15]。1980年代にはカリフォルニア産のシャルドネの人気は非常に高まり、カリフォルニア州で栽培されるシャルドネの数は1988年までにフランスを上回った。2005年までには100,000エーカー (40,000 ha)近くが栽培され、世界のシャルドネ栽培面積の25%近くを占めた。カリフォルニア州における初期の流行はブルゴーニュの偉大なワインを模倣することであったが、すぐにより豊かなバター感とオークを使ったスタイルが流行となった[2]。1970年代にはブドウをより熟した糖度の高い状態で収穫することが注目され始めた。ボディと口当たりを豊かにするためにオークの新樽が使用された。「ニューヨーク・タイムズ」のフランク・プライアルはこのスタイルに対する初期の批判者であり、特にこれらのどっしりと重いワインが共通して「食事との相性」に欠けている点を批判した[5]。カリフォルニア州のシャルドネを用いたワインに対する他の批判としては、他のカリフォルニア州のワインにも共通することだが、ワインのバランスを損なっていると思わせるほどにアルコール度数が高いことが挙げられる。近年では、カリフォルニア州のワイン生産者たちは逆浸透やスピニング・コーン・カラムといった手法を用いてアルコール度数を12~14%に下げている[6]。

カリフォルニア州のワイン生産地域の中でも、高品質のワインを生産することを好む地域は、気候上、ブドウが熟すのを遅くし、香りが成熟するのにより多くの時間を与えるのに役立つ海からの霧の影響を最も強く受けている地域である。アレキサンダー・ヴァレーやロス・カーネロス、サンタ・マリア・ヴァレー、ロシアン・リバー・ヴァレー、そしてソノマ・カウンティのその他の場所では、ブルゴーニュのスタイルをより反映したワインの生産に成功している[1]。シャルドネが生産されているそのほかの地域としては、ナパ・ヴァレー、モントレー郡、そしてサンタバーバラ郡がある。カリフォルニア州のセントラル・バレーは多くの大量生産品のシャルドネを用いたワインの故郷であり、ボックスワインやジャグワインも生産されている。ワインの正確なスタイルは生産者によって様々だが、カリフォルニア州のシャルドネと関連付けられる「テロワール」の特徴としては、ロシアン・リバー・ヴァレー産の「火打石のような」香りや、モンテレー産のマンゴーやグアバの香りが挙げられる。カリフォルニア州のスパークリングワイン製造者の多くはカーネロスやアレキサンダー・ヴァレー、そしてロシアン・リバー・ヴァレーのシャルドネを用いている。これらの地域はボランジェやルイ・ロデレール、モエ・エ・シャンドン、そしてテタンジェといったシャンパン生産者の関心を集めており、彼らはここ数十年にワイナリーを開いた[6]。
ニューヨーク州

シャルドネはロッキー山脈の東側で商業的に栽培された初めてのヨーロッパ系ブドウ品種の一つである。ヨーロッパブドウの栽培が3世紀の間失敗した後、ニューヨーク州北部のフィンガー・レイクス地域で栽培が成功した。フランス人のシャルル・フルニエとロシア人のコンスタンティン・フランクはゴールド・シール・ワイン会社のために旧世界のブドウ品種を用いてスパークリングワインを製造することを期待してシャルドネや他の品種の試験的な栽培を始めた。1950年代後半に彼らは初めて商業的な量のヨーロッパブドウを北アメリカ東部で収穫することに成功した[16]。フランクはコンスタンティン・フランク・ヴィニフェラ・ワイン・セラーズを設立し、米国東部のワイナリーがビジネスの基盤としてヨーロッパスタイルのワインを生産できることを実証した。シャルドネはその戦略の重要な要素となった。
ニューヨーク州は、ブルゴーニュやワシントン州と同様に、冷涼な気候のワイン生産地域である。寒さに耐えることができるため、シャルドネはニューヨーク州によく合った品種である。寒い冬に耐えられるだけでなく、芽吹きが遅いため、春の霜による悪影響のリスク低減することができる。ニューヨーク州の比較的涼しい生育期間により、果実が熟すのが遅くなるため、摘み取られるまでより長い期間を要し、これにより暖かいシャルドネ栽培地域よりも低い糖度でブドウに複雑性と特徴がもたらされる。フルニエとフランクの初期の実験的な栽培以降、ニューヨーク州ではシャルドネの栽培が大きく増えている[17]。
米国の他の州

