宝島 (真藤順丈の小説)
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『宝島』(たからじま、英: HERO's ISLAND)は、真藤順丈の小説である[1][2]。『小説現代』(講談社)2018年6月号に一挙掲載され[注 1]、6月21日に同社から単行本が刊行された。第160回直木三十五賞受賞作[4]。
| 宝島 | ||
|---|---|---|
| 著者 | 真藤順丈 | |
| 発行日 | 2018年6月21日 | |
| 発行元 | 講談社 | |
| ジャンル | 長編小説 | |
| 国 |
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| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 四六変型 | |
| ページ数 | 546 | |
| 受賞 |
第9回山田風太郎賞 第160回直木三十五賞 第5回沖縄書店大賞 小説部門 | |
| 公式サイト | 真藤順丈「宝島」特設サイト | |
| コード |
ISBN 978-4-06-511863-4 ISBN 978-4-06-524373-2(上巻) ISBN 978-4-06-524374-9(下巻)(文庫本) | |
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「リュウキュウの青」「悪霊の踊るシマ」「センカアギヤーの帰還」の3部からなり[5]、沖縄戦直後から始まった1952年の米軍統治時代から沖縄が日本に復帰した1972年までの沖縄を舞台としている[6]。
2025年に映画版が公開された[7]。
あらすじ
第一部 リュウキュウの青 1952-1954
1952年、沖縄・コザ。精霊送りの日の夜、戦果アギヤーのリーダーのオン、グスク(オンの親友)、レイ(オンの弟)は、戦果アギヤー仲間や、素性不明の謝花ジョーらと共に嘉手納空軍基地に忍び込む。オンたちはこれまでにもたびたび米軍基地に忍び込んだ経験があり、一度も捕まることはなかったが、今回は何故か米軍にばれ、激しい追撃に遭う。逃走の最中、オンは行方不明になる。グスクとレイは、逃走中に偶然、基地内にある御嶽のような場所に辿り着くが、そこで奇妙な嗚咽のような声を耳にする。しかし、間もなく米兵が追って来て、レイは捕まり、グスクは辛くも基地から脱出する。
その後グスクは、幼馴染でありオンの恋人であるヤマコと共に、オンの行方を調べる。逮捕されたレイがもたらした情報によれば、今回の嘉手納基地襲撃は、オンが計画したことではなく、与那国島の密貿易団「クブラ」に脅迫されて行われたもので、謝花ジョーはその一味だったという。クブラは、沖縄中の戦果アギヤーを脅して手足のように使い、基地から銃器などを盗ませていた。今回の計画も、オンとレイの親代わりである宗賢のおじいがクブラのメンバーに暴行されたために、渋々引き受けたものだったことが判明する。
1953年、レイは沖縄刑務所に収監され、その劣悪な環境に苦しめられることになる。そのような中でも、国吉やタイラといった仲間を得る。しばらくして、レイはオンの行方を探るために脱獄するが、その際、美里のAサインバー「ヌジュミ」の女給・チバナから、かつての恋人の謝花ジョーが、沖縄刑務所に収監されていることを聞く。レイからその情報を得たグスクは、ジョーであればオンの行方を知っていると思い、レイが刑務所に連れ戻された後に自首し、沖縄刑務所に入る。二人は折を見てジョーを探すものの、一向に見つからない。
