トケラウ語

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トケラウ語
話される国 トケラウの旗 トケラウ
話者数 #話者を参照
言語系統
表記体系 ラテン文字
公的地位
公用語 トケラウの旗 トケラウ
統制機関 統制なし
言語コード
ISO 639-3 tkl
消滅危険度評価
Severely endangered (Moseley 2010)
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トケラウ語 (トケラウご、トケラウ語: gagana Tokerau)[1] は、トケラウ、また少ない人数ではあるが歴史的にアメリカ領サモアスウェインズ島で話される、ポリネシア諸語に属する言語である。ツバル語と密接な関係があり、サモア語を始めとする他のポリネシアの言語とも関連している。トケラウは英語とともにトケラウ語を公用語としている。

1996年、ロイマタ・イウパティ英語版など複数名が、聖書のトケラウ語への翻訳者に任命された[2]

多くのトケラウ住民は多言語話者であるが、少なくとも1990年代まではトケラウ語は日常的な言語であって[3] 、88パーセントのトケラウ住民が使用していた[4]

話者はトケラウ、スウェインズ島の他にニュージーランドサモアハワイオーストラリアなど太平洋沿岸に広がっている[5]。 話者数は、1982年の記述ではトケラウ内に1700人、ニュージーランド内に3500人いた[3]。1992年の記述ではトケラウ内に1600人いた[6]。2005年の記述では全体で4000人おり、そのうち1400人がトケラウ内にいた[7]

記述史

1846年、ホレイショ・ヘール英語版は史上初のトケラウ語の辞書を出版した[8]。しかしそれは一般的な様式では無く、214語しか収録されていない参考書のようなものだった[8]が、彼の書籍は1969年まで唯一のトケラウ語の参考書であった[8]。この本の出版まで、1940年からの学校でのトケラウ語教育に殆ど進展は無かった[8]。1969年、ニュージーランド教育省はD. W. ボードマンのTokelau–English Vocabularyを出版した[8]。この時、1200の語彙を収録するより発展した参考書が登場したのである[8]。二次出版の後、教育用のより詳細で深い参考書の必要性が高まっていった。これを実現したのが、ホセア・キリフィ[8] (後の初代トケラウ教育ディレクター)とJ. H. ウェブスターである。1975年、キリフィとウェブスターはTokelau-English Dictionaryと呼ばれる、約3000語を収録した初の公式予備辞典を出版した[8]。 これらの活動は全体的に、トケラウ人はその言語に多大なプライドを持っているということに由来する。トケラウの学校では学生にトケラウ語を教えるのに使える道具や資料が不足していた[8]。トケラウ語はトケラウの文化において重要な地位を占めており[8]若い世代のための言語の活性化・改革活動は、ついに行動を起こさなければならないような段階に達していた[訳語疑問点]。Tokelau–English Dictionaryの出版の一年後、政府はRopati Simonaのトケラウ語辞書プロジェクトのリーダーへの就任を承認した。これがやがて初の公式総合辞典の出版につながった。トケラウ事務局による1986年のTokelau Dictionaryである。

背景

トケラウはニュージーランドの属領であり、アタフ島ヌクノノ島及びファカオフォ島(古い地図ではそれぞれデューク・オブ・ヨーク島、デューク・オブ・クラレンス島、バウディッチ島と記載)の3つの環礁が主な部分を占める。これらの環礁はサモアから276海里 (511 km) 離れており[9]、共にユニオン諸島、ユニオン群島及びトケラウ諸島としても知られている[10]。トケラウの言語であるトケラウ語はオーストロネシア語族に属しており、ポリネシア諸語の一つであると考えられている。話者の半分以上がニュージーランドに、三割が上記の3つの環礁のいずれかに住んでおり、少数であるが地理的にニュージーランドに近いオーストラリアや太平洋沿いのアメリカ合衆国の州(ハワイ州、本土の東海岸)にも居住している[5]。トケラウはサモアに非常に近いため、トケラウ語はサモア語の影響を受けているとするのが一般的であるが、広範な記述が不足しているため正確性には疑問が残る。1960年代まで、トケラウ語は話し言葉としてのみ考えられていたが、その頃学校が自分達の言語での読み書きを教え始め、トケラウ語での短編作品も作られた。加えて、大人たちはサモア語とトケラウ語に流暢であることが一般的であった[11]。 トケラウ語は規模の小さい言語であり、また歴史的にも前述の環礁には限られた資源しか無く、それ故あまり多くの人を養えなかったため、欧州人の到達前からある程度小さい規模の言語であった[12]

音韻と正書法

文の種類

トケラウ語の全てのには述語が存在する。それらには5つの種類があり、動詞述語、場所述語、存在述語、所有述語、及び形式述語である。疑問文・平叙文共に使用でき、また複数を組み合わせることも可能である[11]

動詞述語

A verbal phrase will follow a verbal clause.

  • Kua fano. 'She/he has gone.'[11]

(An evaluative predicate can and usually does occur with no argument.)

場所述語

Preposition i and a noun phrase following a tense-aspect particle.