ワシントン州のシャルドネのワインはカリフォルニア州のものと非常に似ているが、クリーミーさよりも果実味に力点を置く傾向がある。2000年にはシャルドネはワシントン州で最も多く栽培されてる高品質のワイン用ブドウであった。ワシントン州のブドウ園ではディジョン・クローンを用いるのではなく、温暖な気候のワイン生産地域でも熟すのに時間がかかるように設計されたカリフォルニア大学デービス校開発のクローンを栽培している。これにより、生産者たちはワインの酸度を維持することができ、ワシントン州のシャルドネを特徴づける果実味と火打石のような土っぽさに対してバランスをとることができる。リンゴの香りは典型的だが、その風味は生産者や生産地により「ゴールデンデリシャス」や「ふじ」から「ガラ」や「ジョナサン(紅玉)」まで幅がある[18]。オレゴン州においては、ブルゴーニュからのディジョン・クローンの導入がシャルドネをオレゴン州の気候や土壌に適合させるのに役立った[2]。
カナダ
カナダでは、オンタリオ州で生産される豊かでオーク樽を効かせたスタイルのワインが一定の成功を収め、より軽いスタイルのものがケベック州やブリティッシュコロンビア州で生産されている[6]。2009年には、オンタリオ州のナイアガラ半島のジョルダン村にあるル・クロ・ジョルダンヌ・ワイナリーのクレイストーン・テラス・シャルドネ2005が専門家によるテイスティングのイベントである「モントリオールの審判」(Judgement of Montreal)にてシャルドネの首位を獲得し、批評家の称賛を得た。ワイン専門家のコミュニティによる関心を呼んだこのイベントは、「セリエ」(Cellier)誌のためにケベック州で開催されたものである。「パリスの審判」の33年後、「セリエ」誌はパリスの審判と同じ形式のブラインドテイスティングをモントリオールで開催した。この「モントリオールの審判」は「セリエ」誌の10人の審査員が主にフランスとカリフォルニアからの16品の赤ワインと14品の白ワインを評価した。ル・クロ・ジョルダンヌのシャルドネは14品の白ワインの首位となった。評価対象となった白ワインにはシャトー・モンテレーナやメール・ソレイユ、クメウ・リヴァー、ローズマウント・エステートの長期熟成品のような著名な世界のワインや、ドルーアン、ラミー、ボワセ、メゾン・ルイ・ジャドのようなブルゴーニュの生産者のものも含まれていた。他のオンタリオ州の素晴らしいシャルドネとしては、プリンスエドワード郡のクロッソン・チェースとノーマン・ハーディ、ナイアガラ地域のトーズ・ワイナリーやヒドゥン・ベンチ・ヴィンヤーズ、サウスブルック・ヴィンヤーズが挙げられる。
ブリティッシュコロンビア州で生産された1990年代初頭のヴィンテージのシャルドネはアイスワインだけではないカナダワインの品質に国際的な注目を集めることに役立った。オカナガン・ヴァレーのシャルドネは繊細な柑橘系の香りで特徴的である。これらはライト・ボディのワインであることが典型的だが、樽発酵及び樽熟成を行う生産者においてはより豊かなボディを持つワインとなる[19]。
オーストラリアとニュージーランド
多くのブドウ品種と同様、シャルドネはジェームズ・バズビーのコレクションの一つとして1832年にオーストラリアにやってきたが、本当に栽培が拡大するのは1950年代になってからであった。シャルドネの栽培は南オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州(特にハンター・バレー)、そしてビクトリア州でとくに盛んである[20]。商業的に成功したシャルドネの最初の例の一つはマレー・ティレルにより1971年にハンター・バレーで生産されたものであった。ティレルのブドウ園で栽培されていたシャルドネは、ペンフォールズで試験的に栽培されていたものを、ある夜に有刺鉄線の柵を乗り越えて畑に侵入し、つるから切り取ることによって「借りた」ものであった[6][21]。輸出主体のオーストラリアのワイン産業は1980年代と1990年代のシャルドネブームにおいて恵まれた状況にあり、オーストラリアはそれに対して豊かな果実味と飲みやすさを特徴とした独自のスタイルのワインによって応えた。非常に温暖な気候の欠点を補うため、オークのチップを用いて豊かさが強化され、発酵中に酸が加えられた。この期間にシャルドネの栽培は5倍に増え、1990年までにオーストラリアで最も広く栽培されている白ワイン用ブドウとなり、全品種の中でシラーズとカベルネ・ソーヴィニヨンに次いで3番目に多く栽培されている品種となった。21世紀初頭には需要が供給を上回ったことに加え、シャルドネのブドウの不足があったため、オーストラリアのワイン生産者たちはセミヨン(シャルドネとのブレンドは"SemChard"として知られる)やコロンバールのような新たなブレンド相手を探すこととなった[2]。