1954年11月、刑務所の劣悪な環境に不満を持った囚人たちが暴動を起こす(沖縄刑務所暴動)。その混乱の最中、謝花ジョーが刑務所内の病舎にいることが分かり、グスクとレイは、危篤に陥ったジョーに面会する。ジョーは、あの嘉手納基地襲撃の夜、オンが基地から「予定にない戦果」を持ち帰ったことだけを告げ、絶命する。
第二部 悪霊の踊るシマ 1958-1963
1958年9月、グスクはコザ署の刑事となる。米兵による女給殺人事件の捜査の中で、米民政府諜報部官僚のアーヴィン・マーシャルと、その通訳・小松に出会う。米兵犯罪に頭を抱えていたアーヴィンは、グスクの捜査能力を買い、自身の下で特命捜査を行うよう要請する。グスクは葛藤しながらも、米民政府と手を組めばオンの行方について有益な情報を得られると思い、要請を受ける。
レイは出所後、沖縄暴力団「コザ派」のヤクザになっていた。レイは、親分の喜舎場朝信から、美里の特飲街の見かじめを任されていたが、オンを脅したクブラの動向を探るために、秘密裡に密貿易団に物資を運ばせていた。しかし、喜舎場の子分・辺士名の密告によって喜舎場の知る所となり、レイは厳しい叱責を受ける。そんな中レイは、タイラと再会する。タイラは出所した後、「那覇派」の首領・又吉世喜の支援を得て、仲間と共に米兵を襲撃していた。レイはタイラに又吉を紹介され、オンを尊敬する又吉に、オン失踪の経緯を話す。それを聞いた又吉は、かつて戦果アギヤーの中には、人の戦果を横取りして利益を上げた者がおり、そんな人物がコザ派ヤクザの中にもいて、場合によってはオンの行方を知っているかもしれないと告げる。同じ頃にレイは、コザの孤児・ウタと出会う。沖縄とアメリカのハーフのウタは生い立ちが不明で、なぜかレイに懐き、行く先々に付いて来た。
ヤマコは苦学の末、宮森小学校の教師となる。休日にはオンの捜索をすると共に、ウタを始めとする孤児たちを救うために、児童養護施設への入所に尽力したり、読み聞かせをしたりする。ヤマコの教師生活が軌道に乗り始めた矢先、1959年6月30日、宮森小学校に米軍機が墜落する(宮森小学校米軍機墜落事故)。ヤマコ受け持ちの児童からも死傷者が出て、事故後、ヤマコはしばらく悲嘆に暮れる。しかし、ウタの存在が救いとなったこともあって、教師を続ける決意を新たにする。同時に、集会やデモにも参加し、「沖縄県祖国復帰協議会」(通称:復帰協)の結成に携わるなど、反基地・本土復帰運動にも関わるようになる。
1961年9月、レイは又吉と共に悪石島に渡る。悪石島は、かつてクブラの密貿易の中継地点となっていたため、レイは、オンの秘密が分かるかもしれないと考えていた。道中、又吉は、琉球列島高等弁務官として絶対権力を揮うポール・W・キャラウェイの暗殺をタイラが進めていることと、その計画の黒幕がオンだという噂があることをレイに明かす。その後、レイたちは島民からクブラの末路について聞く。1950年代、悪石島にいたクブラは米軍によって武力摘発を受け、全滅したという。さらに、島でオンがクブラの手伝いをさせられていたこと、米軍による摘発の最中に舟で島を脱出しようとしたものの、その舟は米軍の砲撃を受けて沈没したことが明らかになる。オンの死を悟ったレイは、失意のうちに島を後にする。自暴自棄になったレイは、タイラのキャラウェイ暗殺計画に加わることにする。
同じ頃、グスクはオンの行方を捜査するため、嘉手納基地で起きた事件の記録をアーヴィンには秘密で探ろうとするが、小松に知られ、咎められる。ある日グスクは、ハーバービュー・クラブで行われた「金門クラブ」に招待されるが、その日の夜、米民政府思想犯担当の諜報員・ダニー岸に拘束される。ダニーは、又吉とレイ、タイラによってキャラウェイ暗殺計画が進められていること、その計画の真の首謀者がオンであることを告げる。ダニーは、オンやレイの親友であったグスクもその計画の当事者であると決めつけ、情報を吐かせるために拷問にかける。何も知らないグスクはひたすら耐え続けていたが、隙を見て脱出する。