  • E i te faleha te faifeau. 'he pastor is in the church.'[11]

所有代名詞

下の表はトケラウ語における述語的所有代名詞の一覧である。

単数形 双数形 複数形
一人称 包括形 o oku, o kita
a aku, a kite
o taua, o ta
a taua, a ta
o tatou
a tatou
除外形 o maua, o ma o
a maua, a ma a
matou
matou
二人称 o ou/o koe
a au/a koe
o koulua
a koulua
o koutou
a koutou
三人称 o ona
a ona
o laua, o la
a laua, a la
o latou
a latou

[14]

下の表はトケラウ語における前置修飾所有代名詞の一覧である。

所有者 対象が単数 対象が複数
一人称単数形 toku, taku, tota, tata oku, aku, ota, ata
二人称単数形 to, tau o, au
三人称単数形 tona, tana ona, ana
一人称双数形包括形 to ta, to taua
ta ta, ta taue
o ta, o taue
a ta, a taua
一人称双数形除外形 to ma, to maua
ta ma, ta maua
o ma, o maua
a ma, a maua
二人称双数形 toulua, taulua oulua, aulua
三人称双数形 to la, to laue
ta la, ta laue
o la, o laua
a la a laua
一人称複数形包括形 to tatou, ta tatou o tatou, a tatou
一人称複数形除外形 to matou, ta matou o matou, a matou
二人称複数形 toutou, tautau outou, autou
三人称複数形 to latou, ta latau o latou, a latou
対象が不特定
一人称単数形 hoku, hota
haku, hata
ni oku, ni ota
niaku, niata
二人称単数形 ho, hau ni o, ni au
三人称単数形 hona, hana ni ona, ni ana
一人称双数形包括形 ho ta, ho taua
ha ta, ha taua
ni o ta, ni o taue
ni a ta, ni a taua
一人称双数形除外形 ho ma, ho maua
ha ma, ha maua
ni o ma, ni o maua
ni a ma, ni a maua
二人称双数形 houlua, haulua ni oulua, ni aulua

[14]

冠詞

この節では、トケラウ語の冠詞英語の冠詞との比較と共に記述する。英語には2つの冠詞がある。"the"と"a/an"である。ある概念について話しているときの"the"の使用は、聴者がその概念について知っている、あるいはそれが事前に触れられている状況のみに厳しく制限される。なぜなら英語に於いて"the"という単語はいわゆる定冠詞としての役割を果たす、つまり会話している人の中で明確になっている事象について話しているということを意味するからである。しかし、トケラウ語の定冠詞では、英語で"the"を使うのと同じようにある事象について話している場合、その物が具体的である限り以前に言及されていなくてもよい[8]。これは単数名詞用不定冠詞にも当てはまる[8]。文法的規則の違いにより、トケラウ語の"te"は定冠詞であるにも関わらず、英語に翻訳するときは不定冠詞"a"を使用するのが非常に一般的である。トケラウ語に於いて不定冠詞は、話題となっている事象に具体性がないときに使われる[8]。不定冠詞"he"の使用には「そのような物なら何でも」(英語: any such item)といった含意がある[8]。"he"は否定文や疑問文で最も多く登場する[8]が、それは"he"がそういった文にしか現れないということではない[8]。下部に"te"と"he"の例文を掲載する。

トケラウ語: Kua hau te tino
英語: 'A man has arrived' or 'The man has arrived'[8]
(トケラウ語の"te"が英語の"a"と"the"の両方に翻訳される。)
トケラウ語: Vili ake oi k'aumai he toki
英語: 'Do run and bring me an axe'[8]

トケラウ語の"he"と"te"の使用は単数名詞に限られる[8] 。複数名詞の場合、違った冠詞が使われる。複数定冠詞は"nā"である[8]が、"nā"を使うのではなく、具体的複数名詞に定冠詞を付けないこともある[8]。冠詞の省略は通常量の多い物や特定の種類の物を表す時に行われる[8]。例外としては、ある事象全体について話しているが、具体性がない場合が挙げられる[8]。その場合、"nā"よりも単数名詞用定冠詞"te"が使われる[8]。冠詞"ni"は複数名詞につく不定冠詞である[8]。下部に"nā"、例外的として挙げられた"te"、"ni"の例文を掲載する。

トケラウ語: Vili ake oi k'aumai nā nofoa
英語: 'Do run and bring me the chairs'[8]
トケラウ語: Ko te povi e kai mutia
英語: 'Cows eat grass'
(この文に於ける'Ko'は'te'に対する前置詞)[8]
トケラウ語: E i ei ni tuhi?
英語: Are there any books?[8]
(疑問文に於ける不定冠詞。上記の通り、こういった文での不定冠詞の使用は一般的である。)

他言語との親和性

ツバル語はとりわけトケラウ語と類似しているが、その要因が歴史的起源によるものかそれともそれ以降の接触によるものなのかははっきりしていない。サモア語サモア人宣教師の影響によるものとも言われ、両言語ともにサモア語からの借用語は多く見られる[15]

一方で、サモア語とは深く関連しているものの、瞬時の相互理解が可能な言語ではない[6]

絶滅の危機

脚注

外部リンク

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