どちらかといえばニュートラルな風味のブドウであるため、オーストラリアのワイン生産者たちは最初、同様にニュートラルな品種であるサルタナからワインを造るときと同様のやり方でシャルドネを用いた。アロマティックな香りを出す酵母が加えられ、スキンコンタクトによって風味をより多く抽出するため、マセラシオンは長く行われた[6]。オーストラリアのシャルドネのワインのスタイルは暑いリバーランド地域の大量生産品でほぼ特徴づけられているが、ニューサウスウェールズ州のサザン・ハイランズやビクトリア州、タスマニア州のようなより涼しい地域ではライムの風味を持ったよりさわやかなオークをあまり使わないワインを生産している[2]。カウラではシャルドネの柑橘系の香りが強調されるが、ハンター・バレーのワインはより豊かでスモーキーな香りを持つ。アデレード・ヒルズやヤラ・ヴァレーはよりブルゴーニュ風のスタイルのワインが生産されているが、西オーストラリア州のグレート・サザン地域にあるマウント・バーカーではシャブリのものに近いワインが生産されている[5]。珍しい孤立したクローン品種がマッジー地域に存在しており、19世紀にオーストラリアにもたらされた最初のブドウの木のいくつかが祖先であると信じられている。このクローン品種で作られたワインは特に著名なものではないが、それでも非常に良い品質を有している[1]。総合的にいえば、メロンやバタースコッチの風味を有する濃い金色をしたオイル感のあるワインから、白桃やネクタリンの香りを有し、より骨格のある軽く、薄い色をしたワインへのスタイルの移行が1980年代から起きている。シャルドネを用いたスパークリングワインはジーロングやアデレード・ヒルズ、マセドニア・レンジズ・シャイアやタスマニアのような冷涼な地域で生産されている[6]。
ソーヴィニヨン・ブランの生産でより有名であるものの、シャルドネは2002年にソーヴィニヨン・ブランに抜かれるまで、1990年以降、ニュージーランドで最も広く植えられているブドウ品種であった。北島の東海岸のホークス・ベイ地方やワイララパは、酸味のあり、すっきりとしたシャルドネのワインで成功を収めてきた[2]。より良いクローン品種が発見され、植えられることで、ニュージーランド産のシャルドネの全体的な品質は、特にカンタベリー地方やマールボロ地方、ネルソンのような場所において、向上してきた[6]。ギズボーン地域の生産者の一部は、ニュージーランドのワイン愛好家の中でカルト的な人気を形成してきた[1]。多くのニュージーランドのワイン生産者たちは特徴的なスタイルを模索しているところであるが、これまで造られてきたシャルドネのワインは品種とオークの相性の良さを強調したものである[5]。
イタリア