後日、ついにキャラウェイ暗殺計画が実行に移される。キャラウェイはタイラたちに追い詰められるが、間一髪でグスクら琉球警察が駆けつける。グスクは断腸の思いで発砲し、タイラは射殺される。この計画にレイは参加していなかった。実は、レイが捨て鉢になっているのを看破したタイラは、レイに虚偽の暗殺日時を伝えていた。結果、レイは計画に参加し損ね、再び行方をくらます。
第三部 センカアギヤーの帰還 1965-1972
1965年7月、ベトナム戦争が激化し、嘉手納基地からはベトナムへ向かう米軍機が飛び立っていた。沖縄では「本土復帰」と「戦争反対」のシュプレヒコールが巻き起こっていた。
1966年。グスクは婦警のサチコと結婚して家庭を築いていており、サチコのお腹には子供もいた。ある日、自宅に差出人不明の便箋が届くが、そこには「グスク、おれは島に帰りついた」と記されていた。
この頃のグスクは、ベトナム戦争の影響で荒れる米兵の犯罪捜査に追われ、心身共に限界に達していた。グスクはアーヴィンの下での特命捜査を辞めることを希望するが、アーヴィンは、特命捜査に当たっていた県民の変死事件を捜査するよう要請する。
同じ頃ヤマコは、これまで通り教師をしながら、復帰協や児童養護施設での活動に一層力を入れていた。クリスマス・イブの夜、施設に差出人不明のプレゼントが大量に届く。同封の手紙には、ヤマコ宛てに「ただいま、これは生還の前祝さ」と記されていた。同じ夜、コザの至る所に匿名の贈り物が届けられていた。
1967年2月、グスクは、教公二法案反対デモ(教公二法阻止闘争事件)を荒しに来た辺士名を捕え、喜舎場と又吉のもとに連れて行く。かつてコザ派だった辺士名は袂を分かって「泡瀬派」を興し、御法度だった麻薬を売り捌いていた。辺士名は、麻薬密売の調査をしていたアーヴィンの捜査員二人を殺害したのが自身であることを白状した上、麻薬密売を持ち掛けた人物がオンの名を騙っていたことを告げる。かつて辺士名は、オンたちと同じく戦果アギヤーだった。しかしクブラに抱き込まれ、1952年の嘉手納基地襲撃の夜、基地の周辺に出張って、オンたちが戦果を持ち逃げしないように監視していた。果たして、オンは基地から出てきたが、手には一つの木箱を抱えていた。辺士名には箱の中身は分からなかったが、中身を知った謝花ジョーは態度を急変させ、あろうことか病院に立ち寄ると言い出したという。辺士名はオンをクブラ本隊に引き渡し、クブラの決まりを破る形になったジョーは逃亡した後、警察に逮捕されたという。
1968年11月、嘉手納基地から離陸しようとした米軍機が墜落(嘉手納飛行場B-52爆撃機炎上事故)した頃から、各所に届けられる差出人不明の贈り物に、ガスマスクが混じるようになる。
1969年7月、グスクは、知り合いの米兵から、嘉手納の弾薬庫で毒ガス(VXガス)漏洩事故があったことを知る。米軍は秘匿していたが、実は数年前から、ベトナム戦争で使用する化学兵器を沖縄に持ち込んでいた。それを聞いたグスクは、昨年から匿名の贈り物にガスマスクが混じるようになった真意を掴む。送り主は、漏洩事故を予見していたのだ。グスクはこの情報を新聞社に持ち込もうとするが、アーヴィンと小松に知られ、問い詰められる。怒りが頂点に達したグスクは、遂にアーヴィンたちと決別する。米民政府から追われかねない立場となったグスクは、家族と共にコザを離れ、恩納村に住んでいた国吉を頼って移住する。間もなく、毒ガス漏洩事故は世間の知る所となる。さらに、米軍が毒ガスを沖縄に持ち込んでいたことを、日本政府が黙認していたことも明らかになり、沖縄県民は、日米両政府に怒りを募らせていく。
