Wikiwand AI

タダラフィル

From Wikipedia, the free encyclopedia

タダラフィル(Tadalafil)は、長時間型のホスホジエステラーゼ5阻害剤(英語版)であり、日本での適応は、勃起不全 (ED) 、肺動脈性肺高血圧症、前立腺肥大症の排尿障害である。商品名はシアリス、アドシルカ、ザルティアである。

ATCコード
法的地位
  • 一般: ℞ (処方箋のみ)
概要 臨床データ, 胎児危険度分類 ...
タダラフィル
臨床データ
胎児危険度分類
  • B
投与経路 経口
ATCコード
法的地位
  • 一般: ℞ (処方箋のみ)
薬物動態データ
生体利用率 個体差がある
タンパク結合 94%
代謝 CYP3A4 (肝臓)
消失半減期 17.5 時間
排泄 糞便(> 60%)、尿(> 30%)
識別子
CAS登録番号
PubChem
CID
DrugBank
ChemSpider
UNII
ChEMBL
CompTox
Dashboard

(EPA)
ECHA InfoCard 100.214.024 ウィキデータを編集
化学的および物理的データ
化学式 C22H19N3O4
分子量 389.404 g/mol g·mol−1
3D model
(JSmol)
  (verify)
テンプレートを表示
閉じる
シアリス20mg錠

先行するED治療薬シルデナフィル(バイアグラ)やバルデナフィル(レビトラ)と異なり、翌日にも作用が持ち越す長時間型であり、食事の有無にかかわらず作用する点が異なる。

肝臓のCYP3A4によって代謝される。警告枠に、心筋梗塞などの副作用の注意と、心血管系障害の有無の十分な確認が記載されている。

適応

日本における適応は、以下である。

  1. 勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持ができない患者)
  2. 肺動脈性肺高血圧症
  3. 前立腺肥大症に伴う排尿障害

1の用法では商品名シアリス、2の用法ではアドシルカ、3の用法ではザルティアで販売されている。

日本の保険制度

シアリスは「勃起不全による男性不妊症」以外の用法では、健康保険適用外の自由診療(保険外診療)である[1]。商品名ではなく用法により保険適応がなされるため、単に勃起不全だけの用法は自由診療になる。発売当初は一律に自由診療であったが、2022年4月1日より一定の要件を満たした場合に限って保険適用となった[1][2]。

2026年より、シアリスは日本で初めて市販(一般用医薬品)の勃起不全治療薬として販売が開始された。要指導医薬品に区分され、薬剤師からの説明を受ける必要がある[3]。

アドシルカおよびザルティアを勃起不全治療の目的で処方した場合、保険適用外になると規定されている[4][5]。

禁忌

さらに見る シアリス, アドシルカ ...
シアリス アドシルカ ザルティア 禁忌の内容
○ ○ ○ 製剤成分に対する過敏症
○ ○ ○ 硝酸剤または一酸化窒素供与剤[注 1]を服用中
○ ○ ○ リオシグアトを服用中
○ ○ 心血管障害(シアリス)/NYHA III度以上の心不全(ザルティア)
○ ○ 不安定狭心症、3ヶ月以内に心筋梗塞の既往
○ ○ コントロール不良の不整脈
○ ○ 低血圧(< 90/50mmHg)、コントロール不良の高血圧(> 170/100mmHg)
○ ○ 6ヶ月以内の脳梗塞または脳出血の既往
○ ○ ○ 重度肝障害
○ ○ 重度腎障害
○ CYP3A4の強い誘導薬[注 2]または強い阻害薬[注 3]を服用中
○ 網膜色素変性症
閉じる

副作用

治験時には、シアリスで29.0%[6]、アドシルカで53.1%[7]、ザルティアで11.0%[8]に副作用が見られた。

重大な副作用には、発疹、蕁麻疹、顔面浮腫、剥脱性皮膚炎、Stevens-Johnson症候群がある。

硝酸剤または一酸化窒素(NO)供与剤(ニコランジル等の硝酸エステル系薬剤)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させるので、併用禁忌である。

死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系の有害事象が報告されているので、投与の前に、不安定狭心症、安定していない不整脈や高血圧、などの既往症がないことを確認するよう警告がなされている[9]。