シャルドネはイタリアにおいて長い歴史を有するが、その大部分において一般的にピノ・ブランと混同されており、両品種が同じブドウ園に植えられ、ブレンドされることも多かった。これはシャルドネのブドウが収穫時期に近づくとより金緑色となり、ピノ・ブランと見分けがつくという事実にもかかわらず起きていた。南チロル地域ではこの混同は各品種の別名に現れ、ピノ・ブランは「ヴァイスブルグンダー」(ブルゴーニュの白)として知られる一方、シャルドネは「ゲルバー・ヴァイスブルグンダー」(金色をしたブルゴーニュの白)として知られていた。20世紀後半までに、シャルドネを特定し、純粋な品種のワインを作るためのより集中した取り組みが行われた。1984年には南チロルで最初の「デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ」(DOC)認定が行われた。2000年までに、シャルドネはイタリアで4番目に多く栽培されている白ワイン用ブドウ品種となっている[2]。

多くのシャルドネ単一品種のワインが生産され、その数は増加しつつあるにもかかわらず、イタリアのワイン造りの歴史の大部分においてシャルドネはブレンド用の品種であった。ピノ・ブランの他に、アルバーナ、カタラット、コルテーゼ、エルバルーチェ、ファヴォリータ、ガルガーネガ、グレカニコ、インクローチョ・マンツォーニ、ヌラグス、プロカニコ、リボッラ・ジャッラ、ヴェルデカ、ヴェルメンティーノ、そしてヴィオニエとのブレンドでシャルドネは見られる。赤ワイン用ブドウ品種のネッビオーロのスキンコンタクトによって果皮から着色される前の無色の果汁を用いて製造されるホワイト・ジンファンデルスタイルの辛口のワインにブレンドされることさえあった[6]。シャルドネの栽培のほとんどはイタリア北部のワイン生産地域にあるが、シチリアやプーリア州のような最南部を含むイタリア全土でシャルドネの栽培は見られる。ピエモンテ州やトスカーナ州においては、シャルドネは各々、ドルチェットやサンジョヴェーゼの栽培に適さない土地に植えられている。シャルドネはロンバルディア州においては「スプマンテ」に用いられることが多く、ヴェネト州ではワインに重さと骨格を与えるためにガルガーネガとブレンドされることが多い。シャルドネはヴァッレ・ダオスタ州やフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州でも見られる[2]。
南アフリカ

検疫による制限のため、植物の挿し木は1970年代および1980年代によく南アフリカに密輸されており、ブドウの品種は誤認されている場合が多かった。この時期に植えられたシャルドネの大部分はオーセロワ・ブランであることが後に明らかになった。同様の事象はドイツのワイン生産地域のバーデンでも1980年代に発生した[6]。1990年代後半までに「本物の」シャルドネを奨励する活動によってシャルドネの栽培は増加し、2004年までにはシュナン・ブランとコロンバールに次いで3番目に多く栽培されている白ワイン用ブドウとなった[2]。西ケープ州のワイン生産者たちはシャルドネとリースリングやソーヴィニヨン・ブランをブレンドすることを実験的に行っている[1]。
他のワイン生産地域
上述の地域の他に、シャルドネの栽培はイタリア、ギリシャ、イスラエル、レバノンの冷涼な地域や、オーストリア、ブルガリア、クロアチア、イギリス、ジョージア、ドイツ、スロバキア、ハンガリー、マケドニア、モルドバ、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スペイン、セルビア、スイス、そしてウクライナで行われている。オーストリアではブルゲンラント州とウィーンで「ファインブルグンダー(Feinburgunder)」、シュタイアーマルク州では「モリヨン(Morillon)」として知られていたブドウ品種がシャルドネであると明らかになったのは1980年代後半のことだった。今日、オーストリアのシャルドネを使ったワインは豊かでオーク樽熟成されたスタイルからリースリングをベースとしたすっきりとしたアロマティックなスタイルや甘い遅摘みスタイルまで様々である。すぐ隣のドイツではこの明らかにフランス生まれのワイン用ブドウは1991年に公式に認可されたばかりのため、栽培面積の増加はゆっくりとしている。今日ではシャルドネはバーデン、プファルツ、そしてライン・ヘッセンで最も広く見られる。スイスではシャルドネはグラウビュンデン州、ジュネーヴ、そしてヴァレー州で最もよく見られる。スペインではスパークリングワインのカヴァでのシャルドネの使用が増加している。シャルドネはコステルス・デル・セグレやナバーラ、ソモンターノの「デノミナシオン・デ・オリヘン」(DO)ワインで使用が許可されている。NIS諸国のワイン生産地域では、シャルドネの栽培はルカツィテリやアリゴテ、リースリングのような白ワイン用ブドウで後れを取っている[2]。ポルトガルでのシャルドネの実験的な栽培はほとんどオーストラリアからのフライング・ワインメーカー(空飛ぶワイン醸造家)の影響を受けており、これまで生産されたワインは非常に新世界風のスタイルである[6]。
新世界のワイン生産地域