同年11月21日、日米両首脳が沖縄返還について共同声明を発表する日、かつてウタと同じ施設にいた少女・キヨが、母親のハツネと死亡しているのが発見される。ハツネは生前、結婚を約束していた米兵に裏切られ、ヘロイン中毒に陥っていた。金の無いハツネはキヨを施設から強引に連れ戻し、米兵相手の売春をさせていた。やがてハツネは麻薬が切れて自暴自棄になり、キヨと共に無理心中を図ったのだった。キヨを妹のように可愛がっていたウタは、悲嘆に暮れる。
その年の暮れ、ヤマコがキヨの遺品を整理していると、キヨの日記を見つける。日記には、ウタがたびたび山原の宜野座に行っており、そこには「おばけ」がいることが記されていた。宜野座にウタの生い立ちの秘密があると感じたヤマコは、密かにウタを尾行する。案の定、ウタは宜野座に行き、森の中の洞窟(ガマ)へと入って行った。ヤマコは不審に思う。
1970年。アーヴィンの根回しで警察を免職になっていたグスクは、私立探偵を始めていた。やがてグスクは、1969年の毒ガス漏洩事故が、毒ガスを強奪しようとしたレイたちの侵入によって誘発され、コザ各地に贈り物を届けたのもレイであると考えるようになる。同じ頃ヤマコは、かつて嘉手納基地内で働いていた女性の島袋から、1952年に起きた、嘉手納基地内の御嶽にまつわる、ある重要な証言を得る。
12月19日の夜、恩納村のグスクの家に、小松とダニー岸がやってくる。実は、小松はただの通訳ではなく、米民政府の諜報員の一人で、ダニーは小松の仲間だった。二人は、毒ガス漏洩事故とオンの秘密を知っているグスクを拘束しに来たのだった。二人とも、1952年にオンが嘉手納基地からアメリカにとって重要なものを持ち出したことを知っており、以来、オンの行方をずっと追っていた。グスク小松に拘束され、軍司令部まで車で連行されることになる。
翌日(12月20日)未明、グスクを乗せた車はコザに差し掛かるが、そこでは、米兵の酒気帯び運転よって地元民がはねられたことをきっかけとして、コザの人々による大規模な暴動が発生していた(コザ暴動)。コザの人々は米軍車両を襲撃していたが、グスクが乗っていた車も米軍車両であったため、コザの人々に襲われる。混乱の最中、グスクは車から脱出することに成功する。
やがてグスクは、武装集団を引き連れて嘉手納基地に侵入するレイを見つける。グスクも基地に入り、レイを呼び止める。レイはVXガスを持っていた。実はレイは、キャラウェイ暗殺計画に参加し損ねた後、麻薬売買で資金を稼ぎ、仲間と共に地下テロリストチームを結成していた。1969年の毒ガス漏洩事故の際、レイたちは米軍化学中隊の軍人を誘拐し、密かにVXガスを製造させていた。レイたちは今晩、嘉手納基地にVXガスを撒き、日米両政府に対し、沖縄を首都にする要求を突きつけようとしていた。
やがて、アーヴィンが米軍を率いて駆けつけ、レイとグスクに投降を迫るが、その時ウタがやってくる。実は、ウタはレイのテロリストチームに入っていたが、今回の嘉手納基地襲撃メンバーには加えられていなかった。ウタはアーヴィンに向かって発砲したが、即座に銃弾を受けて息絶える。グスクとレイは、基地近くに来ていた又吉たちに救出され、ウタの亡骸を運び出す。基地の外にはヤマコもおり、グスクたちと共に又吉の車に乗って逃亡するが、ヤマコは、ウタがたびたび訪れていた宜野座に向かうよう要求する。
グスク、レイ、ヤマコは、ウタの遺骸を抱きながら宜野座の洞窟の中に入る。そこには一人の人骨があった。三人は、それぞれが得た情報を擦り合わせながら、オンとウタの真相に辿り着く。
登場人物
主要人物
- オン
- コザの戦果アギヤーのリーダーで、この物語のキーパーソン。1932年生まれ[8]。米軍基地から盗んできた様々な物資を地元の人々に配り、時には資材で学校も建てたため、島の英雄と讃えられている。「この島の最良の遺伝子で創られたウチナー面」と評されるほどの男前。思いやりがあり、苦境に立たされても仲間を鼓舞する強靭な精神力の持ち主。1952年、嘉手納空軍基地に忍び込んだ夜、基地から「予定にない戦果」を手に入れた後、忽然と姿を消す。両親を沖縄戦で亡くしており、弟のレイと共に、塗装業を営む宗賢のおじいに育てられた。魚(ゴマモンガラ)の歯の首飾りがトレードマークで、このゴマモンガラの歯は、沖縄戦の最中、レイと共に海を泳いで逃げた際、レイを襲ったゴマモンガラを退治した時に取ったもの。