作用機序

タダラフィルは、生体内で環状グアノシン一リン酸 (cGMP) の分解を行っている5型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) の酵素活性を阻害する。勃起不全においては、これが陰茎周辺部のNO作動性神経に作用して血管を拡張させ、血流量が増えることによって機能すると考えられている[10]。

前立腺肥大症に伴う排尿障害においては、前立腺および膀胱平滑筋の弛緩により、下部尿路組織における血流及び酸素供給が増加することで、症状が緩和されるものと考えられている[8][11]。

肺動脈性肺高血圧症においては、肺動脈平滑筋にも多く存在するPDE-5の活性を阻害することで、平滑筋弛緩作用をもつcGMPの分解が抑制され、結果として肺動脈圧および肺血管抵抗を低下させる[12]。

薬理

勃起不全の症状がある場合、ペニスが勃起し、性行為が正常に行える。性的刺激があったときのみ勃起が起こる、勃起機能改善効果であって、催淫剤ではないので性欲を亢進させる働きはない。勃起改善作用は20mg錠で36時間にわたる。食事の有無に関わらず服用が可能である[10]。先行するシルデナフィル(バイアグラ)やバルデナフィル(レビトラ)には、食事に関する注意がある。

服用方法

勃起不全の用途では、通常、性行為の1時間前に服用する(添付文書の記載による)[10]。服用後徐々に効果を発揮し始め、約3時間で効果のピークを迎える。食事との兼ね合いは、他のED治療薬と比較すると比較的緩やかである。

肺動脈性肺高血圧症、前立腺肥大症については、1日1回経口投与する[4][5]。

代謝

CYP3A4で代謝される。その阻害剤との併用に関する禁忌がある[10][13]。

歴史

1990年代初頭、イギリスの製薬会社グラクソ・ウエルカム(現グラクソ・スミスクライン)とアメリカのバイオテクノロジー企業ICOS(英語版)が共同で、心血管疾患の治療薬として研究を開始。臨床試験において勃起不全への効果が発見される。しかし1996年にグラクソはICOSとの契約を解除。その後1998年にイーライリリーが参入、イーライリリーとICOSの合弁会社リリー・アイコス (Lilly ICOS) が設立された[14]。

シアリスは2002年10月にオーストラリアで承認されたのを最初に、11月には欧州連合で承認[15]。シアリスは2003年2月に発売された[16]。アメリカではアメリカ食品医薬品局(FDA)より「追加の臨床薬理試験の完了、製品ラベルに関する協議、製造施設の査察が順調に終了すること」を条件とされたことから遅れて[17]2003年11月に承認された[16]。

日本では2005年9月に厚生労働省へ承認申請が行われ[18]、2007年7月に承認、9月より日本イーライリリーから販売された[19]。

2006年10月17日、アメリカのイーライリリーはICOSを買収すると発表した[20]。

肺動脈性肺高血圧症への適応は2009年9月にアメリカで、10月に日本で、11月に欧州でそれぞれ承認され、日本では2009年12月11日よりアドシルカとして販売されている[21]。

2009年7月より、日本におけるシアリスの発売は日本新薬へ移管された。つまり日本イーライリリーが製造販売、日本新薬が発売する[22]。

2011年10月、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、研究に基づき[23]、前立腺肥大症に対して承認した[24]。日本でも2014年1月17日、商品名ザルティアとしてこの適応症が追加された[11]。

日本では2020年3月下旬より、日本国内の製薬会社によるシアリスの後発医薬品が販売されている[25][26]。

2020年4月、日本におけるタダラフィル製剤(シアリス、アドシルカ、ザルティア)の製造販売承認が日本イーライリリーから日本新薬に承継され、以降日本新薬単独で製造発売元となった[27]。

2026年5月20日、エスエス製薬が日本で初めてシアリスの大衆薬(スイッチOTC医薬品)としての製造販売承認を取得したと発表[3]。7月31日から一部ドラッグストアで先行販売を開始、8月31日から全国で発売[28]。

脚注

関連項目

Related Articles

Timelines

Top Qs

Fact Checks