アルゼンチンのウコ・ヴァレーの冷涼なワイン生産地域ではシャルドネの存在感が増してきている[22]。2023年の調査によると、シャルドネはペドロ・ヒメネスとトロンテスに次ぐ3番目に広くアルゼンチンで栽培されている白ワイン用ブドウである[23]。
ワイン造り
シャルドネからは辛口のスティルワインからスパークリングワイン、甘口の遅摘みワイン、極端な例では(シャルドネは他の有害な腐敗への感受性が高いため、珍しいが)貴腐ワインまでほとんどありとあらゆるスタイルのワインが造られる。シャルドネを用いたワイン造りにおいて仕上がったワインに大きな影響を及ぼす2つの判断は、マロラクティック発酵の実施の有無と、どの程度オークをワインに効かせるかである。マロラクティック発酵(MLF)により、鋭い酸味を持つリンゴ酸が柔らかい酸味を持つ乳酸と、一部のスタイルのシャルドネのワインと関連付けられる「バター感」を生み出すジアセチルに変換される[24]。MLFを実施しないワインはより青い(熟れていない)リンゴのような風味を持つ。オークは発酵中に加えられる場合も、発酵後の樽熟成の形をとる場合もある[2]。オークに行われた焦がしの程度により、「トースト感」や多くのワイン愛好家がブドウ自身の特徴だと間違えるような風味が与えられる。このような風味には、カラメル、クリーム、煙(スモーク)、スパイス、ココナッツ、シナモン、クローブ、そしてバニラがある[25]。

ワイン造りにおいて仕上がったワインに大きな影響を及ぼす他の判断としては、発酵の温度と澱と触れた状態でどの程度の期間熟成されるかである。ブルゴーニュのワイン生産者たちは澱とより長い期間触れさせることを好む傾向があり、樽で熟成させている間に「バトナージュ」として知られる工程により、ワインの中の澱を「かき混ぜる」ことさえある。低い発酵温度はマンゴーやパイナップルのような「トロピカル」フルーツの風味をより多く生み出す[6]。「旧世界」スタイルのワイン造りでは野生酵母の使用が好まれるが、ワインにアロマティックな香りを与えるため特別に培養された酵母も用いる生産者もいる。シャンパーニュで使用される特有のスタイルの酵母は「プリーズ・ド・ムース」と呼ばれ、世界中のシャルドネを用いたスパークリングワインのために培養されている。野生酵母を使うことの潜在的な欠点としては、発酵工程が進むのが非常に遅く、発酵の結果が非常に予測困難なため、ワインが年によって非常に異なったものとなる可能性があることである。野生酵母のみを用いることを好むブルゴーニュのワイン生産者の一つはドメーヌ・デ・コント・ラフォンであり、1963年のシャルドネは通常数週間で完了する発酵に5年を要した[6]。
ブドウは熟すに連れて急激に酸を失うため、収穫時期の判断は極めて重要である。スパークリングワインの製造においては、酸度を維持するためにブドウは早期に少し未熟な状態で収穫される。シャルドネのスパークリングワインは若いうちは華やかで金属的な風味を持つ傾向がある。熟成が進むと、とくに澱と触れた状態で長時間熟成されると、ワインに「トースト感」のある香りが生まれる[1]。シャルドネは冷涼な気候であっても糖度を高めることに困ることは通常ほとんどないため、潜在的なアルコール度数は高く補糖の必要性は限定的である。反面、低い酸度はワインを「締まりがなく」つまらないものにする恐れがある。ワイン生産者たちは「補酸」と呼ばれる工程で酒石酸を加えることでこの問題に対応することがある。冷涼な気候では、シャルドネの風味と酸度が高まり、瓶内熟成に耐えられる非常に凝縮されたワインを生み出す可能性がある[5]。シャルドネはほかの品種のブドウと相性よくブレンドすることができ、それでいてその固有の特徴をいくらか維持することができる。シャルドネと最もよくブレンドされる品種としては、シュナン・ブラン、コロンバール、そしてセミヨンがある[2]。
ワインのスタイル