- グスク
- オンの親友で、この物語の実質的な主人公。1933年生まれ[9]。もとはオンと同じく戦果アギヤーだったが、沖縄刑務所での刑期を終えた後、コザ署の刑事になる。沖縄戦の最中、両親はガマ(洞窟)の中で日本兵に迫られて自決し、自身も死にかけたが辛くも脱出した過去を持っている。そのため、大人になってからもガマにはトラウマがある。普段はお調子者で、朝風呂と二度寝を好む能天気な性格であるが、いざという時は相手の意表を突く大胆な行動に出る勇敢な人物で、困難な状況に陥ってもへこたれない不屈の精神の持ち主でもある。また、カチャーシーの名人でもあり、沖縄刑務所内で踊った際は、囚人・看守ともにその芸に見惚れた。
- レイ
- オンの弟。1935年生まれ[10]。嘉手納基地襲撃後間もなく沖縄刑務所で服役し、出所後はコザ派のヤクザとなる。兄譲りの男前だが、英雄と称えられる兄や、親友のグスクに負けじと必要以上に強がる節がある。生まれついて「カフー」(幸運)に恵まれており、様々な困難に出くわしても、持ち前の幸運で切り抜けて来た強運の持ち主。
- ヤマコ
- オンの恋人。両親は沖縄戦の最中に砲撃を受けて亡くなり、当初はユタ(霊媒師)の祖母と暮らしていた。後に、Aサインバーで働きながら苦学の末に小学校教師となり、姿を消したオンを探し続ける。気丈で芯が強いが、面倒見の良い慈悲深い性格。なお、本名は「マヤ子」だが、長身(171cm)のため、幼馴染からは山のように大きいという意味で「ヤマコ」と呼ばれている[11]。1934年生まれ[12][注 2]。
コザと美里の人々
ウタ
- コザの孤児の男の子。沖縄とアメリカのハーフだが、生い立ちは不明。当初、他の孤児たちからは「山羊の目」(ヒージャー・ヌ・ミー)と蔑まれていた。後にグスク、レイ、ヤマコに出会い、ヤマコの斡旋によって児童養護施設に入る。長ずるにつれて反米感情を募らせ、那覇派の使い走りもするようになるが、思いやりがあり、同じ施設の孤児たちから慕われてもいる。
国吉
- レイの先輩の受刑者。1953年時点で40代。米軍のブルドーザーの前に立ちはだかり、公務執行妨害で逮捕された。温厚かつ知的な人物で、沖縄刑務所での服役中、レイに様々な知識を与える。出所した後はタクシーの運転手になり、グスクやヤマコの良き協力者となる。
チバナ
- 美里のAサインバー「ヌジュミ」の女給。謝花ジョーの恋人。レイが美里の地廻りをするようになってからは、レイと関係を持つようになる。
徳尚
- コザ署の刑事。グスクの上司で、人情に厚い。
照喜名のおばあ
- コザのユタ(霊媒師)で、ヤマコの祖母の友人。確かな霊視を持っており、ヤマコが小学校教師になることも予測していた。折々にヤマコの良き相談相手となる。
キヨ
- コザの孤児の少女。父親は2歳の時に蒸発し、美里の女給だった母親・ハツネは育児放棄をしていた。見かねた隣人の尽力により、一時避難の形で、ウタと同じ児童養護施設に入っていた。年上のウタを慕っている。
サチコ
- グスクの妻。コザ署の婦警で、いつもグスクを尻に敷いている。母親と同居している。
リュウ
- グスクの息子。
島袋
- コザの外れで農家を営む女性。元は嘉手納基地の軍雇用員だったが、基地内の御嶽の管理を密かに任されていた。知り合いになったヤマコに、1952年に起きた、嘉手納基地の御嶽にまつわるある秘密を告白する。年老いた夫との二人暮らし。
米軍
アーヴィン・マーシャル
