九陰真経
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『九陰真経』(きゅういんしんきょう/きゅういんしんけい)は、金庸の武俠小説である射鵰三部作(『射鵰英雄伝』、『神鵰剣俠』、『倚天屠龍記』)に共通して登場する架空の武術の秘伝書。これを得たものは、江湖で最強になれると言われ、これを巡って多くの血が流された。なお、「九陰」とは「陰」の気が盛んなこと。すなわち、強力な「陰」の気がついには「陽」を打ち倒すことを示している。この場合の「陰」とは「陽」、すなわち「剛」に対する「柔」という意味合いで、とりたてて邪悪な力について記述してあるというわけでない。
徽宗皇帝のころ、黄裳(1044年 - 1130年)[1]という人物がいた。彼は道教についての書物を編纂しているうち、武術の達人となってしまう。当時、明教の教徒が反乱を起こしていたのであるが、黄裳もこれの鎮圧に参加。しかし、明教の武術家は手ごわく、かなりの苦戦を強いられ、官軍はついには敗北してしまう。そこで、黄裳は明教の達人に挑戦し、幾人かを打ち負かしたものの多勢に無勢で、ついには負傷の末敗走する。それでもおさまらない明教側は黄裳の家族を探し出して皆殺しにしてしまう。傷を癒し仇をとるため、黄裳は山に篭り、ありとあらゆる武術を破る方法を研鑽し、ついに無敵の武術を身に着けた。
ようやく山を降りた黄裳であったが、不思議なことにかつての強敵たちは姿を消してしまっていた。というのも、黄裳が山にこもり始めてから、気づかないうちに40年もの時間が経過していたのである。天下無敵となったとは言え、目的だった敵が死んでしまっているのではどうしようもなく、黄裳は自分のやってきたことにむなしさを感じる。
もはや無用の長物となった武術であるが、これを破棄してしまうのはどうにも心残りだった黄裳は、自分の得た武術の全てを書き残した。これが『九陰真経』である。