シャルドネのワイン造りにおける「順応性の高さ」と「テロワール」を反映する能力の高さ故、世界中で作られているシャルドネに明確に例外なく当てはまるような単一の「スタイル」は存在しない。ジャンシス・ロビンソンによると、「スモーキーさ」の感覚はシャルドネのワインをブラインド・テストしたときに感じられる手掛かりの一つだが、「スモーキー」な香りを一切有さないスタイルのワインも多く存在するとのことである。ソーヴィニヨン・ブランやゲヴュルツトラミネール、ヴィオニエのような他の白ワイン用ブドウと比較すると、シャルドネはよりほのかな落ち着いた香りを持ち、ワイングラスから飛び出てくるような強い香りを持たない。シャルドネのワインのスタイルの判定は地域に基づき、例えば、パイナップルの香りはナパ・ヴァレー産のシャルドネとよく関連付けられる一方、シャブリのシャルドネは青リンゴの香りをより有する[5]。特に酸度の高いものにおいて、数年の瓶内熟成が有効であるシャルドネのワインも多い一方で、ほとんどのシャルドネのワインは若いうちに消費されることが想定されている。これについての特筆すべき例外としては、シャブリやブルゴーニュの特に高級なワインである[1]。
食品とのペアリング

幅広いスタイルが存在するおかげで、シャルドネのワインは様々な種類の食品と合わせることができる。もっともよく合わせられるのは鶏肉のローストや七面鳥のようなその他の白身肉である。オークを強く効かせたシャルドネのワインはより繊細な魚介類の料理とはあまりよく合わない。それよりも、魚の燻製やスパイシーな東南アジア料理、ニンニクやワカモレのディップと相性がいい傾向がある[6]。シャルドネに対する産地の影響が食とのペアリングの助けになることもある。高い酸度を有することが特徴のワシントン州のシャルドネはトマトソースを用いた料理や、甘タマネギを用いた料理とよく合う傾向がある。熟成されたより芳醇なシャルドネのワインはキノコのスープや熟成したチーズのようなより「土っぽさ」のある料理とペアリングされることが多い[18]。
人気と反動