- 米民政府諜報部官僚。グスクの卓越した行動力を買い、グスクと共に米兵による犯罪を捜査する。冷静沈着で遠慮が無い一方、穏やかで良心的な人物でもある。グスクの他にも何名かの県民を特命捜査に当たらせているが、彼らを使い捨ての駒のように扱うことはせず、時々同情の念を覗かせる。そのため、グスクからも一定の信頼を得ている。グスクより6歳年上。
小松
- アーヴィンの通訳。当初は堅物だったが、次第に自身の立場を活かしてグスクのオン捜索に協力するようになる。東北出身で、後に、故郷から年老いた母親を呼んで同居している。
ダニー岸
- 米民政府思想犯担当の諜報員。戦前は本土の特高警察に所属していたが、戦後はGHQの庇護下に入り、残忍な方法で思想家や活動家の取り締まりを担当してきた。グスクが初めて見かけた時に煙草を吸っていたため、グスクからは「煙男」(キブサー)と呼ばれている。
- 第3代琉球列島高等弁務官。冷酷かつ厳格な人柄で、絶対権力者として沖縄を支配するが、後にタイラたちに命を狙われることになる。
エドモンド・E・ウェストリー
- Aサインバー「ブルー」の女給・照屋サキを殺害した海兵隊員。「ブルー」の常連で、女給をしていたサキと関係を持つ。西原村のガマ(洞窟)にサキを連れ込むだけでなく、ガマにあった戦死者の頭蓋骨を「トロフィー・スカル」として持ち帰っていた。一度はグスクと徳尚に身柄を取り押さえられたものの、当時の規定により米軍の憲兵(MP)に引き渡される。
サミュエル・ヴァン・ホーン
- 黒人の海兵隊員。ベトナム戦争の現実を目の当たりにし、戦地に渡らないために軍紀違反を犯した良心的兵役拒否者。1969年7月、嘉手納の弾薬庫で毒ガス漏洩事故があったことを、グスクにいち早く知らせる。ベトナム戦争のストレスで酒と麻薬に溺れているが、島民を襲うような人物ではない。
沖縄暴力団
- 沖縄暴力団「那覇派」の首領。穏やかでありつつも強かで、ライバルの喜舎場ですら“ずぬけた男”と評するほどの大人物。沖縄空手の達人でもあり、闘犬を好む。
タイラ
- 反米闘争に明け暮れる那覇出身の港湾労働者。1953年時点で30代半ば。かつて神戸の港町で暮らしていた時期があり、そこで出会った女性と結婚している。息子も生まれたが、故郷・沖縄がアメリカに脅かされる惨状を見過ごせず、単身で帰郷した。しかし、米兵に暴行を加えた罪で沖縄刑務所に投獄され、妻から離縁状を送りつけられた。服役中にレイと知り合い、刑務所の劣悪な環境を変えるために暴動を起こす。出所した後は又吉世喜の支援を得て、仲間と共に米兵を襲撃するようになる。筋骨逞しい偉丈夫で、気骨のある人物。
- 沖縄暴力団「コザ派」の首領。レイの親分。
辺士名
- 「コザ派」のヤクザ。派の交易全般を仕切る猜疑心の強い悪漢。
その他
謝花ジョー
- 与那国の密貿易団「クブラ」の一味。オンを脅迫し、1952年の嘉手納基地襲撃を持ち掛けた。後に、グスクとレイは那覇刑務所内の病舎で不治の病に罹ったジョーを見つけ出すが、ジョーは、嘉手納基地襲撃時にオンが「予定にない戦果」を持ち出したことのみを伝え、間もなく息を引き取る。
- 反米闘争の旗手。1954年10月、グスクとレイのいる沖縄刑務所に入所し、囚人たちの絶大な支持を得る。彼の存在が、沖縄刑務所暴動のきっかけとなる。穏やかな性格で、弁舌に優れる。
照屋サキ
- グスクが刑事になって最初に担当した殺人事件の被害者。八重島のAサインバー「ブルー」の女給。21歳。西原村の出身で、傷痍軍人の父と弟妹を養っていた。もともとは身持ちが固かったものの、米兵のエドモンド・E・ウェストリーに籠絡される。ウェストリーが、ガマにあった戦死者の頭蓋骨を「トロフィー・スカル」として優越感に浸るために持ち出していたことを非難したことで、殺害される。
悪石島のおじい
- 悪石島でオンの世話をしていた若い女の父親。悪石島を訪れたレイに、オンについて重要な証言をする。
