ホイールベンチレーター
From Wikipedia, the free encyclopedia
ホイールベンチレーター(英: wheel ventilator)は、自動車のホイール外側に装着される、放射状のベーンやディスクを備えた部品である。主にレーシングカーにおいて、ブレーキまわりの冷却および空力特性の改善を目的として使用された。英語圏では「ターボファンホイール」(turbofan wheel)や「ホイールファンカバー」(wheel fan cover)とも呼ばれる[1]。
ホイールベンチレーターは、ディスク形状の外装カバーの裏側に複数のベーン(羽根)を設け、ホイール回転により空気を導入・排出する構造をもつ。これによりブレーキローターおよびキャリパーの熱を外部へ放出し、ブレーキフェードを抑制する狙いがある。空力的には、ホイール表面をフラット化することで乱流を低減し、ドラッグの軽減にも寄与する場合がある[1]。
歴史
年表
| 年代 | 主な車種・チーム | 備考 |
|---|---|---|
| 1977年 | BMW 320 Turbo Group 5 | 初期の試験的導入例。外周ベーン付きカバー採用。 |
| 1982年 | Porsche 956 | グループC車両で冷却+空力目的に採用、耐久レースで定着。 |
| 1985年 | Lancia Delta S4(試作) | ターマック仕様で前輪に小型ベンチレータ装備。 |
| 1988年 | Porsche 962C, Sauber-Mercedes C9 | ベンチレーターが定番装備化、カーボン製が登場。 |
| 1991年 | Mazda 787B | 外観上フラットホイール構造を採用(通気孔内蔵型)。 |
| 1993年 | Lancia Delta Integrale(Gr.A後期) | ホイールカバー風デザインで冷却機能を補助。 |
| 2000年代以降 | 各種チューニング・カスタム車 | スタイリング目的で復刻・再現される。 |
技術比較
| 項目 | ホイールベンチレーター | 一体型エアロホイール | 通常開放ホイール |
|---|---|---|---|
| 主目的 | 冷却+空力 | 空力優先 | 冷却優先 |
| 構造 | カバー+ベーン | ホイール一体成形 | スポーク構造 |
| 冷却性能 | 高(回転により排出) | 中(気流制御) | 高(開放型) |
| 空力性能 | 高(面積平滑) | 高(設計依存) | 低 |
| 重量増加 | 若干あり | 小 | 無し |
| 整備性 | カバー脱着必要 | 良好 | 良好 |
| 規則制約 | 一部カテゴリで禁止 | 少 | 無し |
構造と機能
ホイールベンチレーターは以下の要素で構成される。
- 外周カバー:ホイール表面を覆うディスク状パネル(アルミ・樹脂・カーボン製)。
- ベーン部:内側に放射状に配置され、遠心力で内部空気を排出。
- 固定部:ホイールナットや専用リテーナーで保持される。
ベーン角度やピッチにより吸排気方向が変化し、Porsche 956 では左右で逆回転向きのカバーが使用された例もある。