シャルドネのワインはフランスの偉大な白ワインの一つとして長らく評判であったが、産地の名称に基づくラベリングが支配的であったため、ブルゴーニュの白ワインに用いられているブドウがシャルドネであるという事実はワインを飲む大衆には広く知られていなかった。カリフォルニアなどの新世界のシャルドネのワインにおいて、パリスの審判での成功のおかげもあり、品種に基づくラベリングがより盛んになり、シャルドネは品種名が発音しやすいおかげでその恩恵を最も大きく受けたブドウの一つとなった。1980年代後半には世界的な需要に答えるために(特に新規や発展途上の)ワイン生産地域においてシャルドネの栽培面積が劇的に増えたため、一種の「シャルドネ熱」が起きた[2]。
より多くのブドウ園が大量のシャルドネの新規栽培で需要に応えたが、その頃には流行が再び変化していることが明らかになった。消費者たちは赤ワインをより多く飲むようになり、重く、オークの効いた新世界のシャルドネのワインに対する反動から、ピノ・グリージョのようなより軽いワインを好むようになった。1995年にはフランク・プライアルによって「ABC」(Anything But Chardonnay、 シャルドネ以外ならなんでもいい)という新しい流行が明らかにされた[26]。反動のもう一つの理由は、シャルドネが、国際市場が求める人気品種の栽培のために地場のブドウ品種が伐採されるというワインのグローバル化の象徴として見られたことであった。オズ・クラークはシャルドネが「無慈悲な植民者であり、世界のぶどう園と世界の味覚の破壊者」とみなされていると書いた[27]。より多くの収益をもたらす可能性がある代わりに独自性や特徴を有しないシャルドネを栽培するために地場品種を伐採したり、使用をやめたりするというワイン生産者たちの傾向に対して批判が集中した。南イタリアやスペインで新たにシャルドネを栽培するために古代からの品種であるネグロアマーロやプリミティーヴォ、グルナッシュ、そしてマタローが引き抜かれたのがこの一例である[6]。
1990年代にシャルドネのワインはブリジット・ジョーンズ世代の都会の若い女性の典型的な飲み物としてとても流行した[28]。
2002年には、シャルドネを郊外の洗練されていない嗜好と関連付けることがオーストラリアのテレビドラマの「キャス アンド キム」で行われ、そのドラマでは下位中産階級のキャラクターが品種名を「カルドネ」と誤って発音した[29]。
反動にも関わらず、シャルドネは非常に高い人気を保っている。2004年時点では179,300ヘクタールの栽培面積をがあり、これは世界で6番目に広く栽培されているブドウ品種であると推定されている[30]。
遺伝子組み換え
現代の遺伝子編集技術の登場により、遺伝子組み換えシャルドネを作る試みが始まった。遺伝子の挿入や、CRISPR-Cas9によるゲノム編集のような遺伝子をノックアウトする技術により、遺伝子発現を変更しブドウの特性を変える試みである[31]。その他の試みとしては、細菌や菌類のような病原体に対する抵抗性を与えるためのプラスミドの研究などがある。 例としてはうどん粉病に対する耐性を持たせるためにマガイニンを導入する研究がある[32]。同様の研究はシャルドネの発酵に用いられる酵母の生産者でも行われた。酵母の系統による発酵中に産生される化学物質の違いを研究することにより、出来上がったワインの風味を変えることができる[33]。このような試みは米国や南アフリカで行われている[34][35]。
別名

「シャルドネ」という名称の世界的な知名度により、ワイン生産者たちはより市場性のあるシャルドネという呼び方を好むため、これらの別名の多くは使われなくなってきている:[5]
Arboisier, Arnaison blanc, Arnoison, Aubain, Aubaine, Auvergnat blanc, Auvernas, Auvernas blanc, Auvernat blanc, Auxeras, Auxerras blanc, Auxerrois blanc, Auxois, Auxois blanc, Bargeois blanc, Beaunois, Biela Klevanjika, Blanc de Champagne, Blanc de Cramant, Breisgauer Suessling, Breisgauer Sussling, Burgundi Feher, Chablis, Chardenai, Chardenay, Chardenet, Chardennet, Chardonay, Chardonnet, Chatenait, Chatey Petit, Chatte, Chaudenay, Chaudenet, Chaudent, Clävner, Clevner Weiss, Cravner, Epinette, Epinette blanc, Epinette blanche, Epinette de Champagne, Ericey blanc, Feher Chardonnay, Feherburgundi, Feinburgunder, Gamay blanc, Gelber Weissburgunder, Gentil blanc, Grosse Bourgogne, Klawner, Klevanjka Biela, Klevner, Lisant, Luisant, Luizannais, Luizant, Luzannois, Maconnais, Maurillon blanc, Melon blanc, Melon D'Arbois, Meroué,[5] Moreau blanc, Morillon blanc, Moulon, Noirien blanc, Obaideh, Petit Chatey, Petit Sainte-Marie, Petite Sainte Marie, Pineau blanc, Pino Sardone, Pino Shardone, Pinot Blanc à Cramant, Pinot Blanc Chardonnay, Pinot Chardonnay, Pinot de Bourgogne, Pinot Giallo, Pinot Planc, Plant de Tonnerre, Romere, Romeret, Rouci Bile, Rousseau, Roussot, Ruländer Weiß, Sainte Marie Petite, Sardone, Shardone, Shardonne, Später Weiß Burgunder, Weiß Burgunder (normally refers to Pinot blanc), Weiß Clevner, Weiß Edler, Weiß Elder, Weiß Klewner, Weiß Silber, Weißedler, Weißer Clevner, Weißer Rulander.[9]