タキ兄弟
- 悪石島に住む若い兄弟。焼き畑農業や牛の放牧で6人の姉妹を養っている。かつて、親がクブラの荷積みの手伝いをさせられていた。島は、一時は密貿易の中継地点として潤っていたが、1950年代、米民政府が派遣した米軍によって一斉に武力摘発を受ける。これにより、クブラは全滅し、クブラに協力していた島民たちも多数逮捕された。
受賞
映画
2025年9月19日に公開された[16][17]。監督は大友啓史、主演は妻夫木聡[16][17]。PG12指定[18]。
キャスト
スタッフ
- 原作:真藤順丈『宝島』(講談社文庫)
- 監督:大友啓史
- 脚本:高田亮、大友啓史、大浦光太[18][22]
- 音楽:佐藤直紀[18][22]
- 製作:中村光孝、角田真敏、門屋大輔、吉村文雄、森正文、Luci Y. KIM、植田泰生、藤原寛、出來由紀子、津田真希子、上原直樹、中村一彦、武富和彦、野島正也、久保浩章、長濱弘真、永堀真[18][22]
- 企画・プロデュース:五十嵐真志[17]
- エグゼクティブプロデューサー:石黒研三、佐倉寛二郎、Luci Y. KIM[18][22]
- プロデューサー:野村敏哉、角田朝雄、福島聡司[18][22]
- 宣伝プロデューサー:木村徳永、森島奈津子[18]
- ラインプロデューサー:村松大輔[18][22]
- 撮影:相馬大輔[18][22]
- 照明:永田ひでのり[18][22]
- 美術:花谷秀文[18][22]
- 装飾:渡辺大智、島村篤史[18][22]
- 録音:湯脇房雄[18][22]
- 編集:早野亮[18][22]
- 衣装デザイン:宮本まさ江[18][22]
- ヘアメイクディレクター:酒井啓介[18][22]
- VFXスーパーバイザー:小坂一順[18][22]
- 音楽プロデューサー:津島玄一[18][22]
- スーパーヴァイジングサウンドエディター:勝俣まさとし[18][22]
- ミュージックエディター:石井和之[18][22]
- 監督補:田中諭[18][22]
- スケジュール:桜井智弘[18][22]
- 助監督:村上秀晃、佐和田惠[18][22]
- スクリプター:佐山優佳[18][22]
- キャスティング:川村恵、梓菜穂子、飯田美保[18][22]
- 沖縄アドバイザー:今科子[18][22]
- 特機:奥田悟[18][22]
- スタントコーディネーター:吉田浩之[18][22]
- スチール:菊池修[18][22]
- 製作担当:大田康一、菱川直樹[18][22]
- 後援:沖縄県[23]
- 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会、JLOX、JLOX+[23]
- 配給:東映、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント[18][17]
- 製作プロダクション:クロスメディア[18]
- 製作幹事:電通[18]
- 製作:「宝島」製作委員会(電通、クロスメディア、講談社、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、東映、ウィーンの森、LUKA Productions International、バップ、吉本興業、フォスター・プラス、朝日新聞社、琉球朝日放送、琉球放送、沖縄タイムス社、フラッグ、エフエム沖縄、文教大学学園)
受賞
- 第1回日本映画装飾協会賞 映画部門 優秀賞(美術:花谷秀文、装飾:渡辺大智 / 島村篤史)[24]
- 第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 石原裕次郎賞[25]
- 第49回日本アカデミー賞 優秀作品賞[26]